この助成金が支えるのは、承継そのものではありません。承継のあとに始める新しい事業です。募集要項の目的には、承継を契機とした新規事業展開を支えて取引拡大を通じ中小企業を振興するとあります。
令和8年度は第1回も第2回も受付が終わりました(第2回は9月30日16時まで)。令和9年度以降の募集予定は公式ページに載っていません。老朽化した設備の入れ替えや既存製品の改良だけの計画は対象外です。次の募集に備えて、自社の計画が当たるかを先に確かめておけます。
事業承継を契機とした成長支援事業(一般コース)の要点まとめ
正式名:事業承継を契機とした成長支援事業(一般コース)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種不問(日本標準産業分類に基づく業種別の規模基準あり)
- 利用目的
- 承継後の新規事業展開(新製品・新サービス・新市場)
- 対象地域
- 東京都内(一部の近隣県の事業所も可)
- 従業員数
- 業種ごとの資本金か従業員数の上限以下(本文の表)
いくら
- 補助上限額
- 800万円(千円未満切捨て)
- 補助率
- 2/3以内(賃上げ計画の達成で3/4以内、小規模企業者は4/5以内)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年5月18日〜2026年9月30日(受付終了)
- 事業の完了
- 交付決定日から最大1年間
うちの会社は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 設備の入れ替えや復旧だけの計画
- ✕ 既存製品の改良だけの計画
- ✕ 医療法人・NPO法人・学校法人
- ✕ 公社の他事業と同じ内容で併願
承継の形は法人と個人で決まっています
法人は次のいずれかです。
- 同じ法人の中で代表権が移る:後継者が代表に就き、先代が退任します。後継者か、後継者が代表を務める別法人が株主であることも要ります。
- M&Aで事業譲渡を受ける:後継者が譲受会社の代表で、事業の全部か重要な部分を引き継ぎます。譲渡した会社は廃業している必要があります。
- M&Aで株式譲渡を受ける:後継者が譲受会社の代表で、譲渡会社の株式が後継者側に移り、譲渡会社の代表者が退任します。
個人事業主は、後継者が開業して先代が廃業していることと、事業用資産が先代から引き継がれていることの両方が要ります。法人は、後継者以外に拒否権付種類株式(いわゆる黄金株)が付与されていないことも要ります。承継の時期は令和3年4月1日から申請日の前日までです。公式は、申請日の前日か令和6年3月31日から遡って3年以内のどちらかに当たることとも説明しています。
中小企業の範囲は業種ごとに違います
公式の定義は会社と個人事業者です。業種ごとの上限は次のとおりで、資本金か従業員数のどちらか一方が上限以下なら該当します。
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業・情報通信業など | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
| 小売業(飲食業を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業の一部は従業員900人以下です。情報通信業のうち放送業などはサービス業の基準で見ます。
大企業が実質的に経営に参画している会社(みなし大企業)は対象外です。大企業が1社で株式の2分の1以上を持つ場合や、複数で3分の2以上を持つ場合、役員の2分の1以上を大企業側が兼ねる場合が当たります。
事業を行う場所は、都内に本店か支店の登記があれば都内です。都外の事業所は、神奈川・埼玉・千葉・群馬・栃木・茨城・山梨の7県にあり本店が都内にある場合に限り認められます。
いくらもらえる?
助成率は対象経費の3分の2以内で、上限は800万円です。対象経費が1,200万円に達すると上限の800万円に当たり、それより多い分は自己負担です。
- 300万円の機械を買う:300万円 × 2/3 = 200万円(残り100万円と消費税30万円は自己負担)
- 事業費1,700万円のうち200万円が対象外:対象経費1,500万円 × 2/3 = 1,000万円 → 上限の800万円
助成金の額は経費区分ごとに3分の2をかけて出し、千円未満は切り捨てます。助成金は後払いです。事業の間は、自社で費用を用意することになります。
賃金引上げ計画を付けると何が変わる?
