若手のエンジニアを地元で育てる場を自分の法人でつくれないかと考え、AKATSUKIプロジェクトにたどり着いた方は、申請者の欄で戸惑うかもしれません。この補助金が出る先は、若手本人ではなく、育成プログラムを運営する民間の法人です。
公募は2026年3月23日15時に締め切られました。採択は25件程度の予定で、補助対象事業1件あたりの上限は3,000万円です。若手に渡す開発支援費も、この3,000万円に含まれます。補助率は、人件費などの事業費が2/3、開発支援費が10/10です。
同じ事業は令和4年度から7年度まで、年度ごとの特設ページが並んでいます。次の公募を考えるなら、令和7年度の条件が目安になります。以下は、事業者として動く順に整理しました。
AKATSUKIプロジェクトの要点まとめ
正式名:令和7年度地方の若手人材発掘育成支援事業費補助金「AKATSUKIプロジェクト」
だれが
- 申請者
- 法人格のある民間事業者(企業・一般社団法人・一般財団法人・NPO法人等)
- 対象業種
- 指定なし(Jグランツの区分は学術研究、専門・技術サービス業)
- 利用目的
- 15〜39歳の若手の発掘・育成プログラムの運営
- 対象地域
- 全国(育成する地域は申請者が指定)
- 従業員数
- 制限なし
いくら
- 補助上限額
- 上限3,000万円(事業1件。開発支援費を含み、その分は総額1,500万円まで)
- 補助率
- 事業費は2/3、開発支援費は全額支給
いつ・どこへ
- 申請受付
- 終了(2026年3月11日〜2026年3月23日)
- 事業の完了
- 2027年2月21日まで
うちの法人は申請できた?
次の6つにすべて当てはまると、申請の土俵に乗ります。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
PMはプロジェクトマネージャーの略で、若手の開発を指導し、採択から育成まで責任を負う人です。年齢は令和8年4月1日時点の満年齢で数えます。地域の選定理由は、申請書ではっきり書く必要があります。一般社団法人・一般財団法人は、貸借対照表の公告をしていることも、事業計画書(様式3)の末尾にある誓約で確認されます。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 個人や法人格のない団体である
- ✕ 講義中心の研修やコンテストである
- ✕ 40歳以上を育成対象にしている
事業者の所在地と育成する地域は、一致していなくて構いません。ただし育成地域の人口に対して申請事業者が多いと、審査の水準を超えていても採択されないことがあります。
若手として参加したいときは?
15〜39歳の本人は、この補助金に申請できません。補助事業者が採択した若手として、各地のプログラムに応募する形になります。
若手に渡る開発支援金は、1件あたり150万円が上限です。補助事業者が若手から参加費や受講料を取ることは認められていません。過去にIPA(情報処理推進機構)の未踏事業へ採択された人は、対象になりません。
いくら出る?
補助金の支払額は、補助対象経費に補助率をかけた額と、補助上限額の低いほうです。開発支援費は10/10ですが、1件150万円・総額1,500万円までの枠があります。事業費と開発支援費を合わせて、3,000万円が上限です。
- システム構築を外注する(事業費・委託外注費):300万円 × 2/3 = 200万円
- 若手1人の開発環境とライセンス費(開発支援費):120万円 × 10/10 = 120万円
- 8人に150万円ずつ渡す:150万円 × 8件 = 1,200万円(総額の枠1,500万円以内)
- 11人に150万円ずつ渡す:150万円 × 11件 = 1,650万円 → 総額の枠の1,500万円
1件ごとの150万円は、若手の開発内容や居住地の事情で超えても構いません。その場合も、交付された開発支援費の総額の中に収めます。
事業費と開発支援費を足して3,000万円を超えるときは、3,000万円で止まります。
- 事業費の対象経費が2,700万円、開発支援費が1,500万円:2,700万円 × 2/3 = 1,800万円、1,500万円 × 10/10 = 1,500万円 → 合計3,300万円 → 上限の3,000万円
申請時に必要以上の額を出して、あとで大きく減らす行為は禁止されています。減額が大きいと、計画変更届や事故報告書を求められます。
何に使えた?
対象にならないもの
- 通常の事業活動のための設備投資、パソコンやサーバの購入
- 事業所の家賃・保証金・光熱水費
- 飲食・接待・商品券などの経費
- 購入価格が50万円を超える機器やシステムの購入・発注
- 申請書類の作成にかかった費用
対象になるもの
- 人件費(事業計画に位置づけた事業に従事する人の、作業時間分)
- 委託・外注費(システム構成、Webサイト構築、PMや若手への委託費など)
- その他の経費(旅費、会議費、借料、PMや若手への謝金、印刷製本費、補助員の人件費)
- 開発支援費(若手が提案するプロジェクトの開発費。若手個人の口座へ振り込んだ証憑が要ります)
若手への開発支援金からは、合宿や発表会の費用、PMやメンターの人件費、外部講師の謝金を払えません。事業費に占める委託・外注費が50%を超えるときは、理由書(様式5)が必要です。
申請から支払いまでの流れ
- GビズIDプライムを取る(事業者→デジタル庁。取得に2週間ほどかかるので締切より前に)
- 様式をそろえて申請する(事業者→Jグランツ。2026年3月23日15時まで)
- 審査を受ける(外部有識者の審査委員会。必要に応じてヒアリングと現地調査)
- 採択され、交付決定を受ける(事務局→事業者。交付決定日が事業の開始日)
- 若手を採択して育成する(事業者。交付決定日から2027年2月21日まで)
- 実績報告書を出す(事業者→事務局。2027年2月26日か、事業終了から30日以内の早いほう)
- 補助金を受け取る(精算払い。2027年3月18日か、金額確定月の翌月末の早いほう)
交付決定の通知は、採択の公表から約3週間以内が目安とされていました。
必要な書類
準備できた 0 / 9
様式5は、委託外注費が50%を超えるときだけ出します。決算書は、設立1年未満なら事業計画書と収支予算書で代えられます。WLBはワーク・ライフ・バランスの略で、えるぼし・くるみん・ユースエールなどの認定通知書の写しを指します。認定を受けている場合だけ出し、審査では加点されます。免税・非課税の証明書も、免税事業者などに当たる場合だけです。事業計画書はA4で30ページまでです。パンフレットや定款は任意で出せます。Word・Excel・PowerPointの様式は、PDFも一緒に送ります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定日より前の発注・契約・購入は対象外です。交付決定日が事業の開始日になります。
- 育成件数が減った:5件に満たなくなると、育成した分だけが対象になります。3件未満になると交付が取り消され、補助金は一切出ません。
- 育成期間が足りなかった:採択の遅れなどで5か月に届かないと、補助の対象から外れます。
- 同じテーマを続けた:過去のAKATSUKIで採択された人を続けて採択するときは、前年度と別のテーマが条件です。
- 支払いが期限に遅れた:実績報告書が期限までに出ない、または不備が直らないと、補助金を支払えなくなります。
次の公募に備えるなら
次の公募が決まれば、事務局サイトのお知らせに出ます。令和7年度は、公募要領の公募期間が2026年2月27日からで、Jグランツの受付は3月11日からでした。出たときに慌てないよう、令和7年度の条件で3つだけ先に動けます。
- 育成する地域を決め、自治体や教育機関から協力の内諾を得る(協賛、会場提供、広報協力が加点の対象でした)
- 未踏事業の経験者(修了生やPM経験者)を複数人そろえる
- GビズIDプライムを取っておく
首都圏以外の地域で取り組むこと、過去のAKATSUKIで実施対象になっていない自治体を主な地域にすることも、加点の項目でした。
よくある質問
今から申請できますか?
できません。令和7年度の公募は2026年3月23日15時で締め切られ、採択結果も事務局サイトで公表されています。次の公募に応募したいときは、事務局サイトのお知らせと経済産業省のページを定期的に見るのが確実です。公募要領の改訂も、事務局サイトで案内されます。応募にはGビズIDプライムが要り、取得に2週間ほどかかるので、公募の案内が出たらすぐ動けるよう、先に取っておく手があります。
若手本人が応募できる補助金ですか?
本人は申請できません。申請するのは、育成プログラムを運営する民間の法人です。15〜39歳の若手は、採択された補助事業者が各地で開くプログラムに応募します。採択されると開発支援金を受け取れ、上限は1件150万円です。IPAの未踏事業に過去に採択された人は、対象になりません。
個人事業主や任意団体でも申請できましたか?
できませんでした。補助事業者の要件は、民間事業者等(企業、一般社団法人、一般財団法人、NPO法人など)で、法人格を持つ者とされています。あわせて、事業の期間中と終了後5年間、事務局の求めに応じて活動状況や成果を報告できることも条件でした。法人格がない場合は、法人化してから検討する形になります。
育成する地域は、自社の所在地でないといけませんか?
一致している必要はありません。ただし申請時に都道府県や市町村を指定し、その地域を選んだ理由を書く必要があります。採択された若手は、原則その地域で育成を受けます。広域で対面の育成が難しいときは、移動コストへの対応策も書きます。地域の人口に対して申請事業者が多いと、採択されないことがあります。
講義形式の研修やピッチコンテストでも対象になりますか?
対象外です。講義中心で座学の比重が高いもの、スタートアップ研修、ビジネスアイデアコンテスト、ピッチコンテストは、事業の趣旨に合わないとされています。対象になるのは、若手が自分のアイデアをITを活用したプロダクトとして自ら開発し、完成まで持っていく育成です。複数人でのプロダクト開発も認められていました。
PMは何人置く必要がありますか?
採択した全案件にPMを置きます。1人のPMが担当できる採択件数は3件までで、AKATSUKIプロジェクトの他の事業者のPMを兼ねる場合は4件までです。申請書には、採択予定の件数に応じた人数のPMを経歴や実績とあわせて書きます。採択後のPM変更は原則認められず、健康上の理由などで変えるときは計画変更の承認が要ります。
若手への開発支援金は何に使えますか?
若手が提案するプロジェクトの開発に関わる費用が対象です。例は、開発環境の構築費、ライセンス費、プロダクトを作る外注費、若手の旅費、委託契約に伴う若手の人件費です。合宿や発表会の費用、PMやメンターの人件費、外部講師の謝金は対象外です。若手への支払いの根拠として、業務委託契約書や支払いの証憑が必要になります。
パソコンやサーバを買うことはできますか?
できません。通常の事業活動のための設備投資や、パソコン・サーバなどの購入費は対象外です。購入価格が50万円を超える機器やシステムを、事業者が自ら購入・発注することも認められていません。若手の開発環境は、開発支援費の例として、環境構築費やライセンス費の形で計上します。判断に迷う経費は、事前に事務局へ相談する扱いでした。
見積書は何社分いりますか?
1件あたり税込10万円以上の発注では、原則3社以上から見積書を取ります。実際に発注する会社のほかに、2社の分が要る形です。見積りを取ることが難しい合理的な理由があるときは、随意契約の理由書を用意します。支払いは原則として銀行振込で、手形払いや現金払いは支払いの証憑として認められません。
補助金はいつ支払われますか?
原則として、補助事業が終わったあとの精算払いです。支払時期は、2027年3月18日か、金額確定月の翌月末の、どちらか早い日でした。必要と認められる経費は中間払いの相談もできますが、事前に事務局へ連絡する決まりです。実績報告書が期限までに出ないと、補助金を支払えなくなります。
事業が終わったあとも報告は必要ですか?
必要です。補助事業者は、事業期間中と事業終了後の5年間、事務局の求めに応じて、事業の活動状況や成果を指定の方法で報告できることが要件でした。採択した若手の個人情報と連絡先は事業者が管理し、経済産業省や事務局から求められたときにすぐ出せるよう、リストを用意しておきます。
問い合わせ先はどこですか?
AKATSUKIプロジェクト事務局です。メールは akatsuki_pjt2026@mitouteki.jp で、問い合わせ対応は平日の9時から18時までです。土日祝日は休みで、時間外の問い合わせは翌営業日以降の対応になります。事務局はTOPPAN株式会社が担っています。公募要領が改訂されたときは、事務局のサイトで案内される決まりでした。
