障害のある人が職業訓練を受けるあいだにもらえるお金は、雇用保険を受けられるかどうかで2つに分かれます。雇用保険の基本手当を受けられる人は、基本手当に受講手当(日額500円)と通所手当が付きます。受けられない人は、収入と資産の条件を満たせば職業訓練受講給付金として月10万円が出ます。どちらにも、通所手当(月の上限4万2,500円)と、家族と別居して寄宿する場合の寄宿手当(月1万700円)があります。
障害年金は、この月10万円の給付金では本人の収入に数えます。厚生労働省の案内に「各種年金」を含むと書かれているためです。本人の収入は月8万円以下が条件なので、年金額によっては給付金の対象から外れます。この点は上位の記事でも書き方が割れていて、障害年金は収入に入らないと書くページもあります。公式の案内に沿って、後の節で詳しく整理しました。
障害者向けの職業訓練そのものは、授業料が無料です。訓練は3種類あります。国立や都道府県立の障害者職業能力開発校、一般の職業能力開発校の障害者コース、民間機関などに委託する訓練です。申込みはどれも住所地のハローワークから始まります。
この記事は、訓練を受ける本人が受け取れるお金を扱います。会社が障害者に訓練をするときの事業主向けの助成金は、本人の給付金とは別の制度なので、後半で入口だけ案内します。障害者手当や医療費助成などの一覧は、障害者の補助金の記事にまとめています。
障害者職業訓練の給付金は3つに分かれる
「障害者職業訓練の給付金」と検索すると、似た名前の制度が一度に出てきます。訓練を受けるあいだの生活を支えるお金は、次のように整理できます。
| 制度 | 対象になる人 | 主な内容 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 雇用保険の基本手当・受講手当・通所手当・寄宿手当 | 雇用保険の受給資格があり、ハローワーク所長の受講指示を受けた人 | 基本手当に加えて、受講手当が日額500円(上限2万円)、通所手当が月の上限4万2,500円、寄宿手当が月1万700円 | 住所地のハローワーク |
| 職業訓練受講給付金(職業訓練受講手当・通所手当・寄宿手当) | 雇用保険を受けられない人で、収入・資産などの条件を満たす人 | 職業訓練受講手当が月10万円、通所手当、寄宿手当 | 住所地のハローワーク |
| 通所手当のみの支給 | 受講給付金の収入条件は超えるが、本人月12万円以下かつ世帯月34万円以下などを満たす人 | 通所手当 | 住所地のハローワーク |
名前に「失業保険」「訓練手当」「受講給付金」「訓練延長給付」といろいろ出てきますが、元をたどると雇用保険の手当か、雇用保険を受けられない人のための給付金のどちらかです。まず自分が雇用保険の受給資格を持っているかを確かめると、読むべき節が決まります。
雇用保険の受給資格があるかどうかは、離職前の勤務先で雇用保険に入っていた期間などで決まります。離職票が手元にあるなら、ハローワークの窓口で受給資格を確認してもらえます。「仕事を辞めたことがない」「雇用保険に入らない働き方だった」という人は、2つ目の職業訓練受講給付金の対象になる可能性があります。
事業主向けの助成金とは別のもの
検索結果の上位には、厚生労働省の「人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)」のページも出ます。これは障害者の職業訓練を継続して行う施設を設置・運営する事業主や事業主団体に出る助成金で、訓練を受ける本人がもらうお金ではありません。厚生労働省のページには、令和6年度から独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が支給業務を行う障害者雇用納付金制度の助成金に移管したと書かれています。
事業主や施設の運営者が使う制度なので、この記事では扱いません。会社側の助成金は、障害者雇用に関する助成金を扱う窓口と記事で確かめてください。
障害者向けの職業訓練にはどんな種類があるか
給付金の話に入る前に、そもそもどんな訓練があるかを押さえておきます。給付金の条件は、受ける訓練によって少しずつ変わるためです。厚生労働省の「ハロートレーニング(障害者訓練)」のページには、次の実施先が載っています。
