県が補助する相手は、薬剤師ではなく病院の開設者です。奨学金の返還を手当で支えた病院に、その2分の1を補助する仕組みです。
この補助を受けるには、病院が県の登録を受けていなければなりません。登録の要件には、返還支援制度と、県が認める研修プログラムの両方があります。採用してから制度をつくるのでは遅いので、順番に気をつけてください。
青森県 病院薬剤師奨学金返還支援事業費補助金の要点まとめ
正式名:病院薬剤師奨学金返還支援事業費補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(県内の対象病院の開設者)
- 対象業種
- 病院(県の対象病院として登録されたもの)
- 利用目的
- 病院薬剤師の奨学金返還支援・人材確保
- 対象地域
- 青森県
- 従業員数
- 公式ページに記載なし
いくら
- 補助上限額
- 補助基準額の1/2(1人1か月あたり最大5万円)
- 補助率
- 補助基準額の2分の1以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 申請書の提出期限は別途通知(病院の登録は随時)
うちの病院は対象になる?
病院の側では、次の4つにすべて当てはまることが登録の条件です。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
病院が誓約するべき点は、ほかにもあります。社会保険に加入する義務があるのに加入していない、医療関係の法令に違反している、といった場合は登録できません。県の検査に同意しない場合も同じです。
薬剤師の側では、次の条件があります。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 3
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 病院自身が貸した奨学金を返している
- ✕ 県内の病院・薬局で正規雇用の経験あり
- ✕ 県の他の返還支援事業を受けている
- ✕ 登録を受けていない病院に勤めている
正規雇用の経験の有無を見る施設は、病院、診療所、薬局、介護保険施設(介護老人保健施設・介護医療院)です。年齢の制限はなく、県外の出身者や県外に住む人でも支援対象者になれます。
病院が自分で貸与した奨学金や、返還を免除される奨学金は対象外です。奨学金は、薬学の正規課程を修めるために借りた、返還が必要な貸与型に限ります。日本学生支援機構の第一種・第二種や、青森県育英奨学会の奨学金などが該当します。
いくら補助される?
薬剤師1人ごとに、次の3つのうち最も低い額を基準額にします。その合計に2分の1を掛けた額が補助金です。
- 病院が実際に支給した額(奨学金の返還額が上限)
- 10万円 × 補助対象期間の月数
- 奨学金の返済残額 ÷ 72 × 補助対象期間の月数
返済残額は、支援の対象になった時点の未返還額です。利息を含み、延滞金や返還済みの額は含みません。
1つめの上限は、薬剤師がその期間に返した奨学金の額です。支給額がそれより多い分は入りません。以下の例は、薬剤師の返還額が支給額以上の場合です。
- 返済残額が432万円で、病院が月5万円を12か月支給:基準額は60万円(支給額が最も低い)→ 60万円 × 1/2 = 30万円
- 返済残額が288万円で、病院が月5万円を12か月支給:基準額は48万円(288万円 ÷ 72 × 12)→ 48万円 × 1/2 = 24万円
- 返済残額が1,000万円で、病院が月12万円を12か月支給:基準額は120万円(10万円 × 12)→ 120万円 × 1/2 = 60万円
3つめが上限に当たる例です。病院が月10万円を超えて支給しても、10万円を超えた分は補助されません。補助金の額は、1,000円未満が切り捨てになります。総事業費から寄附金などの収入を引いた額が基準額の合計より低いときは、その低いほうに2分の1を掛けます。
補助の対象になるのは、薬剤師1人につき通算72か月までです。1人あたりの上限は、月5万円で72か月なら360万円です。
何に使える?
対象になるのは、病院が薬剤師に支給した返還支援手当だけです。薬剤師に代わって奨学金の貸与機関に送金した額も含みます。
- 薬剤師へ支給した奨学金返還の手当
- 薬剤師に代わって貸与機関へ送金した返還額
次のものは対象になりません。
- 補助対象期間より前の月に支給した分
- 奨学金の返還が始まる前の月に支給した分
- 産休・育休などで返還を猶予した期間の分
- 薬剤師として勤務していない期間の分
ほかの補助金と同じ費用で重ねて受けることはできません。
申請の流れ
- 返還支援制度と研修プログラムを整える(病院→自院。採用の前に)
- 対象病院の登録を申請する(病院の開設者→青森県 医療薬務課。随時)
- 薬剤師を採用して研修を始める(病院→新規採用の薬剤師)
- 補助金の交付申請を出す(病院の開設者→青森県。期限は別途通知)
- 返還支援手当を支給する(病院→薬剤師。事業計画に沿って)
- 実績報告を出して請求する(病院の開設者→青森県。事業完了から1か月後か翌年度の4月10日のいずれか早い日まで)
県のページの流れの例では、4月に薬剤師を採用し、10月から返還を始め、3月から4月に実績報告を出します。補助金が入るのは5月以降です。登録が終わるまで交付申請は受け付けてもらえません。予算の範囲内の事業なので、予算額を超えると申請を受け付けられなくなります。
必要な書類
準備できた 0 / 7
誓約書は、支援対象者が要件を満たすことを誓う書類です。対象病院の登録申請には、登録申請書、奨学金返還支援制度の規程など、研修プログラムの内容がわかる書類、誓約書が要ります。様式は県のページからダウンロードできます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 薬剤師が早く辞めた:支援を受けた期間の1.5倍以上の期間、病院で勤務する条件があります。満たさないと、交付済みの補助金の返還を求められることがあります。
- 薬剤師が手当を病院に返した:病院が支給した手当を薬剤師が返還すると、交付決定は取り消されます。
- 奨学金を滞納した:返還が始まっているのに滞納すると、条件を満たさなくなります。
- 研修を実施しなかった:研修プログラムの実施は、登録の条件であり、実績報告の書類にもなります。
返還を求められたときは、利息がつきます。ただし、通算36か月以上支援を受けていた場合は、返還の免除を受けられることがあります。
要綱の有効期間
令和8年度の交付要綱は、令和9年5月31日限りで効力を失います。ただし、すでに交付された補助金については、勤務期間の条件や返還の規定が、その日以降もなお効力を持ちます。
つまり、支援を受けた薬剤師の勤務期間の見守りは、要綱の期限が切れたあとも続きます。次の年度の要綱は、公式ページで確かめてください。
よくある質問
薬剤師本人は申請できますか?
