さいたま市は2050年までに、二酸化炭素の排出を実質ゼロにすると宣言しています。この目標を後押しするために始まったのが、重点対策加速化事業補助金です。

対象になるのは、市内で事業を営む事業者です。太陽光発電は出力1kWあたり5万円が補助され、上限はありません。蓄電池は導入費用の3分の1が対象になります。

受付期間は、令和8年6月15日から令和9年2月1日までです。ただし予算9,117万1,000円に達し次第、期間内でも受付を終えます。先着順のため、検討しているなら早めの動きが安全です。

なぜさいたま市はこの補助金を用意しているのか

さいたま市は2050年二酸化炭素排出実質ゼロ(ゼロカーボンシティ)を掲げており、環境省の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金(重点対策加速化事業)」を活用して、市内事業者の再エネ設備導入を後押ししています。令和8年度の予算額は9,117万1,000円で、先着順の運用のため、予算に達した時点で受付期間内でも終了します。

対象になるのは「市内の事業所を所有する事業者」または「市内の事業所を日常的に使用する事業者」です。自社で設備を保有する場合だけでなく、リース契約・PPA契約(第三者所有モデル)で導入する場合は、リース事業者やPPA事業者が申請者になります。中小企業・大企業といった規模による限定は設けられていません。

対象になる設備・要件を具体例で見る

対象設備は太陽光発電設備と蓄電池の2種類で、それぞれ次の要件があります。

  • 太陽光発電設備: 太陽光パネルの出力またはパワーコンディショナーの出力のうち、いずれか小さい値が12kWを超えるもの。発電量の50%以上を自家消費する必要があります(埼玉県内の需要家による消費分は20%まで自家消費分に含められます)
  • 蓄電池: 太陽光発電設備と一体で導入する場合に限り対象。単独導入の蓄電池は対象外です

事業実施期間(設備の設置工事期間)は令和8年4月1日〜令和9年3月1日です。

具体的な導入イメージを業種別に見てみます。

  • 食品製造業の工場: 屋根に太陽光発電設備60kWを新設。自家消費率50%以上を満たせば、蓄電池を併設しなくても太陽光単体で申請できる
  • スーパーマーケット(小売業): 太陽光発電20kW+付帯の蓄電池20kWhをセットで導入。停電時のバックアップ電源も兼ねたいというニーズに対応できる
  • 倉庫・物流業の配送拠点: 太陽光発電45kW+大容量の蓄電池30kWhを導入し、フォークリフトの充電設備などへの自家消費を高める

補助額のシミュレーション:業種別に見る導入イメージ

補助額は設備ごとに計算方法が異なります。

対象設備補助率・補助額の計算式補助金額の上限
太陽光発電設備出力(kW、小数点切り捨て)× 5万円上限なし
蓄電池導入費用 × 3分の1(1,000円未満切り捨て)単価上限あり(下表参照)
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蓄電池は「導入費用が高すぎる設備」で補助額が際限なく膨らまないよう、容量に応じた単価の上限(工事費込み・税抜き)が設定されています。

蓄電池の容量対象経費の単価上限補助率
20kWh以下1kWhあたり15.5万円3分の1
20kWh超1kWhあたり19万円3分の1
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この計算式にもとづいて、先ほどの3業種の導入イメージを試算すると次のようになります。

  • 食品製造業の工場(太陽光60kWのみ): 60kW × 5万円 = 300万円太陽光発電単体には補助上限がないため、規模の大きい屋根置き設備ほど補助額も比例して大きくなります
  • スーパーマーケット(太陽光20kW+蓄電池20kWh、蓄電池の見積単価16万円/kWh): 太陽光は20kW × 5万円 = 100万円。蓄電池は容量20kWh以下のため単価上限15.5万円/kWhが適用され、対象経費は20kWh × 15.5万円 = 310万円、その3分の1で約103万円。合計で約203万円
  • 倉庫・物流業(太陽光45kW+蓄電池30kWh、蓄電池の見積単価18万円/kWh): 太陽光は45kW × 5万円 = 225万円。蓄電池は容量20kWh超のため単価上限19万円/kWh(30kWh × 19万円 = 570万円)の範囲内で見積額540万円がそのまま対象経費となり、その3分の1で180万円。合計で約405万円

