個人事業主や1社だけの会社でも、この助成金は使えるのでしょうか。使えません。申請できるのは、都内の中小企業組合などの団体か、中小企業4者以上のグループです。しかも助成金の申請より前に、中央会のコーディネータ派遣の決定を受けて課題を整理しておく必要があります。
上限は原則300万円で、共同研究・共同開発を事業化まで進める場合に限り1,000万円まで上がります。助成率は2分の1以内で、小規模企業団体は3分の2以内です。窓口は都庁ではなく、東京都中小企業団体中央会(以下、中央会)の振興課です。
中小企業組合等新戦略支援事業ネクストの要点まとめ
正式名:中小企業組合等新戦略支援事業ネクスト助成金(令和8年度)
だれが
- 申請者
- 事業者(都内の中小企業団体、または中小企業4者以上のグループ)
- 対象業種
- 指定なし(団体・グループの構成員の業種を問わない)
- 利用目的
- 販路開拓・人材育成・国際化対応・共同研究開発・情報化推進
- 対象地域
- 東京都内
- 従業員数
- 規定なし(団体・グループが申請者)
いくら
- 補助上限額
- 1,000万円
- 補助率
- 2分の1以内(小規模企業団体は3分の2以内)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月1日〜2026年12月25日(予算に達し次第終了)
- 事業の完了
- 交付決定日から2027年2月10日まで
上限の1,000万円は、共同研究・共同開発を事業化まで行う場合の額で、使えるのは組合などの団体だけです。それ以外の助成対象事業は、1事業につき300万円までです。助成の下限は3万円です。
事業化の要件は交付要綱の別表にあり、次の3つがすべて必要です。団体自身が新しい製品やサービスを研究・開発すること、継続して供給する体制を整えること、販路を確保することです。研究開発の全部か大部分を外注するものや、量産の段階に入っているものは対象になりません。
うちの団体は対象になる?
団体かグループのどちらかに当てはまり、残りの3つも満たしていれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
団体の型は、中小企業等協同組合・協業組合・商工組合・商店街振興組合・生活衛生同業組合などです。中小企業等協同組合、協業組合、商工組合、商店街振興組合、生活衛生同業組合は設立後1年、一般社団法人などは設立後2年が経っている必要があります。グループの型は、設立後2年を過ぎた中小企業者4者以上で構成し、半数以上が都内に本店か支店を持つことが条件です。
団体は都内に主たる事務所があることが前提です。生活衛生同業組合は構成員の3分の2以上が中小企業者であること、一般社団法人などは中小企業者4者以上で構成され、構成員の3分の2以上が中小企業者であることも求められます。グループは、代表企業が都内に本店か支店を持つこと、構成員どうしに出資関係がないこと、代表企業と構成員の代表者が同じ人でないこと、大企業が実質的に経営へ参画していないことも条件です。
ここでいう中小企業者は、中小企業基本法の定義によります。業種ごとに資本金か従業員数のどちらかが基準以下であれば該当します。製造業・建設業・運輸業・ソフトウェア業・情報処理サービス業・その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下です。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 個人事業主や1社での申請
- ✕ コーディネータ派遣の決定なし
- ✕ グループの構成員が3者以下
コーディネータ派遣は、課題の抽出と今後の事業展開の整理を、中小企業診断士などと一緒に行う無料の支援です。展示会の主催だけは、この派遣の決定が不要です。
グループで申請する場合、使えるのは販路開拓(展示会の出展・印刷物・広告・調査研究)と人材育成だけです。展示会の主催、ホームページの制作、国際化対応、共同研究・共同開発、情報化推進は、組合などの団体だけが対象です。
いくら助成される?
