銀行から借りる設備資金の利息を、国が代わりに払ってくれる制度はあるでしょうか。あります。年0.7%以内を5年間、金融機関を通じて補給します。ただし事業者が銀行の窓口に直接申し込む制度ではなく、事業が自治体の計画に位置づけられ、借りる銀行が国の指定を受けていることが入り口の条件です。
令和8年度の10月の募集は10月13日までで、次は12月1日から10日です。応募の前に工事や設備の据え付けを始めると、原則として対象外になります。
地方創生利子補給制度の要点まとめ
正式名:地方創生支援利子補給金(地域再生・総合特区・国家戦略特区)
だれが
- 申請者
- 事業者(指定金融機関を通じて応募)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 自治体の計画に位置づけた事業の初期投資への融資の利子負担の軽減
- 対象地域
- 全国(認定を受けた計画の区域内)
- 従業員数
- 地域再生・総合特区は規模の制約なし(国家戦略特区は事業により異なる)
いくら
- 補助上限額
- 年0.7%を5年間(対象融資額は同一事業・同一年度で20億円まで)
- 補助率
- 0.7%以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 令和8年度は年4回(10月1〜13日、12月1〜10日が残り)
- 事業の完了
- 確認通知の日から5年以内(最終支給までに完了)
自社の事業は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
認定計画は、地域再生計画・総合特区計画・国家戦略特区の区域計画です。地域再生計画では、雇用の創出も求められます。着手とは、用地の引渡し・工事・設備の据え付けなどを始めることです。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 国や自治体に実質支配される事業主体
- ✕ 返済が難しいと判断された事業主体
- ✕ 応募の前に着手した事業
- ✕ 国の他の利子補給金を使用済みの貸付け
実質的な支配とは、国や地方公共団体が50%を超えて出資している場合などです。返済が難しいかどうかは、指定金融機関が判断します。
認定計画とは、自治体が策定し、国の認定などを受ける計画のことです。事業者が単独で応募することはできず、まず自治体の計画に載っている事業であることが前提です。
いくら補給される?
補給されるのは、融資の残高に利子補給率(年0.7%以内)をかけた額です。実際の貸付利率が0.7%を下回るときは、低い方の率が使われます。残高も、実際の返済で計算した額が、元金均等半年賦償還(元金を半年ごとに同じ額ずつ返す方式)で返した場合の残高で計算した額を超えないよう、低い方が上限になります。以下は仮の例です。
- 残高1億円の1年間(貸付利率1.5%):1億円 × 0.7% = 70万円。借りる側の実質の金利は0.8%になる
- 残高1億円の1年間(貸付利率0.5%):1億円 × 0.5% = 50万円。0.7%ではなく貸付利率が上限になる
- 残高が20億円の1年間(対象融資額の上限に当たる例。貸付利率が0.7%以上のとき):20億円 × 0.7% = 1,400万円
返済が進んで残高が減れば、補給額も減ります。支給期間は5年間です。対象になる融資額は、令和8年度の応募事業では、同一事業・同一年度で20億円が上限です。融資が2年度にわたる場合は、令和9年度分の上限は15億円で、予算の状況によって引き下げられることもあります。
予算の範囲内の契約なので、申請どおりの額にならない場合があります。たとえば過去にこの制度を使った実績がある事業は、対象の融資額が0.8倍に減らされることがあります。10億円の融資なら8億円分が対象です。
何が対象で、何が対象外か
| 区分 | 対象になる | 対象にならない |
|---|---|---|
| 事業 | 工場の新設・増設・移転、新商品開発・製造用の設備、生産改善の設備、観光客の滞在施設、防災・減災機能のある物流施設など | 認定計画の目標に役立たない事業、地域への波及が小さい事業 |
| 経費 | 建物の建築や設備の導入にかかる費用、事業に必要な付帯の経費 | 建物の建築や設備の導入に関係しない用地購入費 |