障害者職業能力開発校と国立のリハビリテーションセンター
障害のある人のための職業訓練を専門にする学校です。厚生労働省のページに載っているのは次のとおりです。
- 国立職業リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市。国が設置し、機構が運営)
- 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター(岡山県吉備中央町。国が設置し、機構が運営)
- 国が設置し都道府県が運営する障害者職業能力開発校(北海道、宮城、東京、神奈川、石川、愛知、大阪、兵庫、広島、福岡、鹿児島)
- 府県が設置・運営する障害者職業能力開発校(青森、千葉、岐阜、静岡、京都、兵庫)
数え上げると全国で19校です。自分の住んでいる県に障害者職業能力開発校がない場合は、次に挙げる一般校の障害者コースや委託訓練を探すことになります。東京障害者職業能力開発校のように、寮を備えている学校もあります。
一般の職業能力開発校の障害者コース
都道府県が設置・運営する一般の職業能力開発校のうち、障害者向けのコースを設けている学校があります。障害のない人と同じ校舎で、障害のある人向けに配慮したコースを受ける形です。どの県のどの学校にあるかは、厚生労働省のページにリンクされている一覧のPDFで確かめられます。
障害者の多様なニーズに対応した委託訓練
障害のある人の身近な地域で、企業や社会福祉法人、民間機関などに委託して実施する訓練です。厚生労働省は都道府県ごとの案内ページをまとめたPDFを公開していて、東京都なら東京しごと財団、そのほかの県は各県のページに募集が出ます。
東京都の委託訓練の案内には、訓練コースの種類として次の5つが載っています。就職に必要な知識・技能の習得を目指す知識・技能習得訓練コース、職場実習を一体的に行う障害者向け日本版デュアルシステム、実際の職場環境を使う実践能力習得訓練コース、在宅でインターネット経由でIT技能を学ぶe・ラーニングコース、企業で働いている障害者向けの在職者訓練コースです。在宅で受けられる訓練は、通所が難しい人にとっての選択肢になります。
一般の求職者向けの訓練
障害者向けではない、一般の公共職業訓練や求職者支援訓練も、障害のある人が受講できます。厚生労働省の「ハロートレーニングの全体像」の資料では、期間は訓練ごとに整理されています。障害者向けの訓練は概ね3か月から1年です。一般の離職者向けの公共職業訓練は概ね3か月から2年、求職者支援訓練は2か月から6か月です。
求職者支援制度の公式ページには、訓練を受ける要件として次の4つが書かれています。
- ハローワークに求職の申込みをしていること
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
この4つに障害者手帳の有無はありません。手帳を持っていなくても、一般の求職者支援訓練は対象になり得ます。一方、障害者職業能力開発校と委託訓練は手帳か、それに代わる判定書・診断書などが必要です(手帳の話は後の節で扱います)。
訓練の費用と就職率
障害者向けの訓練は、授業料が無料です。東京障害者職業能力開発校の案内では、教科書は支給され、教材は貸与されます。作業服などは自己負担です。一般の職業訓練や求職者支援訓練も「無料(テキスト代等を除く)」と全体像の資料に書かれています。
就職率は、厚生労働省の資料に令和7年度の暫定値があります。障害者訓練(離職者訓練のうち施設内)は、受講者1,187人で就職率が67.9%でした。内訳は、国立の機構営が319人で81.9%、国立の都道府県営が710人で63.3%、都道府県立が158人で70.3%です。訓練の分野や障害の種類で差が出る数字なので、1つの目安として見てください。
障害者職業訓練の給付金はいくらか
金額を表にまとめます。表の数字は、厚生労働省と労働局、ハローワークの公式ページにある額です。
| 手当 | 金額 | 対象 |
|---|---|---|
