福祉車両の購入や改造に、国が全国一律でお金を出す制度は今回調べた範囲では見つかりませんでした。費用を軽くする仕組みは制度ごとに窓口が違い、個人と事業所では入口が分かれます。
個人の方(障害者手帳をお持ちの方、要介護の家族を車いすのまま乗せたい方)は、車の構造で決まる消費税の非課税と、毎年の自動車税の減免を先に確かめます。そのうえで市区町村の助成を調べる順番です。東京都港区は車いす同乗用の福祉車両に30万円まで、横浜市は改造や福祉車両の購入に20万円までを助成しています。
事業所の方(デイサービス、障害福祉サービス、訪問入浴、施設の送迎)は、自動車税の課税免除、JKA(競輪とオートレースの補助事業)の補助率3/4の補助、日本財団などの民間の助成、賃上げと組む業務改善助成金が候補です。JKAの補助は対象者の一覧にNPO法人、社会福祉法人、公益法人などが並び、株式会社は入っていません。法人の種類を先に確かめてください。
この記事は個人向け、事業所向け、状況別の比較表、併用、注意点、探し方、よくある質問の順に進みます。電気自動車の福祉車両は国のCEV補助金の話になるため社用車の補助金の記事と事業者向けCEV補助金の記事に譲ります。
福祉車両の補助金・助成金は、何が軽くなる制度なのか
福祉車両と呼ばれる車の範囲は制度ごとに決まっています。国税庁の説明では消費税が非課税になる乗用自動車は次の2種類です。
- 運転する人の身体の状態に合わせて、手動装置、左足用アクセル、足踏式方向指示器、右駐車ブレーキレバー、足動装置、運転用改造座席のいずれかを備えた自動車
- 車いすや電動車いすを使う人を乗せたまま運べるよう、昇降装置を備え、車いすの固定に必要な手段も施した自動車
自動車税の減免では車検証の「車体の形状」が「車いす移動車」「入浴車」などで、ナンバーが8ナンバーの車を対象にする県があります。ここまでを頭に置いて、制度を並べると次のとおりです。
| 制度 | 個人 | 事業所 | 軽くなる費用 | 窓口 |
|---|---|---|---|---|
| 消費税の非課税 | 使える | 使える | 購入時の消費税 | 販売店の見積書(迷うときは税務署) |
| 自動車税・軽自動車税の減免・免除 | 使える(手帳か車の構造) | 使える(車の構造か社会福祉事業) | 毎年の税 | 県税事務所、軽自動車は市区町村 |
| 環境性能割 | 廃止 | 廃止 | 2026年4月1日以降の取得にはかからない | なし |
| 市区町村の購入費・改造費の助成 | 使える | 営業用の車は対象外の例あり | 購入費、改造費 | 障害福祉の担当課 |
| JKAの補助 | 対象者に個人は載っていない | 使える(NPO法人、社会福祉法人など) | 車両と装備の3/4 | JKA |
| 日本財団などの民間の助成 | 団体向け | 使える(団体ごとの条件) | 車両の購入費 | 各団体 |
| 業務改善助成金 | 対象外(労働者を雇う事業場向け) | 使える(賃上げが条件) | 設備投資の一部 | 労働局 |
今回確かめた国の制度で現金の助成が出るのは事業所が賃上げと組み合わせる業務改善助成金です。個人が使えるお金は市区町村の助成が中心になります。
【個人】手帳をお持ちの方・要介護の家族を乗せる方が使える制度
消費税が非課税になる福祉車両
消費税の非課税は国税庁のタックスアンサー(No.6214)に出ている制度です。非課税になるのは先の2種類の自動車の譲渡、貸付け、製作の請負です。購入した人の手帳の有無は説明に出てこず、車の構造と機能で決まります。
仮に税抜300万円の車なら、税率10%で課税されると消費税は30万円です。非課税の福祉車両であれば、この30万円がかかりません。見積書で課税か非課税かを確かめます。申請書を出す制度としては確認できませんでした。
確認しておくことが3つあります。
- 納車のときに取り付けるカーナビ、エアコン、フロアマットなどは、車両と一体で取引されるなら含めて非課税です(国税庁の質疑応答事例)
- 補助手段の部品や装置だけを買うと、非課税になりません(タックスアンサーの注3)
- 一般の自動車をいったん買い、あとで改造する場合は、最初の車の購入は課税され、非課税になるのは改造代金だけです(同注2)
後付けで福祉装置を付けるつもりなら、新車の福祉車両を買う場合と消費税の負担が変わります。契約の前に、販売店と改造業者に課税区分を見積書へ分けて書いてもらってください。
