都内には、太陽光パネルを置ける屋根も土地も多くありません。この制度は、その不足を都外の発電所で補う事業者を助成します。
第1回は9月30日に終わり、いまは第2回の受付中です。期限は2027年3月31日17時で、予算に達し次第終了します。契約と着工は、交付決定の通知を受けたあとでなければなりません。先に契約した経費は助成の対象外です。
再エネ電源都外調達事業(都外PPA)の要点まとめ
正式名:再エネ電源都外調達事業(都外PPA)
だれが
- 申請者
- 民間企業・個人事業主・学校法人・医療法人など
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 都外の再エネ設備から都内施設へ電気・環境価値を供給
- 対象地域
- 東京都(電気を使う施設が都内。発電設備は都外)
- 従業員数
- 規定なし(公式資料に企業規模の要件の記載なし)
いくら
- 補助上限額
- 8億円(同一事業者・各申請回。特別高圧の設備は除く)
- 補助率
- 発電設備は2/3〜1/3以内、蓄電池は2/3以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 第2回:2026年10月1日〜2027年3月31日17時
- 事業の完了
- 完了日から30日以内に報告(最終期限は2030年11月29日)
PPAは電力購入契約のことです。発電事業者が設備を置き、電気を使う側が決まった価格で長期間買います。この制度では、都外に設備を置いて都内の事業所で使う取り組みが対象です。
自分の取り組みは対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
環境価値とは、CO2を出さない電気という価値のことです。電気そのものを買う契約も、この価値だけを買う契約も対象になります。発電事業者が設備を持つ形でも、助成を受けるのは都内で電気を使う側です。この場合は発電事業者と共同で申請します。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ FIT・FIP認定を申請した設備
- ✕ 売電が目的の事業
- ✕ 国と地方公共団体
- ✕ 中古の発電設備
FITは国が電気を固定価格で買い取る制度で、FIPは市場価格に上乗せ額を足す制度です。どちらも認定を申請済みの設備は対象外です。ただし交付申請の時点で、法律に基づく廃止の届出を済ませていれば除かれます。
太陽光は出力5kW以上で、JET認証などを受けたモジュールが条件です。蓄電池は定置用に限り、可搬式は対象になりません。
設置する地域への配慮も要件です。発電設備の事業計画ガイドラインを守り、設置先の自治体と災害時の電気の利用に関する協定を原則結びます。事業者向けの説明会か事前周知も必要です。屋根設置は事前周知が任意です。屋根以外で50kW未満なら事前周知、50kW以上なら説明会になります。
いくら助成される?
率は、電気を供給するか環境価値だけを供給するかで変わります。蓄電池を発電容量の1時間分以上いっしょに置くと、発電設備の率が上がります。
| 供給の種類 | 蓄電池と同時設置 | 発電設備のみ | 蓄電池 |
|---|---|---|---|
| 再エネ電気(フィジカルPPA) | 2/3以内 | 1/2以内 | 2/3以内 |
| 環境価値のみ(バーチャルPPA) | 1/2以内 | 1/3以内 | 2/3以内 |
1事業あたりの上限は、設備の規模で分かれます。
| 区分 | 特別高圧以外 | 特別高圧 |
|---|---|---|
| 発電設備と蓄電池を同時設置 | 4億円(合算) | 7億円(合算) |
| 発電設備のみ | 2億円 | 5億円 |
| 蓄電池のみ(単独設置) | 2億円 | 2億円 |
特別高圧とは、定格出力2,000kW以上で連系電圧20,000V以上の設備です。出力がこれに満たなくても、特別高圧で連系することが確認できれば特別高圧とみなされます。同一事業者の申請額は、各回で合計8億円までです。特別高圧の設備の助成額は、この合計に入りません。
太陽光には、経費の率とは別にkW単価の上限もあります。電気を供給する発電設備のみの場合、特別高圧以外は出力1kWあたり10万円までです。計算の例を示します。数字は説明用の仮のものです。
- 出力500kW、経費8,000万円:8,000万円 × 1/2 = 4,000万円(kW上限の5,000万円より小さい)
- 出力1,000kW、経費2億4,000万円:2億4,000万円 × 1/2 = 1億2,000万円 → kW上限の1億円
- 太陽光2億円と蓄電池1億円を同時設置:(2億円 + 1億円) × 2/3 = 2億円
3つ目は、蓄電池を発電容量の1時間分以上置く組み合わせです。この場合は、単価の上限(太陽光13万円/kW、蓄電池10万円/kWh)も同時に計算し、小さい方になります。
蓄電池が助成の対象になる容量は、発電容量の5時間分までです。それを超える分は自己負担になります。
何に使える?
