フィンテック企業と銀行・証券会社をつなぐピッチイベントを開きたい。でも会場費や運営費がネックになる——そんな主催者を後押ししていたのが「金融オープンイノベーション支援補助金」です。令和6年度分の受付は2025年1月31日で終了しています。
正式名称は「フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業(金融オープンイノベーション支援補助金)」。運営は東京都産業労働局(スタートアップ・国際金融都市戦略室)。補助上限は100万円(複数のイベント・プログラムを組み合わせる場合は200万円)、補助率1/2でした。
金融オープンイノベーション支援補助金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人。フィンテック企業等と金融事業者等が参加するイベント・プログラムを実施する事業者) |
| 制度名 | フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業(金融オープンイノベーション支援補助金) |
| 対象業種 | 金融業、保険業(フィンテック関連のイベント・プログラム実施者) |
| 利用目的 | ピッチイベント・アクセラレータプログラム・マッチングイベント等の開催経費の補助(DX・IT導入、まちづくり・地域振興) |
| 対象地域 | 東京都内 |
| 従業員数 | 規定なし(イベント・プログラムを実施する事業者) |
| 補助上限額 | 100万円(複数イベント・プログラムの組み合わせの場合は200万円) |
| 補助率 | 1/2 |
| 申請受付 | 終了しました(令和6年4月30日~令和7年1月31日、予算限度額に達し次第終了) |
| 公式サイト | 東京都「金融オープンイノベーション支援補助金等」 |

対象は「出会いの場」を作る側
この補助金の対象は、フィンテック企業自身の開発費や運転資金ではありません。フィンテック企業等と金融事業者等(銀行・証券会社・保険会社等)が出会い、協業のきっかけをつくるイベントやプログラムを実施する事業者が対象です。
対象になる経費は次のような取り組みの開催費用です。
- ピッチイベント(新しいサービス・技術を短時間でプレゼンする場)
- アクセラレータプログラム(スタートアップの事業成長を伴走支援するプログラム)
- マッチングイベント
自社サービスの開発費用ではなく、「他社同士を引き合わせる場」を運営する経費が対象という点は、他の補助金とは性格が異なります。金融機関やアクセラレーター運営会社、業界団体などが主催者として想定されていたと考えられます。
単発イベントか、複数組み合わせかで上限が変わる
補助上限額は、実施内容によって2段階に分かれていました。
| 実施内容 | 補助上限額 |
|---|---|
| 単発のイベント・プログラム | 100万円 |
| 複数のイベント・プログラムを組み合わせる場合 | 200万円 |
1回限りのピッチイベントよりも、複数回にわたるプログラム(例えば、マッチングイベント→アクセラレータプログラムという一連の流れ)を企画した方が、補助上限額が2倍になる設計でした。単発のイベントで終わらせず、継続的な協業創出のプログラムとして組み立てることで、より大きな支援を受けられる仕組みだったといえます。
随時受付・予算上限に達し次第終了という方式
この補助金は、特定の締切日で一斉に受け付ける方式ではなく、募集期間中(令和6年4月30日~令和7年1月31日)を通じて随時申請を受け付け、審査はおおむね1〜2か月ごとに実施される方式でした。ただし、予算限度額に達した時点で受付を終了するという条件も付いています。
「1月31日までなら間に合う」と考えて申請の準備を後回しにすると、予算上限に先に達して受付終了になっている可能性があったという点は、この方式の補助金に共通する注意点です。
姉妹制度「金融サービス事業化支援補助金」との違い
東京都は同じフィンテック支援の枠組みで、もう一つ別の補助金も実施しています。「金融サービス事業化支援補助金」です。両者の違いを整理します。
| 項目 | 金融オープンイノベーション支援補助金 | 金融サービス事業化支援補助金 |
|---|---|---|
| 対象 | イベント・プログラムの実施事業者 | 設立10年未満のフィンテック企業等、または海外フィンテック企業等と実証を行う金融事業者等 |
| 目的 | 協業の「きっかけ」を作る場の運営 | 金融サービスの実用性検証など「実証」そのもの |
| 補助上限額の目安 | 100万円(組み合わせで200万円) | フィンテック企業等は最大400万円、金融事業者等は最大300万円 |
「出会いの場を作る」補助金と「実際に検証する」補助金という役割分担になっています。イベント主催者はオープンイノベーション支援補助金、実証実験を行う当事者は事業化支援補助金、という使い分けです。
次に似た制度が出たときの備え方
令和6年度分は終了していますが、東京都はフィンテック産業育成の一環として同種の補助金を継続実施する傾向があります。次に備えて準備しておけることを整理します。
- 単発イベントで終わらせず、複数回のプログラムとして企画できないか検討する。 上限額が100万円から200万円に上がる可能性があります
- 予算上限に達し次第終了する方式であることを踏まえ、募集開始後できるだけ早く申請の準備を進める
- フィンテック企業と金融事業者双方の参加が見込めるプログラム内容を具体化しておく
- 「金融サービス事業化支援補助金」など、東京都の他のフィンテック支援策も合わせて確認しておく
よくある質問
令和6年度分にはもう申請できませんか?
できません。受付は2025年1月31日で終了しています(予算限度額に達した場合はそれより早く終了)。
フィンテック企業自身が申請できますか?
この補助金の対象は「イベント・プログラムを実施する事業者」です。フィンテック企業自身が実証的な取り組みを行う場合は、姉妹制度の「金融サービス事業化支援補助金」が対象になる可能性があります。
1回のピッチイベントだけでも申請できますか?
できます。単発のイベント・プログラムでも上限100万円の対象になります。複数のイベント・プログラムを組み合わせる場合は上限が200万円に上がります。