計画を出して達成すると、助成率が4分の3以内(小規模企業者は5分の4以内)に上がります。小規模企業者は、製造業とその他の業種で従業員20人以下、商業とサービス業で5人以下の会社です。
- 常時使用する従業員の給与等総額を、基準期間より2.0%以上増やす
- 助成事業の実施場所の最低賃金を、地域別最低賃金+30円以上にする
常時使用する従業員が1名以上いることも要ります。役員だけの法人や、従業員のいない個人事業者は付けられません。基準期間は、申請受付開始日の属する月の前月から遡る12か月です。計画期間は、助成事業の完了日が属する月の翌月から最大12か月です。
- 中小企業者で経費600万円:600万円 × 3/4 = 450万円(1回目400万円、2回目50万円)
- 小規模企業者で経費600万円:600万円 × 4/5 = 480万円(1回目400万円、2回目80万円)
助成金は2回に分けて払われます。1回目は通常の3分の2、2回目は計画の達成を確認してからです。要件を満たせなくなると、2回目は受けられません。
何に使える?
対象にならないもの
- 直接人件費、消費税、振込手数料などの間接経費
- 税抜10万円未満の物品の購入費
- 土地・建物・車両の購入費
- テレビやパソコンなど、ほかの用途にも使える汎用品
- 中古品、レンタル、リース(一覧で認めているものを除く)
- 手形・小切手・電子マネーでの支払い(現金は税抜10万円以下の契約だけ可)
- 親会社・子会社・関連会社との取引
対象になるもの
- 原材料・副資材費、機械装置・工具器具費
- 委託・外注費、設備等導入費、システム等導入費
- 産業財産権の出願・導入費、規格等認証・登録費
- 不動産賃借料(新たに借りる事務所や施設)
- 販売促進費(上限200万円)、その他経費(上限100万円)
専門家指導費・販売促進費・その他経費は、単独では申請できません。委託・外注費のうち市場調査費だけの申請も認められません。販売促進費は、既存事業の販売促進には使えません。
申請の流れ
令和8年度の第2回の例です。
- GビズIDプライムを取る(申請者→デジタル庁。発行に1週間程度かかるため、受付前に済ませる)
- 書類をそろえてJグランツで申請する(申請者→公社。受付は9月1日9時から9月30日16時まで)
- 書類審査と面接審査を受ける(申請者。面接は12月11日から17日のうち1日で、対面です)
- 交付決定を受けて事業を始める(申請者。交付決定は令和9年1月上旬の予定で、対象期間は決定日から最大1年)
- 事業の完了後に実績報告を出す(申請者→公社。原則1か月以内)
- 完了検査のあと請求して受け取る(公社が額を確定し、請求から1か月程度で支払い)
申請は電子申請のみです。交付決定の前に発注や契約をした経費は対象外なので、見積書は取ってよくても契約は決定後にします。アドバイザー派遣は計2回あり、助成金の支払いには両方の受入れが要ります。
必要な書類
準備できた 0 / 8
承継の形によって、閉鎖事項全部証明書や株主名簿や譲渡の契約書などが加わります。個人事業主は、開業届と先代の廃業届と事業用資産の契約書と納税証明書が必要です。見積書は、税抜100万円以上の経費なら2社以上の分を出します。賃金引上げ計画を付けるときは、賃金台帳の写しも要ります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約した:決定日より前の発注や契約は、助成の対象になりません。
- 支払いが期間内に終わらなかった:クレジットカードの引き落とし日が対象期間を過ぎると、その経費は対象外です。
- 書類に不備や不足があった:申請後の追加提出や差し替えはできず、不採択になります。
- 賃金引上げ計画を達成できなかった:2回目の助成金は受けられず、場合により返還を求められます。
- 完了検査で対象外とされた:交付決定額は上限です。検査の結果、減額されることがあります。
ほかの助成との併願
同じ内容で、公社の他の助成事業と併願することはできません。販路開拓コースとも併願できません。国や都道府県など公社以外の助成は併願できますが、同じテーマで両方に採択されたときは一方を辞退します。
よくある質問
承継から何年以内なら申請できますか?
承継の時期は、令和3年4月1日から申請日の前日までです。公式はこれに加えて、申請日の前日か令和6年3月31日から遡って3年以内のどちらかに当たることと説明しています。次の募集が出たら、募集要項の承継期間の欄で基準日を確かめてください。承継が代表権の移転や事業譲渡などの類型に当たることを、登記や契約書で示す必要もあります。
親族以外への事業譲渡も対象ですか?
