自動チェックイン機やPMS(ホテル管理システム)の導入費に、県の補助は出るのか。出ます。大分県内の宿泊施設なら、1施設あたり一般枠で300万円、賃上げ枠で340万円まで補助されます。ただし対象は「デジタルを使った省力化」に限られ、月額で払う利用料や、古い機器の単なる買い替えは入りません。
宿泊事業者DX推進事業費補助金の要点まとめ
正式名:宿泊事業者DX推進事業費補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 宿泊施設経営者(知事が認める経営関係者を含む)
- 利用目的
- 宿泊業務の省力化・生産性向上のためのシステム・機器の導入や改修
- 対象地域
- 大分県内
- 従業員数
- 規定なし(宿泊施設の経営者が対象)
いくら
- 補助上限額
- 340万円(賃上げ枠。一般枠は300万円。1施設あたり)
- 補助率
- 一般枠2/3以内、賃上げ枠3/4以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年8月3日〜2026年12月28日(予算の上限に達し次第、予告なく終了)
- 事業の完了
- 2027年2月20日まで(原則。実績報告もこの日まで)
自分の施設は対象になるか
次のすべてに当てはまれば、対象になる見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ すでに導入した設備やシステム
- ✕ 月額・リース・レンタルで使うもの
対象になるのは、旅館業法の許可か住宅宿泊事業法の届出を受けている施設の経営者です。本社が県外でも、施設が大分県内にあれば申請できます。民泊も、この届出があれば対象です。要綱が宿泊施設として挙げるのは、旅館・ホテル営業、簡易宿所営業、住宅宿泊事業の3つです。市町村が許可を受けた施設を民間が運営する場合は、契約書や指定管理の協定書など、両者の関係が分かる書類も出します。複数の施設を持つ場合は施設ごとに申請できますが、審査に時間がかかるため、県はまとめての申請を求めています。
いくら補助されるか
補助額は、対象経費に補助率を掛けた額です。消費税の課税事業者は、原則として消費税を除いた額で申請します。免税事業者や簡易課税事業者は、消費税を含めて計算できます。1,000円未満は切り捨てです。
- 一般枠で対象経費が300万円:300万円 × 2/3 = 200万円
- 一般枠で対象経費が450万円:450万円 × 2/3 = 300万円(上限にちょうど到達)
- 賃上げ枠で対象経費が300万円:300万円 × 3/4 = 225万円
- 賃上げ枠で対象経費が500万円:500万円 × 3/4 = 375万円 → 上限の340万円
賃上げ枠に入るには、2026年6月26日から2027年2月20日までに賃上げを実施し、1か月の賃金総額を賃上げ前の月より1.5%以上増やす必要があります。 たとえば賃上げ前の月が200万円なら、203万円以上です。残業代、賞与、各種手当、役員報酬、福利厚生費、法定福利費、退職金は数えません。
数える対象は、パートやアルバイトを含む全従業員の基本給に当たる月額賃金です。賃上げ前と後の賃金台帳の両方に載っている人だけを比べます。途中で退職した人や、後から入社した人は計算から外れます。時給や日給の人は、賃上げ前の労働時間と日数にそろえて比べます。実績報告では、賃上げ前の月と報告時点で直近の月の賃金台帳を出します。
何に使えるか、どこで線が引かれるか
線引きの基準は1つです。デジタルを使って業務の手間を減らす機器かどうか。県のQ&Aは、この基準で個別の機器を判断しています。
対象にならないもの
- 月額利用料、サブスクリプション、リース、レンタル
- すでに導入済みの設備やシステム(制度を知らずに買った場合も同じ)
- 中古品
- システムの単なる乗り換え、機器の単なる買い替え(古くなったWi-Fi機器やパソコンなど)
- 自社で開発する場合の社内の人件費(外部業者への開発委託費は対象)
- 食洗機やオーブンレンジなどの厨房機器(デジタルを使った省力化でないため)
- パンフレットなどの印刷費
- 税理士などへの相談費
- 宿泊施設から離れた場所にある飲食店の配膳ロボット
対象になるもの
- 自動チェックイン機、キャッシュレス決済端末
- PMS、自社サイトの予約機能、サイトコントローラー
- 清掃ロボット、清掃管理システム
- オーダーシステム、配膳ロボット
- インカム、温度管理システム、混雑状況の可視化システム
- 多言語の翻訳機、見回りの省力化に使う監視カメラ、ロボット芝刈り機
- 設置工事費と、導入と一緒に申請する保守・サポート費
上の例は県の例示で、これに限りません。ただし「対象になり得る」という扱いで、省力化や生産性向上に結びつくことが条件です。パソコンは答えが分かれます。事務局のQ&Aは、まだパソコンを持っていなければ対象、すでに持っていれば対象外としています。県の案内ページのQ&Aには、新しい管理システムの導入に合わせた買い替えなら申請できると読める回答もあります。買い替えを考えるなら、先に事務局へ確認してください。補助で買ったパソコンは、県外の施設や宿泊と関係のない仕事には使えません。配膳ロボットは、同じ敷地内でも宿泊客の食事会場になっている館内のレストランなら対象になる可能性があります。
