太陽光パネルを、これまで置けなかった場所や使い方に広げる技術開発にNEDOが費用の2/3を出します。土地や施設の本来の機能と両立する製品の開発と実証から、発電設備を長く安定して動かす運転・保守の技術開発までが対象です。研究開発項目IIでは、応募の時点で開発するシステムと部材の基本性能評価が終わっていることが条件になります。
太陽光発電導入拡大等技術開発事業の要点まとめ
正式名:2026年度「太陽光発電導入拡大等技術開発事業」の第3回公募
だれが
- 申請者
- 事業者(企業・大学等。単独または共同)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 太陽光発電の研究開発・実証
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 規定なし(日本国内に研究開発拠点が必要)
いくら
- 補助上限額
- 項目II 年3億円/項目III 年1.5億円(1件あたり)
- 補助率
- 2/3(項目IIはステージゲート審査以降1/2)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月19日〜2026年11月25日(正午まで)
- 事業の完了
- 2029年度まで(最長4年)
この記事は補助の枠だけを扱います。研究開発項目IIIには委託の公募要領もありますが、費用の負担は別の決まりです。
補助枠は何を対象にしているか
今回の公募には2つの研究開発項目があります。
- 項目II「設置場所に応じた太陽光発電システム技術開発」:太陽電池モジュール(低コスト化・高効率化・軽量化・高意匠化・難燃化・高耐久化など)や、設置・施工の方法、設置後の維持管理の方法を開発します
- 項目III「発電設備の長期安定電源化技術開発」:高精度な発電予測、故障の予知を含むメンテナンス、制御のサイバーセキュリティといった運転・保守(O&M)の技術を開発します
項目IIでは、設置場所の制約を減らして太陽光の導入先を広げることが目標です。系統接続で事業化するなら、発電コスト(LCOE:1kWhあたりの発電にかかる費用)を10円/kWh以下にすることを2027年度の中間目標と2029年度の最終目標で示します。
項目IIIの目標は、運転維持費を10%以上下げるか、発電損失の低減や設備停止期間の短縮につながる技術を確立することです。
うちは応募できる?
次のすべてに当てはまれば、応募の見込みがあります。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
基本性能評価は、研究開発項目IIだけの条件です。項目IIIの要件には書かれていません。
次のどれかに当たると応募できません。
- ✕ 日本国内に研究開発拠点がない
- ✕ 基本性能評価が未了(項目II)
- ✕ 他の研究費と内容が重なる
応募には日本国内の研究開発拠点が要ります。国立研究開発法人が応募する場合は、民間企業への委託や共同研究を原則認めていません。
いくら出る?
NEDOの負担は、項目IIで事業開始当初が費用の2/3、ステージゲート審査(2027年度に行う継続可否の審査)以降は1/2です。項目IIIは4年間を通して2/3です。上限は項目IIが1件あたり年3億円で項目IIIが年1.5億円です。
計算例です。事業費は仮の数字です。
- 項目II・事業開始当初:年間の事業費1億5,000万円 × 2/3 = 1億円(自己負担5,000万円)
- 項目II・ステージゲート審査以降:年間の事業費1億5,000万円 × 1/2 = 7,500万円(自己負担7,500万円)
- 項目III:年間の事業費1億円 × 2/3 ≒ 6,667万円(自己負担は約3,333万円)
審査を通ると補助率が下がる年が来ます。項目IIで4年の計画を立てるときは、3年目以降の自己負担が増える前提で資金を組みます。
公募要領は、3億円と1.5億円が事業費の上限かNEDOの負担額の上限かを書いていません。提案書の様式は、補助対象費用の合計に補助率を掛けて補助金の額を出す形です。上限を超える提案も受け付けますが、必要性が十分でなければ採択後に予算を減らされます。
共同提案では、共同者の費用を足した額が1件分です。事業期間は4年より短くても構わず補助率は変わりません。
申請の流れ
- GビズIDを取る(事業者→デジタル庁。プライムかメンバーのアカウント。2週間以上かかることがあります)
- 公募要領と提案資料を取る(事業者→NEDOの公募ページ。応募する項目と、補助か委託かを選びます)
- 事前相談を申し込む(事業者→NEDO。メールで10月30日正午まで。任意)
- Jグランツで申請する(事業者→NEDO。11月25日正午まで。再提出は期間内なら何度でもできます)
- 審査を受ける(NEDO→事業者。採択審査委員会は12月25日に予定、採択先の決定は2027年1月下旬の予定)
- 交付決定を受ける(NEDO→事業者。2027年3月下旬の予定。採択後に交付申請書を出します)
共同提案では、代表の法人だけがJグランツで申請します。ほかの法人の申請は要りません。
必要な書類
準備できた 0 / 10
賃上げの表明資料は任意で、出すと審査で加点されます。事業シナリオと発電コスト算出シートは項目IIの資料です。項目IIIの提出書類には載っていません。
財務諸表は貸借対照表と損益計算書などです。設立から3年たっていない法人は、設立年度から直近までの分を出します。大学などの学術機関は、事業報告書だけで構いません。
加点になるのはどんなとき?
