展示会に出展すれば、誰でも補助を受けられるのか。結論から言うと、手続きの順番を踏んだ事業者だけが対象です。
高松市の新市場販路開拓事業補助金(愛称:たかまつ販路開拓チャレンジ補助金)は、市内の中小企業が国内外の展示会・オンライン見本市・越境ECモールに出展する経費の一部を補助する制度です。上限は国内35万円、海外55万円。
出展料だけでなく、旅費や広告宣伝費、製品運搬費も対象に含まれます。ただし順番を間違えると申請できないので、次で確認していきます。
この補助金でできること
自社の讃岐うどんの乾麺を東京の食品見本市に出す、香川漆器を海外バイヤー向けの越境ECモールに新規出店する、雑貨をオンライン展示会に出品する——こうした「新しい売り先を開拓する挑戦」の初期費用負担を、高松市が3分の2(一部の認定企業は4分の3)の補助率で後押しします。すでに取引先が固定化していて新規開拓に踏み出せずにいた事業者にとって、出展を検討するきっかけになる制度です。
対象になる事業者と3つの出展枠
補助対象になるのは、次の要件を満たす事業者です。
- 高松市内に主たる事業所(個人事業主は住所)を有する中小企業者
- 事業収入を得ており、高松市内で事業を継続する意思がある者
- 独立行政法人中小企業基盤機構法に定める中小企業者に該当する者
- 市が定める支援機関で専門的指導を受講していること(交付申請の前提条件)
- 前年度(令和7年度)に本補助金の交付を受けた事業者は対象外
出展先に応じて、次の3つの枠に分かれます。
| 出展枠 | 対象になる出展先 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|---|
| 国内枠 | 国内の展示会・見本市 | 3分の2(J-Startup等選定企業は4分の3) | 35万円 |
| 国外枠 | 海外の展示会・見本市、越境ECモール | 3分の2(J-Startup等選定企業は4分の3) | 55万円 |
| オンライン枠 | オンライン展示会・見本市 | 3分の2(J-Startup等選定企業は4分の3) | 35万円 |
対象経費は、国内枠が出展費・広告宣伝費・委託費・製品運搬費・旅費、国外枠はこれに現地通訳費が加わります。オンライン枠は出展費・広告宣伝費・製品運搬費が対象です。広告宣伝費と旅費の合計には別枠の上限があり、国内枠は15万円、国外枠は24万円(いずれも税抜)までとなっています。越境ECモールの出店費用は初期費用に限られ、月額利用料などのランニングコストは対象外です。
補助額のシミュレーション:3つの業種で見る
- 食品製造業(讃岐の乾麺メーカー)が国内の食品見本市に出展: 出展費20万円+旅費5万円+広告宣伝費3万円=経費28万円。補助率2/3を掛けると約18.6万円で、国内枠の上限35万円には十分収まる規模です。
- 伝統工芸の工房(香川漆器)が越境ECモールに新規出店: 越境ECモールの初期費用45万円に補助率2/3を掛けると30万円。国外枠の上限55万円以内で収まり、海外向け販路の立ち上げコストを大きく圧縮できます。
- 雑貨・アパレル小売業がオンライン展示会に出展: 出展費10万円+製品運搬費2万円=経費12万円。補助率2/3で約8万円が補助され、実質負担は4万円程度まで下がります。
自社の経費が上限額を超える場合、超えた分は自己負担になる点には注意してください。出展費が高額になりがちな海外展示会ほど、事前に見積もりを取って上限内に収まるかを確認しておくと資金計画が立てやすくなります。
申請の流れと"隠れ期限"になりやすいポイント
この補助金で最も見落としやすいのが、交付申請の前に「事前相談」と「専門的指導の受講」が必須という順番です。展示会の申し込みを先に進めてしまい、専門的指導を受けないまま交付申請の準備に入ってしまうと手戻りが発生します。
タイミング別に整理すると、次のとおりです。
- 事前相談の申込み(令和8年4月23日〜令和9年1月29日): 申込みフォームから電子申請
- 専門的指導の受講: 市が定める支援機関で指導を受ける(交付申請の前提条件)