自動車税・軽自動車税の減免
自動車税は都道府県の税です。軽自動車税は市区町村の税で、窓口が分かれます(兵庫県の自動車税のページに、軽自動車は市町が課税すると書かれています)。減免の決め方には2つの型があります。
1つ目は手帳の等級で決まる型です。兵庫県は身体障害者手帳、戦傷病者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人のうち、一定級以上の人の日常生活の移動に欠かせない自動車を対象にしています。令和元年10月以降に初度登録した自家用の通常の自動車で、減免の限度は3万6000円です。新しく登録した車は登録のときが申請の期限で、後から出しても減免を受けられません。
2つ目は車の構造で決まる型です。神奈川県は車検証の「車体の形状」に「車いす移動車」または「入浴車」と書かれた8ナンバーの車の自動車税を全額減免します。「患者輸送車」も、障害のある人の輸送に専ら使うなら対象です。リース車とレンタカーも減免の対象にしています。
兵庫県にも、車いすの昇降装置や固定装置を備えた8ナンバーの車を対象にした減免があります。申請は毎年度で、期間は4月1日から納期限までです。手帳型と構造型は県ごとに決まり方が違うので、住んでいる県の県税事務所に、自分の車がどちらに当たるかを聞いてください。
対象の台数や買い替えのときの扱いは今回確かめた神奈川県と兵庫県のページに書かれていませんでした。買い替えの前に、減免を受けている車の扱いを窓口で確認しておくのが安全です。
環境性能割は2026年3月31日で廃止された
上位の記事の中には自動車税環境性能割の減免を今の制度として書いているものがあります。環境性能割は令和8年度の税制改正で2026年3月31日をもって廃止されました。根拠は財務省の税制改正の大綱、経済産業省の資料、群馬県の自動車税のページです。
同日までに取得した自動車に課された環境性能割はなお従前の例によるとされています。2026年4月1日以降に取得する車には環境性能割がかからないため、「環境性能割の障害者減免」を購入計画に入れる必要はありません。毎年の自動車税(旧・種別割)の減免は残っています。
自動車重量税は福祉車両だけの免税が見当たらない
自動車重量税は国税で、新規登録や車検のときに納めます。国土交通省の「自動車関係税制について」のページに載る重量税の特例はエコカー減税、ASV特例、バリアフリー特例です。バリアフリー特例の対象はノンステップバス、リフト付きバス、ユニバーサルデザインタクシーで、乗用の福祉車両は入っていません。
福祉車両を理由にした免税はこのページから確かめられませんでした。重量税の減免は車の環境性能を見るエコカー減税の対象かどうかを販売店に確かめるのが現実的です。
市区町村の購入費・改造費の助成はいくらか
個人の費用を直接軽くするのは市区町村などの助成です。公式ページで確かめた4つの例を並べます。
| 自治体 | 内容 | 金額 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 東京都港区 | 福祉車両(車いす同乗用)の購入費 | 30万円まで | 区内在住、車いすを常時使う手帳所持者か、その同居の親族が同乗。所得制限あり。購入前に申請 |
| 神奈川県横浜市 | 改造費、必要な装置が付いた福祉車両の購入費 | 20万円を限度 | 本人運転は1〜3級の上肢・下肢・体幹の手帳。介護者運転は自分で運転できない1〜3級の下肢・体幹の手帳の人と同一世帯の方(65歳以上で手帳を取った人は除く)。改造や購入の完了後1年以内に申請 |
| 大阪市 | 就労に伴い自ら運転する車の改造費 | 費用の1/2以内、上限10万円 | 上肢・下肢・体幹の1級か2級。所得制限あり。10年は再申請できない |
| 神戸市 | 運転に必要な操向装置・駆動装置等の改造費 | 費用の1/2、上限10万円 | 肢体不自由の1級か2級。改造の前、または改造後6か月以内に申請。5年は再申請できない |
港区の助成は中古の福祉車両も対象です。中古の場合は購入に要した総費用の1/5が助成額で、上限は同じ30万円です。仮に総費用が120万円なら24万円、200万円なら上限の30万円になります。過去7年間にこの助成を受けた人と、営業用の車は対象外です。
横浜市は「購入」を対象にする点が特徴です。本人運転の申請では見積書は不可で、領収書、請求書、納品書、注文書のいずれかが要ります。福祉車両を買う場合はベースになる標準仕様の車の本体価格が分かる見積書も付けます。対象の車は自家用で乗車定員が10人以下のもので、事業用と貨物用は外れます。
大阪市と神戸市は本人が運転するための改造が中心です。家族が運転して車いすの本人を乗せる車は横浜市の介護者運転の制度や港区の購入助成のような、別の制度に当たります。同じ「福祉車両の助成」でも、本人が運転するか家族が運転するかで入口が変わります。窓口では運転する人を最初に伝えてください。
ほかの自治体の制度は福祉の担当課に確かめるのが確実です。お住まいの自治体の探し方は後ろの章にまとめました。
要介護の認定だけで、手帳がないとき
要介護の親を乗せたいが障害者手帳はない、という場面は制度で扱いが分かれます。
消費税の非課税は国税庁の説明が車の構造と機能で決まる形なので、買う人の手帳に左右されない書き方です。自動車税は神奈川県の「車いす移動車」「入浴車」の減免で必要書類が減免申請書と車検証になっています。手帳の提出は求められていません。
一方で、兵庫県の手帳型の減免は手帳の交付が前提です。要介護の認定だけを理由にした自動車税の減免は今回確かめた神奈川県と兵庫県の資料に書かれていませんでした。市区町村の購入や改造の助成も、港区、横浜市、大阪市、神戸市の4つはどれも手帳を条件にしています。編集部としては手帳の申請ができる状態かどうかを、先に福祉の窓口で聞くことを勧めます。
中古・リース・ローン・軽自動車はどう扱われるか
制度ごとに答えが違うので、確認できたことを並べます。
- 中古車: 港区は対象で、助成は総費用の1/5(上限30万円)です。横浜市も中古の福祉車両を購入する場合の必要書類を定めています。JKAは新車に限ります
- リース、レンタカー: 神奈川県の構造型の自動車税減免は、リース車とレンタカーも対象です。業務改善助成金は、自動車のリース、ローン契約、保守契約を助成の対象外としています。JKAは新車の購入が前提です
- ローンで買う場合: 横浜市は、法人名義の車でも割賦購入契約で、車検証の使用者の欄に本人か同一世帯の方の氏名があれば対象にしています。大阪市は、割賦購入や長期リースなら契約書も提出させます
- 軽自動車: 軽自動車税は市区町村の税で、窓口が県税事務所と別です。JKAの補助には軽自動車の区分があり、訪問入浴車は上限345万円、助手席リフトアップとスロープ式は上限180万円です
メーカーや車種では制度の対象は決まりません。トヨタの福祉車両でも、ホンダや日産の車でも、見られるのは車の構造と装備、使う人、使い方です。
【事業所】送迎・訪問入浴の福祉車両に使える制度
自動車税の課税免除(社会福祉事業の経営者)
事業所の車に使える税の仕組みに、自動車税の免除があります。兵庫県は社会福祉法による社会福祉事業の経営者が所有し、その本来の事業に使う自動車の自動車税を免除しています。一度認められると、事業の状況や車の登録に変更がない限り続きます。
対象になる事業は老人デイサービス、障害児通所支援、児童発達支援・放課後等デイサービス、障害福祉サービス、訪問介護、通所介護などです。逆に、介護保険の対象でも社会福祉事業ではない居宅介護支援、訪問入浴介護、福祉用具貸与などはこの免除の対象外とされています。
訪問入浴の事業者は免除ではなく先に紹介した構造型の減免(入浴車の8ナンバー)を確かめることになります。神奈川県の患者輸送車の減免では1年間の運行日数の80%以上を障害のある人の輸送に使う実績か計画を出す決まりです。利用者名簿や定款の写しなど、障害のある人の利用が分かる書類も添えます。
JKA(競輪とオートレースの補助事業)の福祉車両
JKAの「福祉車両の整備」は補助率が3/4と高い補助です。募集要項で確かめた条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 3/4 |
| 対象者 | NPO法人、一般財団法人、一般社団法人、公益財団法人、公益社団法人、社会福祉法人、更生保護法人、商工会、商工会議所、私立特別支援学校の学校法人、日本赤十字社法等に基づく認可法人 |
| 対象の車 | 訪問先で入浴サービスをする車か、既設の社会福祉施設で利用者を送迎する車。道路交通法で普通自動車か軽自動車で、車検証の用途が「自家用」。新車の購入に限る |