いずれも見積もりの単価次第で補助額が変わるため、複数の施工業者から見積もりを取り、蓄電池の単価が容量ごとの上限に収まっているかを確認しておくと試算のズレを防げます。

申請から交付までの重要なタイミングと必要書類

申請は電子申請サービスまたは郵送で受け付けています。令和8年度の交付申請の受付期間は6月15日〜令和9年2月1日ですが、予算(9,117万1,000円)に達し次第、期間内でも受付を終了する先着順の運用です。予算枠が限られているため、導入を検討している場合は早めの申請が有利になります。

タイミング別に必要な書類を整理すると、次のとおりです。

  1. 交付申請時: 交付申請書(様式第1号)、誓約書兼チェックリスト(様式第2号)、補助事業概要報告書兼事業結果報告書(様式第3号)、見積書・見積内訳書の写し、設備仕様書、現況写真、さいたま市法人市民税納税証明書の写し、登記事項証明書(法人の場合は履歴事項全部証明書)
  2. 実績報告時: 交付決定通知の到着後〜令和9年3月1日までに提出。工事完了後の実績報告書や請求関係書類一式
  3. 交付後5年間: 補助金交付年度を含む5年度分、毎年度終了後2か月以内に自家消費割合の報告が必要。報告がない場合や自家消費率が50%を下回った場合、補助金決定の取消につながる可能性がある

個人の住宅向けに太陽光・蓄電池の補助金はある?

この「重点対策加速化事業補助金」は事業者向けの制度で、個人の住宅は対象になりません。さいたま市は住宅向けの太陽光発電・蓄電池単独の補助金は実施しておらず、代わりに共同購入事業「みんなのおうちに太陽光」を案内しています。個人で自宅への太陽光発電・蓄電池の導入を検討している場合は、この共同購入事業や、埼玉県が実施する個人向け補助金制度もあわせて確認するとよいでしょう。

国の省エネ・再エネ設備の補助金もあわせて検討したい方は、こちらの記事で解説しています。

あわせて読みたい【全国】省エネ補助金とは?LED・空調・ボイラーの入れ替えでいくらもらえる?対象設備と締切空調も、ボイラーも、照明も。古い設備ほど、電気代がじわじわ効いてきます。入れ替えたいのは山々でも、初期費用の壁で止まる。よくある話です。 そこで使えるのが「省エネ・非化石転換補助金」(通称・省…12分で読めます

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自家消費率50%以上の要件の満たし方や、蓄電池の単価上限の見積もり調整など、実務の進め方に迷う場合は専門家に相談するのも一つの手です。

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よくある質問

蓄電池だけを単独で導入しても対象になりますか?

対象になりません。この補助金の蓄電池は太陽光発電設備と一体で導入する場合に限り補助対象です。既設の太陽光発電設備に後から蓄電池だけを追加するケースが対象になるかどうかは、申請前に窓口へ確認することをおすすめします。

太陽光発電の自家消費率50%はどう判定されますか?

年間の発電量のうち、自社の事業所内で使用する電力量の割合で判定されます。埼玉県内の需要家(他の事業所等)に供給する分は20%を上限に自家消費分としてカウントできるとされています。交付後も5年間、毎年度の自家消費割合の報告が必要で、報告を怠ったり50%を下回ったりすると補助金決定が取り消される可能性があります。

リース会社やPPA事業者が設置する設備でも補助を受けられますか?

対象になります。事業者が自社で設備を保有する場合だけでなく、リース契約またはPPA契約(第三者所有モデル)で太陽光発電・蓄電池を導入する場合は、リース事業者またはPPA事業者が申請者として補助金を受け取ります。


免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・補助率・対象経費・申請要件・受付期間は変更される場合があるため、申請前に必ずさいたま市の公式ページおよび最新の交付要綱で内容をご確認ください。

出典: