成長やまなし応援融資には、通常版のほかに「賃上げ特例枠」があります。違いは2つで、借りるときに信用保証協会へ払う信用保証料を県が全額負担すること、金利が通常版より0.2ポイント低い1.6%であることです。
使える会社は絞られます。スリーアップ認証のプレミアム認証を取得済みで、直近2期の給与の支給額が平均2.5%以上増えている中小企業です。限度額は設備資金1億円・運転資金2,000万円(一企業1億円)。補助金とは違って借入なので、元金と利息は返します。
成長やまなし応援融資(賃上げ特例枠)の要点まとめ
正式名:成長やまなし応援融資(賃上げ特例枠)
だれが
- 申請者
- 事業者(中小企業者。個人事業主を含む)
- 対象業種
- 商工業(農林漁業・金融保険業などは対象外)
- 利用目的
- 設備資金・運転資金(土地取得資金は対象外)
- 対象地域
- 山梨県
- 従業員数
- 業種ごとに上限あり(サービス業100人以下、小売50人以下など)
いくら
- 補助上限額
- 融資限度額 設備資金1億円・運転資金2,000万円(一企業1億円)
- 補助率
- 信用保証料を全額補助(融資額は補助ではない)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 取扱期間は2031年3月31日まで(予定)
自分の会社は申し込める?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 認証は申請中・取得見込み
- ✕ 土地の購入資金に使う
- ✕ 農林漁業・金融保険業が本業
- ✕ 借入金の返済に充てる
借入金の返済に充てる融資は対象外ですが、県の制度融資で受けた借入金の借換は除かれます。ほかに、風俗営業や違法行為をしている事業者、許認可が必要なのに受けていない事業者、金融機関から取引停止処分を受けている事業者、信用保証協会から代位弁済を受けている事業者も対象外です。
中小企業者は、業種ごとに従業員数と資本金の上限が決まっていて、どちらか一方に当てはまれば対象です。県の融資対象者のページでは、次のとおりです。
| 業種 | 従業員数 | 資本金・出資金 |
|---|---|---|
| サービス業 | 100人以下 | 5,000万円以下 |
| 小売業 | 50人以下 | 5,000万円以下 |
| 卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
| 製造業・その他 | 300人以下 | 3億円以下 |
ゴム製品製造業、ソフトウェア業、旅館業などには別の基準があります。従業員数は、正社員とそれに準ずる臨時雇用者の数です。役員と、個人の申込者・家族従業員は入りません。
県内で1年以上事業をしていることは、県の融資対象者のページにある条件です。創業や災害の場合など一部の融資ではこの限りではありませんが、この特例枠に例外があるかは県の案内に書かれていません。
賃上げ2.5%の数え方
県のQ&Aでは、給与の支給額に次の区分が示されています。確かめる書類は、原則として決算書か確定申告書です。
- 数える:従業員の給与、賞与(パート・アルバイト・日雇いを含む)
- 数えない:役員報酬、役員の賞与、退職金、法定福利費、福利厚生費
- 個人事業主:専従者給与(青色申告)、専従者控除(白色申告)は数えない
「直近2期の対前年の平均が2.5%以上」とは、直近2つの決算期それぞれで前の年と比べた伸び率を出し、その平均を見るということです。決算期を変更した場合は、月の平均額をもとに年換算して比べます。
計算は、申込書類の「賃上げ報告書(様式44)」の表に沿って進めます。前々期・前期・直近の決算期の3期分について、労務費と人件費(従業員の給与)の合計を出し、前の期からの伸び率を2つ求めて平均します。県の記載例では、合計が133,080千円、137,390千円、144,950千円で、伸びは3.24%と5.50%、平均は4.37%です。直近3期の決算書が要るのは、この計算のためです。表を埋めたあとは、金融機関が要件を満たしているかを確認する欄があります。
プレミアム認証とは
山梨県の「豊かさ共創スリーアップ実践企業認証制度」の上位区分です。経営方針の共有、従業員の声を聞く機会、スキルアップ支援、生産性向上、賃金アップの5項目すべてに取り組む企業が対象で、1〜3項目に取り組む企業が対象のアドバンス認証では足りません。
認証を受けられるのは、県内に本社か営業所があり、常時雇用する従業員がいて、暴力団などに当たらず、重大な法令違反がない法人・団体・個人事業主です。県外に本社があっても、県内に事業所があれば対象です。
借りると、いくらかかる?
