海外で技術を実証する前の準備段階である「実証設計」の費用を、NEDOが補助します。補助率は大企業が1/2以内、中小・ベンチャー企業が2/3以内です。プレエントリー面談を受けていない事業者は、応募できません。面談は8月24日から9月10日に終わっていて、申請の期限も9月1日でした。
この記事で扱うのは、補助事業の実証設計です。同じ公募ページには委託事業の「成立性調査」の公募もありますが、別の公募なので扱いません。
国際実証事業(実証設計)の要点まとめ
正式名:脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業(実証設計)
だれが
- 申請者
- 事業者(日本法人。海外現地法人は親会社と共同で提案)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 研究開発・実証事業
- 対象地域
- 全国(実証は海外が対象)
- 従業員数
- 公募要領に規定なし
いくら
- 補助上限額
- 最大約2,667万円(補助対象費用4,000万円以内の2/3)
- 補助率
- 大企業1/2以内、中小・ベンチャー企業2/3以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年9月25日〜2026年10月26日(正午)
- 事業の完了
- 事業期間は原則1年半以内(交付決定時に決定)
うちの会社は対象になる?
次の7つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 7
プレエントリー面談は、公募予告の期間中にNEDOと行う応募前の面談です。申請期限は2026年9月1日、面談の期間は8月24日から9月10日で、どちらも過ぎています。日本法人は登記法人で、海外現地法人は日本の親会社と共同で提案します。9分野は水素・アンモニア、再生可能エネルギー、半導体、AI・ロボットなどで、化石燃料の削減や脱炭素に役立つことが条件です。応募できる分野は1つだけで、面談で決めた分野と区分(成立性調査か実証設計)で出します。
相手国企業とは実証に向けた基本的な合意が要り、サポートレターを出せる状態を指します。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 海外安全情報レベル2以上の国で実証
- ✕ 相手国側に対象外の企業が含まれる
- ✕ 同じ課題を国の資金で実施済み・実施中
- ✕ プレエントリー面談を受けていない
海外安全情報は外務省のもので、国・地域ごとに見ます。対象外の企業は、外国ユーザーリスト掲載の企業や、国連の武器禁輸国・地域の企業です。国の資金は補助金や委託費で、同じ提案者が同じ課題を手がけた場合が当たります。
いくらもらえる?
補助の対象になる費用は、1テーマあたり4,000万円以内です。そこにNEDOの負担率をかけた額が補助額です。大企業は1/2以内、中小・ベンチャー企業は2/3以内です。
- 中小・ベンチャー企業が上限まで使う場合:4,000万円 × 2/3 = 約2,667万円
- 大企業が上限まで使う場合:4,000万円 × 1/2 = 2,000万円
- 中小企業が1,500万円の実証設計をする場合:1,500万円 × 2/3 = 1,000万円(自己負担は500万円)
補助金は、審査の結果や国の予算の変更によって、申請額から減額されることがあります。実証で作る機械装置にかける保険料は、補助対象費用に入れられません。
事業が終わったあとにも決まりがあります。実証で取得した財産は処分が制限され、事業終了後5年間は、企業化の状況の報告と収益納付(収益が出たときの補助金の納付)の義務があります。
何に使える?
