省エネ・脱炭素の支援策は、一つの制度にまとめるとは限りません。横浜市のカーボンニュートラル設備投資助成事業は、あえて3つの助成金に分けています。

対象は市内中小企業で、更新したい設備によって使う助成金が変わります。LED照明・空調・太陽光発電などが対象で、上限額は最大500万円です。

3つの助成金とも、予算に達し次第受付が終わる先着順です。締切前でも早期に受付終了となる可能性があるため、検討は早めが安全です。

なぜ横浜市はこの助成をしているのか

横浜市は国の令和6年度補正予算「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を活用し、市内中小企業のエネルギー価格高騰対策と脱炭素化を同時に後押しするため、この助成事業を実施しています。電気料金の値上がりで収益を圧迫されている事業者に、省エネ・再エネ設備への投資を促す狙いです。

対象になるには、まず横浜市の「脱炭素取組宣言」(Web上のフォームで3〜5分で完了する宣言制度)を行っている必要があります。宣言自体に費用はかからず、助成金の交付申請までに済ませておけば足ります。

対象になる事業者と3つの助成金

対象になるのは、次の要件をすべて満たす中小企業者・個人事業主です。

  • 横浜市内に事業所があり、その事業所で12か月以上事業を継続している
  • 横浜市税の納税義務者であり、市税の滞納がない
  • 交付申請までに「脱炭素取組宣言」を実施している

このカーボンニュートラル設備投資助成事業には、対象設備の異なる3つの助成金があります。自社が更新したい設備によって使う助成金が変わります。

助成金名主な対象設備助成率・単価助成上限額
LED化支援助成金(中小企業LED化型)ベースライト・高天井照明等のLED照明(器具本体と光源部を一体更新)台数×固定単価(ベースライト1台12,000円等)50万円
省エネルギー化支援助成金(簡易申請コース)業務用空調・給湯器・冷凍冷蔵設備・高性能ボイラ・変圧器・産業用モータ・生産設備助成対象経費の2分の1100万円
省エネルギー化支援助成金(省エネ診断受診コース)上記に加えLED照明・デマンドコントローラー等(省エネ診断でCO2削減量1.2t以上を見込む設備)助成対象経費の2分の1300万円
太陽光発電導入支援助成金自家消費型の太陽光発電設備(発電出力10kW以上)1kWあたり8万円(蓄電池併設時は1kWあたり10万円)400万円(蓄電池併設時500万円)
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省エネルギー化支援助成金は「簡易申請コース」と「省エネ診断受診コース」の2本立てで、令和7年4月1日以降に受けた省エネ診断の結果を使うと上限額が100万円から300万円に引き上がるのが特徴です。すでに省エネ診断を受けている、またはこれから受ける予定がある事業者は診断受診コースを検討する価値があります。

助成額シミュレーション:業種で見る使い道の具体例

抽象的な計算式だけでは金額感がつかみにくいため、業種の異なる3つのケースで試算してみます。

  • 製造業の工場がベースライトをLED化: 工場内の蛍光灯ベースライト40台をLED化。助成単価12,000円×40台=48万円(上限50万円以内のためそのまま満額)
  • 飲食店が業務用エアコンを更新: 老朽化した業務用エアコンの入れ替え費用300万円を、省エネルギー化支援助成金(簡易申請コース)で申請。助成率1/2で本来なら150万円だが、簡易申請コースの上限100万円が適用され、助成額は100万円
  • 小売店舗のオーナーが自社ビルの屋上に太陽光発電を設置: 発電出力20kWの太陽光発電設備(蓄電池なし)を導入。1kWあたり8万円×20kW=助成額160万円

同じ「省エネ・脱炭素の設備投資」でも、更新する設備によって使う助成金と上限額が変わる点がポイントです。複数の設備更新を検討している場合は、LED化と空調更新を別の助成金として組み合わせて申請できないか(併用可否)を事前に窓口へ確認しておくと計画が立てやすくなります。

