この助成金は、雇い入れる人の離職日で条件が変わります。厚生労働省は令和8年4月8日に支給要領を改め、離職日がその日以降かどうかで、優遇助成の要件を分けました。
離職日が4月8日より前の人を雇う場合は、別の申請書類を使います。この記事は、離職日が令和8年4月8日以降の人を雇う場合の内容です。
早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)の要点まとめ
正式名:早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 全業種
- 利用目的
- 会社都合で離職した人の早期の雇い入れ
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 規定なし(雇用保険の適用事業所であること)
いくら
- 補助上限額
- 1人40万円(通常助成は30万円)。1年度1事業所500人分まで
- 補助率
- 定額支給
いつ・どこへ
- 申請受付
- 締切日なし。雇入れ日の6か月後の翌日から2か月以内に申請
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
適用事業所とは、雇用保険の被保険者がいる事業所のことです。正社員でなくても、雇用保険に入る労働条件で無期雇用なら対象になります。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 有期契約から無期に切り替えた
- ✕ 紹介予定派遣のあとに雇った
- ✕ 前の勤め先と密接な関係がある
雇う人の条件
雇う人は、次のどちらかに当たる必要があります。
- 「再就職援助計画」か「求職活動支援書」の対象者
- 雇用保険の「特定受給資格者」
再就職援助計画は、事業縮小などで1か月に30人以上が離職するとき、事業主がハローワークに出す計画です。対象者には証明書が渡されます。求職活動支援書は、解雇などで離職する45歳以上70歳未満の人に、事業主が渡す書面です。
特定受給資格者とは、倒産や解雇で離職した人の区分です。雇用保険受給資格者証の「離職理由」欄に、11、12、21、22、31、32のどれかがあります。
どちらの場合も、元の事業所へ戻る見込みがないことが条件です。離職してから雇うまでの間に、他の事業所で雇用保険の被保険者になっていないことも求められます。
採用面接では、証明書か受給資格者証を見せてもらうのが近道です。本人が持っています。
いくら戻ってくる?
雇う人1人につき、通常助成は30万円です。優遇助成は40万円です。
- 元ドライバー2人を通常助成で雇う:30万円 × 2人 = 60万円
- 優遇助成の事業所が経理担当を1人雇う:40万円 × 1人 = 40万円
- 優遇助成の事業所が3人まとめて雇う:40万円 × 3人 = 120万円
上限は、1年度1事業所あたり500人分です。
雇い入れた日から支給基準日までに払った賃金の額が申請額に満たなければ、その賃金の額が支給されます。臨時の賃金と、3か月を超える期間ごとの賃金は数えません。支給基準日とは、雇入れ日から6か月がたった日です。
優遇助成になる条件
優遇助成は、一定の成長性が認められる事業所が受けられます。次のどちらかを満たせば成長性ありです。
- ローカルベンチマークの総合評価がB以上
- 申請日の属する年度から遡った直近2年度で、給与等受給者1人あたりの平均受給額が5%以上増えた
ローカルベンチマークとは、経済産業省が提供する経営状態の診断ツールです。売上増加率や営業利益率など6つの財務指標を入れると、AからDで評価されます。
賃金を5%上げるとは
比べるのは、離職前に最後に払われた「毎月決まって支払われる賃金」です。雇い入れ後は、最初の賃金支払日から6か月間の、すべての支払日の賃金と比べます。
- 離職前の賃金が基本給24万円と資格手当1万円で25万円
- 25万円 × 1.05 = 26.25万円
- 雇い入れ後の6か月間、毎月26.25万円以上を払う