先に、対象にならない経費を確認します。
- 交付決定の日より前に契約した経費
- 消費税と地方消費税、振込手数料
- 土地の取得と賃借料、建屋
- 予備や将来用の設備
- 中古品(電動車の電池を再利用した未使用の蓄電システムは対象)
- 蓄電池の増設、可搬式の蓄電池
対象になるのは次のとおりです。
- 太陽電池モジュール、パワーコンディショナ、架台などの設備費
- 配線・配管の材料費と据付けの工事費
- 実施設計費(契約後に作った図面など)
- 蓄電池(定置用で、発電設備に併設するもの)
基本設計費や事前調査費は対象外です。導入する設備の一部だけを選んで申請することもできません。
申請の流れ
- 複数の業者から見積書を取る(事業者→施工業者。契約は最安の業者が原則)
- 発電事業者・設置先の自治体と調整する(事業者→関係先。協定と説明会を含む)
- 電子申請で交付申請する(事業者→クール・ネット東京。2027年3月31日17時必着)
- 審査を受け、交付決定の通知を待つ(東京都環境公社→事業者。書類の受理後2〜3か月が目安)
- 契約・着工する(事業者→施工業者。交付決定の日以降)
- 完了日から30日以内に実績報告を出す(事業者→クール・ネット東京。完了日は工事と支払いの遅い方。公社が期限を指定すれば早い方。最終期限は2030年11月29日17時)
- 額の確定通知を受け、助成金を受け取る(東京都環境公社→事業者)
申請は電子申請システムから出します。初回はメールアドレスの登録が先です。公社が不備の修正を求めた場合、翌日から30日以内(公社が期限を指定すれば、早い方)に直さないと申請を取り下げたものとみなされます。
実績報告でも書類が要ります。契約書と請求書の写し、振込がわかる金融機関の書類が主なもので、領収書だけでは認められません。工事業者への支払いは、原則として検収の翌月末までに銀行振込にします。クレジット・割賦・手形・相殺は認められません。収入印紙は、提出前に貼付金額が正しいかを確かめてください。 手引きのVer.4.1で追記された点です。
必要な書類
準備できた 0 / 14
誓約書は、申請者・共同申請者・手続代行者のそれぞれが出します。自署か押印が要り、暴力団関係者かどうかの確認のため、警視庁へ照会されることへの同意も含まれます。
上の表は、太陽光の場合に必須とされる主な書類です。法人は登記事項証明書、個人事業主は青色申告を証明する書類(直近1年分)も出します。電力購入契約書の写しやリース関係の書類は、場合によって求められます。蓄電池の単独設置や、風力・バイオマスなど設備の種類によっても変わります。最終的な一覧は、手引きの「提出書類一覧」で確認してください。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約した:契約書の締結や施工を交付決定の日より前に行うと、取消しの対象です。
- FIT・FIPの認定を受けた:交付決定後に認定を受けても取り消されます。
- 都の他の助成金と重複した:都や公社などが実施する、都の資金による助成と同じ経費は併給できません。
- 決定時と実施体制が変わった:交付決定のときと実績報告のときで、事業の実施体制が違うと取消しの例に挙がっています。
- 処分制限期間に売却や廃棄をした:太陽光は17年、蓄電池は6年です。公社の承認なしに処分すると、返還に年10.95%の加算金がつきます。
取消しは、既に受け取った助成金にも及びます。実績報告の最終期限が過ぎた場合も、受け付けてもらえません。
今年度の変更点・併用・税金
東京都の発表では、令和8年度から蓄電池の上限額などが拡充されました。助成金の申請を受け付けるのは令和8年度までです。事業の実施は令和12年度まで続きます。手引きは2026年8月に改版され、環境価値の供給に関する記述が直っています。
もう1点あります。令和9年度から、系統連系の手続きで、IPAの「JC-STAR」の★1以上の適合ラベルを持つ製品が要件になる方針です。IP通信を使う蓄電池などは、設置時期によっては、ラベルのない製品を付けられない可能性があります。機器を選ぶ段階で確かめておくのが安全です。
併用は、国など他の補助金とできます。その場合は、式で出した額から国などの補助額を引きます。税金の扱い(圧縮記帳など)は、確認できた資料に記載がありませんでした。税理士にご相談ください。
よくある質問
都内に発電設備を置く場合は対象ですか?
対象外です。この制度は、都外に設置した発電設備から得た電気や環境価値を、都内の施設で使う取り組みを助成します。都内に設備を置く場合は、別の事業が必要です。どの事業が合うかは、東京都の産業労働局事業者エネルギー推進課(03-5000-8001)に確認してください。
中小企業でなくても申請できますか?