- 交付申請: 交付申請書(様式第1号)、事業実施計画書(様式第2号)、支出予算書(様式第3号)、誓約書(様式第4号)を提出
- 事業の実施(展示会出展・EC出店など)
- 実績報告: 実績報告書(様式第10号)、事業実績書(様式第11号)、支出決算書(様式第12号)を提出
重要なのは、事前相談の受付期間が「令和9年1月29日まで」と書かれていても、実際には申請予定額が予算上限に達した時点で受付終了になる点です。これは締切日より前に訪れる"隠れ期限"にあたるため、出展を検討し始めた時点でできるだけ早く事前相談に動くことをおすすめします。
特産品・伝統的ものづくりの製品なら、もう一つの補助金も選択肢に
高松市には、新市場販路開拓事業補助金のほかに「高松市特産品・伝統的ものづくり販売促進事業補助金」という制度もあります。対象製品や申請方法が異なるため、扱う商材によって使い分けが必要です。
| 項目 | 新市場販路開拓事業補助金 | 特産品・伝統的ものづくり販売促進事業補助金 |
|---|---|---|
| 対象製品 | 業種を問わず自社の製品・サービス・技術 | 高松市の特産品、または伝統的ものづくり技術による製品(香川県内で最終製造・加工されたもの) |
| 対象経費 | 展示会出展・EC出店(出展費・広告宣伝費・旅費等) | 販路開拓(出展料・宿泊費・交通費等)、広告宣伝、パッケージデザイン、ECサイト開設 |
| 補助率 | 3分の2(認定企業は4分の3) | 特産品事業1/2、伝統的ものづくり事業3/4 |
| 上限額 | 35万円(国外枠は55万円) | 15万円 |
| 申請方法 | 事前相談+専門的指導受講後にオンライン申請 | 窓口受付のみ(高松市役所7階産業振興課)、1年度1事業者1回限り |
| 申請期間 | 令和8年4月23日〜令和9年1月29日 | 令和8年4月17日〜令和9年1月29日 |
例えば讃岐うどんの乾麺や香川漆器のように「特産品・伝統的ものづくり」に該当する製品であれば、上限額が大きい新市場販路開拓事業補助金の方が総額では有利になりやすい一方、伝統的ものづくり事業は補助率が3/4と高いため、経費規模が小さい取り組み(パッケージデザインの改良など)では特産品・伝統的ものづくり販売促進事業補助金の方が使い勝手が良い場合もあります。どちらの制度も対象になり得る場合は、事前相談の段階で高松市産業振興課に両制度の使い分けを相談しておくと安心です。
国にも販路開拓を支援する補助金があります。あわせてこちらの記事で解説しています。
展示会出展やEC出店以外にも、自社の状況に合う補助金が他にないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。
事前相談のタイミングや、専門的指導の受け方、2つの補助金の使い分けなど実務の進め方に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。
よくある質問
高松市新市場販路開拓事業補助金は、いつまでに申請すればいいですか?
事前相談の受付期間は令和8年4月23日〜令和9年1月29日ですが、申請予定額が予算上限に達した時点で受付が締め切られます。展示会の出展を決めた時点で、できるだけ早く事前相談に申し込むことをおすすめします。
讃岐うどんや香川漆器などの特産品は、どちらの補助金を使えばいいですか?
対象製品であれば両方の制度が候補になり得ます。上限額の大きさでは新市場販路開拓事業補助金(35万円・国外55万円)が有利ですが、経費規模が小さい取り組みでは補助率3/4の特産品・伝統的ものづくり販売促進事業補助金が使い勝手が良い場合もあります。どちらも対象になりそうな場合は、事前相談の段階で高松市産業振興課に相談してください。
越境ECモールへの出店費用はすべて補助対象になりますか?
補助対象になるのは出店の初期費用に限られ、出店後の月額利用料などのランニングコストは対象外です。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・補助率・対象経費・申請要件は変更される場合があるため、申請前に必ず高松市の公式ページおよび最新の公募要領で内容をご確認ください。
出典:
