自社の加工技術を医療機器に使えないかと考えたとき、最初の壁になるのは資金より「売ってくれる相手」です。医療機器の販売には薬機法(医薬品医療機器等法)の許可が要り、許可を持つ製販企業との連携が前提になります。
第24回(令和8年度第2回)の申請は2026年10月1日で締め切られ、事前ヒアリングも終了しています。対面受付は10月29日から、審査は11月から始まります。助成は開発費の2/3以内で、上限は事業化支援が5,000万円、開発着手支援が500万円です。自社だけでは申請できず、製販企業との連携体づくりと会員登録が申請より先に要ります。次回の募集は、公式ページではまだ告知されていません。
医療機器産業参入促進助成事業の要点まとめ
正式名:医療機器産業参入促進助成事業(第24回・令和8年度第2回)
だれが
- 申請者
- 都内の中小企業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- ものづくり企業と医療機器製販企業の連携体
- 利用目的
- 医療機器等の研究開発(試作から事業化まで)
- 対象地域
- 東京都(都内で実質的に事業を営む企業)
- 従業員数
- 業種ごとの基準あり(中小企業者に該当すること)
いくら
- 補助上限額
- 事業化支援5,000万円/開発着手支援500万円
- 補助率
- 2/3以内(両事業共通)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年7月23日〜2026年10月1日(終了)
- 事業の完了
- 事業化は2032年2月29日まで、着手は2028年2月29日まで
自社は対象になる?
次の条件にすべて当てはまれば、対象の見込みです。事業化支援の場合で書いています。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
「中小企業者」とは、中小企業基本法に沿った会社と個人事業主で、大企業が実質的に経営に参画していないものを指します。資本金か従業員数のどちらか一方が基準以下なら該当します。製造業・建設業・運輸業・ソフトウェア業は資本金3億円以下か従業員300人以下、卸売業は1億円以下か100人以下、サービス業は5,000万円以下か100人以下、小売業は5,000万円以下か50人以下です。
連携体の組み方には決まりがあります。ものづくり企業は公社の「医療機器産業参入支援事業」に、製販企業は「東京都医工連携HUB機構」に、申請時までに会員登録しておきます。連携体の半数以上は都内に事業所が必要です。親会社・子会社など資本関係のある企業どうしは連携体を組めません。自社工場を持たないファブレス企業でも、仕様づくりと成果物の検品を自社でできれば申請できます。
申請書を出せるのは、事前ヒアリングを受けた企業だけです。
開発着手支援は条件が少し違います。都内での創業を具体的に計画している人も申請でき、登記や開業届は申請時までに済んでいれば足ります。連携体は、構築済みでなくても、本格開発までに組む予定であれば申請できます。連携予定先の会員登録は不要です。ものづくり企業が自ら医療機器製造販売業の許可を取る予定なら、連携体を組まずに申請できます。同一テーマの助成歴も、開発ステージや対象経費を明確に分けられる場合は、申請できないことになりません。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 開発の大半を外注する計画
- ✕ すでに量産・販売の段階にある
- ✕ 事前ヒアリングを受けていない
- ✕ 事業化と着手の両方に申請する
最後の項目は、第24回では同じ企業が両方に出せず、テーマが違っても認められません。
いくら出る? 事業化と着手の違い
助成額は、対象経費に助成率2/3を掛けて決まります。
| 区分 | 事業化支援 | 開発着手支援 |
|---|---|---|
| 上限額 | 5,000万円 | 500万円 |
| 下限額 | 500万円 | 50万円 |
| 助成対象期間 | 交付決定日(2027年3月1日予定)から最長5年 | 同日から最長1年 |
| 向く段階 | 開発から事業化まで | 構想の検証と初期試作 |
事業化支援の上限に届くのは、対象経費が7,500万円のときです。着手支援なら750万円のときです。
- 事業化支援で対象経費が3,000万円:3,000万円 × 2/3 = 2,000万円
- 事業化支援で対象経費が9,000万円:9,000万円 × 2/3 = 6,000万円 → 上限の5,000万円
- 着手支援で対象経費が300万円:300万円 × 2/3 = 200万円
- 着手支援で対象経費が60万円:60万円 × 2/3 = 40万円 → 下限の50万円に届かない
先に着手支援を受けた場合は、事業化支援の上限が5,000万円からその受領額を引いた金額になります。着手支援を受けたあとに事業化支援へ進むなら、実績報告書の提出まで終えている必要があります。
何に使える?