| 融資 | 期間5年以上、返済方法と利払日が決まっている貸付け | 5年未満の貸付け、返済方法を定めない貸付け、利払日が各基準日の間に1回以上ない貸付け |
| 時期 | 内閣府の確認通知を受けたあとに着手する事業 | 応募の前に用地の引渡し、工事の開始、設備の据え付けを済ませた事業 |
個別の事業が対象に当たるかどうかは、内閣府の担当に事前に相談するのが確実です。応募が見込まれる場合は、早めに連絡するよう案内されています。
申請から支給までの流れ
- 事業が自治体の計画に載っているか確かめる(事業者→所在地の自治体)
- 指定金融機関に融資を相談する(事業者→金融機関。指定の有無は内閣府の一覧で確かめる)
- 募集期間内に確認申請書を出す(指定金融機関→内閣府。メール提出。国家戦略特区は特区計画主体が提出)
- 確認通知を受ける(内閣府→事業者。地域再生と総合特区は各募集月の月内を目途に決定。国家戦略特区は区域会議などを経て決定)
- 通知のあとに事業へ着手し、融資を実行して利子補給契約を結ぶ(事業者・指定金融機関。標準では貸付けの日から5日以内(休日を除く)に契約を申し込む)
- 年2回の支給申請をして、利子補給金を受ける(指定金融機関→内閣府)
事前相談は、募集期間にかかわらず随時できます。窓口は内閣府地方創生推進事務局の利子補給担当(03-5510-2473)です。
必要な書類
準備できた 0 / 12
確認申請書と確認書は「利子補給金支給事業確認申請書」「利子補給金支給事業確認書」のことで、確認書は認定計画の主体の自治体に依頼して交付を受けます。特区の事業実施計画と資金計画書、定款・登記事項証明書・事業概要1枚の資料は、国家戦略特区の場合に出す書類です。融資契約書の写しと償還年次表は、融資の実行後に利子補給契約を申し込むときに使います。
よく誤解されるポイント
- 銀行の窓口で「利子補給をお願いします」と頼むだけでは始まりません。 応募するのは指定金融機関で、事業者が先にやるのは、自治体の計画への位置づけの確認と金融機関への相談です。
- 融資を受けてから申し込む制度ではありません。 応募の前の着手は原則として認められません。契約や発注を済ませたあとに知ると、対象を外れるおそれがあります。
- どの金融機関でもよいわけではありません。 指定は認定計画ごとに受けるので、ある県の計画の指定金融機関でも、別の計画については指定がない場合があります。
- 満額が約束されるわけではありません。 予算の範囲内の契約と支給で、減額や按分があります。
- 国家戦略特区は、区域計画の認定が先に要ります。 区域会議などの手続きがあり、事業者名と事業概要が区域計画に載ってウェブサイトで公開されます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 応募の前に着手した:用地の引渡し、工事の開始、設備の据え付けなどが該当します。迷うときは先に相談します。
- 貸付けの実行期限を過ぎた:確認通知の日から1年を経過した日の属する年度の末日までです。原則として延長できません。
- 事業が期限内に完了しなかった:確認通知の日から5年以内に完了し、利子補給金の最終支給までに終える必要があります。
- 返済が滞った・事業を中止した:報告が求められ、内容によっては支給が止まり、すでに支給された分の返納を求められることがあります。
- 不正や虚偽があった:確認が取り消され、契約の解除や返納の対象になります。
今年度の変更点と併用
令和7年度から、貸付けの実行期限や貸付けの分割に関する制約が見直されています。分割は、必須な場合を除いて避けるよう求められます。令和9年2月の募集があるかどうかは、令和9年1月ごろに案内される予定です。
併用できないのは、国の他の利子補給金です。国や地方公共団体の補助金・交付金との併用は、その補助金などの交付主体に確認します。地方公共団体の利子補給金とは併用できる場合があり、実際の金利を超える合算は認められません。
よくある質問
銀行の窓口に直接申し込めますか?
直接はできません。応募は指定金融機関が内閣府へ確認申請書をメールで出す形で行います。国家戦略特区は、特区計画主体が事業実施計画を出します。事業者がまずやるのは、自社の事業が自治体の認定計画に載っているかの確認と、指定金融機関への相談です。事前相談は、内閣府の担当にも随時できます。
個人事業主でも使えますか?