審査の基準は、事業の適合性・開発の優位性・計画の妥当性・企業化計画・実施体制と能力・提案の経済性です。次の場合は加点があります。
- えるぼし認定、くるみん認定、ユースエール認定を受けている
- 賃上げをすると表明する
- 中堅・中小・ベンチャー企業が直接の補助先で、重要な役割を担う
- 40歳以下の若手研究者が主任研究者か主要研究者に入っている
もらえなくなるのはどんなとき?
- 応募要件を満たさない:不備のある書類は受理されません。受理されたあとでも、要件の不備が分かれば無効になることがあります。
- 締切に遅れる:Jグランツでの申請は11月25日正午までです。持参・郵送・FAX・メールでの提出は原則受け付けません。
- 不合理な重複や過度の集中:同じ内容の研究に、別の研究費が重ねて出る場合です。採択されないことがあり、採択後に分かれば取消しや減額になります。
- 応募書類に事実と違う記載がある:他の研究費の受け入れ状況などに違いがあれば、不採択・採択取消し・減額の対象です。
- 企業化状況報告書を出さない:補助事業の完了後、5年後までの報告書を毎年度出すことが交付の条件です。
採択後に守る条件
- 補助事業で収益が出たときは、補助金の全部または一部を納めることがあります(収益納付)
- 補助事業で買った機械装置などは、処分に制限がかかります
- 研究成果の知的財産権は、補助先のものになります
- 契約や検査の手続きは、NEDOのシステムで行います。GビズIDが要ります
- 交付決定の前に、e-Rad(府省共通の研究開発管理システム)へ応募情報を入力します
補助事業の費用は、交付決定通知の日から計上できます。決定より前に使った費用は含められません。
よくある質問
補助と委託では何が違いますか?
補助は、事業者が費用の一部を自己負担し、残りをNEDOが出す形です。この記事の補助枠はNEDOの負担が2/3(項目IIは途中から1/2)です。委託はNEDOが事業を委託する形で、公募要領があるのは研究開発項目IIIだけです。委託の費用の考え方は委託の公募要領で確かめてください。申請はどちらもJグランツで、公募期間も同じです。
中小企業やスタートアップでも応募できますか?
応募できます。応募要件は「企業・大学等」で、資本金や従業員数の下限や上限はありません。中堅・中小・ベンチャー企業が直接の補助先で研究開発や事業化の重要な役割を担う場合は審査で加点されます。ただし、技術的な能力・自己負担分を用意できる経理の基礎・事業化の具体的な計画は求められます。法人の立ち上げ前なら、NEDOに個別に問い合わせます。
大学だけで応募できますか?
企業・大学等は単独でも複数でも応募できます。大学などの学術機関は、財務諸表の提出が要らず、直近の事業報告書だけで足ります。国立研究開発法人が応募する場合は民間企業への委託や共同研究を原則認めていません。補助先が委託した先からさらに別の企業や大学へ再委託することも認められていません。補助先が大学や企業へ委託できるのは主な開発を自分で担ったうえでの一部(原則50%未満)です。コンソーシアムを組むなら、共同提案として出します。
外国の企業や大学と組めますか?
