社員の奨学金の返済を会社が支えると、その費用の2分の1までを福岡県が補助します(1企業あたり年50万円まで)。就業規則などの内部規定に書いていない支援は対象外なので、まず規定があるかを確かめます。
対象は県内の事業所に勤務する正社員で、本人名義の奨学金を返している人です。親族が保証人として返しているだけの奨学金は対象になりません。会社が申請者になるため、従業員が自分で申請することはできません。
福岡県奨学金返還助成による中小企業人材確保支援事業補助金の要点まとめ
正式名:福岡県奨学金返還助成による中小企業人材確保支援事業補助金
だれが
- 申請者
- 県内に本店がある中小企業(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 指定なし(中小企業基本法の中小企業者)
- 利用目的
- 従業員の奨学金の代理返還・手当支給への補助
- 対象地域
- 福岡県(登記上の本店が県内にあること)
- 従業員数
- 業種別に50〜300人以下(資本金の基準でも可)
いくら
- 補助上限額
- 1企業あたり50万円(会計年度ごと)
- 補助率
- 対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年7月14日〜2026年12月28日(必着)
うちの会社は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 口約束だけで内部規定がない
- ✕ 教育ローンの返済を支えている
- ✕ 他の同種の助成を受けている
- ✕ 役員や同居の親族が支援先
このほか、国・県・市町村が出資している事業者、暴力団員や暴力団と密接な関係のある者、県税の滞納など県への債務不履行がある事業者も対象外です。
中小企業基本法の中小企業者は、業種ごとに資本金か従業員数の上限が決まっています。どちらか一方を満たせば該当します。製造業その他は資本金3億円以下か従業員300人以下です。卸売業は1億円以下か100人以下です。小売業は5,000万円以下か50人以下です。サービス業は5,000万円以下か100人以下です。複数の事業があるときは、売上がいちばん大きい事業で業種を判断します。
正社員は、期間の定めのない雇用契約を会社と直接結んでいる従業員です。地域限定社員や短時間勤務の正社員も、この条件に合えば対象になります。有期契約から正社員に転換する人は、転換した日以降の支援だけが対象です。
内部規定は、就業規則や賃金規程など、文書で定めた規定のことです。就業規則を作る義務がない会社でも、支援の仕組みが分かる規定は申請までに整えます。県の注意事項では、支給の時期・回数・金額・期間と、休業や休職の間の扱いも規定に書くよう求めています。退職したときに支給済みの手当を返させる規定は、支援制度として認められません。
いくらもらえる?
補助額は、年度中に実際に払った額の半分です。1企業の上限は年50万円で、年度は4月1日から3月31日までです。
- 代理返還:年度中に貸与機関へ送金した額 × 1/2
- 手当:従業員が返した額と会社が出した手当の低い方 × 1/2
計算例は次のとおりです。
- 3人に月1万円ずつ代理返還する:36万円 × 1/2 = 18万円
- 5人に月2万円ずつ手当を出す:120万円 × 1/2 = 60万円 → 上限の50万円
- 返済15万円に対し、手当を20万円出す:15万円 × 1/2 = 7.5万円
上限の50万円に届くのは、支援の合計が年100万円以上のときです。手当が実際の返済額を上回った分は、補助の計算に入りません。従業員が1年間滞納して返済額が0円なら、補助も0円です。
何に使える?
対象にならないもの
- 銀行などの教育ローンの返済
- 振込手数料
- 前の年度までに行った支援
- 県外の事業所に勤務している期間の支援
対象になるもの
- 貸与機関への代理返還額
- 従業員に払った手当の額
- 奨学金の利子の返済分
日本学生支援機構の奨学金のほか、自治体・大学・民間団体が貸す貸与型の奨学金も対象です。社会福祉協議会の教育支援資金も対象に入りますが、総合支援資金や福祉資金など、ほかの貸付金は対象外です。高校と大学で別々に借りていれば、どちらも対象にできます。
申請の流れ
- 内部規定を整える(事業者。申請の前までに)
- 交付申請を出す(事業者→福岡県 中小企業経営支援課。2026年12月28日必着)
- 交付決定を受ける(福岡県→事業者。申請から1〜2か月後。メールで届く)
- 内容が変わったら変更申請を出す(事業者→福岡県。2027年1月29日まで)
- 実績報告を出す(事業者→福岡県。事業の完了から10日以内か3月31日の早い日まで)
- 額の確定を受けて請求する(事業者→福岡県。補助金は報告の完了後、5月末までに支払い)
提出は、ふくおか電子申請サービス、電子メール、郵送のどれかを選べます。申請書には、他の同種の助成を受けていないことの宣誓(チェック欄)が要ります。県のホームページへの企業名の公表に同意するかも選べますが、同意しなくても審査で不利にはなりません。代表者印の押印は要りません。補助の対象は、申請する年度(4月1日〜3月31日)に行った支援だけです。
必要な書類
準備できた 0 / 9
履歴事項全部証明書は、申請する年度に発行されたものの写しを出します。個人事業主は開業届を出します。振込先口座の書類は、すでに県に口座を登録していれば要りません。県が必要と認めたときは、表にない書類を求められることもあります。資本金で中小企業と確認できない会社は、従業員数が分かる書類も要ります。奨学金返還証明書はスカラネット・パーソナルの画面コピーでも構いません。写しの提出でよく、原本は要りません。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 内部規定がない:口約束や慣例だけの支援は対象外です。申請の前に就業規則などへ書きます。
- 退職者に手当の返還を求める:退職した従業員に払った手当を返させる定めがあると、その申請の補助がすべて取り消されます。
- 変更の届出を忘れた:退職、県外への異動、支給額の増減があれば変更申請が要ります。期限を過ぎると増額はできません。
- 他の同種の助成と重なった:国・自治体・民間団体の奨学金返還支援の助成を同じ年度に受けると、対象外です。
- 予算が尽きた:期間内でも、予算の上限に達すると受付が終わることがあります。
他の補助との併用と来年度の申請
他の自治体の同種の補助とは、企業として併用できません。従業員本人が別の自治体から支援を受けるのは問題ありません。奨学金返還支援の導入への奨励金のように、対象が違うものは併用できる場合があります。迷うときは県に相談します。
補助は年度ごとの事業です。県の事業が続く限り、翌年度も申請できますが、毎年度あらためて申請します。予算の残りを公表しているかは、公式ページと手引きでは確認できませんでした。支援の開始月が決まっているなら、早めに交付申請を出すことを勧めます。
よくある質問
口約束で奨学金を負担している会社は申請できますか?
申請できません。就業規則や賃金規程など、文書で決めた内部規定に基づく支援であることが条件です。慣例や口頭の約束だけでは対象になりません。支援の対象者、金額、支給の時期と回数、期間、休業中の扱いを規定に書き、写しを申請に添えます。作成例と注意事項は県の特設サイトで公開されているので、先に見ておくと書き方に迷いません。
就業規則がない小さな会社でも使えますか?
使えます。就業規則の作成義務がない会社でも対象です。ただし奨学金返還支援の仕組みが分かる内部規定は、申請までに整える必要があります。賃金規程や、支援の内容を定めた社内規程でも構いません。規定を作る時間を見込んで、12月28日の締切から逆算して動くと安全です。
パートや契約社員も支援の対象にできますか?
対象になるのは、期間の定めのない雇用契約を会社と直接結んでいる正社員です。期間の定めがある契約社員やアルバイト、パートは対象外です。地域限定社員や短時間勤務の正社員は、期間の定めがなければ対象になります。呼び方がパートでも、期間の定めのない雇用契約を直接結んでいるなら、正社員にあたるかを県に確かめます。会社が独自にパートへ支援するのは自由ですが、補助の計算には入りません。有期契約から年度内に正社員へ転換する人は、転換した日以降の支援だけが対象です。
役員や社長の家族は対象になりますか?
役員は対象外です。取締役や理事は経営に責任のある立場だからです。個人事業主の場合は、同居している親族も対象外です。ただし、個人事業主の指揮命令に従って働き、勤務時間や賃金が他の従業員と同じなら、同居の親族でも対象になります。役員にあたる人や、対象外の親族を支援しても、その分は補助の計算に入りません。事業計画書に載せるのは、条件に合う従業員だけにします。
教育ローンの返済も補助されますか?
補助されません。金融機関が貸す教育ローンは対象外です。対象は、教育機関での修学を支えるために貸与された、返済義務のある貸与型の奨学金です。本人の名義で借りたものに限ります。日本学生支援機構のほか、自治体、大学、民間団体の奨学金が対象です。奨学金か教育ローンかは、貸与機関の名前と返還証明書で見分けられます。
年度の途中から支援を始めても申請できますか?
申請できます。支援を始める月が決まっていれば、始める前に申請することも可能です。事業計画書に開始月を書きます。補助の対象になるのは、申請する年度に行った支援です。前の年度に行った支援は、いつ申請しても対象になりません。以前から支援している会社も申請できますが、さかのぼれるのは同じ年度の4月1日以降の分までです。
従業員が退職したらどうなりますか?
退職した時点から、その人は対象外になります。在籍していた期間の支援は、さかのぼって取り消されません。ただし、退職者に払った手当の返還を求める規定があると、その申請の補助がすべて取り消されます。退職で対象者が変わったら、変更交付申請を出します。
従業員が県外の事業所に異動したらどうなりますか?
県外の事業所で勤務を始めた月からは、対象外です。たとえば10月1日に県外へ異動した人は、10月分の手当から対象外になります。年度の途中で計画と変わったときは、変更承認の申請を県に出します。変更の期限は2027年1月29日までです。異動の内示が出たら、変更申請の対象になるかを早めに県へ確かめます。
県外に本店があり、県内に支店がある会社は対象ですか?
対象外です。対象になるのは、登記事項証明書に記載された本店が福岡県内にある会社です。県内に支店や工場があっても、本店が県外なら申請できません。本店の所在地は、履歴事項全部証明書で確かめられます。本店を県内へ移す場合の扱いは、公式ページと手引きでは確認できませんでした。中小企業経営支援課に問い合わせます。
他の自治体の補助金と併用できますか?
企業としては併用できません。国、他の自治体、民間団体が行う、中小企業への奨学金返還支援の助成を同じ年度に受けると、対象外になります。従業員本人が他の自治体から支援を受けるのは問題ありません。判断に迷うときは、中小企業経営支援課に確かめます。
来年度も続けて申請できますか?
県の補助事業が続く限り、翌年度も申請できます。ただし事業は年度単位なので、毎年度あらためて申請します。来年度の申請期間は、県の公式ページなどで案内されます。内部規定を一度整えておけば、翌年度は書類を作り直す手間が少なくなります。令和9年度以降の申請期間は、県が別に通知します。
申請の方法と問い合わせ先は?
ふくおか電子申請サービス、電子メール、郵送のどれかで出します。メールは10MBを超えたら複数に分けます。問い合わせは福岡県 商工部 中小企業振興局 中小企業経営支援課 管理指導係(電話 092-643-3423)です。土日祝日と年末年始は受け付けていません。
