海外で自社の製品を売り始めたら、模倣品が出回っていた——知的財産の世界では珍しくない話です。相手が自社の権利を侵害しているかどうかを調べるには、現地の法制度に精通した調査が必要で、費用も国内での調査より高くなりがちです。
東京都中小企業振興公社の「令和8年度外国侵害調査費用助成事業」は、この海外での侵害調査費用を助成する制度です。補助率1/2以内、上限200万円。特許調査費用助成事業と同じく1年度1社1案件までですが、申請は随時受け付けており、最終受付期限は2026年10月1日(木)17時です。
令和8年度外国侵害調査費用助成事業の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主。中小企業団体、一般社団・財団法人も対象) |
| 制度名 | 令和8年度外国侵害調査費用助成事業 |
| 対象業種 | 業種指定なし(都内中小企業者) |
| 利用目的 | 販路開拓・展示会、研究開発・実証、資金繰り・融資 |
| 対象地域 | 東京都 |
| 従業員数 | 中小企業基本法上の中小企業者(業種ごとに資本金・従業員数の上限が決まっており、製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下。どちらか一方を満たせば該当します) |
| 補助上限額 | 200万円(1年度1社1案件まで) |
| 補助率 | 1/2以内 |
| 申請受付 | 随時(最終受付期限:2026年10月1日(木)17時) |
| 公式サイト | 東京都中小企業振興公社「令和8年度外国侵害調査費用助成事業」 |

「特許調査費用助成事業」との違い
東京都中小企業振興公社には似た名前の助成金がもう一つあります。「特許調査費用助成事業」は自社が特許を取得できるかを調べる調査が対象ですが、この「外国侵害調査費用助成事業」は、海外の第三者が自社の権利を侵害していないか(あるいは自社が第三者の権利を侵害していないか)を調べる調査が対象です。上限額も100万円と200万円で異なります。どちらの助成金が自社の状況に合うか、調査の目的を整理してから申請先を選んでください。
事前の知財相談が申請の条件
この助成金の申請前には、東京都知的財産総合センターでの知財相談を受けることが求められています。相談を経ずに調査を発注してしまうと、助成の対象として認められない可能性があります。まず相談を通じて調査の必要性・範囲を整理してから進める設計です。
2つの手続きが必須
特許調査費用助成事業と同様に、jGrantsでの交付申請と申請書類の簡易書留等での郵送提出の両方が必要です。どちらか一方だけでは申請が完了しません。GビズIDプライムアカウントの取得には2〜3週間程度かかることがあるため、余裕を持って準備してください。
申請の流れ
- 東京都知的財産総合センターで知財相談を受ける
- GビズIDプライムアカウントを取得する(未取得の場合)
- 現地代理人・調査機関から見積を取る
- jGrantsで交付申請を行う
- 申請書類一式を簡易書留等で郵送提出する
対象は「調査」「鑑定」「警告」「税関差止め」の4費用
助成対象になる経費は次の4つです。
- 侵害調査費用(模倣品が実際に出回っているかを調べる費用)
- 侵害品の鑑定費用(見つかった商品が本当に権利を侵害しているかを専門家が判定する費用)
- 侵害先への警告費用(相手方に権利侵害をやめるよう通知する費用)
- 税関での輸入差止費用(模倣品が日本国内に入ってくるのを税関で止めてもらう手続きの費用)
出願・登録の助成とは違い、権利を取得したあとに実際に発生したトラブルへの対応費用が対象です。海外で自社製品の模倣品を見つけたら、まず調査から着手し、証拠を固めたうえで警告や税関対応に進む、という一連の流れをカバーしています。
上限200万円は知財系助成の中でも高め。訴訟前段階の費用が対象
助成率は2分の1以内、上限額は200万円です。同じ公社が実施する海外出願系の助成(意匠・商標が上限60万円)と比べると、上限額は高めに設定されています。侵害調査や鑑定には専門家の費用がかかりやすく、訴訟に発展する前の段階でまとまった支出が必要になることを踏まえた金額と考えられます。ただし訴訟そのものの費用(弁護士費用等)が助成対象に含まれるかは案内文からは読み取れないため、想定している対応の範囲を公社に事前確認しておくとよいでしょう。
「1年度1社1案件」。複数の模倣品を同時に見つけた場合は優先順位が必要
出願系の助成と同様に、この制度も「1年度1社1案件」が原則です。海外で複数の模倣品を同時に見つけた場合でも、今年度分として申請できるのは1件になります。被害の大きさや証拠の集めやすさなどを踏まえて、どの案件を優先するか判断する必要があります。
よくある質問
特許調査費用助成事業と両方申請できますか?
案内ページには明確な併用可否の記載はありません。2つの調査目的が異なる案件を予定している場合は、東京都知的財産総合センターに確認することをおすすめします。
事前の知財相談は、どこで受けられますか?
東京都知的財産総合センター(電話03-3832-3656)で受け付けています。
随時受付とのことですが、いつ申請すればよいですか?
最終受付期限は2026年10月1日(木)17時です。予算の状況によっては期限前に受付が終了する可能性もあるため、早めの相談・申請をおすすめします。
