電気バスを1台入れると決めても、話はそこで終わりません。急速充電器の設置、再エネ電力の契約、災害時の協定まで、補助の条件が車両の外側に3つ付いてきます。
宇都宮市の公共交通脱炭素化普及促進事業費補助金は、市内でバス・タクシーを運行する事業者と、その事業者に車両を貸すリース会社が使える制度です。上限額として並ぶ「1億円」などの数字は、補助金の上限ではなく、補助の計算に使う経費の上限です。補助率は原則2分の1なので、燃料電池バス1台で受け取れる額は最大5,000万円になります。
受付は令和5年11月1日から始まり、終了日は書かれていません。ただ、車両の契約は年度の3月31日まで、新車の登録は原則2月末までという年度ごとの区切りがあります。
公共交通脱炭素化普及促進事業費補助金の要点まとめ
正式名:宇都宮市公共交通脱炭素化普及促進事業費補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 運輸業(路線バス・地域内交通・タクシー・車両貸与事業者)
- 利用目的
- 電気バス・燃料電池バス・タクシーの導入、充電設備の整備
- 対象地域
- 栃木県宇都宮市
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 5,000万円(燃料電池バス1台)
- 補助率
- 1/2または事業者負担分の2/3の少ない方(電気タクシーは1/3または1/2)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 令和5年11月から随時(終了日の記載なし)
- 事業の完了
- 新車の登録は原則2月末まで
運行事業者は使える?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
上の3つは、どれか1つに当たれば足ります。地域内交通の運行事業者は、国土交通大臣の許可を持ち、地域内交通の運営組織から運行を委託された事業者のことです。バスは乗車定員11人以上、タクシーは10人以下で区別されます。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 電気自動車を導入しない
- ✕ 過去に同じ経費で補助を受けた
- ✕ 年度の3月31日までに契約していない
1つ目には補足があります。充電設備は車両の導入とセットの事業で、充電設備だけの導入は対象外です。2つ目は「過去に同一の補助対象経費の交付を受けていないこと」という条件です。個人タクシーが対象かどうかは、要綱に個人・法人の区別がなく確認できませんでした。そのほか、市税を滞納していないことと、暴力団排除条例に定める暴力団・暴力団員でないことも要件です。車両は、新車として新規登録するか、電動車に改造して自動車検査証の交付を受けたものに限ります。
取り組みの要件は何がある?
車両を入れるだけでは補助を受けられません。導入した日から5年間、次の3つの区分から1つずつ選んで取り組みます。
- ゼロカーボン電力の調達(再エネ電力プランの契約・太陽光発電の導入・カーボンクレジットの購入から1つ)
- エネルギーの効率的な利用(エネルギーマネジメントシステムの導入・充電計画の作成と実施から1つ)
- 災害時の市への協力(災害時相互応援協定を市と結ぶ)
エネルギーマネジメントシステムは、車両の運行管理と電力の需給調整を一体で行う仕組みです。燃料電池バス・タクシーは、2つ目の要件が免除されます。3つの要件は導入後の5年間も守り続ける条件で、太陽光とカーボンクレジットの実績は、年度の終了後30日以内に市へ出します。
いくら戻ってくる?
車両ごとに、補助の計算に使える経費に上限があります。補助額は、次の2つのうち少ない方です。
- 補助対象経費 × 補助率
- (補助対象経費 − 国などの補助金)× 2/3(電気タクシーは1/2)
補助率は、電気バス・燃料電池バス・燃料電池タクシーが1/2、電気タクシーが1/3です。次の例はいずれも、消費税を除いた経費で計算します。
- 電気バス1台(経費5,000万円、国の補助なし):5,000万円 × 1/2 = 2,500万円
- 電気バス1台(経費5,000万円、国の補助2,000万円):(5,000万円 − 2,000万円)× 2/3 = 2,000万円(上の2,500万円より少ないのでこちら)
- 燃料電池バス1台(経費が1億円以上、国の補助なし):1億円 × 1/2 = 5,000万円(経費上限の1億円で計算)
- 電気タクシー1台(経費400万円):400万円 × 1/3 = 133万3,000円(1,000円未満は切り捨て)
経費上限は、電気バス5,000万円、燃料電池バス1億円、燃料電池タクシー800万円、電気タクシー600万円で、いずれも1台あたりです。したがって電気タクシーの補助は、経費が600万円以上なら200万円で頭打ちになります。
何に使える?
