相模原市のこの補助金には、ほかの省エネ補助金にはない条件があります。対象を、環境省の認証制度「エコアクション21(EA21)」の取得事業者に限定している点です。単に古い設備を入れ替えるだけでなく、環境経営に取り組んできた事業者を対象にする設計になっています。
補助対象は、EA21を取得した市内中小規模事業者です。空調・照明・給湯などの省エネ設備更新費用の3分の1(上限100万円)が補助されます。令和8年度の申請受付は2026年5月15日〜10月30日ですが、先着順のため予算の範囲を超えた時点で期間内でも受付終了します。
エコアクション21(EA21)とは何か
エコアクション21は、環境省が策定した中小事業者向けの環境マネジメントシステム(EMS)の認証・登録制度です。国際規格のISO14001と目的は近いものの、書類作成やコンサルティングの負担が重く中小企業には導入しにくいという課題を踏まえ、中小事業者でも無理なく取り組める水準に設計されています。
認証・登録を受けるには、自社のCO2排出量やエネルギー使用量を把握したうえで削減目標を立て、一定期間の環境経営の取組を実践・自己チェックし、外部への公表を経て、エコアクション21審査人による審査に合格する必要があります。一般的には取組開始から認証まで8〜10ヶ月程度、費用は審査費用(審査員1人日あたり5万円が目安とされる)と登録料をあわせて総額30万円前後が目安とされています()。認証・登録は2年ごとの更新が必要で、更新のたびに更新登録料等がかかります。
つまり相模原市のこの補助金は、EA21をすでに持っている(または今後取得する)事業者への"次の一歩"の支援という位置づけです。これから省エネ設備を入れ替えたい事業者は、EA21未取得の場合は補助金の対象になるまでに認証取得の期間を見込んでおく必要がある点に注意してください。
対象になる事業者の要件
補助対象になるのは、次のすべてに該当する中小規模事業者です。
- エコアクション21の認証・登録を取得していること(直近の環境経営レポートで、CO2排出量・エネルギー消費量の削減について目標が定められていること)
- 市内に事業所を置き、1年以上継続して事業を営んでいること
- 市税に未納がないこと(市外在住の個人事業者は、居住する市区町村税に未納がないこと)
- この補助金の交付を過去に2回以上受けていないこと
- 相模原市の他の補助金を受けていない、または受ける予定がないこと
認証の証明として求められるのは「直近の環境経営レポート」で削減目標が定められていることであり、EA21を取得しているだけでは足りず、レポート内に具体的な数値目標が記載されている必要がある点は見落としやすいポイントです。
対象になる設備・補助対象経費
対象設備は次の6区分です。
- 高効率空調設備
- 高効率照明設備
- 高効率給湯設備
- 業務用冷凍冷蔵設備
- 交流電動機
- 変圧器(トップランナー基準達成設備のみ)
補助対象経費は、設備費(機械装置・建築資材等の購入等に要する経費)、工事費(据付等の工事に要する経費)、諸経費(補助対象事業に直接必要な経費および間接工事費)の3区分です。一方で、消費税・地方消費税、土地の取得・賃借料、既存設備の廃棄処分経費は対象外と明記されています。
補助率と上限額・下限額は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 補助対象経費(他の補助金等がある場合は控除後)の3分の1以内 |
| 補助上限額 | 100万円 |
| 補助対象事業の下限額 | 補助対象経費(控除後)が30万円以上であること |
つまり、補助対象経費(控除後)が30万円未満の小規模な入れ替えは対象外になる一方、300万円の投資であれば上限いっぱいの100万円まで補助される計算です。
補助額のシミュレーション:業種別に見る
実際の投資額に当てはめて、異なる業態で3パターン試算してみます。
- 食品加工業が業務用冷凍冷蔵設備を高効率タイプに入れ替え: 設備費・工事費合計240万円なら、3分の1の80万円が補助額。上限100万円の範囲内に収まるケース