対象にならないもの
- 実証で作る機械装置にかける保険料
対象になるもの(実証設計で実施する取組)
- 実証研究で導入する施設や設備の基本設計
- 実証研究の計画の詳細化
- 実証研究で目指す成果目標の確認
- 実証研究に必要な手続の検討
- 実証研究の期間中のリスク管理の具体化
- 提案技術が普及できるかどうかの詳細な検討
経費の細目は、国際実証研究費補助金交付規程の第6条に定められています。申請の前に、NEDOの公募ページから規程を開いて確かめてください。
申請から交付決定までの流れ
- プレエントリー面談を済ませている(事業者→NEDO。申請は9月1日まで、面談は8月24日から9月10日で、すでに終わっています)
- GビズIDを取る(事業者。「プライム」か「メンバー」のアカウント。2週間以上かかることがあります)
- 質問があればメールで送る(事業者→NEDO国際1課。2026年10月19日まで)
- 提案書類と財務書類をそろえる(事業者。事業概要書・提案書は1つのPDFにまとめます)
- Jグランツで申請する(事業者→NEDO。10月26日の正午まで)
- 審査を受ける(11月下旬に外部有識者の審査委員会。発表資料は締切後に出します)
- 採択、公表、交付決定(NEDO。2027年1月上旬に採択先が決まり、2月上旬に交付決定の予定)
- 実証設計を実施する(交付決定のあと。途中で事業化評価を受けると、実証研究へ進めます)
質問を送れるのは10月19日までです。申請の締切より1週間早い期限です。
申請はJグランツだけで、10月26日の正午までです。持参、郵送、FAX、メールでの提出は原則受け付けません。ファイルは提出書類ごとに作り、パスワードなしのzipにまとめます。出したあとに直したいときは、事務局に差し戻しを頼む必要があります。再提出できるのは受付期間内だけなので、頼むのは早めにしてください。
必要な書類
準備できた 0 / 10
チェックリストは実証設計用です。別添1はPowerPoint、別添3・5・6はExcelで、別添1と別添2は1つのPDFにまとめて出します。別添の番号は公募要領とNEDOの掲載ファイルに合わせました。応募手続きの説明資料は別添4にワーク・ライフ・バランスの認定状況を入れた番号で書かれていて、1つずつずれます。提出前に、公募ページのチェックリストで確かめてください。
サポートレターは相手国企業に作ってもらい、様式は自由です。事業報告書と財務諸表は、作っていない場合は新たに作ります。別添4は任意で出します。
提案者に外国法人が含まれる場合は、親会社が議決権の過半数を持つことを示す文書も出します。財務諸表の提出は、会社の規模にかかわらず免除されません。
もらえなくなるのはどんなとき?
- プレエントリー面談を受けていない:公募予告の期間中に受けていないと、応募を受け付けてもらえません。面談の期間はすでに終わっています。
- 締切に間に合わない:Jグランツの申請は、10月26日正午までです。過ぎた提案は受け付けられません。
- 書類に不備がある:期限までに直せない不備があると、提案が無効になります。受理されたあとでも、要件の不備が見つかれば無効になることがあります。
- 相手国企業との契約を結べない:実証設計のあとの実証研究では、相手国企業との契約(PA等)の締結が、開始の条件です。結べないと、事業化評価に通っても、実証研究を始められません。
- 取得財産を勝手に処分した:実証で取得した財産には処分制限があります。
よくある質問
プレエントリー面談を受けていませんが、応募できますか?
応募できません。公募要領と公募ページには、公募予告の期間中にプレエントリー面談を受けていることが、応募の条件だと書かれています。受けていないと、提出書類を受理してもらえません。公募予告のページによると、面談の申請期限は2026年9月1日、面談の期間は8月24日から9月10日で、どちらも終わっています。いまから面談を受ける方法は、公式ページにも公募要領にも書かれていません。まだ受けていない場合は、NEDOの国際1課に確かめてください。質問は10月19日までのメール受付です。公式ページには、面談で決めた内容に沿って応募するとも書かれています。
成立性調査と実証設計は、どちらかだけ応募してもよいですか?
実証設計の公募は、成立性調査を実施していなくても応募できます。成立性調査は委託事業の調査で、実証設計以降は補助事業として進みます。この記事で扱う補助事業の対象は、実証設計です。公式ページには、応募する技術分野と応募するフェーズ(成立性調査か実証設計か)は、プレエントリー面談で決めた内容に基づいて応募する、と書かれています。公募要領も提出書類も、2つの公募で別々に用意されています。
補助額は最大いくらですか?
補助対象費用が1テーマあたり4,000万円以内で、NEDOの負担率は大企業が1/2以内、中小・ベンチャー企業が2/3以内です。4,000万円まで使えば、大企業は2,000万円、中小・ベンチャー企業は約2,667万円が上限の目安です。補助金は、審査の結果や国の予算の変更によって、申請額より減ることがあります。自己負担分を用意できる経理の基礎があることも、応募資格の1つで、審査で見られます。
中小・ベンチャー企業の2/3は、どちらに当たれば使えますか?
公募要領には、負担率が大企業1/2以内、中小・ベンチャー企業2/3以内とだけ書かれています。中小・ベンチャー企業の範囲を定めた記載は、公募要領にありません。自社がどちらに当たるか迷う場合は、申請前にNEDOへ問い合わせてください。資金計画は、1/2の場合でも成り立つようにしておくと安全です。補助金は減額されることもあるうえ、どちらの率も「以内」なので、上限の率で交付されるとは限りません。
対象国はどこですか?