申請の流れとタイミング別の注意点:交付決定前の発注はNG

3つの助成金はいずれも「脱炭素取組宣言→見積取得→事前申込(または交付申請)→受理・交付決定→設備導入→実績報告→振込」という流れで進みますが、設備の発注・工事着工のタイミングに関する制限が助成金ごとに異なる点に注意が必要です。

  • LED化支援助成金・省エネルギー化支援助成金(簡易申請コース/省エネ診断受診コース): 事前申込を行い、市から受理通知を受け取った日以降に工事の着工・設備の納品設置を行う必要があります。受理通知より前に着手すると対象外になります。
  • 太陽光発電導入支援助成金: 設備の設置・工事着工は交付決定日以降に行う必要があります(契約・発注自体は交付決定前でも可能とされています)。

いずれの助成金も、「まず市に申込・申請をして、OKが出てから設備を動かす」という順番を徹底することが最重要ポイントです。物件の見積りを取ったからといってすぐに発注・着工してしまうと、助成対象から外れてしまうおそれがあります。

タイミング別に必要になる主な書類を整理すると、次のとおりです。

  1. 脱炭素取組宣言(事前準備): Web宣言フォームからの入力のみ(企業名・所在地・業種・企業規模等)
  2. 事前申込・交付申請時: 見積書(100万円以上の発注は市内事業者2社以上の見積合わせが必要)、現有設備の写真、導入設備のカタログ、脱炭素取組宣言書の写し、(省エネ診断受診コースは)省エネ診断書の写し
  3. 交付申請兼実績報告時: 設備導入後の写真、支払を証する書類、設備更新一覧表など
  4. 交付決定後: 交付請求書の提出→助成金の振込

また、LED化支援助成金・省エネルギー化支援助成金・太陽光発電導入支援助成金はいずれも「先着順」で運用され、予算額に達し次第受付が終了します(公式ページに明記)。締切日(令和8年10月30日)までまだ日数があっても、予算消化状況によっては早期に受付終了となる可能性があるため、設備更新を検討している段階でなるべく早く事前申込・交付申請の準備を進めるのが安全です。

国の省エネ設備の補助金もあわせて検討したい方は、こちらの記事で解説しています。

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横浜市の制度に加えて、業種や事業内容によっては他の全国型・県型の補助金も対象になり得ます。他にももらえる補助金がないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。

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複数の助成金の組み合わせ方や、事前申込・交付申請のタイミング設計に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。

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よくある質問

交付決定前に設備を発注・工事してしまったらどうなりますか?

LED化支援助成金・省エネルギー化支援助成金は事前申込の受理通知日より前の着工・納品設置、太陽光発電導入支援助成金は交付決定日より前の設備設置・工事着工が、いずれも助成対象外になり得ます。見積りを取った段階ではまだ発注・着工せず、必ず市からの通知・決定を待ってから動くようにしてください。

LED化と空調の更新を同時に検討している場合、どちらの助成金を使えばよいですか?

LED照明の更新はLED化支援助成金、業務用空調・冷凍冷蔵設備・ボイラー等の更新は省エネルギー化支援助成金が対象です。両方を同時に更新したい場合、それぞれ別の助成金として申請できるかどうかは、事前に窓口へ確認することをおすすめします。

個人事業主でも対象になりますか?

太陽光発電導入支援助成金は中小企業基本法上の法人・個人事業主が対象とされており(会社法以外の法人は対象外)、個人事業主も申請対象になり得ます。LED化支援助成金・省エネルギー化支援助成金についても「中小企業者」の定義に該当すれば対象になり得ますが、具体的な要件は各助成金の公式ページ・要綱で確認してください。


免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。助成率・助成上限額・対象設備・申請要件・受付期間は変更される場合があり、また先着順で予算額に達し次第受付終了となるため、申請前に必ず横浜市の公式ページおよび最新の募集要綱で内容をご確認ください。

出典: