海外のバイヤーから「GLOBALG.A.P.の認証はありますか」と聞かれる場面は、輸出を考える農業者にとって避けにくい関門です。この認証の審査料や研修費の半分までを国が支える事業が、令和7年度補正の「GAP等認証取得等支援事業」でした。
公募は令和8年5月から9月にかけて全4回行われ、事務局のサイトではすべて「終了」と表示されています。第4回(9月9日締切)が最後の受付で、いま申し込める回はありません。次の募集があるかどうかは、事務局の公式ページで確かめられます。補助率は1/2以内で、費用ごとに上限があります。リースの導入は100万円、研修指導は最大25万円、環境整備は20万円です。
GAP等認証取得等支援事業の要点まとめ
正式名:有機JAS認証・GAP等認証取得支援事業(GAP等認証取得等支援)
だれが
- 申請者
- 農業者・農業者の団体・輸出関連事業者を含む協議会
- 対象業種
- 農業(GAP認証つき農産物の輸出に取り組む農業者)
- 利用目的
- GAP等認証の新規取得、輸出向けの商談
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 規定なし(個人・法人・団体の別や規模は問わない)
いくら
- 補助上限額
- 100万円(リース導入)。研修指導25万円・環境整備20万円
- 補助率
- 1/2以内(商談関連の経費は定額)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 令和8年5月7日〜9月9日(全4回・すべて終了)
- 事業の完了
- 令和9年2月26日(実績報告の最終期限)
うちは対象になる?
GAP等認証とは、GLOBALG.A.P.・JGAP・MPS-ABCのいずれかの認証です。次の5つにすべて当てはまると、応募の対象でした。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
GFPは、農林水産物・食品の輸出に取り組む事業者向けの無料の登録サイトです。登録は5分ほどで終わります。団体は、代表者の定めと規約があるものに限ります。農業者と輸出関連事業者が入った協議会でも応募できました。
輸出の目標は、次の3つから選びます。
- 輸出の見込みがある人:令和9年度末までに、GAP認証つきの農産物を新たに輸出する。バイヤーからの供給要望か、市場調査にもとづく計画を示す書面が要ります
- すでに輸出している人:令和9年度の輸出額か輸出数量を、令和6年度の105%以上にする。輸出実績を示す書面が要ります
- 輸出が未経験の人:事業期間中にGFPの輸出診断を受け、展示商談会に1回以上出展し、輸出の計画をつくる
個人事業主でも、要件を満たせば応募できます。法人でなくても、規模が小さくても構いません。
次のいずれかに当たると対象外です。
- ✕ 輸出を目指さない取組
- ✕ 認証の更新・維持だけの費用
- ✕ 同じカテゴリで認証を自費取得済み
- ✕ 過去に国の輸出向け認証支援を受けた
補足です。「過去に支援を受けた」は国の事業だけを指し、県や市町村の独自支援は数えません。一方で、団体の中に支援を受けたことのある人がいると、その人の分は外れます。誰の農産物かを特定できない商談の費用は、対象外になります。別のカテゴリ(たとえば穀物の認証を持っていて、青果物や茶を新たに取る場合)は対象です。
いくら戻ってくる?
費用の種類ごとに補助率と上限が決まっています。
| 費用の種類 | 補助率 | 上限 |
|---|---|---|
| 認証審査費用 | 1/2以内 | 要領に金額の定めなし |
| 研修指導の受講費 | 1/2以内 | GLOBALG.A.P.は1日5万円・最大25万円。JGAP等は1日4万円・最大20万円 |
| 指導者の現地指導の旅費 | 1/2以内 | 1日2万円・最大10万円 |
| 環境整備(システム利用料・分析・設備改修) | 1/2以内 | 合計20万円 |
| 機械等のリース導入 | 1/2以内 | 100万円 |
| 商談(出展費など) | 定額 | 審査会が認めた額 |
環境整備の中にも内訳の上限があります。ICTシステム利用料が10万円、残留農薬・土壌・水質の分析と調査が5万円、設備改修と資材導入が10万円です。上限は総額で見ます。団体で取り組むときは、20万円に取組経営体数をかけた額(最大100万円)が環境整備の上限になります。
事務局のQ&Aに、計算の例が載っています。
- 設備改修・資材導入に25万円かかった:25万円 × 1/2 = 12.5万円 → 上限の10万円
- 分析・調査に15万円かかった:15万円 × 1/2 = 7.5万円 → 上限の5万円
- 分析・調査に5万円かかった:5万円 × 1/2 = 2.5万円(上限に届かない例)
機械等のリース導入は、誰でも使える枠ではありません。 目標が「輸出の見込みがある人」か「すでに輸出している人」のどちらかで、リスク管理のモデル的な取組として事務局が承認した場合だけです。応募の前に事務局へ相談する決まりでした。リース料の上限は、予算の執行状況に応じて事業サイトで示されます。
審査会の判断で、申請した額から減らして交付決定されることもあります。申請額がそのまま通るとは限りません。
何に使える?
対象にならないものを先に挙げます。
- 採択より前に発生した費用(先に審査機関や研修に申し込んで払った分を含む)
- すでに取得した認証の更新・維持の費用
- 消費税(仕入れ税額控除の対象になる分は減らして申請する)
- 事務所の家賃などの経常的な運営費
- 新聞・テレビ・インターネットなどのマスメディアでの宣伝広告
- 購入した機械(リースは対象で、購入は対象外)
- ECサイトへの常時出店や、サイトの基本使用料
- 施工費や外注費、資材の運送料(設備改修・資材導入のうち)
- 1つで取得単価が20万円以上の改修・資材
対象になるのは、次のとおりです。
- 認証審査費用(審査員の旅費を含む。旅費が審査費用に含まれて金額が分からない場合は旅費の分が外れます)
- 研修指導の受講費と、指導者の現地指導の旅費
- 環境整備費(ICTシステムの初期設定費と導入から12か月分の利用料、残留農薬・土壌・水質の分析、設備改修と資材導入)
- 機械等のリース料(対象機械は希望小売価格が税抜50万円以上のものに限る。トラクターと田植機は除く)
- 展示商談会の出展費、通信運搬費、印刷製本費、旅費、謝金(国内外とも対象。オンライン商談会も、輸出につながる能動的な活動なら対象)
現地指導を行う指導者は、通算5経営体以上にGAP等認証の取得支援をした実績が必要です。審査機関と研修業者は、複数から見積書を取って比べる決まりです。見積書には、現地審査や研修指導の見込日数と、旅費の概算を書いてもらいます。設備改修と資材導入は、図面などで場所と必要な理由を示し、事務局の承認を得て進めます。
申請の流れ
応募は全4回の公募でした。受付はすべて終わっています。
| 回 | 受付期間 |
|---|---|
| 第1回 | 令和8年5月7日〜6月5日 |
| 第2回 | 令和8年6月6日〜7月7日 |
| 第3回 | 令和8年7月8日〜8月6日 |
| 第4回 | 令和8年8月25日〜9月9日 |
流れは次のとおりでした。次の募集が出たときも、同じ型になると考えて準備を進める手があります。
- GFPに登録する(農業者→GFPのサイト。無料)
- 輸出の目標を決め、見積書をそろえる(農業者→審査機関・研修業者。複数社から)
- 応募書類をメールで送る(農業者→事務局。件名は「令和7年度補正 有機JAS認証・GAP等認証取得等支援事業」。1通5MBまで、押印は不要)
- 審査結果を待つ(事務局→農業者。締切から2〜3週間後が目安。不採択の理由は開示されない)
- 交付申請をして、交付決定を受ける(農業者→事務局。交付決定は、補助の対象として正式に決まる通知。この後に事業を始める)
- 認証の取得や商談を終え、実績報告を出す(農業者→事務局。令和9年2月26日まで)
- 補助金が振り込まれる(事務局→農業者。令和9年3月末の予定)
実績報告には、認定証の写しと、支払いの証明が要ります。請求書と領収書(または振込明細)を組み合わせて出し、請求書や納品書だけでは認められません。
交付決定の前に始めると対象外になるのが原則です。やむを得ない事情で先に始める場合は、事務局の指導を受けて「交付決定前着手届」を出す必要があり、決定までの損失は自己責任になります。
必要な書類
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決算書等は、法人なら直近2年の決算書(貸借対照表と損益計算書)、個人なら直近2年の青色申告の確定申告書と貸借対照表です。輸出の資料は、「輸出の見込みがある人」なら供給の要望か計画を示す書面、「すでに輸出している人」なら時期・国・品目・量が分かる実績の資料です。現地指導者の実績証明は、研修指導費で現地指導を申請するときだけ、リース導入取組計画書はリースを使うときだけです。環境整備を申請するときは、ICTシステムの選定理由書、分析の明細表、改修・資材の内訳表も添えます。定款やパンフレットなどの事業紹介資料は任意です。
実施要領の別添には、環境負荷低減のチェックシートを出す定めもあります。応募書類一式のチェックシートには載っていないため、要否は事務局に確かめます。事業計画書の末尾では、実施者の概要が国などから公表される場合があることと、目標を達成できないときは引き続き取り組むことへの同意を求められます。見積書は、展示会がまだ先で取れないときは概算額でも構いません。昨年度の実績や料金表など、根拠になる資料を添えます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 採択前に費用を払った:審査機関や研修に先に申し込んで払った分は、採択後に発生した費用ではないため対象外です。
- 採択後に辞退した:辞退しても、設定した目標には自費で取り組む必要があります。目標を達成できなかった場合も、引き続き目標に取り組むことに同意する決まりです。
- 補助金を別の用途に使った:交付決定の取消しと返還を命じられます。年10.95%の加算金がつきます。
- 他の補助と重なった:同じ取組に別の補助は使えません。別の取組なら併用できますが、重複していない証明の書類が要ります。
よくある質問
有機JAS認証の費用も同じ枠で申請できますか?
