「何に使えばいいかわからない」という声が多い補助金ほど、実は選択肢が多いことが理由だったりします。
豊中市の「人材確保促進補助金」は、①就業規則等の整備②職場環境づくり研修③ものづくり人材育成④副業人材活用という、4つの取組から自由に選べる設計です。補助率はいずれも1/2。上限額は事業ごとに異なり、複数を組み合わせても合計15万円が上限になります。
この補助金の概要(早見表)
| 検索項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 令和8年度人材確保促進補助金 |
| 対象業種 | 業種指定なし(市内に本店・事業所を有する中小企業者等) |
| 利用目的 | 人材確保・多様な人材の就労促進、働きやすい職場づくり |
| 対象地域 | 大阪府豊中市(市内に本店所在地または事業所を有する事業者) |
| 従業員数 | 中小企業法に定める中小企業者、またはビジネス的事業運営に取り組むNPO法人等 |
| 補助上限額 | 事業①〜③は各10万円、事業④は15万円(複数申込時は合計15万円) |
| 補助率 | 2分の1 |
| 申請受付 | 令和8年4月1日〜令和9年3月31日必着(予算上限に達し次第終了) |
| 公式サイト | https://www.city.toyonaka.osaka.jp/machi/sangyoushinkou/hojokin/R8jinzaikakuho.html |
※この表の項目(対象業種・利用目的・対象地域・従業員数)は、GRANTOSの補助金診断の検索軸に対応しています。
なぜ4つも選択肢があるのか
人材確保系の補助金は、多くの自治体で「就業規則の整備」1本に絞られています。豊中市がここまで選択肢を広げたのには理由があると考えられます。
人手不足の現れ方は、業種・企業規模によって全く違うからです。就業規則がまだ整っていない小規模企業もあれば、規則は整っているが従業員のスキルアップが課題という企業もあります。さらに、正社員の採用そのものが難しく、副業人材という形で外部の力を借りたい企業もあります。
豊中市はこの多様さに対して、「入口を1つに絞らず、企業がすでに抱えている課題に応じて選べる」設計にしたと読み取れます。4つの事業に共通しているのは、「人材を新しく採用する」ことそのものではなく、採用した人材・既存の従業員が働き続けたくなる環境を、企業側の取組として整えるという視点です。
4つの補助対象事業を具体例で見る
| 事業 | 対象経費の例 | 補助率・上限額 |
|---|---|---|
| ①就業規則等の整備 | 社会保険労務士等への委託費・報酬 | 1/2、上限10万円 |
| ②職場環境づくり研修 | 会場・機材等の借上料、教材費、外部研修参加費 | 1/2、上限10万円 |
| ③ものづくり人材育成 | ポリテクセンター等の受講料 | 1/2、上限10万円 |
| ④副業人材活用 | 人材紹介サイトの登録・掲載料、手数料、コーディネイト料、業務委託費 | 1/2、上限15万円 |
たとえば、次のような使い方が考えられます。
- 製造業の工場:正社員採用が難しいため、まず④副業人材活用で外部人材にDX推進の一部を委託。あわせて①就業規則の整備で、リモートワーク規定を新設する
- 建設業の会社:③ものづくり人材育成でポリテクセンターの技能研修を活用し、若手作業員の育成に充てる
- 小売業の店舗:②職場環境づくり研修で、接客スキル向上の外部研修に参加させる
複数の事業を組み合わせて申請することもできますが、合計の補助額は15万円が上限です。①〜③をそれぞれ10万円ずつ使い切ることはできず、全体で15万円という枠の中でのやりくりになります。
「合計15万円」という上限の設計をどう捉えるか
この補助金の一番の注意点は、事業ごとの上限額と、全体の上限額が別に存在することです。
事業④副業人材活用は単体で15万円まで使えます。しかし、①就業規則整備で10万円を使ったあとに④副業人材活用を申し込んでも、残りの枠は5万円までしか使えません。「事業ごとに10万円・15万円まで使える」と早合点すると、想定より少ない補助額しか受け取れないことになります。
