会社の規模を縮小する局面で、辞めてもらう社員を「放り出す」のと「次の職を見つけるまで支援する」のとでは、企業としての姿勢がまったく違います。再就職支援コースは、後者を選んだ事業主を後押しする制度です。民間の職業紹介事業者などに再就職支援を委託し、実際に再就職が実現した場合に支給されます。
支給の中身は3つに分かれています。再就職支援そのものへの助成、休暇を与えたことへの助成、訓練を受けさせたことへの助成です。それぞれ別の要件と金額があるので、順番に見ていきましょう。
早期再就職支援等助成金には、離職者を受け入れる側への【全国】早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)とは?最大40万円、中途採用そのものを増やす事業主向けの【全国】早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)とは?最大30万円もあります。自社の立場に近いほうもあわせてご確認ください。
早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 早期再就職支援等助成金(再就職支援コース) |
| 対象業種 | 全業種 |
| 利用目的 | 雇用・職場環境を改善したい(離職者の再就職支援) |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 規定なし(支給額・補助率は中小企業か否かで異なります。中小企業の範囲は本文表を参照) |
| 補助上限額 | 支給対象者1人あたり。再就職支援は委託総額または60万円(中小企業で訓練加算の時間数が200時間以上の場合は80万円)のいずれか低い方+休暇付与支援(1日8,000円・上限180日等)+再就職加算10万円+職業訓練実施支援。1年度1事業所あたり500人分が上限 |
| 補助率 | 再就職支援は委託費用の1/2〜4/5(企業規模・区分・年齢により変動)、訓練加算は訓練委託費用の2/3、職業訓練実施支援の経費助成は3/4 |
| 申請受付 | 通年受付(詳細な届出タイミングは公式ページでご確認ください) |
| 公式サイト | 早期再就職支援等助成金 各種ガイドブック|厚生労働省 |

どんな事業主が対象になる?
対象になるのは、事業規模の縮小等にともなって離職を余儀なくされる労働者について、再就職支援を民間の職業紹介事業者等に委託し、対象労働者の再就職が実際に実現した事業主です。委託しただけでは支給されず、再就職という結果が出て初めて対象になります。
一方で、支給の対象から外れる事業主もいます。対象労働者の離職にあたって「退職コンサルティング」を受けていた場合は、対象外になることがあります。この「退職コンサルティング」の定義はかなり広く、人員整理の提案・制度設計の支援・実施方法の助言などが該当し、法令違反かどうか、有償か無償か、契約の有無、依頼した・されたを問いません。人員削減にあたって外部の助言を受けた心当たりがあるなら、支給要件を満たすかどうかを事前に労働局へ確認しておくと安全です。
中小企業の範囲(このコースでの定義)
| 業種 | 資本金 | または従業員数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
いくらもらえる?支給額の内訳
支給額は、対象者1人あたりで計算します。3つの助成があり、組み合わせによって支給総額が変わります。
(1)再就職支援:委託費用への助成
| 区分 | 計算式 |
|---|---|
| 通常区分 | (委託総額−②訓練委託費用−③グループワーク加算額)×中小企業1/2(45歳以上は2/3)/中小企業以外1/4(45歳以上は1/3) |
| 特例区分 | 同じ計算式で中小企業2/3(45歳以上は4/5)/中小企業以外1/3(45歳以上は2/5) |
| ②訓練加算 | 訓練委託費用×2/3(時間数に応じた上限あり。下表を参照) |
| ③グループワーク加算 | 3回以上実施で1万円(企業規模を問わず) |
| 訓練委託費用の上限 | 10〜100時間未満 | 100〜200時間未満 | 200時間以上 |
|---|---|---|---|
| 中小企業 | 15万円 | 30万円 | 50万円 |
| 中小企業以外 | 10万円 | 20万円 | 30万円 |
(1)の合計額の上限は、委託総額または60万円(中小企業で訓練加算の時間数が200時間以上の場合は80万円)のいずれか低い方です。委託費用をかけただけ支給が増えるわけではなく、この上限で頭打ちになります。
(2)休暇付与支援:離職前に再就職活動の休暇を与えた場合
- 休暇1日あたり中小企業8,000円/中小企業以外5,000円(上限180日分)
- 対象労働者に実際に支払う賃金の額が8,000円・5,000円に満たない場合は、その賃金額が1日あたりの支給額になります。日額を高く見積もって計算しないよう注意してください
- 再就職加算:対象者の離職日の翌日から起算して1か月を経過する日までに再就職が実現した場合、対象者1人につき10万円を上乗せ
(3)職業訓練実施支援:離職前に訓練を実施した場合
- 経費助成:訓練委託費用×3/4(上限は(1)の訓練加算と同じ表)
- 賃金助成:1時間あたり960円(中小企業以外は480円)
業種横断・シミュレーション
製造業(従業員80人・通常区分+訓練加算) 事業縮小にともない5人が離職を予定。民間の職業紹介事業者に委託し、あわせて再就職に向けた訓練(120時間)も実施したい。 → 中小企業(資本金3億円以下)の通常区分として、委託費用(訓練費用を除く)×1/2、訓練加算として訓練委託費用×2/3(100〜200時間未満の上限30万円)が対象です。再就職が実現すれば、対象者1人あたり最大60万円まで(委託総額との比較で低い方)が視野に入ります。
まずは委託を検討している職業紹介事業者に、費用の内訳(通常の紹介費用・訓練費用・グループワーク費用)を分けて見積もってもらうところから始めましょう。
よくある質問
委託するだけで支給されますか?
いいえ。再就職支援を委託しただけでは支給されません。対象労働者の再就職が実際に実現することが支給の条件です。
退職を勧める際に外部のコンサルタントに相談していたら対象外になりますか?
その可能性があります。人員整理の提案や実施方法の助言などの「退職コンサルティング」を受けていた場合、有償・無償や契約の有無を問わず対象外になることがあります。心当たりがある場合は、申請前に労働局へ確認してください。
支給額はどこまで大きくなりますか?
再就職支援の合計額には上限があり、委託総額または60万円(中小企業で訓練加算の時間数が200時間以上の場合は80万円)のいずれか低い方です。加えて休暇付与支援・再就職加算・職業訓練実施支援を組み合わせられますが、それぞれに独自の上限があります。
※支給額・要件・申請手続きなどの制度内容は、支給要領の改定により変更される場合があります。申請前に必ず厚生労働省の公式サイトまたは都道府県労働局で最新情報をご確認ください。
