取引先からセキュリティ対策の証明を求められたのに、UTMやEDRの見積を見て手が止まる。中小企業のサイバーセキュリティ投資は、こういう場面で先送りにされがちです。東京都の「サイバーセキュリティ対策促進助成金」は、こうした投資を後押しする制度です。この記事で扱う令和8年度第1回の公募は、2026年5月19日で受付を終了しています。
実施主体は東京都中小企業振興公社。対象は都内の中小企業者・中小企業団体・中小企業グループで、IPA(情報処理推進機構)の「SECURITY ACTION」の★★二つ星を宣言していることが条件です。助成上限額は500万円、助成率は1/2以内で、申請下限額は10万円に設定されています。
サイバーセキュリティ対策促進助成金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主。中小企業団体・グループも可) |
| 制度名 | サイバーセキュリティ対策促進助成金(R81CYB) |
| 対象業種 | 指定なし(全業種) |
| 利用目的 | セキュリティ機器導入、クラウド利用、標的型メール訓練 |
| 対象地域 | 東京都内の中小企業者等 |
| 従業員数 | 規定なし(中小企業者等が対象) |
| 補助上限額 | 500万円(申請下限額10万円) |
| 補助率 | 1/2以内 |
| 申請受付 | 令和8年度第1回は受付終了(〜2026年5月19日) |
| 公式サイト | https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/cyber.html |

何から始めるか
まず確認したいのが「SECURITY ACTION」の宣言です。この助成金は、IPAのSECURITY ACTIONで★★二つ星を宣言していることが申請の前提条件になっています。宣言していない場合は、助成金の応募よりも先にこの宣言手続きを済ませる必要があります。
東京都中小企業振興公社は令和8年度、この助成金を年3回に分けて募集する方針を示しています。第1回が5月、第2回が今夏掲載予定、第3回が令和9年1月予定です。第1回に間に合わなくても、年内にもう一度チャンスがあるという設計です。
自分の会社は対象になる?
対象は都内の中小企業者・中小企業団体・中小企業グループです。単独の中小企業だけでなく、複数社が連携するグループでの申請も想定されています。
対象経費はUTM(統合脅威管理)、ファイアウォール、ウイルス対策ソフト、EDR(エンドポイント検知対応)、認証システムといったセキュリティ機器の導入費用に加え、クラウド利用費や標的型メール訓練の費用も含まれます。単なるパソコンの買い替えは対象外で、あくまでセキュリティ対策としての投資であることが条件です。
いくら戻るか計算する
助成率は1/2以内、上限は500万円です。たとえば対象経費が600万円のセキュリティ投資であれば、助成額は上限の500万円に達します。一方、対象経費が20万円と小さい場合は助成額10万円となり、申請下限額の10万円を下回る投資では、そもそも申請の対象になりません。
具体的な例で考えると、UTM導入費80万円・EDR導入費120万円・標的型メール訓練費20万円の合計220万円を投資した場合、助成率1/2で助成額は110万円という計算です。取引先からのセキュリティ要求に応える投資を、実質半額で進められる計算になります。
つまずきやすい順番の話
この助成金も、交付決定前の発注・契約は対象外になる可能性が高い制度です。見積だけ取っておくのはよいが、契約・発注は交付決定通知が届いてから、という順番を徹底してください。急いでいるからと機器を先に導入してしまうと、あとから助成対象外と判定されるリスクがあります。
次回公募に向けて準備しておきたいこと
- IPA「SECURITY ACTION」★★二つ星の宣言
- 導入予定のセキュリティ機器・サービスの見積り取得
- 現状のセキュリティ体制と課題の整理(審査で説明を求められる可能性がある)
- 東京都中小企業振興公社の第2回・第3回募集案内のチェック
よくある質問
今から申請できますか?
令和8年度第1回の公募は2026年5月19日で締め切られています。第2回は今夏掲載予定、第3回は令和9年1月予定と案内されているため、次の回に向けて準備を進めてください。
SECURITY ACTIONの宣言をしていないと申請できませんか?
申請の前提条件としてIPAのSECURITY ACTION★★二つ星の宣言が求められます。未宣言の場合は、先に宣言手続きを行う必要があります。
個人事業主でも対象になりますか?
対象は都内の中小企業者・中小企業団体・中小企業グループです。個人事業主が中小企業者に該当する場合は対象に含まれます。詳細な要件は公社の公募要領で確認してください。