対象にならないもの
- 生産用の機械設備の導入や量産のための経費
- 中古品の購入、改良・修繕・保守の費用
- 親会社・子会社など関連会社との取引
- 消費税、振込手数料、交通費、通信費、光熱費
- 手形・クレジットカード払いの経費
- 助成対象期間より前に発注・契約した経費
対象になるもの
- 原材料・副資材費(試作に使う鋼材や電気部品など)
- 機械装置・工具器具費(試作金型、測定装置。事業化支援のみ)
- 委託・外注費(外注加工、試験・評価、臨床データ収集、共同研究費)
- 産業財産権の出願費、技術指導の謝金(事業化支援のみ)
- 直接人件費(事業化支援のみ。1年あたり200万円が上限)
開発着手支援の対象経費は、原材料・副資材費と委託・外注費の2区分だけです。募集要項の一覧にない経費は対象外なので、機械装置、人件費、産業財産権の出願費は含まれません。
達成目標を「製品の完成」にするか「試作品の完成」にするかで、使える経費が変わります。ものづくり企業が申請者になる場合は「試作品の完成」になり、展示会の出展費・広告費・PMDA(医薬品医療機器総合機構)への相談料と審査手数料、委託・外注費のうち規格等の認証・登録費は対象外です。「製品の完成」を目標にする場合は、展示会等参加費と広告費も対象になり、この2つの助成額の合計は1,000万円までです。
申請の流れ
第24回の日程です。
- 連携体を組んで会員登録する(ものづくり企業→公社、製販企業→医工連携HUB機構。事前ヒアリングまでに)
- 事前ヒアリングを受ける(申請者→公社。ヒアリングシートを出して予約する。受けていないと申請できない)
- 申請書を出す(申請者→公社。jGrantsで2026年9月17日〜10月1日)
- 対面受付で不備を直す(申請者→公社。10月29日〜11月9日。指摘から3営業日以内に是正)
- 審査を受ける(書類審査は11月〜12月、面接審査は2027年1月12日〜19日。結果は2月下旬)
- 交付決定のあとに事業を始める(2027年3月1日予定)
申請にはgBizIDプライム(国の電子申請に共通で使うID)が要ります。発行の審査に原則2週間ほどかかるため、事前ヒアリングの前に取っておくと間に合います。
必要な書類
準備できた 0 / 12
法人は確定申告書と法人事業税・法人都民税の納税証明書、個人事業主は確定申告書(収支内訳書か青色申告決算書)と個人事業税・住民税の納税証明書を出します。事業開始から2年未満なら直近1期分で足ります。許可証は開発する医療機器のクラスで種類が変わります。表紙は押印したものを出します。会社概要・体制図・相関図は経歴書、開発体制図、連携先との相関図のことで、開発品と競合品の資料はA4で10ページ以内です。登記簿謄本は法人の履歴事項全部証明書で、発行から3か月以内のものです。確定申告書の写しは、税務署の受付印か電子申告の受信通知があるものを出します。見積書は、1件100万円(税抜)以上の機械装置・工具器具を買うときだけ要り、金型の製作は不要です。開発着手支援では、確定申告を出していない会社や創業予定者に、代表者の源泉徴収票か所得税の納税証明書(その2)、資金の裏付け書類(代表者の口座の残高証明書など)を求める定めもあります。代理申請をするときは、公社のHPにある同意書も要ります。連携体、臨床ニーズの確認先、外注先の事業者とその従業員は、代理申請を引き受けられません。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 目標を達成できなかった:達成目標をすべて満たしたと検査で確認できないと、事業は完了にならず助成金は出ません。交付済みの分は返還になります。
- 対象期間より前に動いた:2027年3月1日より前に契約・発注・支払をした経費は対象外です。
- 検査で金額が減った:交付決定は上限を示すだけで、支払いの保証ではありません。検査で減額されることがあります。
- 帳票がそろっていない:見積書から振込控までの書類が欠けた経費は対象外です。支払いは原則振込払いです。
- 途中で要件を外れた:助成対象期間の途中で申請要件を満たさなくなった場合も、助成金は出ません。
併用と次回の募集
同じテーマで、公社・国・都道府県・区市町村から助成を受けたことがあると申請できません。他の公的機関の助成金に同じテーマで併願することはできますが、両方で採択されたらどちらか一方を辞退します。
助成を受けた事業は、事業化支援なら終了した翌年度から5年間、開発着手支援なら2年間、状況報告が続きます。事業化支援では、収益が出たときに一部を公社に納付することがあります。
次の募集(第25回)は、2026年10月9日時点で公式ページに載っていません。今回は令和8年度の第2回に当たります。連携体づくりと会員登録は募集の前から進められるので、公式ページの更新を見ながら準備しておくという手があります。
よくある質問
製販企業とのつながりがないときはどうすればいいですか?
連携相手の製販企業を探す場合は、公社の「医療機器産業参入支援事業」に相談します。ものづくり企業は同事業に、製販企業は東京都医工連携HUB機構に会員登録することが申請の条件です。連携体は申請者を含む2社以上で、半数以上が都内に事業所を持つ必要があります。事前ヒアリングまでに体制と登録を整えておくと進めやすくなります。
事業化支援と開発着手支援はどちらで申請すればいいですか?
構想の検証と初期試作の段階なら開発着手支援(上限500万円・最長1年)、開発から事業化までを進めるなら事業化支援(上限5,000万円・最長5年)です。迷うときは、公社の医療機器産業参入助成担当に問い合わせます。第24回では、同じ企業が両方に申請することはできません。テーマを変えても同じ扱いです。
着手支援のあとに事業化支援へ進めますか?
進めます。ただし着手支援の助成事業が完了していること、つまり実績報告書を公社に出し終えていることが条件です。事業化支援の上限は、5,000万円から着手支援で受け取った金額を引いた額になります。たとえば着手支援で300万円を受けていれば、事業化支援の上限は4,700万円です。同じ回に両方を出すことはできません。
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。中小企業者には会社と個人事業主の両方が入ります。ただし事業化支援では、令和7年8月31日以前に税務署へ開業届を出していることが条件です。直近2期分の収支内訳書か青色申告決算書と、個人事業税・住民税の納税証明書も出せる必要があります。開業から2年未満の場合は、直近1期分の書類で足ります。
本店が都外でも申請できますか?
都内で実質的に事業を営んでいることが条件です。登記や建物があるだけでは足りず、申請書、ホームページ、名刺、看板、電話の応対、従業員の雇用状況などから総合的に判断されます。支店登記でも構いません。都内の拠点がバーチャルオフィスだけの場合は、検査に応じられる場所と成果物を保管できる場所を別に用意する必要があります。
ファブレス企業でも申請できますか?
申請できます。自社の工場を持たないファブレス企業は、仕様づくりなど研究開発の主要な部分と成果物の検品を自社でできれば対象です。ただし、研究開発の全部または大部分を委託・外注する計画は、助成対象事業になりません。外注に頼る範囲は、自社内でやるのが難しい部分に絞って計画を立てる必要があります。
試作品を売ってもいいですか?
助成事業の期間内に試作品を販売する予定の計画は、助成対象になりません。試作品を外部に有償または無償で渡すこと自体はできますが、その試作品の製作費は対象外です。最終的な試作品は渡せず、事業終了後も一定期間の保存義務があります。量産や出荷、販売は、助成事業が終わってから始めることになります。
人件費は対象になりますか?
事業化支援では、研究開発に直接従事した社員と統括管理者の人件費が対象です。1年(12か月)あたり200万円が上限で、従事時間は1人につき年間1,800時間までです。所定労働時間を超えた残業や休日労働の分は対象外で、従事者ごとの作業日報も要ります。開発着手支援の経費区分には、人件費が載っていません。
申請はどこから出しますか?
国のjGrantsで電子申請します。gBizIDプライムのアカウントが要り、取得には原則2週間ほどかかります。行政書士などに代理申請を頼む場合は、gBizID上で委任の手続きをして、公社HPの同意書を出します。ただし申請内容の確認と提出は申請者自身が行い、受付より後の手続きも申請者本人が担います。
事前ヒアリングでは何をするのですか?
公社が申請要件を確認する場です。該当するチェックシートを作って予約し、オンライン(Zoom)か対面で受けます。要件に問題がなかった人にだけ、申請書の提出方法と対面受付日が案内されます。受けていない人は申請できません。シートは、製販企業かものづくり企業か、事業化か着手かで4種類に分かれています。
採択されたあとはいつから経費を使えますか?
交付決定日(2027年3月1日予定)から助成対象期間が始まります。契約、発注、実施、支払のすべてがこの期間内に済んだ経費だけが対象です。決定前に発注した機械や外注は対象外になるため、見積もりは取っても、契約は決定のあとにします。経費の支払いは、金融機関からの振込払いが原則です。
助成金はいつ入金されますか?
事業や期が終わってから、期間終了後15日以内に実績報告書を出します。公社が報告書を検査して助成金額を確定し、その後に交付されます。期を1年以上の単位で区切れる事業では、各期の終了後に検査をして交付する流れです。先に入金されるわけではないので、開発費は立て替える資金が要ります。
問い合わせ先はどこですか?
東京都中小企業振興公社 取引振興課 医療機器産業参入助成担当(電話 03-5822-7250)です。申請要件のこと、事業化と着手のどちらで出すか、連携体の組み方などで迷ったときは、事前ヒアリングの前に確かめておくと安心です。最新の募集状況は、公式ページでも確認できます。
