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【全国】キャリアアップ助成金の内容と申請のコツ

#キャリアアップ助成金#正社員化#社労士
締切
通年で受付
上限額
コースにより2.6万円〜…
対象
全業種

パートや契約社員を正社員にしたい。給与を上げたい。賞与や退職金の制度をつくりたい。どれも、原資の確保が壁になります。キャリアアップ助成金は、こうした処遇改善にかかる費用を国が後押しする制度です。

対象は、有期雇用労働者・パート・派遣労働者などの非正規雇用労働者です。取り組みの内容ごとに、現行6つのコースに分かれています。

代表的なのは正社員化コース。中小企業が重点支援対象者を正社員化すると、1人あたり最大80万円です。受付は通年ですが、取組を始める前にキャリアアップ計画の提出が要ります。

キャリアアップ助成金の要点まとめ

項目内容
制度名キャリアアップ助成金(正社員化コース/障害者正社員化コース/賃金規定等改定コース/賃金規定等共通化コース/賞与・退職金制度導入コース/短時間労働者労働時間延長支援コース の現行6コース。「社会保険適用時処遇改善コース」は2026年3月末で経過措置終了・短時間労働者労働時間延長支援コースに一本化)
対象業種全業種
利用目的雇用・職場環境を改善したい
対象地域全国
従業員数中小企業事業主が中心(業種により資本金・従業員数の基準あり。一部コースは大企業も対象)
支給上限額コースにより2.6万円〜120万円(正社員化コース最大80万円/人・中小企業、障害者正社員化コース最大120万円/人)
支給率定額(コース・区分ごとに金額が定められる。対象経費への一定率という形ではない)
申請受付通年(各コースの取組の実施日の前日までにキャリアアップ計画の提出が必要)
公式サイトキャリアアップ助成金(厚生労働省公式ページ)
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図版⓪:キャリアアップ助成金の概要インフォグラフィック。6コースの全体像(正社員化支援2コース・処遇改善支援4コース)・代表的な支給額(正社員化コース最大80万円/人)を一目で 図: キャリアアップ助成金の全体像。詳しくは本文で解説します

キャリアアップ助成金にはどんなコースがある?【現行6コース】

キャリアアップ助成金は、大きく「正社員化支援」と「処遇改善支援」の2グループ・現行6コースに分かれています。

正社員化支援(非正規から正社員へ)

  • 正社員化コース:有期雇用労働者・パート・派遣労働者等を正規雇用労働者等に転換、または派遣労働者を正規雇用労働者等として直接雇用した場合に支給。正規雇用労働者には「多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)」も含まれます
  • 障害者正社員化コース:障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換した場合に支給。障害の程度(重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者かどうか)で支給額が変わります

処遇改善支援(給与・制度面の改善)

  • 賃金規定等改定コース:有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、適用させた場合に支給
  • 賃金規定等共通化コース:有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用した場合に支給
  • 賞与・退職金制度導入コース:有期雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を導入し、支給または積立を実施した場合に支給
  • 短時間労働者労働時間延長支援コース:短時間労働者の週の所定労働時間を延長した場合等に支給(1年目・2年目の取組に分かれる)

図版①:6コースの使い分けフローチャート(正社員化したいのか/賃金を上げたいのか/賞与・退職金制度を作りたいのか/労働時間を延ばしたいのか) 図: 目的別の6コース使い分け。まずは「何をしたいか」から自社に近いコースを確認しましょう

「社会保険適用時処遇改善コース」を探している方へ

かつて存在した「社会保険適用時処遇改善コース」は、2026年3月31日で経過措置が終了し、2026年度(令和8年度)以降は短時間労働者労働時間延長支援コースに一本化されています。社会保険の適用に伴う労働時間延長の取り組みは、現在はこのコースで支給対象になります。