- 印刷業が老朽化した高効率空調設備一式(複数台)を更新: 設備費・工事費合計360万円の場合、3分の1は120万円だが上限100万円が適用され、実際の補助額は100万円。上限を超えた60万円分(120万円−100万円の差額を含む自己負担)は自社資金でまかなう必要がある
- 金属加工業が変圧器(トップランナー基準達成品)と高効率照明設備をあわせて更新: 設備費・工事費合計90万円なら、3分の1の30万円が補助額。控除後の対象経費が30万円以上という下限要件も満たすライン
いずれのケースも、補助対象経費(控除後)が30万円に届くかどうかと、投資額が300万円を超えると上限100万円で頭打ちになるという2点を踏まえて、複数設備をまとめて申請するかどうかを検討するのが実務上のポイントです。
申請の流れ:交付決定"前"の契約・発注は対象外
補助金は「交付申請」→「交付決定」→「契約(発注)・工事着手」→「実績報告」の順で進みます。相模原市の公式ページでも「交付申請を行い、交付決定の後に、契約(発注)・工事着手してください」と明記されており、交付決定前に発注・工事に着手すると補助の対象外になる点が最大の注意点です。
タイミング別に整理すると、次のようになります。
- 交付申請(契約・発注前): 令和8年度の申請様式一式(交付申請書・見積書の写し等)をそろえ、郵送(必着)または相模原市ゼロカーボン推進課窓口に提出
- 交付決定後: 決定通知を受けてから設備の契約(発注)・工事に着手
- 実績報告: 設備の設置完了後、支払いを証する書類等とあわせて実績を報告()
受付期間は令和8年5月15日(金曜日)〜令和8年10月30日(金曜日)ですが、先着順のため、申請受付期間内であっても申請金額が予算の範囲を超えた日をもって受付終了します。設備の入れ替えを検討しているなら、EA21の認証状況(未取得なら取得スケジュール)と合わせて、早めに交付申請の準備を進めるのが安全です。申請様式はWord・Excel版、PDF版、記入例が相模原市公式ページからダウンロードできます。
国の省エネ補助金ともあわせて検討したい
相模原市のこの補助金はEA21取得済み(または取得予定)の中小規模事業者を対象にした地域限定の制度ですが、対象設備の種類が近い制度として、国が実施する省エネ設備向けの補助金もあります。
国の省エネ設備の補助金もあわせて検討したい方は、こちらの記事で解説しています。
省エネ設備の入れ替え以外にも、自社が対象になる補助金・助成金が他にないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。
EA21認証の取得状況の整理や、交付申請のタイミング設計に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。
よくある質問
エコアクション21を取得していないと申請できませんか?
申請できません。相模原市の公式要件では、直近の環境経営レポートでCO2排出量・エネルギー消費量削減の目標が定められていることが前提です。未取得の場合はまずEA21の認証・登録取得から検討する必要があり、一般的に取得までは8〜10ヶ月程度かかるとされています()。
対象設備の購入費だけでなく工事費も対象になりますか?
対象になります。補助対象経費は「設備費」(機械装置・建築資材等の購入費)、「工事費」(据付等の工事費)、「諸経費」(直接必要な経費・間接工事費)の3区分です。ただし消費税・地方消費税、土地の取得・賃借料、既存設備の廃棄処分経費は対象外です。
交付決定前に設備を発注してしまったらどうなりますか?
対象外になります。相模原市の公式ページには「交付申請を行い、交付決定の後に、契約(発注)・工事着手してください」と明記されています。見積り取得の段階までは進めてよいものの、正式な発注・契約・工事着手は必ず交付決定の通知を受けてからにする必要があります。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・補助率・対象設備・申請要件・予算状況・EA21認証取得の期間や費用の目安は変更される場合があるため、申請前に必ず相模原市の公式ページおよびエコアクション21地域事務局かながわ等の関係機関で最新の内容をご確認ください。
出典:
