事業を継いだ後継者が使える助成金と聞くと、新商品の開発費用を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし東京都の「事業承継を契機とした成長支援事業(販路開拓コース)」は、商品開発ではなく売り先を広げる活動を支援する制度です。既存の商品・サービスをそのまま新しい市場に持ち込む取組も対象になります。
助成率は3分の2、上限は300万円。事業承継を機に「今の商品を、今までとは違う相手に売りたい」という後継者向けの制度です。
事業承継を契機とした成長支援事業(販路開拓コース)の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 事業承継を契機とした成長支援事業(販路開拓コース) |
| 対象業種 | 業種指定なし |
| 利用目的 | 販路拡大(事業承継後の後継者による新規販路開拓) |
| 対象地域 | 東京都内(都内中小企業・個人事業者) |
| 従業員数 | 中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者(業種ごとに資本金・従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば該当。製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下) |
| 補助上限額 | 300万円 |
| 補助率 | 3分の2以内 |
| 申請受付 | 第1回:令和8年7月1日~7月31日(終了)/第2回:令和8年10月13日~11月12日16時まで |
| 公式サイト | 東京都中小企業振興公社「事業承継を契機とした成長支援事業(販路開拓コース)」 |

まず、自社が対象になるか確かめる
対象になるのは、次をすべて満たす都内中小企業(個人事業者を含む)です。
- 令和3年4月1日から申請日の前日までの間に事業承継をしている
- その事業承継を契機として、新規の販路開拓に取り組もうとしている
承継からどれだけ時間が経っているかは問われません。 令和3年以降の承継であれば対象になり得るので、承継してからしばらく経ってから「そろそろ新しい売り先を開拓したい」というタイミングでも申請できます。
「一般コース」との違い
同じ「事業承継を契機とした成長支援事業」の中に、目的が異なる2つのコースがあります。
| 区分 | 一般コース | 販路開拓コース |
|---|---|---|
| 目的 | 承継後の新規事業展開 | 承継後の新規販路開拓 |
| 上限額 | 800万円 | 300万円 |
| 対象になる商品 | 新規事業向けの製品・サービス | 新製品・既存製品どちらも可 |
新しい商品やサービスを一から作る計画がある場合は一般コース、今ある商品の売り先を広げたいだけなら販路開拓コースが対象という切り分けです。両方に該当しそうな取組の場合は、どちらのコースで申請すべきか事務局に確認しておくと選び直しの手間が省けます。
対象になる経費
助成対象になるのは、次のような経費です。
- 市場調査費
- 専門家指導費
- 販売促進費
- 展示会出展費
製品開発のための費用や、会社の設備を整えるための物品購入は対象外です。あくまで「今ある商品・サービスを、どう売り広げるか」にかかる費用に限定されています。
例えば、家具製造の後継者が、既製の家具を海外向けに販売するためのECサイトを制作する場合、サイト制作費や海外向けの広告宣伝費は対象になりますが、家具そのものの新規開発費は対象になりません。
申請の順番
第1回(令和8年7月1日~7月31日)はすでに終了しています。 現在申請できるのは、令和8年10月13日から11月12日16時までの第2回です。申請はjGrants(電子申請システム)で行うため、事前にGビズIDプライム(国の電子申請で共通して使うID)の取得が必要です。GビズIDの発行には2〜3週間ほどかかるとされているため、第2回の受付開始を待たずに準備を始めておくと間に合いやすくなります。
よくある質問
承継の形式(親族内承継・従業員承継など)で対象が変わりますか?
公式ページでは承継の時期(令和3年4月1日以降)が条件として明記されています。承継の形式による違いの詳細は、東京都中小企業振興公社に確認してください。
一般コースと販路開拓コースを両方申請できますか?
目的が異なる別々のコースのため、それぞれの要件を満たせば両方の活用を検討できる可能性があります。詳しくは事務局に確認してください。
第1回に申請できなかった場合、もう間に合いませんか?
第2回(令和8年10月13日~11月12日16時まで)にまだ申請できます。GビズIDの取得には時間がかかるため、早めに準備を始めてください。