対象経費の2分の1以内(千円未満切り捨て)です。構成員の過半数が小規模事業者の団体は、3分の2以内に上がります。小規模事業者は従業員20人以下(卸売・小売・サービス業は5人以下)の事業者で、企業組合と協業組合は自動的に小規模企業団体として扱われます。上限は助成対象事業ごとに300万円で、複数の事業を同時に申請した場合も、それぞれの事業に上限があります。
- 組合が組合員向けの研修会を開く:200万円 × 1/2 = 100万円
- 小規模企業団体が同じ研修会を開く:200万円 × 2/3 = 133万3,000円
- 展示会への出展を中心にした販路開拓:800万円 × 1/2 = 400万円 → 上限の300万円
- 共同研究・共同開発を事業化まで実施:2,500万円 × 1/2 = 1,250万円 → 上限の1,000万円
同じ事業区分を2事業年度にわたって続ける場合、2年目の上限は、上限額から1年目の確定額を引いた額です。展示会の主催は、収入を差し引いた額が助成の基準になり、黒字の展示会は対象外です。
上の経費額は計算を示すための仮の数字です。小規模企業団体の例の133万3,000円は、千円未満を切り捨てた額です。助成金は事業が終わって検査を受けたあとに払われる精算払いなので、実施中の資金は団体が先に用意する必要があります。
何に使える?
線引きは「その事業のためだけに使い、証拠が残る経費か」です。
対象にならないもの
- パソコン・プリンタ・ソフトウェア・タブレット・スマートフォン・家具の購入費(ほかに使えてしまうため)
- 文房具・名刺・封筒・ステッカーなどの消耗品
- 会場内での販売が主な目的の展示会
- 現金・クレジットカードでの支払い(例外あり)
- 親会社・子会社など資本関係のある会社との取引
- 消費税・振込手数料・通信費・飲食費・収入印紙代などの間接経費
- 講師や専門家の交通費・宿泊費
対象になるもの
- 販路開拓:展示会の出展小間料と資材費、展示会の主催費、受注の仕組みがあるホームページの制作費、カタログ・パンフレットの制作費、広告掲載費
- 人材育成:外部の専門家への謝金、会場や機材の借料、テキストや動画の制作費
- 国際化対応:ホームページの多言語化、翻訳費、外国人対応マニュアルの制作費
- 共同研究・共同開発:団体で実施できない研究開発の外部委託費、生産体制の整備費、商標登録費
- 情報化推進:生産性向上のためのシステム・プログラムの制作費(運用・保守は対象外)
謝金には1時間あたりの上限があります。弁護士・大学教授などは10万円、中小企業診断士・税理士などは8万円、民間企業の部長・課長クラスは5万円までです。団体の役職員が内部講師になれるのは、業界特有の技術・技能の承継などの研修に限られます。
印刷物や広告には、団体名またはグループ名と、「東京都・東京都中小企業団体中央会助成金採択事業」の表示が必要です。ホームページは、通信販売や商談機能など、受注の仕組みにかかわる部分だけが対象で、それ以外の制作費は含まれません。
申請の流れ
- コーディネータ派遣を申し込む(団体→中央会 振興課。12月25日までの募集期限)
- 派遣の決定を受け、課題を整理する(団体とコーディネータ。事業計画の土台づくり)
- 助成金の交付申請書を出す(団体→中央会。事業開始日の20日前まで。書類は下の表)
- 交付決定の通知を受ける(中央会→団体。専門家の確認を経て決定。契約・発注はこのあと)
- 事業を実施して支払いまで済ませる(団体。交付決定日から2027年2月10日まで)
- 完了報告書と経費の証拠書類を出す(団体→中央会。完了から30日以内か2月10日の早いほうまで)
- 助成金の額が確定したら請求する(団体→中央会。口座へ精算払い)
契約から支払いまでの一連の手続きが、助成の対象期間に入っていない経費は対象外です。見積、発注、納品、請求、支払いの順番が崩れた場合(請求や支払いの後に納品したなど)も同じです。展示会の出展小間料と会場使用料は、実施と支払いが対象期間内であれば、申込が交付決定の前でも対象になります。
募集期限は12月25日でも、助成の期間は2027年2月10日で区切られます。申請が遅れるほど事業を実施できる期間が短くなるため、派遣の申込は早い時期にするのが安全です。
必要な書類
準備できた 0 / 12