コース選びで迷う場合、あるいは自社の取り組みがどのコースの要件に当てはまるかの実体判断が難しい場合は、専門家に相談すると確実です。

いくらもらえる?コース別の支給額

支給額はコース・企業規模・対象労働者の区分で変わります。代表的な数値は次のとおりです。

コース区分中小企業大企業
正社員化コース(1人あたり)有期→正規(重点支援対象者)80万円60万円
正社員化コース(1人あたり)有期→正規(左記以外)40万円30万円
正社員化コース(1人あたり)無期→正規(重点支援対象者)40万円30万円
正社員化コース(1人あたり)無期→正規(左記以外)20万円15万円
障害者正社員化コース(1人あたり)重度障害者等・有期→正規120万円90万円
障害者正社員化コース(1人あたり)左記以外・有期→正規90万円67.5万円
賃金規定等改定コース(1人あたり)3%以上6%未満(率に応じて4段階)4万円〜6.5万円2.6万円〜4.3万円
賃金規定等改定コース(1人あたり)6%以上7万円4.6万円
賃金規定等共通化コース(1事業所)60万円45万円
賞与・退職金制度導入コース(1事業所)40万円30万円
短時間労働者労働時間延長支援コース(1人あたり・1年目)延長時間・賃金増加の要件別30万円〜50万円15万円〜30万円(中規模企業40万円等、規模により変動)
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「重点支援対象者」とは、次のa〜cのいずれかに該当する有期雇用労働者等です

  • a. 雇入れから3年以上の有期雇用労働者
  • b. 雇入れから3年未満で、過去5年間に正規雇用労働者であった期間が1年以下、かつ過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない者
  • c. 派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定訓練修了者

正社員化コースには、加算措置もあります。

  • 正社員転換等制度を新たに規定:1事業所あたり20万円(大企業15万円)
  • 「多様な正社員制度」(勤務地限定・職務限定・短時間正社員のいずれか1つ以上)を新たに規定:1事業所あたり40万円(大企業30万円)
  • 転換等の情報を自社サイトや職場情報総合サイト(しょくばらぼ)で公表:1事業所あたり20万円(大企業15万円)

業種横断・シミュレーション

業種とやりたいことで、使うコースも支給額も変わります。3業種の例で見ます。

図版④:業種別・支給額シミュレーション(飲食店=正社員化コース/小売業=正社員化コース+賃金規定等共通化コース/介護事業所=賃金規定等改定コース) 図: 業種別に見る「どのコースで、何人・いくら支給されるか」のイメージ

① 飲食店(従業員18人・中小企業・正社員化コース) パート・アルバイト3人のうち、2人は雇入れから3年以上で重点支援対象者。1人は日が浅く該当しません。3人とも正規雇用へ転換すると、2人×80万円+1人×40万円=200万円です。正社員転換等制度を就業規則に新たに規定すれば、1事業所20万円が加算されます(合計220万円)。

まずは対象者ごとに「重点支援対象者に該当するか」を確認するところから始めます。

② 小売業(スーパーマーケット・従業員45人・中小企業・正社員化コース+賃金規定等共通化コース) 契約社員2人を正社員化するのにあわせて、正社員とパート・契約社員で分かれていた賃金規定を統一したい。 → 契約社員2人のうち1人が重点支援対象者なら、1人×80万円+1人×40万円=120万円(正社員化コース)。さらに共通の賃金規定を新たに定めて適用すれば、賃金規定等共通化コースで1事業所60万円(合計180万円)。正社員化と処遇改善を同時に進めれば、複数コースを組み合わせられます。

③ 介護事業所(訪問介護・従業員30人・中小企業・賃金規定等改定コース) 正社員化までは踏み込めないが、パート職員5人の基本給を底上げして定着を図りたい。 → 基本給の賃金規定等を5%以上6%未満で増額改定すると、1人あたり6.5万円×5人=32.5万円正社員化しなくても、賃金規定の改定だけで対象になります。

コースが多く、自社に合うものが分かりにくいと感じたら、他に使える補助金・助成金がないか探してみるのも有益です。

対象労働者の該当性判断や、複数コースの組み合わせ方で迷ったら、専門家に無料で相談できます。

申請のスケジュール感は?「計画届」の提出タイミングが隠れ期限です

この助成金に「年◯回の締切」はありません。動くのは、各コースの取組を始めるタイミングです。ただし、いつ着手してもいいわけではありません。

「キャリアアップ計画」は、各コースの取組の実施日の前日までに提出します。これが最初の関門です。

正社員化支援のコースなら、計画提出→(必要なら)就業規則等の改定→規則に基づく正社員転換→転換後6か月分の賃金の支払い、という流れ。賃金は転換前6か月と比べて3%以上の増額が必要です。支給申請は、6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内。処遇改善支援のコースも、取組の実施→6か月分の賃金の支払い→支給申請と同じ流れです。

図版②:申請から支給までのタイムライン(キャリアアップ計画の提出→取組の実施→6か月分の賃金支払い→支給申請)。計画提出のタイミング(各コース実施日の前日まで)を隠れ期限として強調 図: 申請から支給までのスケジュール。「計画をいつ出すか」が最初の分かれ目です

「もう正社員に転換した」「先に賃金を上げた」あとでは、さかのぼって申請できません。取り組みを始める前に計画届を出す。この順番が最重要です。

承認までの重要なタイミングと必要書類

「何が必要か」よりも「いつ何が必要か」を押さえるほうが、準備のスケジュールを組みやすくなります。

タイミングやること必要になるもの
取り組みを始めたいと決めたらすぐどのコースが自社に合うか整理する対象労働者の雇用履歴、現状の就業規則・賃金規定の確認
各コースの取組の実施日の前日までキャリアアップ計画を作成・提出する(労働組合等の意見聴取が必要)キャリアアップ計画書
計画提出後(正社員化支援の場合)就業規則等を改定し、規定に基づいて転換等を実施する改定後の就業規則、転換辞令等
取組実施後取組後6か月分の賃金を支払う(正社員化は転換前比3%以上の増額が必要)賃金台帳、出勤簿等
6か月分の賃金支払い後、翌日から起算して2か月以内支給申請を行う支給申請書、賃金台帳、就業規則等の証明書類
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図版③:タイミング別必要書類(キャリアアップ計画の提出→取組の実施→6か月分の賃金支払い→支給申請)。計画提出が最初の関門であることを強調 図: いつ・何が必要になるか。計画届の提出が最初の分かれ目です

計画の提出も支給申請も、窓口持参・郵送・電子申請から選べます。必要書類と証明の内容はコースごとに違います。自社がどのコースの、どの手続きに当たるかは早めに確定させておきます。

「うちの会社でも対象?」対象事業主・対象労働者の考え方

雇用保険適用事業所の事業主なら、業種を問わず対象です。ただし支給額は、多くのコースで中小企業か大企業かで変わります

中小企業の区分は、業種によって次のように異なります。

業種資本金の額 または常時雇用する労働者数
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他(製造業等)3億円以下300人以下
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対象労働者は、有期雇用労働者・パート・派遣労働者などの非正規雇用労働者です。ただし正社員化コースでは、雇入れから1年未満の新規学卒者は対象外になります。

例:従業員20人の学習塾(法人・正社員5人+契約講師10人+パート5人) → 雇用保険適用事業所であれば、中小企業(サービス業区分)として正社員化コースの対象です。雇入れから3年以上の契約講師を正社員化すれば、重点支援対象者として1人あたり80万円が支給対象になります。

どのコース・どの区分に当たるか、対象労働者に該当するか。迷う場合は専門家に相談すると確実です。

よくある質問

「社会保険適用時処遇改善コース」はもうなくなったのですか?