勘違いされやすい点:宿泊税対応の改修補助との違い
県には、同じ事務局が扱う「宿泊税対応システム改修事業費補助金」があります。名前が似ていますが、対象が違います。
- 宿泊税対応システム改修事業費補助金:すでに入れているシステムを、宿泊税に対応させる改修(上限200万円)
- 宿泊事業者DX推進事業費補助金:DXに役立つシステム・機器の購入、導入、改修を広く対象にする
宿泊税への対応が目的でも、PMSを新しく入れるなら今回のDX推進補助金です。すでに使っているシステムを改修するなら改修補助です。迷う場合は事務局に聞くよう、県のQ&Aに書かれています。
両方に申請することはできます。ただし、同じ経費を二重に出すことはできません。
申請の流れ
- 事務局サイトで要綱と申請のポイントを読む(事業者→事務局。申請前に)
- 見積書を取る(事業者→業者。1件10万円を超えるなら複数社から)
- 電子申請フォームで申請する(事業者→事務局。2026年12月28日まで)
- 交付決定を待つ(県→事業者。審査から決定まで概ね1〜2か月)
- 導入して支払う(事業者。支払いは銀行振込が原則。補助金は後払いなので、代金はいったん全額を自分で払います)
- 全部の導入が終わってから実績報告を出す(事業者→事務局。完了から30日以内か2027年2月20日の早いほうまで。一部だけ先に報告はできない)
- 額の確定通知を受け、交付請求書を出す(事業者→事務局。その後に支払い)
申請は、事務局の特設サイトにある電子申請フォームから出すのが基本です。郵送や持参を希望する場合は、事務局に問い合わせます。県の案内ページには「準備中のためメールで送る」という旧い案内が残っているため、迷ったら事務局に確認してください。
審査に1〜2か月かかるため、12月28日の直前に出すと、2027年2月20日までの事業完了が間に合わないおそれがあります。 交付決定の前に発注した経費は対象外で、補助の対象になるのは交付決定通知の日からです。
交付決定の前に着手したい場合は、事前着手届(第6号様式)を出します。申請のあとに「事前に着手したい理由」を書いて出し、届出以降の経費が対象になります。次の3つに同意する内容で、交付が決まらなかったり、決定額が申請額に届かなかったりしても異議を申し立てられません。また、着手から交付決定までの間は計画を変えられず、天災による損失は自分で負担します。
必要な書類
準備できた 0 / 8
随意契約理由書は、見積書が1社からしか取れないときだけ要ります(税込みの金額を書きます)。賃上げ枠の誓約書は賃上げ枠で申請するときだけ、事前着手届は事前に着手するときだけです。押印は不要です。
見積書は、宛名が自社で、日付が交付申請日以前のものを出します。商号と会社所在地が書かれ、有効期限が切れていないことが条件です。「一式」ではなく、作業内容や単価の内訳が分かるものを求められます。申請のポイントと事務局のQ&Aは複数社の見積を「10万円を超える」ものとし、様式の注記は随意契約理由書を「契約金額10万円以上」としています。10万円ちょうどの前後は、複数社から取っておくと迷いません。
実績報告のときは、契約書か見積書の写し、写真、領収書か請求書の写し、財産管理台帳の写しを出します。賃上げ枠では賃金増加率計算表(第15号様式)、対象外従業員の一覧(第16号様式)、賃金台帳の写しが加わります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 導入済みの機器を計上した:交付決定前に買って導入を終えた設備は対象外です。
- 追加で申請した:申請は1施設につき1回だけです。上限に余りがあっても、2回目の申請はできません。
- 交付決定後に経費を足した:実施計画にない支出や補助額の増加は認められません。
- 期限までに事業が終わらなかった:2027年2月20日までに事業を完了して実績報告を出せないと、補助金の支払いが難しくなります。
- 変更の承認を取らなかった:補助対象経費が20%を超えて増減する場合や、機械の種類を変える場合は、発注や契約の前に変更承認申請書(第7号様式)を出します。
- 予算がなくなった:受付は受付順で、期間内でも予告なく終了することがあります。
受け取ったあとの決まり
補助金で買った機器は、補助事業が終わった年度の翌年度から5年間、関係書類を保存します。機器は財産管理台帳で管理します。1件あたり取得価格が50万円以上の財産を処分するときは、知事の承認が必要です。処分が制限される期間は、減価償却資産の耐用年数に応じた期間です。承認なく売ると、残りの価値に応じた額を返す場合があります。
よくある質問
本社が県外でも申請できますか?