上の表は団体の申請の場合です。別紙1〜3は、団体の概要、事業の目的と必要性、事業の内容とスケジュールを書く様式です。展示会を主催するときは、収支計画書(別紙5)も出します。
印鑑証明書・納税証明書・登記事項証明書は、発行から3か月以内のものが必要です。団体が中央会の会員で、中央会が内容を確認できる場合は、定款・登記事項証明書・決算関係書類・事業報告書・事業計画書と収支予算書を省略できます。
グループで申請するときは、団体の書類の代わりに、登記事項証明書・印鑑証明書・確定申告書類(2期分)・納税証明書・社歴書をグループ企業の全社分そろえ、委任状も添えます。様式集の別紙には、企業ごとの役員・株主名簿を書く欄もあります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約した:助成の対象期間は交付決定日からです。展示会の出展小間料と会場使用料の例外を除き、前の契約・発注は対象になりません。
- 支払いの方法を誤った:原則は銀行振込です。現金は10万円未満(税抜)で振込が難しい場合だけ、法人カードも一定の条件を満たす場合だけ認められます。
- 他の取引と混ぜて支払った:対象事業以外の取引との混合払いや、相殺払いは対象外です。
- 証拠書類がそろわない:見積書・発注書・納品書・請求書・振込控えと、成果物や実施時の写真が必要です。事業を実施していても、確認できない経費は対象になりません。
- 過去に同じ分野で交付を受けた:同じ取組分野(事業区分が同一のもの)で過去にこの助成金を受けていると、申請できません。ただし、交付要綱に例外の規定があります。
- グループで団体向けの事業を選んだ:グループが申請できない事業区分(展示会の主催・ホームページ制作・国際化対応・共同研究・情報化推進)は、対象になりません。
よくある質問
個人事業主が単独で申請できますか?
できません。申請者は、都内に主たる事務所がある中小企業組合などの団体か、中小企業者4者以上で構成するグループです。個人事業主や1社だけの会社は、申請者になれません。ただし、個人事業主も中小企業者として、グループの構成員の1人にはなれます。単独で使える別の助成制度を探す場合は、東京都や区市町村の窓口で確認してください。
グループの場合、構成員は何者以上必要ですか?
助成事業の申請では、設立後2年を経過している中小企業者4者以上が必要です。2者以上と案内されているのは、無料のコーディネータ派遣事業のほうです。助成を受けるつもりなら、最初から4者以上で組んでおく必要があります。あわせて、構成員の半数以上は都内に本店か支店がある企業で、代表企業も都内に本店か支店を持つことが条件です。
コーディネータ派遣を受けないと助成金は申請できませんか?
展示会の主催を除き、申請できません。同じ年度にコーディネータ派遣の決定を受けて、課題の抽出と今後の事業展開の整理が済んでいることが、申請要件になっているためです。派遣は中小企業診断士などが無料で行い、同じテーマで利用できるのは最長2事業年度です。派遣の募集期限も、助成事業と同じ2026年12月25日までです。
上限が300万円と1,000万円に分かれるのはなぜですか?
助成対象事業は販路開拓・人材育成・国際化対応・共同研究開発・情報化推進の5つで、原則はどれも1事業につき300万円までです。1,000万円まで上がるのは、共同研究・共同開発の取組を事業化まで実施する場合だけです。事業化の条件は交付要綱の別表にあり、団体自身が研究・開発すること、継続して供給する体制を整えること、販路を確保することの3つがすべて必要です。研究開発の全部か大部分を外注するものや、量産の段階にあるものは対象外です。1,000万円を使えるのは団体だけで、グループは対象になりません。条件に当たるか迷う団体は、早めに中央会へ確認してください。
小規模企業団体とは何ですか?助成率はどう変わりますか?
構成員の過半数が小規模事業者(従業員20人以下、卸売・小売・サービス業は5人以下)で構成される団体です。企業組合と協業組合は、構成員の規模にかかわらず小規模企業団体になります。該当すると、助成率が2分の1以内から3分の2以内に上がります。たとえば経費200万円なら、助成額は100万円から133万3,000円に増えます。
パソコンやソフトウェアの購入費は助成されますか?
されません。パソコン・プリンタ・ソフトウェア・タブレット端末・スマートフォン・デジタル複合機・家具などは、ほかの目的にも使えてしまうため、購入費が対象外です。ただし、情報化推進のうち、システムの制作費は対象になります。組合の受発注や組合員との情報共有を効率化するシステムなどです。運用・保守にかかる費用は対象になりません。制作費の全部か大部分を外注する場合は対象外で、団体が自分では作れず、仕様書で内容を具体的に指示できるものだけが例外です。
交付決定の前に契約や発注をしてもいいですか?
避けてください。契約から支払いまでの一連の手続きが、交付決定日から2027年2月10日までの対象期間に入っていない経費は、対象外です。例外は、展示会の出展小間料と会場使用料で、実施と支払いが対象期間内であれば、申込は交付決定の前でも対象になります。それ以外の経費は、交付決定の通知を受けてから契約・発注に進んでください。
支払いは現金やクレジットカードでもよいですか?
原則は金融機関からの振込払いです。現金は、総額10万円未満(税抜)の支払いで、振込が難しい合理的な理由がある場合に限られます。クレジットカードは、法人カードで、利用日と引き落とし日の両方が助成対象期間内にあることが条件です。カードのポイントで付与された分は、助成額から差し引かれます。個人名義のカードは使えません。
複数の事業を同時に申請できますか?
できます。販路開拓・人材育成・国際化対応・共同研究開発・情報化推進の5つは、それぞれ1回限り申請できます(展示会の主催を除く)。複数を同時に申請する場合は、事業ごとに申請書を出します。助成の上限も事業ごとに300万円(事業化は1,000万円)で、助成の下限は3万円です。他の団体と連名で申請する場合も、上限は変わりません。
事業承継の支援も対象になりますか?
制度の正式名称に「事業承継支援事業」が入っていますが、助成の対象事業として挙がっているのは、販路開拓・人材育成・国際化対応・共同研究開発・情報化推進の5つです。事業承継そのものを対象とする区分は、募集要項にありません。団体として事業承継に関する研修を行う場合は人材育成に当たる可能性があるため、中央会に確認してください。
助成金はいつ支払われますか?
事業が終わって、完了報告書と経費の証拠書類を出し、完了検査を受けたあとです。助成金の額が確定すると通知が届き、請求書を出して初めて、団体の口座へ振り込まれます。つまり精算払いなので、事業の実施中は、団体が経費を先に立て替える必要があります。助成の対象期間は、交付決定日から2027年2月10日までです。
グループで申請すると、どの事業が使えますか?
販路開拓のうち展示会の出展・印刷物等の制作・広告宣伝・調査研究と、人材育成の経費です。展示会の主催、ホームページの制作、国際化対応、共同研究・共同開発、情報化推進は、中小企業組合などの団体だけが対象で、グループは申請できません。したがって、事業化まで進めると上がる1,000万円の上限も、グループには使えません。グループでの申請を考えているときは、まず自分たちの事業が使える区分に入るかを確かめてください。
交付申請書はいつまでに出しますか?
事業を始める日の20日前までです。助成の対象になるのは交付決定日からの経費なので、実際に動き出せるのは交付決定のあとになります。募集の期限は12月25日ですが、対象期間は2027年2月10日で終わります。完了報告も、事業が完了した日から30日たった日か2月10日の、早いほうまでに出します。日程から逆算して、コーディネータ派遣の申込を早めにするのが安全です。
どこに申し込みますか?問い合わせ先は?
申込先と問い合わせ先は、東京都中小企業団体中央会の振興課です。所在地は東京都中央区銀座2-10-18の東京都中小企業会館7階で、電話は03-3542-0040(平日9時〜17時)です。コーディネータ派遣の利用申込も助成金の交付申請も、同じ窓口です。募集数の目安は、コーディネータ派遣が50件程度、助成事業が20件程度です。
募集数の目安に達したら受付は終わりますか?
募集数の目安は、コーディネータ派遣が50件程度、助成事業が20件程度で、いずれも予算に到達した時点で募集を終了するとされています。そのため、期限の12月25日より前に受付が終わることがあります。申請を考えているなら、期限を待たずに中央会へ連絡し、派遣の申込から先に済ませておくのが安全です。