| 職業訓練受講手当(職業訓練受講給付金) | 月10万円 | 雇用保険を受けられない人で、要件を満たす人 |
| 受講手当(雇用保険) | 日額500円。上限は2万円 | 雇用保険の受給資格者で、受講指示を受けた人。基本手当の支給対象日のうち訓練を受けた日 |
| 通所手当 | 通所方法によって異なり、月の上限は4万2,500円 | 雇用保険の受給資格者、職業訓練受講給付金の対象者、または通所手当のみの支給を受ける人 |
| 寄宿手当 | 月1万700円 | 訓練のために同居の親族と別居して寄宿する人(ハローワークが住居の変更を必要と認める場合) |
| 基本手当(雇用保険) | 人によって異なる。日額の上限は年齢区分ごとに定められている | 雇用保険の受給資格者 |
月10万円の受講手当と基本手当は、同じ人が両方もらうものではありません。雇用保険を受けられる人は基本手当、受けられない人は受講手当という分け方です。
月10万円だけで訓練中の生活費が足りない場合のために、「求職者支援資金融資」という貸付制度もあります。厚生労働省の案内では、貸付額は単身者が月5万円、扶養家族のいる人が月10万円に受講予定の訓練月数を掛けた額です。利率は2%(うち信用保証料0.5%)で、担保と保証人は不要です。給付金を受けても足りない場合に使うものなので、借りる前にハローワークで返済の計画まで相談してください。
通所手当は、収入条件を超えた人でも受けられることがあります。本人の収入が月12万円以下、世帯収入が月34万円以下で、ほかの要件も満たす場合は、通所手当のみを受けられます。月10万円の対象から外れたからといって、交通費の補助まで諦める必要はありません。
雇用保険を受けられる人のお金:基本手当と訓練延長給付
ここからは、雇用保険の受給資格がある人の話です。仕事を辞めて雇用保険の基本手当を受けているときにハローワークの受講指示で職業訓練を受けると、基本手当がもらえる期間が延びます。この仕組みを訓練延長給付と呼びます。
受講指示を受けると基本手当が延びる
ハローワークの職業相談の中で、再就職のために公共職業訓練などを受けることが必要だと認められると、ハローワーク所長が訓練の受講を「指示」することがあります。ハローワークインターネットサービスの基本手当のページによると、指示を受けた場合は、訓練が終わる日まで基本手当が引き続き支給されます。訓練期間中に所定給付日数が終わっても同じです。
受講指示は、原則として所定給付日数内の支給残日数が一定以上ある時点で行うとされています。支給が終わる直前では指示を受けられないことがあるので、訓練を考えているなら、受給を始めて早い時期にハローワークへ伝えるのが安全です。
受講指示を受けると、基本手当に加えて技能習得手当(受講手当と通所手当)と寄宿手当も受けられます。失業の認定は、受講指示のあとは4週間に1回から1か月に1回に変わり、訓練実施機関が証明した「公共職業訓練等受講証明書」をハローワークに出す形になります。東京労働局のリーフレットには、令和4年7月1日から、受講指示の対象に求職者支援訓練も加わったと書かれています。
指示された訓練を正当な理由なく断ると、断った日から1か月間は基本手当が支給されません。体調などの事情で受けられないときは、断る前にハローワークの窓口で事情を話してください。
障害のある人は基本手当の日数が長くなる
障害のある人は、雇用保険の基本手当の所定給付日数が長くなる場合があります。ハローワークインターネットサービスの所定給付日数の表では、「就職困難者」という区分があります。就職困難者には、身体障害者、知的障害者、精神障害者などが当てはまります。
| 被保険者であった期間 | 就職困難者(45歳未満) | 就職困難者(45歳以上65歳未満) | 就職困難者以外(自己都合など・全年齢) |
|---|---|---|---|
| 1年未満 | 150日 | 150日 | 90日 |
| 1年以上 | 300日 | 360日 | 90日から150日(被保険者期間で変わる) |
