言葉の壁や雇用慣行の違いから、外国人労働者は労働条件・解雇などのトラブルが起きやすいと言われます。この助成金は、雇用労務責任者の選任や就業規則の多言語化など、外国人特有の事情に配慮した職場づくりを行った事業主に、上限80万円を助成する制度です。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) |
| 対象業種 | 業種指定なし |
| 利用目的 | 外国人労働者の就労環境整備措置(雇用労務責任者の選任・就業規則の多言語化等)の実施費用助成 |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 規定なし |
| 補助上限額 | 1つの措置導入ごとに20万円、上限80万円(4措置まで) |
| 補助率 | 定額 |
| 申請受付 | 通年(予算がなくなり次第終了) |
| 公式サイト | 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」 |

いくらもらえる?必須メニューと選択メニューの組み合わせ
この助成金は「必須メニュー2つ+選択メニュー1つ以上」の組み合わせで支給額が決まります。1つの措置を導入するごとに20万円、最大4措置で上限80万円です。
| 区分 | 措置内容 | 1措置あたりの支給額 |
|---|---|---|
| 必須 | 雇用労務責任者の選任(外国人労働者に周知・面談) | 20万円 |
| 必須 | 就業規則等の多言語化(就業規則・労働協約・労働条件通知書・雇用契約書のいずれか) | 20万円 |
| 選択 | ①苦情・相談体制の整備 | 20万円 |
| 選択 | ②一時帰国のための休暇制度の整備(年1回以上・連続5日以上の有給休暇) | 20万円 |
| 選択 | ③社内マニュアル・標識類等の多言語化 | 20万円 |
必須メニューの「雇用労務責任者の選任」だけでは支給されません。選択メニュー①〜③のいずれか1つ以上を組み合わせて初めて申請できる仕組みです。4つすべての措置を導入すれば上限の80万円に到達します。通訳費・翻訳機器導入費・委託料・多言語の社内標識類の設置費なども対象経費として認められます。
承認までの重要なタイミングと必要書類
このコースは、就労環境整備計画の提出という「計画期間」の設計が特徴です。
- 措置導入前:就労環境整備計画(計画期間3か月以上1年以内)を作成し、本社の所在地を管轄する都道府県労働局に提出する
- 選択メニュー①・②を実施する場合は、労働協約または就業規則への明文化が必要
- 計画に沿って就労環境整備措置を導入・実施する
- 就労環境整備措置の実施日の翌日から6か月経過した翌日から2か月以内に、都道府県労働局へ支給申請を行う
支給要件として「外国人労働者の離職率が15%以下であること」(外国人労働者数2〜10人の場合は離職者数1人以下)が課されている点が、他の助成金と異なる特徴です。措置を導入して終わりではなく、その後6か月の運用実績が問われます。外国人雇用状況届出(労働施策総合推進法にもとづく届出)を適正に行っていることも前提条件です。
対象になる取組・ならない取組
- 対象になる例:雇用労務責任者を選任して外国人労働者と面談し、あわせて就業規則を多言語化し、社内の苦情相談窓口を新設した
- 対象になる例:一時帰国のための有給休暇制度を新設し、実際に取得実績をつくった
- 対象にならない例:計画認定前に多言語化などの措置に着手してしまった(交付決定前の措置は対象外)
よくある質問
Q. 特別永住者や在留資格「外交」「公用」の方は対象になりますか?
対象外です。雇用保険被保険者となる外国人労働者(特別永住者・在留資格「外交」「公用」を除く)を雇用していることが前提条件です。
Q. 措置を1つだけ導入した場合はどうなりますか?
必須メニュー2つと選択メニュー1つ以上、あわせて最低3つの措置を導入することで支給対象になります。1つや2つだけでは要件を満たしません。
Q. 離職率の要件を満たせなかった場合はどうなりますか?
就労環境整備措置の実施日の翌日から6か月間の離職率が15%を超えた場合(外国人労働者数2〜10人の場合は離職者2人以上)、支給要件を満たさず不支給になります。措置導入後の定着支援まで含めて計画を立てる必要があります。