申請できます。公式の資料に、企業規模の上限は書かれていません。対象は民間企業、個人事業主、学校法人、医療法人、社会福祉法人などです。国と地方公共団体は対象になりません。税金の滞納がないこと、東京都から助成金の停止措置を受けていないことなど、公的資金の交付先としての要件もあります。個人事業主も申請できます。
第2回はいつまで申請できますか?
2027年3月31日17時までです。ただし予算額に達し次第終了します。受理した申請の交付額の合計が予算を超えた日の17時で、受付が止まります。その日に届いた分は、前日の予算残額を件数で割った額が上限です。令和8年度の予算額は約41億円です。第1回の期間中に予算に達した場合は第2回を行わないとされています。公式ページは、第2回の期間を2026年10月1日から2027年3月31日と案内しています。
環境価値だけを買う契約でも助成されますか?
されます。バーチャルPPAと呼ばれる形で、補助率は発電設備が1/2以内(発電設備のみなら1/3以内)です。環境価値の4分の3以上を、非FITで再エネ指定の証書にして都内の施設で使います。証書は、この事業の設備で作ったと確認できるものに限ります。
蓄電池だけを設置する場合は対象ですか?
対象です。ただし、助成対象ではない既設か設置予定の発電設備から、都内の施設へ再エネを供給する事業に併設することが条件です。補助率は2/3以内で、上限は2億円です。蓄電量は、発電容量の1時間分か定格容量の5分の1の低い方以上を保つ必要があります。
契約や着工はいつから可能ですか?
交付決定の日以降です。決定前の契約や着工は、助成対象外になるうえ、交付決定の取消しにもつながります。国など他の補助事業と同時期に申請する場合も、この助成の交付決定を待ちます。工事は請負契約で結び、助成対象外の工事と一括の契約にするなら、金額の内訳を分けてください。
売電してもかまいませんか?
売電が目的の事業は対象外です。年間発電量は、施設の年間使用量の範囲内に収めます。休日や夏季休業などで、やむを得ず余る電気は、FITやFIPによらない個別契約での売電が認められています。余りは例外の扱いなので、最初から売る前提の設備規模にはできません。既築の施設では、使用量の根拠として電気事業者が出した使用電力量の書類が要ります。申請の提出書類は直近3か月分で、残りの月は計算書に記入します。手引きは、1年分の書類を求められることがあるため保管しておくよう案内しています。
発電事業者が設備を持つ形でも使えますか?
使えます。コーポレートPPAなど、発電事業者が都外に設備を置いて都内の需要家に売電する形も対象です。助成を受けるのは電力需要家で、発電事業者と共同で申請します。発電事業者が助成を受ける場合は、助成金に相当する分を、売電価格の引下げなどで需要家に返す必要があります。
設置先の地元との調整は必要ですか?
必要です。環境配慮と地元との関係づくりは、助成の要件になっています。関係づくりは、地元の小売電気事業者への卸売、地元からの出資、地元事業者による施工、需給管理、電気の一部の地元供給などから選びます。審査では、住民の理解が得られていないものは交付決定されません。
申請の窓口と方法を教えてください。
窓口は、東京都環境公社(クール・ネット東京)です。電子申請が原則で、初回はメールアドレス登録フォームから始めます。問い合わせは、公式ページのフォームが原則です。審査の円滑化のため、とされています。電話は03-5990-5067で、平日の9〜12時と13〜17時に受け付けています。
助成金はいつ振り込まれますか?
事業が終わり、実績報告を出したあとです。手引きの目安では、報告の受理から2〜3か月で額が確定し、確定の通知からおおむね1か月以内に振り込まれる予定です。書類に不備があると、その分だけ延びます。額の確定は、公社が報告を審査し、必要なら現地調査をして行います。確定額は、交付決定額と実績額のどちらか低い方です。完了日は、設置工事と試運転、支払いがそろって終わった日をいいます。
手続きを専門家に任せられますか?
任せられます。申請の手続きを代行する「手続代行者」を置くことができます。代行者も、暴力団関係者でないことなど、一定の要件を満たす必要があります。公社からの通知は、代行者ではなく電力需要家に届きます。代行者が規定に沿わなかったと判断されると、以後の申請を受け付けてもらえません。
申請後に金額を増やせますか?
審査中は増やせません。設計の変更などで増額が見込まれるときは、いったん申請を取り下げて出し直します。交付決定のあとも、決定額を超える変更は認められず、新しい設備や工事を対象に足すこともできません。ただし受理後に事業者の都合で取り下げると、次回以降の応募を制限されることがあります。予算の残りも気になるため、金額を固めてから出すのが安全です。