経過措置が2026年3月31日で終了し、2026年度(令和8年度)以降は短時間労働者労働時間延長支援コースに一本化されています。社会保険の適用に伴う労働時間延長の取り組みは、現在はこのコースで支給対象になります。

正社員化した後、すぐに申請できますか?

できません。支給申請は、転換後6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内です。前提として、取組の実施日の前日までにキャリアアップ計画の提出も必要です。

パートを1人だけ正社員化しても対象になりますか?

対象になります。正社員化コースは1人単位の支給なので、1人だけでも申請できます。ただし1事業所あたりの人数・回数に上限がある場合があります。複数人を予定しているなら、事前に確認しておくと安心です。

【攻略ガイド】受給の要件と申請実務のつまずき回避

無料記事では、キャリアアップ助成金の「6コースの支給額」「対象労働者」「キャリアアップ計画の提出タイミング」までをお伝えしました。ここから先は、この助成金が「審査で選ばれて採択される」補助金ではなく、「要件を満たしていれば支給される」制度であるという前提のもとで、要件をどう正確に満たし、隠れ期限でつまずかず、不支給・返還を避けるかを見ていきます。就業規則の整え方やキャリアアップ計画の考え方、支給申請までの実務を、実際につまずきやすいポイントとあわせて解説します。

1. この助成金の"受給の勘所"

キャリアアップ助成金は、補助金のように事業計画を提出して他社と比較され、審査で順位付けされる制度ではありません。決められた要件を満たし、決められた順番で手続きを踏んでいれば、予算の範囲内で支給される「要件充足型」の制度です。

補助金(採択型・持続化補助金等)助成金(要件充足型・キャリアアップ助成金)
支給の決まり方事業計画の内容を審査され、採択枠に入るかで決まる定められた要件を満たしているかどうかで決まる
一番の関門「事業計画の書き方」で評価が変わる「手続きの順番」を間違えないこと
後から取り返せるか不採択なら次回に再挑戦順番を間違えると、その取り組み分は原則さかのぼれない
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だからこそ、この助成金でもっとも重要なのは「うまく書くこと」ではなく、「順番を間違えないこと」です。中でも最大の落とし穴は、「キャリアアップ計画」は、各コースの取組を実施する日の"前日まで"に労働局へ提出しておく必要があるという点です。正社員への転換や賃金改定を先に済ませてから「これから申請しよう」と気づいても、原則としてその取り組みは支給対象になりません。「まず計画を出す。取り組みはそのあと」という順序を最初に体に入れておくことが、この助成金における最大の受給の勘所です。

2. 受給までの設計図

自社の取り組みがどのコースに当てはまるかを決め、そのコースが求める要件に合わせて社内の制度(就業規則・賃金規定)を整えるのが、受給までの基本設計です。

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支給される計画届には"書き方の型"があります

同じ取り組みでも、キャリアアップ計画や就業規則の改定の仕方ひとつで、対象になるかどうかは変わります。どの取り組みをどのコースに位置づけるかは、一般には出回っていません。

免責事項: 支給額・要件・申請スケジュールなどの制度内容は、支給要領の改定により変更される場合があります。申請前に必ず厚生労働省の公式サイトまたは最寄りの労働局・ハローワークで最新情報をご確認ください。

出典(一次情報)

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対象から外れた場合や、締切に間に合わない場合の候補です。用途と地域が近いものを挙げています。

この記事を書いた人
白木さん|元・自治体職員
制度をつくる側にいた元・自治体職員(産業振興)

市の産業振興課で補助金の設計・審査に関わってきました。「なぜこの要件があるのか」を制度の目的から説明できるのが強みです。窓口では伝えきれなかった制度の意図まで踏み込んで書きます。掲載内容は公募要領などの一次情報をもとに整理しています。

本記事は情報提供を目的としており、補助金の採択・交付を保証するものではありません。 補助上限額・補助率・締切等の内容は変更される場合があります。申請にあたっては、必ず 公式サイト・最新の公募要領をご確認ください。