能登の復旧工事に人を呼ぶとき、先に決めたいのは寝泊まりする場所です。石川県の工事現場で宿舎や住宅を借りると、中小建設事業主に一事業年度で最大200万円が助成されます。ただし借り始める原則2週間前までに、計画届を出す必要があります。
宿舎は建設労働者1人につき25万円です。賃貸住宅と作業員施設は、賃借料等の2/3が助成されます。この記事では、対象かどうかの確認から計算例、申請の順番までを書きます。
作業員宿舎等設置助成金の要点まとめ
正式名:人材確保等支援助成金 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)(石川県)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 建設業
- 利用目的
- 作業員宿舎・賃貸住宅・作業員施設の賃借
- 対象地域
- 石川県内の工事現場(令和6年1月1日以降に開始)
- 従業員数
- 中小建設事業主(資本金・従業員数の基準は労働局へ)
いくら
- 補助上限額
- 一事業年度200万円(宿舎・賃貸住宅・施設の合計)
- 補助率
- 宿舎は1人25万円の定額、賃貸住宅・施設は賃借料等の2/3
いつ・どこへ
- 申請受付
- 公式ページに受付期間の記載なし。計画届は借りる原則2週間前まで
中小建設事業主の資本金・従業員数の基準は、今回確認した資料には書かれていませんでした。自社が当てはまるかは、石川労働局に確かめてください。
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
雇用管理責任者とは、労働者の雇用管理を担当する人のことです。雇用保険料率は「建設の事業」で適用されている必要があります。建設業の許可を持ち、「一般の事業」などで適用されている場合も対象です。
次のどれかに当たると、対象外になります。
- ✕ 宿舎を購入して設置する
- ✕ 既存社員の住まいを借りる
- ✕ 公共工事が中心の現場
公共工事は原則対象外です。宿舎の場合は、そこに住む作業員の民間工事の割合が3/4以上なら対象になります。既存社員の住まいが対象外なのは賃貸住宅です。遠隔地から新たに採用する人のための住宅に限ります。
いくら助成される?
助成額は3つの施設で計算が違います。合計の上限は一事業年度200万円です。
- 作業員宿舎の建設労働者の数が5人:5人 × 25万円 = 125万円
- 賃貸住宅の家賃が月4.5万円:4.5万円 × 2/3 = 3万円(月)→ 3万円 × 12か月 = 36万円(1人分)
- 作業員宿舎の建設労働者の数が9人:9人 × 25万円 = 225万円 → 上限の200万円
宿舎の人数は、入居した人の数そのままではありません。宿舎利用実績確認シートで、民間工事に4時間以上従事した延べ日数を、通常の労働者の稼働日数で割って出します。民間工事の割合が0.75(3/4)未満なら、助成されません。
賃貸住宅は、家賃が月4.5万円を超えても助成は月3万円までです。賃借料から管理費・共益費は除かれます。1つの物件に2人が住んでも、上限は月3万円のままです。
上限の200万円は、宿舎・賃貸住宅・作業員施設の3つを合わせた額です。宿舎の人数が8人分になれば、これだけで200万円に届きます。賃貸住宅や施設の分は、同じ年度では助成されません。
年度は支給申請日を基準に、その日が属する4月1日から翌年3月31日までです。去年に借りた分でも、申請が今年度なら今年度の枠で数えます。
何に使える?
対象にならないもの
- 宿舎の購入費や、購入した宿舎の設置費
- 既に雇っている社員が住む賃貸住宅
- 入居者から居住費を取っている賃貸住宅
- 事業主の配偶者・一親等の親族や、法人の役員が所有する賃貸住宅
- 新設工事で設置した施設の工事費
- 事業主の店社と同じ敷地にある作業員施設
- 国土交通省直轄工事の「快適トイレ」
- 工区の移動ごとの施設の撤去費
居住費のうち、光熱水料などは徴収しても対象外になりません。賃貸住宅は、居住面積が7.4㎡未満だと支給対象外です。同じ場所の同じ宿舎への支給は、一度だけです。
対象になるもの
- 作業員宿舎の賃借料(建設労働者2名以上が1つの敷地内で生活できるもの)
- 賃貸住宅の賃借料(遠隔地から新たに採用する人が住む住宅)
- 作業員施設の賃借料(食堂・休憩室・更衣室・浴室・トイレ・シャワー室)
- 工区の移動に伴う施設の運搬・設置費
施設の移設費は、計画届にあらかじめ移動があると書いておくと対象になります。後から移設が決まった場合は、移設の前に計画の変更届を出します。
申請の流れ
- 計画届を出す(事業主→石川労働局。借り始める原則2週間前まで)
- 宿舎・住宅・施設を借りる(事業主→貸主。計画届のあとに契約する)
- 支給申請書を出す(事業主→石川労働局。施設ごとの期限までに)
- 審査を受けて支給される(石川労働局→事業主)
賃貸住宅と作業員施設の支給申請は、賃借が終わった月で提出期間が決まります。4〜6月に終われば7月1日〜8月末日、7〜9月なら10月1日〜11月末日です。10〜12月なら翌年1月1日〜2月末日、1〜3月なら3月1日〜5月末日です。
作業員宿舎は、入居の1か月後か契約の2か月後のうち、早い日から2か月以内です。入居の1か月後とは、住む予定の全員が入居した日の1か月後です。
必要な書類
準備できた 0 / 9
宿舎の計画届には、このほか利用期間の疎明書や、案内図・配置図・平面図が要ります。賃貸住宅の計画届には、ハローワークなどに出した求人票の写しを付けます。支給申請書には、宿舎の正面から撮った全体写真も付けます。
証拠書類の保存期間は、様式の注意書きでは支給決定日から5年間です。Q&Aでは支給決定の翌年度から5年間とあります。長い方に合わせておくと安全です。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 計画届より前に借りた:借り始める原則2週間前までの提出が条件です。契約や入居を先にすると、その分は対象になりません。
- 3つの合計が200万円を超えた:同じ年度の上限は200万円です。超えた分は助成されません。
- 入居者から居住費を取った:賃貸住宅で光熱水料などを除く居住費を取ると、助成の対象外です。
- 支給申請の期限を過ぎた:宿舎も賃貸住宅も施設も、期限が分かれています。終了月と契約日を控えておきます。
- 民間工事の割合が足りなかった:宿舎に住む作業員の民間工事の割合が3/4を下回ると、対象外です。
よくある質問
借り始めたあとに計画届を出しても間に合いますか?
原則として間に合いません。計画届は、借り始める日の原則2週間前までに出します。契約や入居を先にすると、計画届より前の期間は対象になりません。宿舎を借りる日が決まったら、その2週間前を逆算して石川労働局に届け出ます。工事の受注が決まった時点で、早めに連絡しておくと安心です。
作業員宿舎・賃貸住宅・作業員施設は何が違いますか?
作業員宿舎は、建設労働者2名以上が1つの敷地内で生活できるものです。助成は1人25万円の定額で、人数は利用実績確認シートで計算します。賃貸住宅は、遠隔地から新たに採用する人のために借りる住宅で、賃借料等の2/3が助成されます。作業員施設は、食堂・休憩室・更衣室・浴室・トイレ・シャワー室で、こちらも賃借料等の2/3です。
上限の200万円は、3つそれぞれにつきますか?
3つの合計です。宿舎・賃貸住宅・作業員施設を合わせて、一事業年度で200万円が上限になります。それぞれに200万円ずつ出るわけではありません。たとえば宿舎の人数が8人分になれば200万円に届くため、同じ年度に賃貸住宅の助成を申請しても、上乗せはされません。複数使う場合は、合計額を先に計算します。
上限の「一事業年度」は、いつからいつまでですか?
支給申請日が属する年度の、4月1日から翌年3月31日までです。会社の決算期ではありません。去年の計画で借りた分でも、支給申請が今年度なら、今年度の枠で数えます。去年の分と今年の分の申請が同じ年度に重なると、合計が200万円を超えることがあります。申請のタイミングも計画に入れておきます。
宿舎を購入した場合も対象になりますか?
対象になりません。購入した宿舎は事業主の資産になるためです。この助成金は、工事の期間中に労働者が暮らす環境を整える賃借を助成します。リース会社が設置するプレハブを借りる場合は、賃借して新たに設置するものなら対象になり得ます。ただし契約の相手方によっては対象外のことがあるため、事前に労働局へ確認します。
公共工事の現場に住む作業員は対象ですか?
公共工事は原則対象外です。国や都道府県、市区町村が発注する工事が公共工事にあたります。ただし民間工事をメインにしていて、同じ宿舎に公共工事の作業員も住む場合があります。宿舎では、民間工事に従事した割合が3/4以上なら対象になります。1日のうち民間工事に4時間以上従事した日は、民間工事の日として数えられます。
既に雇っている社員の引っ越し先は賃貸住宅で対象ですか?
対象になりません。賃貸住宅は、地域外からの人材確保を支援するための枠です。既に雇っている社員の住宅は助成されません。対象になるのは、遠隔地から新たに採用する人が住む住宅です。採用は、公共職業安定所や民間の職業紹介事業者などの紹介によるものに限られます。紹介元の範囲は、労働局に確かめると確実です。
1つの賃貸住宅に2人が住むと、助成は倍になりますか?
倍にはなりません。1つの物件で数える労働者は1人です。上限は1物件につき月3万円で、2人が住んでも6万円にはなりません。1人あたりの助成は最大1年間です。家賃が高い物件ほど自己負担が増えるので、助成の上限が月3万円であることを前提に、物件を選ぶ段階で収支を計算しておきます。
入居者から家賃を取ってもよいですか?
居住費を取ると、賃貸住宅は助成の対象外になります。光熱水料など、居住費に当たらない経費は取っても構いません。会社が家賃を負担する前提の制度です。社宅として家賃の一部を給与から差し引く運用をしている場合は、居住費の徴収にあたるおそれがあります。迷うときは、計画届を出す前に労働局へ確認します。
会社の敷地内に宿舎や施設を置けますか?
宿舎は、会社の敷地内に置いても対象になります。一方で作業員施設は、事業主の店社と同じ敷地に設けるものは対象外です。会社の駐車場にトイレやシャワーを借りて置く場合は、助成されません。同じ会社の敷地に置くなら、宿舎か施設かで扱いが分かれます。置く場所が決まったら、計画届を出す前に確認しておきます。
女性専用の作業員施設は、このコースの対象ですか?
このコースの対象ではありません。女性専用作業員施設の設置経費は、同じ作業員宿舎等設置助成コースの別のメニューにあたります。厚生労働省の建設事業主向けの案内ページでは、石川県向けとは別の項目として載っています。女性専用施設の借り入れを考えている場合は、石川県向けのこのメニューとは別に、そちらの案内を確認します。
問い合わせ先はどこですか?
石川労働局の職業安定部職業対策課です。電話番号は076-265-4428です。計画届を出す前に、自社が中小建設事業主にあたるか、借りる物件が対象になるかを聞いておくと安心です。申請の手続きそのものは、厚生労働省の助成金ポータルの案内に沿って進めます。公式ページには受付期間の記載がないため、始める前に受付状況も確かめます。