対象です。M&Aによる承継は、事業譲渡と株式譲渡のどちらも類型に入っています。後継者が譲受会社の代表であることと、後継者か後継者が代表を務める別法人が譲受会社の株主であることが条件です。譲渡会社の廃業や代表者の退任など、類型ごとの要件も満たす必要があります。親族内の承継に限る制度ではありません。
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。後継者が開業して先代が廃業していることと、先代から後継者へ事業用資産が引き継がれていることの両方が必要です。開業届と先代の廃業届、事業用資産の贈与契約書や売買契約書などで示します。法人の定款や法人事業税の納税証明書は要りません。代わりに所得税や住民税の納税証明書を出します。
医療法人やNPO法人は対象になりますか?
対象になりません。この事業の中小企業は、株式会社や合同会社などの会社と個人事業者だけです。公式FAQは、医療法人と学校法人と宗教法人と社会福祉法人とNPO法人と公法人は、中小企業に該当しないと答えています。法人の種類で迷うときは、申請の前に事務局へ確認してください。
本社が都外でも申請できますか?
本社が都外の会社は、都内に支店の登記があれば申請できます。本店が都内で事業所が都外の場合は、神奈川・埼玉・千葉・群馬・栃木・茨城・山梨の7県の事業所に限って認められます。どちらも、都内の事業所で事業活動が根付く形で行われていることが前提です。看板や従業員の雇用状況も見られます。
交付決定の前に買った設備は対象になりますか?
対象になりません。対象経費は、交付決定日から最大1年間の助成対象期間に、契約と実施と支払いまで終えたものです。見積書は決定日より前に取って構いません。発注や契約が決定日より前なら対象外です。納品が期間を過ぎた場合や、カードの引き落とし日が期間を過ぎた場合も同じです。
助成金はいつ振り込まれますか?
後払いです。交付決定のあとに事業を自己資金で行い、実績報告と完了検査を経て額が確定します。そこで請求書を出すと、到着から1か月程度で支払われます。賃金引上げ計画を付けると2回に分かれるため、受け取り切るまでさらに時間がかかります。振込の時期は書類の不備などで前後するので、公式は一概に示していません。
面接審査には誰が出られますか?
事業者の代表者と役員と従業員のうち、最大2名までです。顧問や経営コンサルタントの同席、代理出席は認められません。発覚すると審査に重大な影響が出るおそれがあります。面接は原則として対面で、日本語で行います。通訳は同席できますが、言語を変換する役割に限ります。日程は変更できないので、面接期間は空けておきます。
不採択になったら再度申請できますか?
できます。公式FAQは、不採択のときは再度の申請が可能と答えています。交付決定を受けたことがある事業者は申請できません。不採択の理由は問い合わせても教えてもらえません。書類の追加提出や差し替えもできないので、次の申請では提出前に要件と書類を一つずつ確かめます。
他の補助金と併用できますか?
公社以外の機関の補助金とは併願できます。同じテーマと内容で二重に受け取ることはできないので、両方に採択されたら一方を辞退します。公社の他の助成事業と、販路開拓コースとは併願できません。どちらで申請するかを先に決めてください。経費をどう分けるかは、事務局に確かめると確実です。
賃金引上げ計画を達成できなかったらどうなりますか?
2回目の助成金が受けられません。1回目は通常の3分の2で払われるので、その分は残ります。ただし給与等総額の2.0%以上の増加が確認できない場合は、期間を定めて助成金の返還を求められることがあります。計画に入れる前に、賃金台帳の過去12か月分から2%増える見通しを計算しておくと安全です。
行政書士などに申請を頼めますか?
Jグランツの代理申請機能を使えば頼めます。申請者がGビズID上で委任すると、受任者がJグランツで申請書を作れます。申請内容の確認と提出は申請者本人が行います。助成対象経費に関わる外注先の事業者は、代理申請を請け負えません。申請者は「同意書(代理申請用)」を作り、申請フォームにアップロードします。
問い合わせ先はどこですか?
事業承継を契機とした成長支援事業事務局(電話03-4446-4650)です。受付は平日の9時から16時30分で、年末年始は休みです。公式ページは、募集要項を確認する前の問い合わせは控えるよう求めています。問い合わせは申請事業者本人からします。審査の内容や結果についての質問には答えてもらえません。
