復旧工事の現場は増えているのに、作業員を住まわせる場所が足りない。能登の被災地では、建設労働者を遠方から呼ぶための宿舎確保が、工事そのものより先に立ちはだかる壁になっています。
厚生労働省の人材確保等支援助成金には、この課題に応える「作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)」の石川県向けコースがあります。石川県内の工事現場で作業員宿舎・賃貸住宅・作業員施設を賃借する中小建設事業主に対し、経費の一部を一事業年度あたり上限200万円まで助成する制度です。
作業員宿舎等設置助成金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 人材確保等支援助成金 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)(石川県) |
| 対象業種 | 建設業 |
| 利用目的 | 人材確保(作業員宿舎・賃貸住宅・作業員施設の賃借費用の助成) |
| 対象地域 | 石川県内の工事現場(令和6年1月1日以降に開始したもの) |
| 従業員数 | 中小建設事業主(中小企業基本法上の中小企業者に該当すること。業種ごとに資本金・従業員数の上限が定められ、建設業は資本金3億円以下または従業員300人以下のどちらか一方を満たせば該当) |
| 補助上限額 | 一事業年度あたり200万円(作業員宿舎・賃貸住宅・作業員施設の合計) |
| 補助率 | 作業員宿舎は建設労働者1人あたり25万円の定額、賃貸住宅・作業員施設は賃借料等の3分の2(賃貸住宅は1人最大1年間・月額3万円が上限) |
| 申請受付 | 通年(賃借事業を開始する原則2週間前までに計画届を提出) |
| 公式サイト | 石川労働局「人材確保等支援助成金 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)(石川県)」 |

3種類の施設で、助成の計算式が違う
「宿舎」とひとくくりにされがちですが、対象は3種類あり、それぞれ助成額の出し方が異なります。
- 作業員宿舎(建設労働者2名以上が同じ敷地内に居住できるもの): 建設労働者1人あたり25万円の定額
- 賃貸住宅(建設労働者を遠隔地から新たに採用するために借りる住宅): 賃借料等の3分の2、1人あたり月額3万円が上限
- 作業員施設(食堂・休憩室・更衣室・浴室・トイレ・シャワー室): 賃借料等の3分の2
たとえば、金沢の建設会社が輪島市の現場に作業員宿舎を借り、5人の建設労働者を住まわせた場合、定額計算で125万円の助成額になります。ただし合計の上限は一事業年度200万円のため、他の施設と合わせて申請する場合は上限に注意が必要です。
「賃借を始める前」に手続きが必要
この助成金で押さえておくべきは、賃借を始める原則2週間前までに「計画届」を提出しなければならないという順番です。先に宿舎を借りてから申請しても、対象になりません。
- 計画届の提出(賃借開始の原則2週間前まで)
- 宿舎・住宅・施設の賃借
- 支給申請書の提出(賃借後、定められた期限まで)
- 労働局での審査後、助成金の支給
支給申請書の提出期限は施設の種類で異なり、賃貸住宅・作業員施設は賃借事業が終了した月によって「4〜6月終了なら7月1日〜8月末日」のように四半期ごとに区切られています。作業員宿舎は、全員の入居開始日または賃貸借契約日のいずれか早い日から2ヵ月以内という定めです。
全国制度に石川県向けの特例が上乗せされている
人材確保等支援助成金そのものは全国共通の制度ですが、このコースは令和6年能登半島地震の復旧・復興需要に対応するために、石川県の工事現場を対象に新設された枠です。石川県以外の工事現場では、通常の作業員宿舎等設置助成コースの要件が適用されるため、この記事の内容とは条件が異なります。
よくある質問
公共工事の現場でも対象になりますか?
公共工事は原則対象外です。民間工事の現場で発生する宿舎等の賃借費用が対象になります。
女性専用の作業員施設だけを整備する場合も対象ですか?
対象になります。自ら施工管理する建設工事現場に女性専用作業員施設を賃借する取組も、このコースの対象です。
申請はどこにすればよいですか?
石川労働局職業安定部職業対策課が窓口です(電話076-265-4428)。計画届の提出先もこちらになります。