| 1団体あたり | 車1台のみ |
| 対象外の法人 | 同じ事業で国や他の団体(他の公営競技、宝くじ、民間助成団体)の補助を受ける法人。自分のホームページで活動状況を継続して発信していない法人(SNSだけの発信も不可)。2025年度から2027年度にJKAから福祉車両の交付決定を受けた法人 |
| 対象外の車 | 福祉タクシーなど営業ナンバー(緑ナンバー・黒ナンバー)の車 |
補助金の上限は車の種類と排気量で決まります。募集要項の2027年度分の金額は次のとおりです。
| 車の種類 | 660cc以下(軽) | 661〜2,000cc | 1,401〜2,000cc | 2,001〜3,000cc |
|---|---|---|---|---|
| 訪問入浴車 | 345万円 | 480万円 | なし | なし |
| 助手席・セカンドシートのリフトアップ | 180万円 | 255万円 | なし | なし |
| 車いす仕様スロープ式 | 180万円 | 255万円 | なし | なし |
| 車いす仕様リフト式 | なし | なし | 285万円 | 330万円 |
| 特別装備なしの送迎用ワゴン(定員7〜10人) | なし | なし | 240万円 | 270万円 |
リフトアップ、スロープ、リフト、送迎ワゴンの区分でハイブリッド車を選ぶときは1台あたり45万円を上限に補助の上限へ足せます。対象の経費は車両本体、特別装備、JKA指定の補助標識の表示に加え、カーナビ、ドライブレコーダー、防錆処理です。自動車税、重量税、保険料、登録代行料などの登録諸経費は対象になりません。
計算の例です。上限255万円の区分で、対象経費が仮に300万円なら、300万円の3/4で225万円が補助額です。対象経費が340万円なら3/4は255万円で、ちょうど上限になります。
2027年度分の申請期間は第1回が2026年9月30日10時から11月13日15時まで(事業者登録は11月6日15時まで)、第2回が2027年5月24日10時から6月18日15時までと公表されています。補助事業は2027年4月1日以降に始めて2028年3月31日までに終える原則です。2026年度の第2回は2026年5月25日10時から6月19日15時までの募集でした。募集の期間は年度ごとに変わるので、車の発注を進める前に、JKAの補助事業の申請ページで次の募集を確かめてください。
日本財団の福祉車両の助成
日本財団の福祉車両の事業は1994年度に始まり、累計で4万台を超える車両を配備してきたと、助成事業実施ガイドブック(福祉車両事業、2025年5月23日版)に書かれています。毎年1,000台以上を助成しているとも書かれています。
ガイドブックから分かる決まりは次のとおりです。
- 車両販売会社が団体に代わって助成金を受け取る「代理受領方式」で、団体は自己負担金額を販売会社に支払う
- 助成契約を先に電子契約(クラウドサイン)で結び、そのあとに売買契約を結ぶ順番
- 白ナンバーか黄ナンバーで運行し、緑ナンバー、黒ナンバーへの変更はできない
- 転売、下取りはできず、連絡なしに処分や目的外の使用をすると助成金の返還を求められることがある
- 納車のあとに完了報告と運行報告を出し、監査を受ける
募集の時期や申請の資格は日本財団の公式サイトで確かめる必要があります。今回の調べでは2026年度の募集要項は確認できませんでした。募集の有無が分からないまま、車の発注を進めないでください。
24時間テレビ、SOMPO福祉財団、JRA系などの民間助成
宮城県は障害福祉サービス事業所の送迎用の福祉車両について、寄付や助成をしている団体の一覧を公開しています。載っている団体は日本宝くじ協会、SOMPO福祉財団、宮城県共同募金会(赤い羽根共同募金)、24時間テレビチャリティー委員会、日本財団、日本郵便(年賀寄付金)、中央競馬馬主社会福祉財団、イオン社会福祉基金です。
宮城県は助成の申込みの期限や要件は団体ごとに決まっているため、直接確認するよう案内しています。同じ事業でほかの団体の補助を受けていると対象外になる制度(JKAがそうです)があるので、申し込み先を重ねる前に条件を読んでください。
業務改善助成金(賃上げと組み合わせて送迎車を買う)
業務改善助成金は事業場内で最も低い賃金を引き上げ、生産性を上げる設備投資をした中小企業や社会福祉法人などに費用の一部を助成する制度です。詳しい金額と要件は業務改善助成金(令和8年度)の記事にまとめています。ここでは福祉車両に関わる点だけ書きます。