厚生労働省のQ&Aには、障害者等の就職が困難な人は所定給付日数が手厚くなると書かれています。基本手当の受給手続のときは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などを持参してください。手帳を持っているのに窓口で出さなかったために、短い区分のまま手続きが進むことがないよう、手続きの日には手帳を持っていきます。
就職困難者の区分に当たるかどうかは、ハローワークが受給資格を決めるときに判断します。自分がどの区分になるかは、窓口で確認してください。
病気やけがで働けないときは別の扱いになる
ハローワークの基本手当のページには、病気やけがのためにすぐには就職できないときは基本手当を受けられないと書かれています。体調を崩して退職した人が、すぐに働ける状態でないまま基本手当の手続きをしても、支給の対象にならないということです。
この場合の手当として、ハローワークのページには傷病手当があります。離職後にハローワークで求職の申込みをしたあと、15日以上引き続いて病気やけがで職業に就けない場合に、基本手当を受けられない日の生活を支えるものです。さらに、病気やけがなどで引き続き30日以上働けなくなったときは、その日数だけ基本手当を受け取れる期間を延ばせる措置もあります。申請は、働けなくなった日の翌日以降の早い時期に、住所地のハローワークへ行います。
訓練に進む前に体調を整える期間が必要な人は、この延長の措置を使うと、受給できる期間を失わずに済みます。受給できる期間が過ぎてしまってから動いても取り戻せないので、早めにハローワークで確認してください。
雇用保険の細かい手続きは、失業手当はいつからもらえるかの記事と、失業手当がいくらもらえるかの記事に分けて書いています。
職業訓練受講給付金の条件
雇用保険を受けられない人が月10万円を受け取るための条件です。厚生労働省の求職者支援制度のページと、ハロトレ特設サイトには、次の8つを全部満たすことと書かれています。
- 本人の収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 全ての訓練実施日に出席している(やむを得ない理由で欠席し、証明できる場合でも8割以上の出席が必要)
- 世帯の中に、給付金を受けて訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に、不正行為により特定の給付金の支給を受けたことがない
- 過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けたことがない
なお、一部のサイトでは金融資産の条件を「30万円以下」と書いていますが、公式は300万円以下です。1桁違うと、受けられる人が大きく変わるので、必ず公式の数字を確認してください。
「世帯」に誰が入るか
厚生労働省の案内では、世帯とは本人のほか、同居または生計を一つにする別居の配偶者、子、父母を指します。実家で親と暮らしている人は、親の収入や金融資産も世帯の条件に入ります。一人暮らしでも、生計を一つにしている別居の親がいれば、世帯に含めて判断されます。
20歳未満で就学中の子(就学年齢前の子も含む)の収入は、0円として扱います。
土地・建物の条件
「現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない」という条件は、利用価値や処分できるかどうかに関係なく、所有しているかどうかで判断されます。親から相続した土地を持っている場合も、対象外になる条件に当たります。
「収入」に何が入るか
収入には、税引前の給与(賞与を含む)、事業収入、役員報酬、不動産賃貸収入、各種年金、仕送り、養育費などが含まれます。ハロトレ特設サイトには、一部算定の対象外となる収入もあると書かれています。何が対象外になるかまでは、公式のページに一覧がありませんでした。迷う収入があれば、手続きの前にハローワークで確認してください。
障害年金をもらっていると給付金は受けられるのか
障害年金を受け取っている人にとって、いちばん気になる点だと思います。結論は、障害年金を受けていること自体は職業訓練の受講を妨げませんが、月10万円の給付金では本人の収入に数えられます。
障害年金は本人の収入に入る