対象にならないもの
- 消費税・地方消費税
- 駆動用蓄電池の交換費用など、本体価格以外の費用
- 電気自動車を導入しない場合の充電設備
対象になるもの
- 車両本体の価格(運行に必要な改造費を含む)
- 急速・普通充電設備の本体、付属品、工事費
- キュービクル式高圧受電設備
- 電気自動車用の外部給電設備
- 電気自動車駆動用蓄電池の本体
バス車両は、認定を受けたノンステップバスにするなど、ユニバーサルデザインに十分配慮することが要綱の備考に書かれています。
充電設備にも、補助の計算に使える経費の上限があります。急速充電器は本体が1口あたり150万円・工事費が160万円まで、普通充電器は本体70万円・工事費135万円まで、駆動用蓄電池は600万円までです。キュービクルは受電容量ごとに上限が決まっています。
申請の流れ
要綱は、交付の申請と実績の報告を1通の書式にまとめています。車両や設備を導入したあとに出す形です。事前の相談が要るかどうかは、公式ページと要綱に書かれていませんでした。
- 契約を結ぶ(事業者→車両の販売店。年度の3月31日までに契約を結ぶ)
- 車両を新車登録し、設備を入れる(事業者。4月1日から原則2月末までに新車の新規登録)
- 申請兼実績報告書を出す(事業者→交通政策課。窓口・郵送・電子申請のいずれか。郵送は書留など配達記録が残る方法のみ)
- 交付決定と額の確定の通知を受ける(市→事業者)
- 交付請求書を出す(事業者→交通政策課。額の確定後)
受付は平日の午前8時30分から午後5時15分まで、市役所本庁舎6階の交通政策課です。書類に不備があると原則受け付けられないので、すべてそろってから出します。
必要な書類
準備できた 0 / 8
公式ページには様式のダウンロードが載っていません。様式は交通政策課に確かめます。契約書・協定書・エネマネの資料は、様式第1号に添えます。充電計画(様式第5号)は、申請の様式第1号と交付請求の様式第3号の両方に添えます。太陽光とカーボンクレジットの実績は、導入後に各年度の終了から30日以内です。必要な書類は、選んだ取り組みで変わります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 要件を5年間守らなかった:運行の要件を満たさなくなると、交付決定が取り消されたり、補助金の返還を命じられたりすることがあります。
- 5年以内に車両を処分した:取得から5年を過ぎる前に市の承認なく目的外に使ったり、譲渡や貸付をしたりすると、補助金の一部の返還を求められる場合があります。
- 中古車や改造なしの車両を入れた:要綱が求めるのは、新車の新規登録、または改造後に自動車検査証が交付された車両です。
- 書類に不備があった:記載や添付に不備があると原則受け付けられません。そろった時点で出し直しです。
よくある質問
上限額の「1億円」は、補助金の上限額ですか?
違います。公式ページの「補助対象経費の上限額」は、補助の計算に使える経費の上限です。たとえば燃料電池バスは1台あたり1億円で、これに補助率1/2をかけた5,000万円が、1台あたりの補助の最大額になります。公式ページに「最大5,000万円」という記載はなく、経費の上限と補助率からの計算値です。電気バスなら経費上限5,000万円に1/2で2,500万円、電気タクシーなら経費上限600万円に1/3で200万円です。国の補助を受ける場合は、差し引いた額で別に計算します。
補助額はどう決まりますか?
2つの計算のうち、少ない方が交付決定額になります。1つは補助対象経費に補助率をかけた額、もう1つは国などの補助金を差し引いた経費に、バスと燃料電池タクシーなら2/3、電気タクシーなら1/2をかけた額です。補助率はバスと燃料電池タクシーが1/2、電気タクシーが1/3で、消費税は対象外です。補助金の額の千円未満は切り捨てられます。
個人タクシーでも申請できますか?