時間外手当と休日手当は、賃金に入れません。月ごとに変わる手当も入れません。家族手当、通勤手当、住宅手当は原則として入れませんが、全員に一律の定額で払うなら入れます。上げ幅が1か月でも5%に届かなければ、支給の要件を満たしません。一度上げた賃金を正当な理由なく下げるのも認められません。手当を下げて、その分だけ基本給を上げる形も同じです。
離職前の賃金は、証明書か求職活動支援書に書かれています。本人の同意がある場合だけです。書かれていないときは、離職前6か月のうち連続する2か月分の給与明細を添えます。特定受給資格者で給与明細も出せない場合は、受給資格者証の離職時賃金日額に30を掛けた額で代えられます。
申請の流れ
- 対象者を確かめる(事業主。採用面接のときに、証明書か受給資格者証を見る)
- 離職日の翌日から3か月以内に雇い入れる(事業主。雇用保険に入る無期契約にする)
- 賃金を5%以上引き上げて払い続ける(事業主。雇入れ後の6か月間、毎月)
- 支給基準日を超えて雇用する(事業主。雇入れ日から6か月がたった日の後も続ける)
- 支給申請をする(事業主→労働局・ハローワーク。基準日の翌日から2か月以内)
申請の期限を過ぎると、支給は受けられません。複数人を雇った場合は、まとめて申請できます。そのときは、それぞれの雇入れ日を基準に要件を確かめます。
必要な書類
準備できた 0 / 9
再就職援助計画の証明書、求職活動支援書、受給資格者証は、雇う人の区分に合う1つを出します。申立書は、雇う人ごとに1通です。賃金台帳は、手当ごとに分けて書いたものを、雇入れ日から申請日の分まで出します。
労働保険の申告書は、2年度分の平均受給額で優遇助成を申請するときだけ出します。ローカルベンチマークで申請するときは、分析結果と財務諸表を出します。
出勤簿とタイムカード、賃金台帳、離職者の名簿は、審査に備えて保管します。労働局が書類を追加で求めることもあります。関係書類の保管期間は5年です。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 賃金の上げ幅が5%に届かない:雇い入れ後の6か月間の賃金支払日の、どれか1回でも下回ると要件を満たしません。
- 有期で雇ってから無期に切り替えた:最初から期間の定めのない契約で雇う必要があります。試用期間を有期にして、あとで無期にする予定の場合も、原則として対象外です。
- 基準日のあとに事業主都合で解雇した:支給決定の日までに、解雇や退職勧奨をすると支給されません。自己都合の退職なら、支給を受けられます。
- 直前に人員を減らしていた:雇入れ日の前日の6か月前から1年がたつ日までに、雇用保険の被保険者を事業主都合で解雇などしていると対象外です。特定受給資格者になる離職が、雇入れ日の被保険者数の6%を超え、かつ4人以上いた場合も対象外です。
- 雇ってすぐ移籍出向させた:6か月以内に子会社へ移籍出向させると、支給されません。同じ事業主の中での転勤は、対象になる場合があります。
ほかの助成金を同じ雇入れで受けている場合は、原則として、どちらか一方を選びます。
同じ名前のコースとの違い
早期再就職支援等助成金は、4つのコースで構成されています。雇入れ支援コースは「受け入れる側」への助成です。離職者を送り出す側には、再就職支援コースがあります。中途採用を増やす事業主には、中途採用拡大コースがあります。
よくある質問
正社員として雇わないと対象になりませんか?
正社員に限りません。雇用保険の被保険者になる労働条件で、期間の定めのない契約で雇えば対象になります。パートタイムでも、雇用保険に入る条件を満たす無期雇用ならあり得ます。有期契約で雇ってから無期に切り替える形は、支給の対象になりません。雇う前に、契約の形を確かめてください。
試用期間を設けても対象になりますか?
無期雇用の契約で試用期間を設ける場合は、支給の対象になります。注意が要るのは、試用期間を有期の契約にして、期間が終わってから無期契約に切り替える予定の場合です。この形は原則として対象になりません。就業規則や雇用契約書で、最初の契約が無期になっているかを確かめてください。試用期間中の賃金を低く決めてある場合は、試用期間が終わったあとの賃金と比べることもできます。
ハローワークの紹介で雇った人だけが対象ですか?
就職の経路は問いません。ハローワークや職業紹介事業者の紹介でなくても、対象者の条件を満たしていれば支給の対象です。自社の求人サイトや知人の紹介で採用した人でも構いません。求められるのは、再就職援助計画などの対象者か、特定受給資格者であることと、離職日の翌日から3か月以内に雇うことです。
雇ったあとに本人が自己都合で辞めたらどうなりますか?
支給基準日を過ぎてから、支給決定の日までに自己都合で退職した場合は、助成を受けられます。基準日は、雇入れ日から6か月がたった日です。ただし、基準日より前に辞めた場合は、基準日を超えて雇うという要件を満たせません。事業主都合の解雇や退職勧奨は、基準日のあとでも支給の対象外になります。
雇う人が対象者かどうかは、どうやって確かめますか?
再就職援助計画の対象者には、ハローワークから証明書が渡されます。採用面接で、事業主に見せるよう案内されています。求職活動支援書や雇用保険受給資格者証も、本人の手元にあります。対象者の情報は、ハローワークの求人窓口に問い合わせると確かめられます。ハローワークや職業紹介事業者に求職登録している場合は、窓口で把握しています。
離職日が分からないときはどうしますか?
本人に、雇用保険の離職票か雇用保険受給資格者証を見てもらい、書かれている離職日を確かめます。離職日は、3か月以内に雇うかどうかの数え始めになります。離職日の翌日から数えて3か月を過ぎると対象外になるので、証明書だけでなく離職票の日付もあわせて見ておくと安心です。
雇ってから6か月以内に子会社へ出向させるのは問題ですか?
移籍出向は支給の対象外です。雇い入れた人を子会社などの別の事業主へ移すと、支給は受けられません。同じ事業主の中での転勤は、支店間の異動のように、支給の対象になる場合があります。出向や異動を予定しているときは、雇う前に管轄の労働局へ問い合わせて、扱いを確かめてください。
複数人を雇った場合、まとめて申請できますか?
まとめて申請できます。支給申請書は共通の様式で、対象者が複数いても1通にまとめて書けます。ただし要件は、それぞれの雇入れ日を基準に確かめます。雇入れ日が違えば、支給基準日も申請期限も人ごとにずれます。申立書は雇う人ごとに1通です。1年度に1事業所で受けられるのは500人分までです。
ほかの助成金と併せて受けられますか?
同じ雇入れに対して、ほかの助成金などを受けている場合は、原則としてこの助成金は受けられません。ほかの助成金の支給申請をしているときは、どちらか一方を選びます。賃金の引き上げや人材育成を理由にした別の制度を考えている場合は、先に労働局へ確かめると、あとから選べなくなる事態を避けられます。
訓練を行うと上乗せがありますか?
厚生労働省のページでは、離職日が令和6年4月1日以降の人向けの欄に、雇入れから6か月以内に訓練を始めた場合の上乗せ(人材育成支援)が載っています。令和8年4月8日以降に離職した人向けの欄と、改正後のガイドブック、支給要領には、この上乗せが見当たりません。公式に確かめられたのはここまでです。上乗せの有無と金額は、管轄の労働局に直接確かめてください。
優遇助成かどうかは、自社で判断できますか?
ある程度は見込めます。ローカルベンチマークの総合評価がB以上か、直近2年度の給与等受給者1人あたりの平均受給額が5%以上増えているかを調べます。後者は、労働保険の確定保険料・一般拠出金申告書の2年度分で示します。雇用保険の適用事業所ができて間もなく、確かめる期間の実績が無い場合は、原則として優遇助成では申請できません。最終的な判定は、申請を受けた労働局が行います。
問い合わせ先はどこですか?
管轄の都道府県労働局かハローワークです。厚生労働省のページに、問い合わせ先と支給申請の窓口が載っています。電子申請の入口もあります。申請書は同じページからダウンロードできます。離職日によって使う申請書が分かれているので、離職日が令和8年4月8日以降の人向けの様式を選んでください。