別の枠です。同じ事業の中に「有機JAS認証取得等支援」があり、こちらは有機JASの認証を取る人向けです。応募の書類もページも分かれています。ただし両方に同時に応募することはできます。同じ取組、たとえば同じ商談会への出展を両方に重ねて出すのは認められません。商談会ごとにどちらの枠で出すかを決めておく必要があります。
個人事業主でも応募できますか?
応募できます。個人・法人・団体の別や経営規模は問わないと、事業サイトに書かれています。条件は、GFPへの登録と輸出の目標の設定、認証を新規に取ることなどです。団体の場合は、代表者の定めと規約がなければなりません。個人で取り組むなら、まず自分がどの目標(見込み・実績あり・未経験)に当たるかを決めると、必要な書類が見えてきます。
すでに持っているGAP認証の更新費用は対象になりますか?
対象外です。支援されるのは、新規の認証取得に使った費用だけです。過去に自費で取った認証と同じカテゴリで同じ種類の認証を、取り直す場合も対象になりません。一方で、穀物の認証を持っている人が青果物や茶の認証を新たに取る場合は、別カテゴリなので対象です。判断に迷うときは、事務局のQ&A集か問い合わせ窓口で確かめられます。
以前に国の補助で認証を取ったことがあります。対象になりますか?
過去に輸出目的の認証取得で国の支援を受けた事業者の取組は、対象外です。この「取組」は、認証と商談を合わせた事業全体を指します。数えるのは国の事業だけで、県や自治体の独自支援は含まれません。団体で認証を取る場合は、新しく団体に加わる農業者の分だけが対象になり、支援額は全体の費用を人数で按分して出します。
認証の審査や研修に、もう申し込んで払ってしまいました。対象ですか?
対象外です。補助の対象は、採択された後に発生した経費です。採択前にすでに実施した取組や、他の支援で実施した取組も、対象になりません。これから払うものについても、交付決定の通知を受けた後に始めるのが原則です。先に始める事情がある場合は、事務局の指導を受けて届出を出しますが、決定までの損失は自己負担になります。
補助率1/2以内とは、半分が必ず戻るということですか?
必ず半分とは限りません。「1/2以内」は、審査会が認めた経費で、補助の対象として区別でき、証拠書類で金額を確認できたものについて、最大で1/2まで補助されるという意味です。消費税の分は含まれません。さらに費用ごとの上限があり、25万円かかった設備改修でも補助は10万円までです。上限は先に確かめておくと、自己負担の見通しが立ちます。
輸出代行業者を通じて輸出しても「輸出」として認められますか?
認められます。輸出代行業者を経由した輸出も、輸出の取組として扱われると、事務局のQ&Aに書かれています。ただし、事業実施者の親会社や子会社の輸出実績や計画は、自分のものとして使えません。目標に使う書面は、自分が輸出する実績や計画を示すものにします。代行業者との契約内容で迷うときは、応募前に事務局へ相談できます。
展示会の出展は何回でも補助されますか?
複数回の出展も対象です。ただし、海外への輸出につながる取組が見込めるものに限られます。その考え方を、事業計画の商談方針に書く必要があります。国内で開く展示会も、海外で開く展示会も対象です。オンライン商談会も認められますが、ECサイトに常時出店して受け身で商談を待つ形は対象外です。通販サイト内のオンライン商談会は、登録料や基本使用料が対象外です。商談に関わる出展料を切り分けられ、日程と内容が分かる能動的な活動のときに限り、出展料が対象になります。
補助金はいつ振り込まれますか?
実績報告のあとです。事務局の確認を経て、交付額の通知を受け、振り込まれます。Q&A集では、令和9年3月末の振込を予定すると書かれています。事業の期限は令和9年2月26日で、この日までに認証の取得や商談を終えて、支払いの証明書類を含む報告書類一式を出します。それまでの費用は、いったん自分で立て替える形になります。
採択されなかった理由は教えてもらえますか?
教えてもらえません。事務局のQ&A集に、不採択の理由は開示しないと書かれています。応募書類の差し替えや追加も、事務局から頼まれた場合を除いて認められません。出す前にチェックシートで見直すのが基本です。予算より応募が多いときは、ポイントの高い順に採択され、同点なら1経営体あたりの額が低い順になります。
問い合わせはどこにすればよいですか?
株式会社マイファームの有機JAS・GAP認証取得支援事務局です。メールは export-organic-gap@myfarm.co.jp で、件名に「【有機JAS認証・GAP等認証取得等支援事業】お問い合わせ」と書きます。電話は050-5527-3096で、受付は平日の13時から17時です。Q&A集では、電話は募集期間中のみの対応とされています。募集のない時期は、事業ページの問い合わせフォームかメールが確実です。