対象は、日本国外のすべての国・地域です。ただし外務省の海外安全情報の危険情報で、レベル2(不要不急の渡航は止めてください)以上に指定されている国・地域は除かれます。外国ユーザーリストに載る企業や、国連の武器禁輸国・地域の企業が、相手国政府機関や相手国企業に含まれる提案も対象外です。実証を考える国の危険情報は、先に確認しておきましょう。事業の開始後にレベルが上がると、事業を中止する場合もあります。
どんな技術が対象ですか?
水素・アンモニア、再生可能エネルギー、サーキュラーエコノミー、半導体・情報インフラ、AI・ロボット、バイオ・材料、自動車・蓄電池、航空機・宇宙、省エネルギーの9分野のいずれかです。どの分野でも、化石燃料の消費削減や脱炭素に役立つことが必須です。提案者が過去に実施した事業と比べて、技術や使い方に十分な違いがあることも求められます。コアとなる技術が日本のものであることも、審査の要件審査に入っています。
相手国企業のサポートレターは、どんなものですか?
実証研究に向けて、相手国企業と基本的な合意ができていることを示す文書で、別添7として出します。様式は決まっていません。実証設計の期間中には、相手国企業とのPA等(実証に必要な権利義務を定める契約文書)の内容に合意する必要があります。応募の段階から、相手国企業と役割や費用の分担を話し合っておいてください。この事業は、補助事業者が相手国企業と費用と業務を分けて進める形で、補助事業者が事業全体に責任を持ちます。
電子申請の準備は、いつまでに始めればよいですか?
Jグランツで申請するには、GビズIDのプライムかメンバーのアカウントが必要です。取得に2週間以上かかることがあります。公募の締切は10月26日の正午なので、まだ持っていない場合は、すぐに手続きを始めてください。GビズIDがないと応募できません。組織の形によってはGビズIDを取れない場合もあり、その場合や、Jグランツの障害で申請できない場合は、期限前にNEDO担当者へ連絡して、指示を受けます。応募状況によって公募期間が延長されることもありますが、延長は見込まないでください。
質問はいつまで送れますか?
公募内容についての質問は、2026年9月25日から10月19日までの間だけ、NEDO事業統括部国際1課のメールで受け付けます。締切の1週間前です。審査の経過についての問い合わせには応じてもらえません。公募要領を読んでわからない点は、早めにまとめて送ってください。自社が中小・ベンチャー企業に当たるかどうかも、この期間に確認しておくと安心です。提案の内容そのものについての質問には、答えてもらえません。
審査はどのように進みますか?
外部有識者による採択審査委員会で審査し、そのあとNEDO内の契約・交付審査委員会を経て決まります。必要に応じて、ヒアリングや追加資料の提出、代表者面談があります。採択審査委員会は11月下旬、契約・交付審査委員会は12月中旬の予定です。審査委員会では15分程度の発表を想定していて、発表用の資料は締切後に出します。採択先の決定は2027年1月上旬の予定で、不採択の場合は理由が通知されます。
賃上げを表明すると有利になりますか?
加点があります。給与等の受給者1人あたりの平均額を、事業開始年度に前年度より、大企業は3%、中小企業等は1.5%以上増やす、と表明して公表している企業が対象です。表明資料(別添4)は任意の提出です。ほかに、えるぼし、くるみん、ユースエールの認定企業も加点されます。アジア・ゼロエミッション共同体への寄与も、審査で見られる項目です。賃上げの表明は任意なので、出さなくても応募できます。
実証設計のあとはどうなりますか?
実証設計の期間中に実証研究に進む準備が整ったと判断したら、事業化評価を受けます。実現可能性と普及の見込みが十分に認められれば、実証研究に移れます。移るには、相手国企業とのPA等の基本合意が必要で、締結も実証研究の開始の条件です。さらに普及活動の支援が必要と認められれば、フォローアップに進めます。事業期間は、実証設計が原則1年半以内で、交付決定のときにNEDOと協議して決まります。
補助金をもらったあとに、守る決まりはありますか?
事業が終わったあとも、5年間は企業化の状況の報告が必要です。収益が出たときは、収益納付(補助金の一部の納付)の義務があります。実証で取得した財産には、処分の制限もかかります。採択される前に、国際実証研究費補助金交付規程と事務処理マニュアルを読んで、事業終了後の義務まで理解してから応募してください。規程には、取得財産の所有と処分制限、収入の控除、収益納付についての決まりがあります。