対象は、市内に営業所・事業所を持つ一般タクシー事業者です。要綱は、一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者と定めていて、個人と法人の区別は書かれていません。個人タクシーが当てはまるかどうかは、公式ページと要綱からは確認できませんでした。営業所・事業所をどう扱うかも含めて、申請の前に交通政策課へ問い合わせます。
中古の電気バスを買う場合は対象ですか?
対象にならない可能性が高いです。要綱は、導入する電動車について、その年度の4月1日から原則2月末までに新車の新規登録をしたものか、電動車へ改造して自動車検査証の交付を受けたものと定めています。中古車の購入は、どちらにも当たらない読み方になります。ただし個別の扱いは公式ページに書かれていないので、交通政策課で確かめてください。
充電設備だけを入れる場合は申請できますか?
できません。補助対象の事業の内容は、電気バスなどの導入と充電設備などの導入を並べたうえで、電気自動車を導入しない場合は除く、としています。充電設備は車両とセットで入れるときに対象になります。急速充電器・普通充電器の本体、付属品、蓄電池、工事費が対象経費で、それぞれに経費の上限があります。
燃料電池バスは要件が軽くなりますか?
軽くなります。取り組みの要件のうち、エネルギーの効率的な利用は、燃料電池バスと燃料電池タクシーが免除されます。残る要件は、再エネ電力の調達(プランの契約・太陽光の導入・カーボンクレジットの購入のどれか)と、災害時に市へ協力するための協定の締結です。経費の上限が1台1億円と大きいぶん、補助の計算の幅も広くなります。
申請はいつまでにすればよいですか?
受付は令和5年11月1日からで、終了日は公式ページに書かれていません。ただ、補助を受けたい年度の3月31日までに導入の契約を結び、車両の新車登録は4月1日から原則2月末までに済ませる必要があります。申請と実績報告が1通の書式なので、実際に出せるのは車両の導入後です。年度をまたぐ場合の扱いは、交通政策課に確認します。
リース会社が申請する場合は何が変わりますか?
車両を貸す自動車リース事業者等も、補助対象事業者になれます。その場合、取り組みの要件にある「補助対象事業者」は、補助対象事業者またはリース契約等を結んだ使用者と読み替えられます。つまり、再エネの契約などの取り組みを借りる側が担う形でも構わない、という扱いです。誰がどの取り組みを担うかを、契約の前に決めておくと整理しやすくなります。
取り組みの要件は、いつまで守ればよいですか?
導入した日から5年間、運行についての要件を満たし続ける必要があります。また取得した車両などは、5年を経過するまでは市の承認なく、補助の目的に反して使ったり、譲渡や貸付をしたりできません。経理の帳簿と証拠書類は、事業の完了後10年間保存します。太陽光やカーボンクレジットの実績は、各年度の終了後30日以内の報告です。
国の補助金と併用できますか?
要綱の計算式に「国等の補助金を差し引いた経費」が入っているので、国などの補助を受ける場合も想定されています。国の補助を受けると、2つめの計算の対象経費が減り、補助額が下がる場合があります。ただし、併用の可否の細かい条件は、公式ページと要綱に書かれていません。国の補助の申請を進める前に、交通政策課へ相談します。
申請の方法はどうなっていますか?
交通政策課の窓口への持参、郵送、電子申請の3つです。受付は土日祝日と年末年始を除いて、午前8時30分から午後5時15分までです。公式ページには、電子申請は専用ページを作成中との記載がありました。書類に不備があると原則受け付けられず、すべてそろってから出し直しになります。審査にも時間がかかるので、早めに準備します。
問い合わせ先はどこですか?
宇都宮市の総合政策部 交通政策課です。補助制度については、直通の電話番号が028-632-2133で、月曜から金曜(祝日を除く)の午前8時30分から午後5時15分まで受け付けています。個人タクシーの扱い、中古車、国の補助との併用、年度をまたぐ場合などの個別の疑問は、申請の前に問い合わせておくと、書類の出し直しを防げます。
