車椅子で入れるお店なのか、段差はあるのか——旅行前にそれが分からず、行き先を諦めた経験がある障害者・高齢者は少なくありません。そうした情報を集約するアプリ・ウェブサイトの機能拡充を後押しするのが「バリアフリー情報発信支援事業補助金」です。令和6年度分の受付は2024年12月27日で終了しています。
運営は東京都産業労働局観光部。補助率は補助対象経費の4/5、上限2,000万円という高い補助率が特徴で、都内の観光施設に関するバリアフリー情報を提供するアプリ・ウェブサイトを運営する事業者を対象にしていました。
バリアフリー情報発信支援事業補助金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主。都内観光施設のバリアフリー情報を集約・提供するアプリ・ウェブサイトを運営する都内事業者。新規開発予定の事業者も含む) |
| 制度名 | バリアフリー情報発信支援事業補助金 |
| 対象業種 | 情報通信業(バリアフリー情報を提供するアプリ・ウェブサイトの運営事業者) |
| 利用目的 | バリアフリー情報アプリ・ウェブサイトの機能拡充にかかる経費の補助(設備投資、DX・IT導入) |
| 対象地域 | 東京都内 |
| 従業員数 | 規定なし(都内事業者であること) |
| 補助上限額 | 2,000万円 |
| 補助率 | 補助対象経費の4/5(千円未満切り捨て) |
| 申請受付 | 終了しました(2024年4月26日~12月27日必着。予算額に達し次第終了) |
| 公式サイト | 東京都産業労働局「バリアフリー情報発信支援事業補助金」 |

補助率4/5という高水準の理由
一般的な東京都の補助金は補助率1/2〜2/3が多い中、この補助金は補助対象経費の4/5という高い水準に設定されていました。これは、バリアフリー情報の整備が事業者にとって直接の収益に結びつきにくい一方、社会的な公共性が高い取り組みであるためと考えられます。自己負担は経費の2割程度で済む計算になり、機能拡充のハードルを大きく下げる設計でした。
対象になるアプリ・ウェブサイトの条件
この補助金の対象になるには、運営するアプリ・ウェブサイトが次の条件をすべて満たす必要がありました。
- 観光施設に関するバリアフリー情報を、利用者が無料で手軽に入手できること
- バリアフリー情報を必要とする旅行者が自ら情報収集でき、旅行先の選択肢を広げられること
- 地域ごとに情報が集約され、都内観光の周遊性向上に資すること
- 風俗営業等(風俗営業・性風俗関連特殊営業等)やこれに類する営業の情報提供を目的としないこと
「新たに開発し運営する予定の事業者」も対象に含まれていた点は、これから参入する事業者にとって重要なポイントです。既存アプリの機能拡充だけでなく、新規開発段階からの申請も可能でした。
対象になる取り組みの例
補助対象経費は「アプリ・ウェブサイトの利便性向上のための機能の追加等」で、次のような取り組みが例として挙げられていました。
- 日々更新される観光施設等の情報を集約する仕組みの構築
- 条件やカテゴリー分けによる検索機能の追加
- 旅行者が情報を手軽に入手できるようにする利便性向上機能
- 多言語対応の情報発信機能の追加
見落とされがちな対象外経費
この補助金には対象外経費が23項目も列挙されていました。中でも見落としやすいものを挙げます。
- 交付決定前に発注・施工または導入した設備等に要する経費
- リース・レンタルによる設置機器にかかる経費
- 直接人件費
- 設備設置後の維持費、資料収集業務・調査業務にかかる事務的経費
- 汎用性があり目的外使用になり得るものの購入経費(事務用の机・椅子等)
- 親会社・子会社・グループ企業等関連会社との取引(走行上の安全や経済合理性の観点でやむを得ない場合を除く)
特にシステム開発を外部委託する場合、交付決定前に契約・発注してしまうと、その分の経費は一切対象になりません。 「まず動き出してから申請しよう」という進め方はこの制度では通用しない仕組みでした。
「1施設あたり1回限り」という交付決定の制限
見落とされやすいルールとして、交付決定は1施設あたり1回限りという条件がありました。同じアプリ・ウェブサイトについて、複数回にわたって交付を受けることはできない設計です。複数の機能拡充を計画している場合は、1回の申請でまとめて計画に含める必要があったということです。
次に似た制度が出たときの備え方
令和6年度分は終了していますが、次に似た制度が出た場合に備えて準備できることを整理します。
- 自社のアプリ・ウェブサイトが4つの要件(無料で手軽に入手できる、自ら情報収集できる、地域ごとに集約、風俗営業等でない)を満たすか確認しておく
- 機能拡充の計画をまとめて1回の申請に集約できるよう整理しておく。 交付決定は1施設1回限りという制約があります
- 開発委託先との契約を、交付決定後まで待てるスケジュールで調整しておく
- GビズIDプライムアカウントを取得しておく。 電子申請(Jグランツ)の利用に必要で、発行に2〜3週間かかります
よくある質問
令和6年度分にはもう申請できませんか?
できません。受付は2024年12月27日で終了しています(予算額に達した場合はそれより早く終了)。
これから新規にアプリを開発する場合でも対象になりますか?
対象になり得ます。「新たに開発し運営する予定の事業者」も補助対象者の定義に含まれていました。
システム開発を先に発注してしまった場合、後から申請できますか?
できません。交付決定前に発注・施工または導入した経費は補助対象外です。契約・発注は必ず交付決定後に行う必要がありました。