厚生労働省の「求職者支援制度に関するよくあるご質問」のQ13には、本人収入に何が含まれるかが書かれています。税引前の稼得収入およびその他の収入全般が対象で、その他の収入には各種年金を含む税引前の収入全般が対象になるとあります。ハロトレ特設サイトも、収入の例として各種年金を挙げています。
障害年金が収入に入らないと書く記事もありますが、編集部が確認できた厚生労働省の案内には、障害年金だけを収入から除くという記載は見つかりませんでした。ハロトレ特設サイトには「一部算定対象外の収入もあります」とあるため、障害年金の扱いを最終的に決めるのはハローワークです。ただ、公式の文面は各種年金を含めているので、障害年金を受けているなら収入に入る前提で計画を立てるのが無難です。
計算の例
本人収入が月8万円以下という条件に、障害年金の月額を当てはめて考えます。たとえば障害年金が月6万5,000円の人が、ほかにアルバイトで月2万円の収入を得ると、合計は8万5,000円で、月8万円を超えます。この場合、月10万円の受講手当の対象からは外れます。本人月12万円以下かつ世帯月34万円以下などを満たせば、通所手当のみは受けられます(この計算は、公式の文面に沿った例として編集部が作ったものです)。
2か月分がまとめて振り込まれる年金は、厚生労働省のQ14に扱いが載っています。支払頻度が制度で決まっていて、受け取る人が変えられないものは、一括で支給された額を適正な月数で割った額が収入になります。例として、公的年金13万円が2か月分まとめて支給される場合は、13万円を2か月で割った6万5,000円が毎月の収入として算定されます。
偶数月に2か月分が入る年金でも、月に直した額で見るということです。振込日の月だけ収入が跳ね上がって条件を外れる、という心配は要りません。
障害年金の人が使いやすい道
障害年金を受け取っていて、月10万円の対象から外れた場合でも、次のような道が残ります。
- 通所手当のみの支給(本人月12万円以下、世帯月34万円以下など)を確認する
- 雇用保険の受給資格がある場合は、基本手当と受講手当を使う
- 給付金なしで、授業料無料の訓練そのものを受ける
給付金の支給要件を満たさなくても、無料の職業訓練は受けられると、厚生労働省の求職者支援制度のページに書かれています。給付金が出ないことと、訓練を受けられないことは別です。
障害年金そのものの受給条件や額は、障害者の補助金の記事の「障害年金は補助金とは別の仕組み」で整理しています。
なお、雇用保険の基本手当と障害年金を同時に受けるときの調整については、今回確認した公式ページに記載がありませんでした。基本手当を受けながら障害年金も受けている、または請求を考えている人は、ハローワークと年金事務所の両方に確認してください。
障害者手帳がなくても職業訓練を受けられるか
手帳が要るかどうかは、訓練の種類によって違います。
| 訓練 | 手帳などの要件 |
|---|---|
| 求職者支援訓練(一般) | 要件に手帳の有無はない。ハローワークが必要と認めれば受講できる |
| 障害者職業能力開発校(東京の例) | 身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳のいずれか。療育手帳がない場合は、児童相談所や障害者職業センターが発行する判定書で代えられる |
| 障害者委託訓練(東京の例) | 3種類の手帳のいずれか、または知的障害・精神障害・発達障害・高次脳機能障害・難病などで公的な判定書(意見書、診断書)や医療受給者証がある人 |
東京障害者職業能力開発校の応募資格のページには、「障害者年金を受給していても、障害者手帳をお持ちでない方は対象外となります」と書かれています。障害年金を受けていることと、障害者手帳を持っていることは別なので、年金だけでは障害者職業能力開発校の対象にならない学校もあるということです。
同じページには、職域開発科に限り、精神障害者保健福祉手帳がなくても医師から精神・発達障害の診断を受けていれば応募できると書かれています。科目ごとに対象が細かく決まっているので、自分の障害の種類で応募できる科目を、学校の案内で確認してください。
東京以外の都道府県は、学校や県ごとに要件が違います。手帳がまだ無い人は、先にハローワークの障害者の相談窓口へ行き、手帳を取る必要があるかも含めて相談すると、無駄な動きが減ります。
障害者職業能力開発校に通うと給付金は出るか
障害者職業能力開発校に入校するときの扱いも、雇用保険を受けられるかどうかで分かれます。東京障害者職業能力開発校の案内には、次のように書かれています。
- 要件を満たし、ハローワーク所長の指示を受けて入校した人は、雇用保険が引き続いて支給される
- 雇用保険の受給資格のない人で、ハローワーク所長の受講指示を受けて入校した人には、訓練手当が支給される
案内に出てくる「訓練手当」の金額は、そのページにはありませんでした。厚生労働省のQ19には、公共職業訓練を受ける場合でも、要件を満たせば職業訓練受講給付金を受けられると書かれています。これを踏まえると、学校の案内にある訓練手当は、この月10万円の給付金を指していると編集部は読みました。ただし、金額や条件を学校が独自に決めているかは確認できていません。入校を考えている学校には、手当の名前と金額、通所手当や寄宿手当の扱いを問い合わせてください。
一方で、東京都の障害者委託訓練は別の扱いです。東京障害者職業能力開発校の委託訓練のページには、受講料は無料だが訓練手当や昼食代、交通費などの支給はないと書かれています。委託訓練を考えている人は、給付金が出ない前提でお金の計画を立て、自分が雇用保険の受給資格者なのかを先に確認しておきます。この記載は東京都のものなので、ほかの県の委託訓練の扱いは、厚生労働省のPDFにリンクされた各県のページで確かめてください。
申込みから給付金が出るまでの流れ
求職者支援制度(雇用保険を受けられない人が月10万円を受けるケース)の流れを簡単に示します。詳しい手続きは、各制度の記事に送ります。
- ハローワークの窓口で「訓練の相談を受けたい」と伝え、制度の説明を受ける
- ハローワークで職業相談を受けながら、訓練コースを選ぶ
- ハローワークで訓練の受講申込みをする(給付金の審査もここで申請する)
- 訓練実施機関の選考(面接や筆記など)を受ける
- 合格したら、ハローワークが受講をあっせん(指示)する
- 訓練を受講する。毎月1回、ハローワークに来所して職業相談を受け、給付金の支給申請をする
厚生労働省の案内には、給付金は支給申請からおおむね1週間程度で、指定した金融機関の口座に振り込まれると書かれています。訓練の受講中から訓練が終わったあとまで、1か月ごとの支給単位期間が終わるたびにハローワークへ来所し、職業相談を受けて給付金の申請をします。
障害者職業能力開発校や委託訓練の場合は、この流れの前にハローワークの障害者の相談窓口で相談します。学校ごとの応募書類や診断書の準備も加わります。選考の日程は学校によって決まっているので、募集の時期を先に確認しておくと、希望の入校時期に間に合います。
訓練の候補は、ハローワークインターネットサービスの訓練コース検索で探せます。都道府県、分野、募集期間、訓練期間ごとに全国のコースを調べられます。
受講中の欠席と、給付金が止まる場面
職業訓練受講給付金は、1か月ごとの支給単位期間に出席などの条件を満たしているかを確認して支給されます。いくつか、見落とすと困る点があります。
出席は、全ての訓練実施日への出席が原則です。やむを得ない理由で休んで、それを証明できる場合でも、8割以上の出席が必要です。障害や持病の体調で休みやすい人にとって、この8割の線は大きな条件になります。
持病があり、病院に行かなくても自宅で安静にすれば症状が治まるのが通常という人の欠席は、厚生労働省のQ17に載っています。その事実が分かる証明書類を事前に出していれば、やむを得ない理由と認められることがあります。自己申告だけでは認められません。体調が不安定な人は、訓練が始まる前に主治医に相談し、どんな書類が要るかをハローワークで確認しておくと安心です。
自分の欠席や遅刻がやむを得ない理由に当たるかを、自分で判断しないことも大切です。迷ったら休む前にハローワークへ問い合わせます。