日本国内に研究開発拠点があることが応募の要件です。公募に関するQ&Aは、外国の企業や大学との提案について、この要件を示して答えています。日本国内に拠点を持たない外国の機関は、応募の対象にならないと読めます。個別の事情はNEDOの担当者に確かめます。なお技術を外国に提供するときは外為法の許可が要ることもあります。公募要領の安全保障貿易管理の項目を読んでおきます。
項目IIの補助率は、ずっと2/3ですか?
ずっとではありません。項目IIは事業開始当初がNEDO負担2/3で、ステージゲート審査以降は1/2です。ステージゲート審査は2027年度に行い、継続するかどうかを決めます。審査では目標の達成度などを総合して判断します。項目IIIは事業期間を通して2/3のままです。補助率が下がる年の自己負担を申請の前に見積もっておきます。
事業期間は4年にしないといけませんか?
4年より短くても構いません。短くしても事業規模と補助率は同じです。公募要領は2026年度から2029年度までの最長4年の計画で提案書を作るよう求めています。ただし最初の交付決定は2026年度から2027年度の2年間だけです。2027年度のステージゲート審査を通った場合に残りの期間へ進みます。
応募のときに、技術はどこまでできている必要がありますか?
項目IIでは、応募の時点で開発するシステムと部材の基本性能評価が終わっている必要があります。評価が済んでいるかどうかは審査の基準にもなっています。項目IIIの要件には、この条件が書かれていません。どちらの項目でも事業化の具体的な計画と日本国内の研究開発拠点が要ります。提案書の様式で計画を数字で示します。
提案の内容について、事前に相談できますか?
事前相談は受け付けていますが、提案内容そのものへのコメントはもらえません。相談できるのは公募の趣旨に合っているかや、手続きの疑問です。申し込みは10月30日正午までで先着順です。相談は1事業者1回で1件30分、10月28日から11月6日の間に行われます。問い合わせのメールも11月6日までです。
提案書を出したあとに、差し替えられますか?
期間内なら再提出ができます。差し替えて処理されるので、初回の申請受付番号を書いてWebの入力フォームから出します。提出期限の11月25日正午までに必要な資料と記入事項がすべてそろっていないと、受け付けてもらえません。Jグランツの申請は、書類ごとにファイルを作り、パスワードなしで1つのzipにまとめます。
GビズIDがないと申請できませんか?
できません。Jグランツで申請するには、GビズIDのプライムかメンバーのアカウントが要ります。発行には2週間以上かかることがあります。組織の形態でIDが取れない場合や、システムの障害で申請できない場合は締切の前にNEDOの担当者へ連絡します。連絡せずに期限が過ぎると提案は受け付けてもらえません。
採択されたら、いつから費用を計上できますか?
補助事業では、交付決定通知の日から費用を計上できます。採択が決まるとNEDOが交付申請書などの作成を依頼します。出した申請書に問題がなければ交付決定の通知が来ます。決定は2027年3月下旬の予定です。委託の事業は契約日の2か月前から計上できます。補助と委託で始まりの日が違います。
共同提案のとき、書類や申請はどうなりますか?
提案書は1通です。申請は代表の法人がJグランツで行い、ほかの法人の申請は要りません。ただし別添の様式には、提案者ごとに作る書類があります。企業化計画など、共同者どうしで共有できない書類がある場合は公募事務局に相談します。e-Radへの登録は、参加するすべての研究者の分が原則必要です。
研究の成果の特許は、誰のものになりますか?
補助事業で得た知的財産権などの成果は、補助先のものになります。ただし成果を事業化して収益が出たときは補助金の全部または一部を納める場合があります。対象になるのは、企業化や産業財産権の譲渡・実施権の設定などで得た収益です。計算の方法は、NEDOの課題設定型産業技術開発費補助事業の事務処理マニュアルにあります。
