水素の実証には、国の補助が使えます。NEDOの第2回公募は費用の2/3まで(区分によっては1/2まで)を補助します。ただし入口は2つに分かれていて、技術開発・実証フェーズへ直接応募できるのは調査フェーズを終えた事業者か同等の実績がある事業者だけです。
もう1つ、見落とすと申請そのものができなくなる条件があります。受け付けはJグランツだけで、GビズIDのアカウントが要ります。取得に2週間以上かかる場合があるため、締切の2026年10月19日(月)正午から逆算して動いてください。
水素社会モデル構築高度化技術開発・実証事業の要点まとめ
正式名:水素社会モデル構築高度化技術開発・実証事業(第2回公募)
だれが
- 申請者
- 事業者(企業・大学等。単独でも共同でも可)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 水素の製造から利活用までの地域モデルの調査・開発・実証
- 対象地域
- 全国(日本国内に研究開発拠点があること)
- 従業員数
- 公募要領に規模の要件なし
いくら
- 補助上限額
- 調査フェーズは1件3,000万円以内。実証フェーズは上限なし
- 補助率
- 調査フェーズは2/3。実証フェーズは2/3または1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年9月18日〜2026年10月19日(正午まで)
- 事業の完了
- 調査は2年以内。実証は3年程度(最長5年)
自社は応募できるか
次のすべてに当てはまれば、応募の見込みがあります。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
技術力と体制は、水素の製造・貯蔵・運搬・利活用のどこかで技術開発や実証を進めるためのものです。自己負担は費用の1/3(区分によっては1/2)です。事業化の計画は、補助事業のあとの企業化(事業化)についてのものを指します。
次のどれかに当たると、応募できないか採択されないおそれがあります。
- ✕ 実績なしで実証フェーズに直接応募
- ✕ 提案と同じ内容をすでに実施している
- ✕ 国内に研究開発拠点がない
- ✕ 国立研究開発法人が民間委託等を組む
実績なしとは、調査フェーズも同等の実績もない状態です。最後の項目は、応募する国立研究開発法人が民間企業への委託や共同研究を組み込む場合で、資金の流れがない共同研究は除きます。
最後の項目は、公募要領が「原則認めておりません」と書いている点です。国立研究開発法人が代表になる場合は、体制の組み方を先にNEDOへ確かめてください。
調査フェーズと実証フェーズは何が違うのか
この公募には2つの入口があり、どちらも補助事業です。公募ページの種別欄には「委託事業・補助・助成事業」と書かれていますが、公募要領は2つのフェーズを両方とも【補助事業】と書いています。委託契約ではなく、交付決定を受けて進める補助金です。
| 比べる点 | 調査フェーズ | 技術開発・実証フェーズ |
|---|---|---|
| 中身 | 水素の製造から利活用までのサプライチェーンについて、事業性や経済性を調べ、データを取る | 機器・設備の効率化や低コスト化を進め、事業として成り立つ地域モデルを実証する |
| NEDOの負担 | 2/3 | 2/3または1/2 |
| 規模 | 1件当たり3千万円以内 | 上限なし(2026年度の全体予算は39.5億円。調査フェーズ分を含む) |
| 期間 | 2年以内 | 3年程度(最長5年) |
| 応募の前提 | なし | 原則、調査フェーズを実施したあと |
実証フェーズの「原則」には、公募要領が3つの例外を書いています。
- 旧事業「地域水素利活用技術開発」の(イ)水素製造・利活用ポテンシャル調査で調べたテーマを、実証に進める場合
- 同じ旧事業の(ロ)地域モデル構築技術開発で実施したテーマを、発展させる場合
- そのほか、水素・アンモニアに関するNEDO事業や他府省の類似事業、自前の検討や計画づくりなどで調査フェーズと同等の成果を得ている場合
3つ目の判断は、提案する側が「同等の成果」を示せるかにかかります。公募要領は、事前の調査や基本的な技術開発が終わっていることを前提にしています。
いくらもらえるか
補助額は、対象経費に補助率をかけた額です。補助率はフェーズと区分で変わります。
- 調査フェーズ:NEDOが2/3、事業者が1/3を負担します
- 実証フェーズ(ア)地域等での水素等供給から利活用までを想定したモデル構築の実証:2/3以内
- 実証フェーズ(イ)水素等を使った、工場等のCN化(カーボンニュートラル化)をユーザーとともに行う実証:2/3以内
- 実証フェーズ(ウ)脱炭素化ニーズに対応するため、メーカーが機器やシステムを自社工場等で実証する技術開発:1/2以内
公募要領は上の区分を基本としつつ、実際の補助率は提案内容を見て採択審査委員会と協議のうえNEDOが決めると書いています。申請した率がそのまま通るとは限りません。
仮の数字で計算すると、次のようになります。
- 調査フェーズで事業規模が3,000万円:3,000万円 × 2/3 = 2,000万円(自己負担は1,000万円)
- 実証フェーズ(ア)(イ)で対象経費が3億円:3億円 × 2/3 = 2億円(自己負担は1億円)
- 実証フェーズ(ウ)で対象経費が1億円:1億円 × 1/2 = 5,000万円(自己負担は5,000万円)
上限額が決まっているのは調査フェーズだけです。実証フェーズは「上限等は設けません」とされていますが、予算の必要性は厳しく審査されます。採択の際に、提案額から減らすことを条件にされる場合もあります。
調査フェーズの「3千万円以内」は、公募要領の表で「事業規模・負担率」の欄に入っています。これがNEDOの補助額の上限なのか事業費の上限なのかは、表の書き方から読み取れません。上の計算例は後者の読み方です。応募前にNEDOへ確かめると、自己負担額を間違えずに済みます。
何に使えるか
先に、公募要領から確認できる「使えない線」を挙げます。対象経費の一覧は公募要領本文にはなく、交付規程と事務処理マニュアルに従う作りです。
対象にならない、または認められにくいもの
- 提案と同じ内容を、すでに実施している事業
- 他の研究費と、研究費の用途が重なっている部分(不合理な重複として、採択されないことがあります)
- 不必要に高額な研究設備の購入(過度の集中として扱われることがあります)
対象になるもの
- 水素の製造・貯蔵・運搬・利活用の機器や設備の効率化、低コスト化に関する技術開発や実証
- 研究員費(RA=リサーチアシスタントを含みます。本事業に直接従事する人は、すべて研究員登録が必要です)
- 研究内容や成果を社会へわかりやすく説明する「国民との科学・技術対話」の講演、成果展示、情報発信の経費(提案書に内容と必要額を書きます)
経費の区分ごとの細かい線は、公式ページに掲載されている交付規程と事務処理マニュアルで確かめてください。公募要領には書かれていませんでした。
申請の流れ
- GビズIDを取る(事業者→GビズID。プライムまたはメンバーのアカウント。取得に2週間以上かかる場合があります)
- 公募ページで公募要領と様式をそろえる(事業者→NEDO公募ページ。応募するフェーズを決めます)
- 提案書類を作る(事業者。共同提案のときは代表法人が取りまとめます)
- Jグランツで申請する(代表法人→Jグランツ。2026年10月19日(月)正午まで。再提出は期間内なら何度でもできます)
- 審査を受ける(外部有識者の採択審査委員会。必要に応じてヒアリングや代表者面談があります)
- 採択されたら、e-Radへの登録と交付申請をする(事業者→e-Rad・NEDO。契約・交付決定の前までに)
選定の日程は、公募要領で次のとおりです。
- 2026年12月上旬(予定):採択審査委員会
- 2026年12月中旬(予定):契約・交付審査委員会
- 2026年12月下旬(予定):採択先決定
- 1月下旬(予定):ウェブサイトで公表
- 2月下旬(予定):交付決定
公表と交付決定の年が、公募要領では「2026年」と書かれています。採択先決定より前の年になるため、実際の年はNEDOへ確かめてください。
必要な書類
準備できた 0 / 8
様式は公募ページの関係書類一式にあります。別添4は「事業開始年度の賃金を引き上げる旨の表明資料」で、出すかどうかは任意です。事業報告書と財務諸表は、Webで公表していればURLの記載でも構いません。
学術機関等(国公立研究機関、大学、国立研究開発法人など)は財務諸表が不要で直近の事業報告書だけを出します。設立から3年たっていない法人は、設立年度から直近までの分を出します。
もらえなくなるのはどんなとき
- GビズIDが間に合わない:GビズIDがないと、この公募には応募できません。取得に2週間以上かかる場合があり、締切に間に合わなければ受け付けられません。
- 実証フェーズに、前提なしで直接応募した:調査フェーズの実施か同等の実績がなければ、原則応募できません。
- 書類に不備がある:提出期限までに直せなければ、提案は無効です。受理されたあとでも、応募要件の不備が見つかれば無効になることがあります。
- ほかの研究費との重複や、事実と違う記載:不合理な重複や過度の集中と判断されると、不採択か採択の取り消し、または減額になります。他の研究費の応募・受入状況を事実と違う内容で書いた場合も同じです。
- 郵送やメールで出した:持参・郵送・FAX・メールでの提出は原則受け付けられません。
採択されたあとに待っていること
補助金は受け取って終わりではありません。公募要領に書かれている義務は次の3つです。
- 補助事業で取得した機械装置等には、処分の制限がかかります
- 補助事業の完了後は企業化に努め、5年後までの企業化状況報告書を毎年度出します。この提出は交付の条件です
- 企業化などで収益が出たと認められたときは、交付した補助金の全部または一部に当たる額を納付することがあります
申請の前にこの3つを自社の資金計画に入れておくと、採択後に慌てずに済みます。
よくある質問
中小企業やスタートアップでも応募できますか?
応募できます。応募要件は「企業・大学等」で、従業員数や資本金の上限は公募要領に書かれていません。採択審査では、中堅・中小・ベンチャー企業が直接の補助先で研究開発や事業化の重要な役割を担っている場合に加点されます。賃上げの表明やえるぼし・くるみん・ユースエールの認定も加点の対象です。規模よりも技術力と経理の裏づけ、事業化の計画が問われます。
調査フェーズをやっていなくても、実証フェーズに応募できますか?
原則はできません。ただし、旧事業「地域水素利活用技術開発」で調べたテーマや実施したテーマを発展させる場合は応募できます。水素・アンモニアに関するNEDO事業や他府省の類似事業などで調査フェーズと同等の成果を得ている場合も同じです。迷うなら、調査フェーズから応募する道があります。実証フェーズに進むときは、ステージゲート審査で継続の可否が判断される予定です。
補助率はいくらですか?
調査フェーズはNEDOが2/3、事業者が1/3を負担します。実証フェーズは、地域でのモデル構築実証と工場等のカーボンニュートラル化の実証が2/3以内、メーカーによる自社工場等での技術開発の実証が1/2以内です。ただし実際の補助率は、提案内容を総合的に見てNEDOが決めます。申請時の想定より低くなる可能性を、資金計画に見込んでおいてください。
補助の上限額はいくらですか?
調査フェーズは「1件当たり3千万円以内」です。実証フェーズは個別テーマの予算規模が提案内容次第のため、上限は設けられていません。ただし2026年度の全体予算は39.5億円(調査フェーズを含む)で、各提案の予算の必要性は厳しく審査されます。採択審査の結果や国の予算の変更で、提案額から減らすことを条件に採択候補となる場合があります。
申請はどこからしますか。郵送でも出せますか?
申請はJグランツだけです。持参・郵送・FAX・メールでの提出は原則受け付けられません。必要事項を入力し、提出書類を1つのzipファイルにまとめてアップロードします。ファイルにパスワードは付けられません。再提出は受付期間内なら何度でもできます。Jグランツが使えない事情がある場合は、提出期限の前にNEDOの担当者へ連絡して指示に従ってください。
GビズIDはどのアカウントが必要ですか?
「GビズIDプライムアカウント」または「GビズIDメンバーアカウント」のどちらかが要ります。公募要領は、GビズIDがないと本事業に応募できないと明記しています。取得には2週間以上かかる場合があるため、未取得なら最優先で手続きしてください。組織の形によってはGビズIDの取得そのものができない場合があり、そのときは提出期限の前にNEDOの担当者へ連絡する決まりです。
複数の会社や大学で共同提案できますか?
できます。複数の法人で共同提案するときは、代表法人が提出書類を取りまとめてJグランツで申請します。代表法人以外のJグランツ申請は要りません。採択後のe-Radへの登録も代表の事業者がまとめて行い、ほかの事業者は研究分担者の欄に研究者を登録します。国外の企業や大学等も、特別な研究開発能力や施設の活用で必要な場合は参画できます。
賃上げの表明は必須ですか?
必須ではありません。別添4「事業開始年度の賃金を引き上げる旨の表明資料」は任意の提出書類です。ただし、賃上げを実施すると表明した企業等は採択審査で加点されます。えるぼし認定(プラチナを含む)、くるみん認定(プラチナ・トライを含む)、ユースエール認定を受けた企業にも加点があります。加点の点数は公募要領に書かれていないため、点数の差までは分かりません。
質問や相談はどこにできますか?
公募要領では、内容に関する質問は説明会または事前相談で受け付ける扱いです。そのほかの問い合わせは2026年9月30日から10月7日の間に限り、NEDO 水素・アンモニア部 地域モデルチームのメール(hydrogen_valley@ml.nedo.go.jp)で受け付けています。審査の経過に関する質問には答えてもらえません。受付期間を過ぎている場合は、公募ページの説明会資料(2026年10月2日掲載)で疑問点を確かめてください。
締切は延長されますか?
延長される場合があります。公募要領は「応募状況等により、公募期間を延長する場合があります」と書き、延長時はNEDOの公募ページでお知らせするとしています。ただし延長は約束されたものではないため、2026年10月19日(月)正午を締切として準備するのが安全です。延長の有無は、申請の直前にもNEDOの公募ページで確かめてください。
大学や国立研究開発法人も応募できますか?
応募できます。応募要件は「企業・大学等」です。ただし国立研究開発法人が応募する場合、民間企業への委託や共同研究(資金の流れがないものを除く)は原則認められていません。学術機関等は財務諸表の提出が不要で、直近の事業報告書だけを出せば足ります。大学や国立研究開発法人で雇われる40歳未満の若手研究者が、事業の推進に役立つ自発的な研究活動をすることも認められています。
採択後に補助金を返すことはありますか?
あります。企業化などで収益が出たと認められたときは、交付した補助金の全部または一部に当たる額を納付することがあります。採択のあとに不合理な重複が分かった場合は、採択の取り消しや減額になります。補助事業で取得した機械装置等には処分の制限があり、補助事業の完了後は5年後まで企業化状況報告書を毎年度出す必要があります。報告書の提出は、交付を受けるための条件です。