公式ページに、個人事業主の可否を直接書いた記載は確認できません。地域再生と総合特区は事業者の規模の制約がないと案内されています。国家戦略特区の事業者の定義(交付要綱の別表5)には、会社のほか個人も含まれます。ただし事業の内容と計画の目標との関係が見られるため、個別の可否は内閣府地方創生推進事務局(03-5510-2473)に確かめてください。
融資を受けてからでも応募できますか?
原則としてできません。応募の事業は事前着手が認められず、用地の引渡し、建築工事の開始、機械・設備の据え付けなどが事前着手にあたります。内閣府の確認通知を受けたあとに着手し、融資を実行する流れです。着手に当たるかどうか迷う場合は、応募の前に内閣府へ相談しておくと安全です。
自社の事業が計画に載っているかは、どう確かめますか?
事業の所在地の自治体に聞くのが早いです。地域再生計画や総合特区計画は自治体が策定するため、担当課が把握しています。内閣府の案内ページにも、地域再生・総合特区・国家戦略特区の計画の制度ページへのリンクがあります。載っていない場合は、自治体の計画に位置づけてもらう調整が先に必要になります。
募集はいつですか?
令和8年度は、4月6〜15日、7月6〜15日、10月1〜13日、12月1〜10日の年4回です。令和9年2月の募集があるかどうかは、令和9年度予算の状況を踏まえて令和9年1月ごろに案内されます。事前相談や金融機関の指定の手続きは募集期間によらず随時できるので、募集月を待たずに動けます。
指定金融機関はどこで確かめられますか?
内閣府の案内ページに「指定を受けている金融機関の一覧」が掲載されています。指定は地方創生に資する計画ごとに受ける必要があり、国家戦略特区だけは区域ごとの個別の指定が要りません。借りたい金融機関が一覧にない場合は、その金融機関が指定の申請をすることになります。申請は常時できます。
利子補給金はいつ支給されますか?
年2回です。地域再生は4月25日と10月25日、総合特区と国家戦略特区は9月28日と3月28日が支給日で、休日の場合は翌日になります。貸付けの実行日によって、最初の支給日が決まります。利子補給契約の申込みが遅れると、最初の支給ができない場合もあるため、標準では貸付けの日から5日以内に申し込みます。
国の補助金と併用できますか?
補助金・交付金の要綱に併用の制約がなければ、併用できます。内閣府の案内でも、交付金や補助金と組み合わせた活用が示されています。可否は、補助金などの交付主体に確認する決まりです。国の他の利子補給金とは併用できません。自治体の利子補給金とは、実際の金利を超えない範囲で併用できる場合があります。
利子補給の額が満額にならないのはどんなときですか?
予算の範囲内で契約と支給が行われるため、申請した融資額の合計が想定する枠を超えると、調整が入ります。10億円を超える多額の事業から先に調整されます。達成済みの数値目標を掲げる事業や、この制度の利用実績がある事業は、対象の融資額が0.8倍に、両方に当たると0.64倍に減らされる場合があります。
変動金利で、金利が0.7%を下回った期間があったらどうしますか?
支給の申請で、その期間を再計算した「利子補給金の額の計算表」と、適用金利がわかる書類を出します。支給額は、0.7%と実際の貸付利率の低い方で計算されるためです。金利が変わりうる融資を受けるときは、指定金融機関にこの手続きを確かめておくと、あとの支給申請が滞りません。
返済が遅れたり、事業を中止したりしたらどうなりますか?
指定金融機関から内閣府へ、すぐに報告が求められます。報告の内容によっては利子補給金の支給が止まり、利子補給契約が解除される場合があります。すでに支給された分の全部または一部の返納を求められることもあります。返済計画が変わりそうなときは、先に金融機関と内閣府に連絡します。
問い合わせ先はどこですか?
内閣府地方創生推進事務局の利子補給担当(電話 03-5510-2473)です。オンライン(Teams など)での打合せも案内されています。応募の見込みがある場合は、できるだけ早く連絡して相談するよう求められています。事業が自治体の計画に載っているかは、事業の所在地の自治体の担当課に聞きます。