できます。旅館業法の許可か住宅宿泊事業法の届出を受けた宿泊施設が大分県内にあれば、本社の所在地は問われません。外資系の法人も同じです。申請の単位は施設で、補助上限額も許可または届出に記載された施設ごとに適用されます。敷地内の5棟のコテージをまとめて1件の許可で営んでいる場合は、1施設として数え、上限は300万円です。
民泊や簡易な宿でも対象になりますか?
住宅宿泊事業法の届出を受けた民泊も対象です。対象の線は、旅館業法の許可か住宅宿泊事業法の届出があるかどうかで、施設の種類や規模では決まりません。事業承継で休業中の許可を引き継いで開業準備をしている場合も、許可を受けていれば申請できます。申請のときは、許可または届出を受理されたことが確認できる書類を添えます。
月額で払うシステムは対象になりますか?
月額利用料、サブスクリプション、リース、レンタルの費用は対象外です。自動チェックイン機やサイトコントローラーのような対象になり得る機器でも、補助されるのは導入にかかる費用だけです。月額制のシステムを入れる場合は、初期の導入費や設定費など、月額と分けられる費用がどれかを、見積書で内訳として示せるようにしておくと確認がしやすくなります。
すでに買った機器は申請できますか?
できません。すでに導入した設備やシステムは対象外です。制度を知らずに4月にインカムを入れたという質問に、県は対象外と答えています。これから買うものでも、原則として交付決定の通知を受けてから発注や契約をします。決定前に着手したい場合は、事前着手届を出した日以降の経費だけが対象です。
申請は何回できますか?
1施設につき1回だけです。8月に清掃ロボット、11月に自動チェックイン機のように分けて申請することはできません。補助上限額に余りがあっても、2回目は受け付けられません。交付決定を受けたあとに別の機器を追加して計上することも認められないため、入れたい機器は最初の申請にまとめてください。
宿泊税対応システム改修補助と両方使えますか?
両方に申請できます。ただし対象経費は別々です。宿泊税に対応するために既存システムを改修する費用は改修補助、PMSの新規導入などDXに役立つ費用はこのDX推進補助金です。同じ経費を両方に出すことはできません。契約を分けるか、見積書の内訳を分けておくと、どちらの経費か区別しやすくなります。
賃上げ枠の条件は何ですか?
2026年6月26日から2027年2月20日までに賃上げを実施し、1か月の賃金の総支給額が賃上げ前の月より1.5%以上増えていることです。対象はパート・アルバイトを含む全従業員で、賃上げ前後の台帳に両方載る人だけを比べます。残業代、賞与、各種手当、役員報酬、福利厚生費、法定福利費、退職金は数えません。賃上げ枠で申請するときは、誓約書(第5号様式)を出します。県は賃上げ枠のQ&Aも別に公開しているため、数え方で迷ったら読んでください。
見積書は何社から取りますか?
県のQ&Aでは、見積書1件の金額が10万円を超える場合は、複数の事業者から相見積もりを取ります。様式の注記は「契約金額10万円以上」とあるため、10万円前後は複数社から取るのが安全です。やむを得ない理由で1社しか取れないときは、随意契約理由書を出します。見積書は、システム一式のような書き方でなく、対象経費が確認できる詳しい内訳で作ってもらってください。有効期限が切れていても、申請日に有効であれば取り直しは不要です。
交付決定までどれくらいかかりますか?
審査から交付決定まで、概ね1〜2か月かかります。その間に見積もりの金額が上がった場合、上がった分は申請者の負担です。書類に不備があると、事務局が訂正や追加を求めます。事務局が示す期限までに対応しないと、補助金が支払えなくなることがあります。メールの返信が早いうちに動くのが安全です。
補助金はいつ支払われますか?
交付決定を受けただけでは支払われません。計画した事業をすべて完了して実績報告を出すと、額の確定通知が届きます。そのあと交付請求書を事務局に送り、県の内部決裁を経て支払われます。複数の施設をまとめて申請した場合も、振込先の口座は1申請につき1つです。支払いは銀行振込が原則で、現金払いのときは領収書を必ず残してください。
受付はいつまでですか?
事務局の受付期間は2026年8月3日から12月28日までです。ただし予算の上限に達すると、期間の途中でも事前の予告なく終了します。県は、必要と考える予算を確保したと説明していますが、受付は先着順の扱いです。審査に1〜2か月かかることも考えると、導入したい機器が決まっているなら早めに見積もりを取って出すほうが安全です。
離れた場所のレストランの配膳ロボットは対象ですか?
宿泊施設から離れた場所にある飲食店の機器は、同じ法人が運営していても対象外です。この補助金が対象にするのは、旅館業法や住宅宿泊事業法の宿泊施設における業務の省力化だからです。同じ敷地内にあり、食事付きプランの朝食や夕食の会場になっているなど、実質的に宿泊施設の一部として動いている飲食店なら、対象になる可能性があります。