不正受給にも気をつけます。偽りその他不正の行為で基本手当を受けると、返還を命じられ、以後の基本手当も受けられなくなります。職業訓練受講給付金も、過去3年以内に不正行為で特定の給付金を受けていると条件を満たしません。収入や資産の申告は、正確に出します。
就労移行支援との違い
障害のある人が就職の準備をする場として、職業訓練のほかに就労移行支援があります。就労移行支援は障害福祉サービスの1つで、ハロートレーニングとは別の制度です。この記事で扱っている給付金は、ハローワークが窓口の職業訓練に関するものです。
就労移行支援を使いながら、同時に職業訓練受講給付金を受けられるかどうかは、今回確認した公式ページには記載がありませんでした。両方を考えている人は、市区町村の障害福祉の窓口とハローワークの両方に、併用できるかを先に聞いてください。
職業訓練は、期間が決まっていて、資格や技能の習得を中心にします。就労移行支援は、職場への定着まで支援を受ける形です。どちらが合うかは、働きたい分野と通える日数・時間、体調の安定の度合いで変わります。この比較は別の検索の話になるので、ここでは詳しく扱いません。
手当や医療費の補助は別の記事で
訓練を受けている間の生活には、訓練の給付金のほか、障害者向けの手当や医療費の助成、補装具費の支給なども関わります。特別障害者手当や障害児福祉手当、自立支援医療、日常生活用具の給付などは、障害者の補助金の記事で、それぞれの金額と窓口を整理しています。
雇用保険を受けられない一般の人向けの受講給付金は、職業訓練受講給付金の記事に詳しく書いています。訓練の費用を後から戻す教育訓練給付金は、教育訓練給付金の記事で扱っています。職業訓練の給付金の全体像を知りたい人は、職業訓練給付金の条件の記事もあわせて読んでください。
年金の保険料を納めていなかった時期に障害を負った人が受け取れる制度として、特別障害給付金の記事もあります。
よくある質問:障害者職業訓練の給付金
障害者職業訓練の給付金はいくらもらえますか?
雇用保険を受けられない人は、条件を満たせば職業訓練受講給付金の職業訓練受講手当として月10万円です。雇用保険の基本手当を受けられる人は、基本手当に受講手当が日額500円(上限2万円)付きます。どちらにも通所手当が月の上限4万2,500円まで、寄宿手当が月1万700円あります。基本手当の額は離職前の賃金などで人によって違い、ハローワークで決まります。
障害者職業訓練受講給付金とは何ですか?
正式な制度名は「職業訓練受講給付金」で、求職者支援制度の中で出るお金です。雇用保険を受けられない求職者が、ハローワークの支援指示を受けて訓練を受けるあいだ、月10万円の職業訓練受講手当と通所手当、寄宿手当が出ます。障害者に限った制度ではなく、障害のある人も同じ条件で使えます。収入や資産などの8つの条件を全部満たす必要があります。
障害年金をもらっていても給付金は受け取れますか?
障害年金を受けていること自体は、職業訓練の受講を妨げません。ただし月10万円の給付金では、本人収入に各種年金を含めて月8万円以下かどうかを見ます。年金が月8万円を超えると、受講手当の対象から外れます。その場合も、本人月12万円以下かつ世帯月34万円以下などを満たせば通所手当のみは受けられます。最終的な判断はハローワークでの確認になります。
障害年金は収入に入りますか?
厚生労働省のよくあるご質問には、その他の収入として「各種年金を含む税引前の収入全般」が対象と書かれています。ハロトレ特設サイトにも、収入の例として各種年金があります。障害年金だけを除くという記載は、確認できた公式ページにはありませんでした。ただし一部算定対象外の収入もあるとされているため、手続きの前にハローワークで自分のケースを確認してください。
障害者手帳がなくても職業訓練の給付金はもらえますか?
職業訓練受講給付金は、求職者支援制度の要件に手帳の有無がないため、手帳がなくても対象になり得ます。ただし障害者職業能力開発校や障害者委託訓練は、手帳か、それに代わる判定書・診断書などが必要です。東京障害者職業能力開発校のページには、障害年金を受けていても手帳がなければ対象外と書かれています。応募資格は学校ごとに違うので、先に確認してください。
失業保険をもらいながら職業訓練を受けられますか?