保証料は県が持つので、事業者が払うのは利息です。金利1.6%で、1年間残高が減らなかったと仮定すると次のとおりです。
- 運転資金 2,000万円 × 1.6% = 32万円
- 設備資金 5,000万円 × 1.6% = 80万円
- 設備資金 1億円 × 1.6% = 160万円
実際は元金を返すにつれて残高が減るので、利息はこれより少なくなります。
通常版(金利1.8%)と比べると、設備資金5,000万円で利息が年10万円ほど違います。保証料は、県の「中小企業金融のしおり」に県制度融資で原則年率1.90%以内とあります。仮に上限の年1.90%で、1年間残高が減らないとすると、5,000万円で95万円です。通常版は県が2分の1を補助するので事業者の負担は約47万円、特例枠は0円という差になります。1.90%は上限の目安で、実際に適用される保証料率は審査で決まり、県の案内には書かれていません。
一企業1億円の枠は、設備資金と運転資金の合計にかかります。設備資金8,000万円と運転資金2,000万円なら合計1億円で収まります。設備資金9,000万円と運転資金2,000万円は合計1億1,000万円で、枠を超えます。
何に使える?
対象にならないもの
- 土地の取得資金
対象になるもの
- 設備資金(償還期間は10年以内。1年以内の据置を含む)
- 運転資金(償還期間は5年以内。1年以内の据置を含む)
据置とは、元金の返済を待ってもらい、利息だけ払う期間のことです。県のページの資金使途は「事業運営に必要な資金」で、設備資金と運転資金のどちらでも借りられます。
申請の流れ(認証が先、融資があと)
順番を間違えやすいのは認証です。認証書が手元に届いてからでないと、融資は申し込めません。
- スリーアップ認証をオンラインで申請する(事業者→認証制度の事務局。随時受付・無料。認証書は申請から1〜2か月ほどで郵送。電話・メール・郵送での申請は不可。事務局は055-223-1566)
- 賃上げの実績を決算書で確かめる(事業者。直近2期の給与支給額が平均2.5%以上増えているか。賃上げ報告書[様式44]に書き込みます。申込には直近3期の決算書が要ります)
- 取扱金融機関に相談する(事業者→金融機関。認証書が届いてから)
- 申込書類を出す(事業者→金融機関。借入申込書・賃上げ報告書・認証書の写し・決算書など)
担保や保証人は、金融機関または信用保証協会の定めによります。県の中小企業金融相談窓口は産業振興課内(055-223-1554)で、水・木・金の9時〜16時は専門の相談員が、月・火は金融担当職員が対応します。
必要な書類
準備できた 0 / 6
県のしおりによると、様式は県のホームページから全部ダウンロードできます。納税証明書は、県税に未納の税額がないことの証明書です。県の納税証明書のページによると、この証明書は商工業振興資金の貸付の申請で添付が必要で、窓口、郵送、電子申請(やまなしくらしねっと)のいずれかで請求できます。窓口は総合県税事務所のほか、地域県民センター総合窓口と県庁税務課でも受け付けています。見積書は設備資金のときだけ要ります。しおりの一覧には、必要な場合に限る書類として事業計画書、必要な業種に限る書類として許認可等の写しも載っています。
使えなくなるのはどんなとき?
- 認証が「見込み」のまま:県の案内に「認証見込みでは申請できません」とあります。認証書を受け取ってから申し込みます。
- 賃上げが平均2.5%に届かない:役員報酬や退職金は数えないので、決算書の人件費の総額とずれることがあります。
- 土地の購入に使おうとした:土地取得資金は対象外です。
- 保証料以外の費用が出る:条件変更で生じる追加の保証料と、経営者保証を求めない仕組みを選んで上乗せされる保証料は、事業者の負担です。
- 審査で借入額が下がった:限度額は上限で、借りられる額は金融機関と保証協会の審査で決まります。
通常版の成長やまなし応援融資とは何が違う?
「賃上げ特例枠」のつかない通常版では、県が信用保証料の2分の1を補助し、金利は1.8%です。対象は、アドバンス認証・プレミアム認証のどちらかの認証事業者のほか、先端設備等導入計画の認定事業者、くるみんの認定事業者など、21の区分から1つ当てはまればよい形です。
特例枠は、プレミアム認証と賃上げ2.5%という高い条件の代わりに、保証料が全額補助で金利も0.2ポイント低くなります。プレミアム認証がまだなら、通常版が使えるかを先に確かめるという手もあります。
取扱期間は2031年3月31日までの予定ですが、県は「今後変更となる可能性があります」としています。認証の有効期限は3年です。
よくある質問
保証料が全額補助なら、借りたお金も返さなくていいですか?
返す必要があります。県が負担するのは信用保証料だけで、借りた元金と金利1.6%の利息は事業者が返します。償還期間は設備資金が10年以内、運転資金が5年以内で、どちらも1年以内の据置期間を含みます。資金繰りは、返済を前提に計画します。補助金のように入金される制度ではなく、借入にかかる保証料の負担が消える制度だと考えると整理しやすくなります。
プレミアム認証とアドバンス認証は何が違いますか?
プレミアム認証は、スリーアップの5項目すべてに取り組んでいる企業が対象です。アドバンス認証は1〜3項目に取り組む企業で、プレミアム認証の下の区分です。この特例枠の対象はプレミアム認証だけです。アドバンス認証の企業は、保証料2分の1補助の通常版なら対象になる場合があります。
認証を申請中でも融資を申し込めますか?
申し込めません。県の案内に「認証を受けてからの申請になります。認証見込みでは申請できません」とあります。認証制度のQ&Aでは、審査は申請の受付順で、認証書が郵送されるまでおおむね1〜2か月です。融資を使いたい時期から逆算して、早めに認証を申請する手があります。
賃上げ2.5%は、どうやって計算しますか?
県の条件は、直近2期の対前年の雇用者給与等支給額の平均が2.5%以上増えていることです。賃上げ報告書(様式44)に前々期・前期・直近の決算期の労務費と人件費を書き、前の期からの伸び率を2つ出して平均します。県の記載例は、3.24%と5.50%で平均4.37%です。賞与は数え、役員報酬と退職金は数えません。表に載らない勘定科目の扱いは、別途協議とされています。迷うときは産業振興課(055-223-1537)に確かめると確実です。
給与の支給額に役員報酬は入りますか?
入りません。県のQ&Aでは、役員報酬・役員の賞与・退職金は数えないとされています。法定福利費と福利厚生費も入りません。入るのは、パート・アルバイト・日雇いを含む従業員の給与と賞与です。個人事業主の専従者給与(青色申告)と専従者控除(白色申告)も数えません。確かめる書類は、原則として決算書か確定申告書です。
決算期を変えた場合はどうなりますか?
県のQ&Aでは、決算期を短縮・延長した場合は、月の平均額をもとに年換算した金額で比べるとされています。たとえば決算期を延ばして期間が長くなったときも、そのまま前年と比べず、1か月あたりに直してから比べます。個別の事情で扱いが変わりうるため、金融機関か産業振興課に先に伝えておくと安心です。
金利1.6%は固定ですか?
県の案内には、融資利率1.6%(責任共有)と載っています。責任共有とは、金融機関と信用保証協会が貸し倒れのリスクを分け合う仕組みです。固定か変動かは県の案内に書かれていません。案内PDFの日付は令和8年3月9日です。申込の時点の利率は、取扱金融機関で確かめられます。
どこの金融機関で申し込めますか?
案内PDFには、山梨中央銀行・甲府信用金庫・山梨信用金庫・都留信用組合・山梨県民信用組合・商工組合中央金庫・みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行・りそな銀行と、JAクレイン・JAフルーツ山梨・JAふえふき・JA山梨みらい・JA南アルプス市・JA梨北・JA山梨信連が取扱金融機関として載っています。ふだんの取引先が入っているかを確かめます。
個人事業主は申し込めますか?
申し込めます。県の融資対象者のページで、中小企業者に個人事業主が含まれると書かれています。ただしスリーアップ認証は、常時雇用する従業員がいる個人事業主だけが申請できます。従業員がいない事業主は認証が取れず、この特例枠は使えません。パートやアルバイトだけでも、継続して雇っていれば申請できます。短期のアルバイトは数えません。
保証料以外に、自分で払う費用はありますか?
あります。条件変更に伴って生じる追加の信用保証料は、事業者の負担です。経営者保証を求めない仕組み(事業者選択型経営者保証非提供制度)を選ぶと、上乗せされる保証料も事業者の負担になります。しおりでは、この上乗せは0.25〜0.45%とされています。金利1.6%の利息は、どの場合も払います。
担保や保証人は必要ですか?
県の案内には「金融機関又は信用保証協会の定めるところによる」とあります。この融資だけで担保や保証人が不要になるとは、どこにも書かれていません。審査の結果、求められることがあると考えておくのが安全です。経営者保証を求めない仕組みも選べますが、その分の保証料は事業者の負担です。
窓口はどこですか?
申込先は取扱金融機関です。制度の内容や、自社が当てはまるかの相談は、山梨県産業政策部産業振興課(電話055-223-1537)で受けています。金融の相談窓口は県庁別館3階の産業振興課で、水・木・金の9時〜16時は専門の相談員が対応します(直通055-223-1554)。月・火は金融担当職員が対応します。
取扱期間が過ぎたらどうなりますか?
取扱期間は2031年3月31日までの予定です。県は「今後変更となる可能性がある」としているので、予定より早く終わることも、内容が変わることもありえます。認証の有効期限は3年なので、融資を申し込む時点で認証が有効かどうかを認証書で確かめます。