できません。補助金を受け取るのは、県に対象病院として登録された病院の開設者です。薬剤師は、病院が実施する奨学金返還支援制度の対象になる立場です。奨学金の返還支援を受けたい薬剤師は、就職を考えている病院が県の対象病院に登録されているかを確かめてください。登録済みの病院は、県のページの一覧で公開されています。
薬局に勤める薬剤師も対象ですか?
対象外です。この補助金は、医療法に基づいて開設された病院が行う事業です。薬局は対象病院に含まれません。また、薬剤師は、県内の病院や薬局などで正規雇用された経験がないことも要件です。すでに県内の薬局で正規雇用で働いたことがある薬剤師は、支援対象者になれません。
対象病院の登録はいつでも申請できますか?
県のページの流れの例では、登録の申請は随時です。登録されると、県のページの対象病院一覧に載ります。登録が終わってから、補助金の交付申請に進みます。ただし、一覧には登録の年月日が入っており、年度ごとに登録を見直す扱いかどうかは書かれていません。その点は、医療薬務課に確かめてください。
補助の上限額はいくらですか?
1人1か月あたり、補助基準額の上限は10万円で、補助金はその2分の1です。つまり最大5万円になります。補助の対象になるのは通算72か月までなので、1人につき最大360万円です。ただし、返済残額を72で割った額が10万円を下回れば、基準額はそちらになります。
薬剤師が途中で辞めたらどうなりますか?
支援を受けた期間の1.5倍の期間、勤務する条件を満たさないと、病院が補助金の返還を求められることがあります。通算36か月以上支援を受けていた場合は、勤務した月数に応じて返還が免除される規定があります。条件を満たしたあとに退職した場合は、返還の対象になりません。採用の前に、条件を薬剤師に説明しておく必要があります。
産休や育休の期間はどう扱われますか?
奨学金の返還期限の猶予が認められ、病院が手当を支給しなかった月は、補助対象期間に入りません。勤務期間の条件の計算でも、その月は従事期間に含めません。そのため、産休や育休が入ると、条件を満たすまでの期間がその分だけ延びます。具体的な数え方は、交付要領や県のQ&Aで確認してください。
研修プログラムとは何ですか?
支援を受ける薬剤師に実施する、県が認めた研修のことです。調剤業務、医薬品の供給と管理、医薬品情報管理、病棟業務、無菌調製、がん化学療法、医療安全、感染制御の8項目を含み、定期的な評価をしながら、採用の初年度から3年間以上実施します。病院はこのプログラムを実施することを、登録の前に誓約します。実績報告のときには、薬剤師の受講状況がわかる書類を出します。プログラムの中身は病院が策定しますが、県の承認が必要です。
他の奨学金返還支援と併用できますか?
県が行う他の返還支援事業を受けている薬剤師は、支援対象者になれません。県以外の制度と併用する場合は、返済残額から、その支援予定金額の総額を差し引いて計算します。同じ経費で、他の補助金と重ねて受けることもできません。併用を考えるときは、先に医療薬務課に伝えて、計算方法を確認してください。
正規雇用とは、どんな雇用のことですか?
期間の定めのない労働契約で、所定労働時間が通常の労働者と同じ雇用です。賞与、退職金、休日、昇給などの待遇も、長期の雇用を前提としたものである必要があります。契約社員や短時間勤務の薬剤師は、原則として対象外です。雇用形態が境界にある場合は、事前に医療薬務課に伝えて確認してください。
実績報告はいつまでに出しますか?
補助事業の完了の日から1か月を過ぎた日か、翌年度の4月10日のいずれか早い日までに出します。報告には、給与明細や賃金台帳の写しなど、月ごとの支給実績がわかる書類が要ります。県のページの流れの例では、3月から4月に出すことになっています。提出が遅れないよう、年度末の経理の予定に入れておいてください。
病院の名前は公開されますか?
登録された病院は、県のページの対象病院一覧に、所在地、病院名、電話番号、登録年月日、採用情報のURLとともに載ります。薬剤師にとっては、就職先を探す一覧にもなります。登録を申請する病院は、この公開を前提に準備してください。一覧の更新は、県のページの新着情報で確かめられます。
問い合わせ先はどこですか?
青森県健康医療福祉部の医療薬務課 薬務指導グループ(電話 017-734-9289)です。登録の要件、研修プログラムの承認、交付申請の期限など、書面では判断できない点は、早めに確認してください。県のページからダウンロードできるQ&Aも、あわせて読んでおくと疑問が減ります。