受けられます。ハローワーク所長の受講指示を受けて公共職業訓練などを受けると、訓練期間中に所定給付日数が終わっても、訓練が終わる日まで基本手当が支給されます。これが訓練延長給付です。受講手当(日額500円)と通所手当も加わります。受講指示は、原則として支給残日数が一定以上ある時点で行われるため、早めにハローワークへ相談してください。
訓練延長給付とは何ですか?
雇用保険の受給資格者がハローワーク所長の指示で公共職業訓練などを受けるときに、所定給付日数を超えても訓練が終わるまで基本手当を支給する仕組みです。令和4年7月1日からは、求職者支援訓練の受講指示を受けた場合も対象になりました。受講指示を受けられるのは、訓練を受けることが適職に就くために必要だとハローワークが認めた場合などです。
障害者職業訓練校に通うと給付金は出ますか?
東京障害者職業能力開発校の案内では、要件を満たしてハローワーク所長の指示で入校した人は雇用保険が引き続き支給され、雇用保険の受給資格がない人には訓練手当が支給されると書かれています。訓練手当の金額は案内になく、学校ごとに確認が必要です。授業料は無料で、教科書は支給、教材は貸与されます。作業服などは自己負担です。
通所手当や交通費は出ますか?
雇用保険の受給資格者と職業訓練受講給付金の対象者には、通所手当が出ます。額は通所方法によって違い、月の上限は4万2,500円です。受講給付金の収入条件を超えても、本人月12万円以下かつ世帯月34万円以下などを満たせば、通所手当のみ受けられます。東京都の障害者委託訓練は、交通費などの支給がないと案内されています。
就労移行支援と職業訓練の給付金は同時に受けられますか?
併用できるかどうかは、確認できた公式ページに記載がありませんでした。就労移行支援は障害福祉サービスで、職業訓練受講給付金はハローワークの制度なので、窓口も別です。両方を考えている人は、市区町村の障害福祉の窓口とハローワークの両方に、併用の可否を聞いてから決めてください。
給付金はいつ振り込まれますか?
厚生労働省の案内には、給付金は支給申請からおおむね1週間程度で、指定した金融機関の口座に振り込まれると書かれています。支給申請は、1か月ごとの支給単位期間が終わるごとに、ハローワークが指定した日に来所して職業相談を受けたうえで行います。支給は支給申請のあとになるため、最初に振り込まれるまでの生活費は別に用意しておきます。
体調不良で訓練を休むと給付金はどうなりますか?
全ての訓練実施日への出席が原則で、やむを得ない理由で休んで証明できる場合でも8割以上の出席が必要です。持病で自宅安静にすれば治まる場合は、その事実が分かる証明書類を事前に出していれば、やむを得ない理由と認められることがあります。自己申告だけでは認められません。休む前にハローワークへ連絡し、必要な書類を確認してください。
在宅やオンラインの訓練でも給付金は出ますか?
在宅の訓練に給付金が出るかどうかは、確認できた公式ページに明記がありませんでした。東京都の障害者委託訓練のe・ラーニングコースは、通所が難しい人向けに在宅でIT技能を学ぶ訓練ですが、委託訓練全体で訓練手当などの支給がないと案内されています。在宅の訓練を考えているなら、そのコースの手当の扱いをハローワークで確かめてください。
会社が受ける障害者の訓練の助成金とは違いますか?
違います。厚生労働省の「人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)」は、障害者の訓練を行う施設を設置・運営する事業主や事業主団体に出る助成金で、令和6年度から機構が支給業務を行う障害者雇用納付金制度の助成金に移管しました。訓練を受ける本人が受け取る給付金とは別のものなので、本人は求職者支援制度と雇用保険の手当を見てください。