年度内に複数の取組を計画している企業ほど、どの事業から先に申請するかの優先順位を決めておくことが重要です。上限額の大きい④副業人材活用を先に検討し、残りの枠で①〜③のどれを使うかを考える、という順番が現実的でしょう。
申請の流れと受付期間の考え方
申請の流れは次のとおりです。
- 交付申込書等の提出:持参・郵便・メールのいずれかで提出
- 交付決定
- 事業の実施:就業規則整備・研修参加・受講・副業人材の活用等を行う
- 実績報告書の提出:納税証明書、領収証等の必要書類とあわせて提出
- 補助金の交付
受付期間は令和8年4月1日〜令和9年3月31日必着と、1年間にわたる長い期間が設定されています。ただし、予算上限に達すると受付が終了する先着に近い性質の制度と考えられるため、年度末に慌てて申請するより、取組が固まった時点で早めに動いたほうが安全です。
似た「人材確保」補助金との設計思想の違い
「人材確保」を掲げる区市の補助金は多くありますが、それぞれ支援の入り口が違います。
江東区の「奨学金返還支援事業補助金」は、従業員個人の奨学金返還という経済的負担に直接アプローチする設計です。対象業種も建設・製造・運輸・情報通信の4業種に絞られています。
墨田区の「人材確保・定着支援補助金」は、就業規則整備と職場環境整備の2本立てで、業種を問わず企業側の職場づくりに投資する設計です。
豊中市のこの補助金は、その中間にあたります。就業規則整備という「守り」の投資も、副業人材活用という「攻め」の投資も、同じ枠組みの中から選べるという、選択肢の広さが最大の特徴です。どの取組が自社に合うかで迷ったら、まずは自社が抱えている課題(規則が未整備か、人材そのものが足りないか)を棚卸しすることから始めるとよいでしょう。
じつは、「副業人材活用」の対象経費が、通常の業務委託費とどこまで区別されるかは、はっきり白黒つくものばかりではありません。同じ業務委託でも、人材確保・定着という文脈でどう位置づけるかによって、対象経費として認められるかが変わることがあります。この考え方は、GRANTOS公式LINEの登録者限定ページで、人材確保等支援助成金の要件充足の考え方とあわせて紹介しています。
よくある質問
NPO法人でも申請できますか?
対象になります。「中小企業法に定める中小企業者」に加え、ビジネス的事業運営に取り組むNPO法人等も対象と明記されています。
4つの事業をすべて申請することはできますか?
申請自体は可能ですが、補助額の合計は15万円が上限です。事業ごとの上限額(10万円・15万円)をすべて足し合わせて受け取れるわけではない点に注意してください。
令和8年度中であれば、いつ申請してもよいですか?
受付期間は令和8年4月1日〜令和9年3月31日必着ですが、予算上限に達し次第、受付期間内でも終了する先着に近い制度と考えられます。取組の計画が固まった時点で早めに申請することをおすすめします。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・補助率・対象要件・受付状況は変更される場合があるため、申請前に必ず豊中市の公式ページおよび最新の募集要項で内容をご確認ください。
出典:
補助金の概要早見表(暫定・subsidiesマスタ未登録)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象地域 | 大阪府豊中市(市内に本店・事業所を有する事業者) |
| 対象業種 | 業種指定なし |
| 利用目的 | 人材確保・多様な人材の就労促進、働きやすい職場づくり |
| 対象者規模 | 中小企業者等(NPO法人等含む) |
| 補助上限額 | 事業①〜③各10万円、事業④15万円(合計上限15万円) |
| 補助率 | 2分の1 |
| 申請受付期間 | 令和8年4月1日〜令和9年3月31日必着 |
| 公式サイト | https://www.city.toyonaka.osaka.jp/machi/sangyoushinkou/hojokin/R8jinzaikakuho.html |
4つの事業のうちどれを優先すべきか、合計上限の使い方など、実務の進め方に迷う場合は専門家に相談するのも一つの手です。