厚生労働省の業務改善助成金Q&A(令和8年9月から、令和8年9月8日作成)では、特種用途自動車(8ナンバー車)は助成の対象で、自動車のリースとローンは対象外とされています。Q&Aに「福祉車両」という言葉は出てきませんが、8ナンバーの福祉車両はこの特種用途自動車に当たる場合があります。細かい扱いは次のとおりです。
- 助成対象になる特種用途自動車は、原則として車両のナンバープレートの車種を表す数字が8で始まるもの
- 車の「使用の本拠の位置」は、申請する事業場の住所でなければならない
- 車両本体のほか、通常装備、検査登録や車庫証明の手続代行費、納車費用は対象になる
- 預かり法定費用、リサイクル料金、自動車重量税、自賠責保険、希望ナンバーの手数料、オーディオなどのオプション装備は対象外
- 自動車のリース、ローン契約、保守契約は対象外
愛媛労働局のページ(令和8年度の制度改正)には、物価高騰等要件に当てはまる特例事業者の設備投資の拡充分から、定員7人以上または車両本体価格200万円以下の自動車と貨物自動車を対象外にしたと書かれています。同じページに「福祉車両等の特殊用途自動車は引き続き特例事業者問わず助成対象」とあります。特例事業者の拡充分では一般の送迎用ワゴンは外れ、福祉車両は残るという整理です。
8で始まらない登録の福祉車両が対象になるかはQ&Aに書かれていませんでした。契約の前に、所轄の労働局に車検証の写しで確かめてください。令和8年度の申請期間は2026年9月1日から、事業場の都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日か同年11月30日のいずれか早い日までです。期限は都道府県の最低賃金の発効日で変わるため、所在地ごとに確かめます。
車いすの利用者が乗れるタクシーと、宿泊施設の送迎車
福祉車両の周りには事業の種類で別の補助があります。
- 宮城県のユニバーサルデザインタクシー普及促進事業費補助金は、タクシー事業者が対象です。福祉輸送事業限定の事業者は除き、補助対象の車は県内で生産された車両(ジャパンタクシー、シエンタのウェルキャブ仕様)に限られます。補助の額は経費の3分の1以内です(宮城県の記事)。香川県にもユニバーサルデザインタクシーの補助があります
- 東京都の多摩地域の宿泊施設は、送迎車のバリアフリー化に補助が出ます。車いすのまま乗れるリフト装置の場合の上限は150万円です(東京都の記事)
福祉タクシーの運賃の助成のように、利用者に出る制度もあります。たとえば東久留米市の福祉タクシー事業は車の購入ではなく、タクシー代を助成するものです。
電気自動車の福祉車両は別の補助になる
福祉車両の購入に、電気自動車の国の補助(CEV補助金)が重なる場合は車の種類で別の枠になります。金額と申請の流れは社用車の補助金の記事と事業者向けCEV補助金の記事で確かめてください。この記事で扱う消費税の非課税や自動車税の減免は電気自動車でも同じ考え方です。
状況別:自分はどの制度を使えるか(比較表)
| あなたの状況 | まず確かめる制度 | 次に確かめる制度 |
|---|---|---|
| 手帳があり、本人が運転する | 運転補助装置の消費税の非課税、手帳型の自動車税減免 | 市区町村の改造費の助成(横浜市、大阪市、神戸市の型) |
| 家族が運転し、車いすの本人を乗せる | 昇降装置の消費税の非課税、構造型か手帳型の自動車税減免 | 購入費の助成(港区の型)、介護者運転の改造費の助成(横浜市の型) |
| 要介護で手帳がない | 昇降装置の消費税の非課税、構造型の自動車税減免(県による) | 手帳の申請の可否を福祉の窓口で確認 |
| 社会福祉法人・NPO法人の送迎 | 自動車税の課税免除 | JKA、日本財団、24時間テレビなどの民間助成、業務改善助成金 |
| 株式会社・合同会社のデイ、訪問介護 | 消費税の非課税、自動車税の構造型の減免 | 業務改善助成金。JKAの対象者の一覧に株式会社は載っていない |
| 訪問入浴 | 入浴車の構造型の自動車税減免、JKAの訪問入浴車(対象法人の場合) | 業務改善助成金(8ナンバー) |
| 個人事業主の送迎車 | 消費税の非課税 | 業務改善助成金(労働者がいない場合は対象外) |
表の「次に確かめる制度」は金額が大きいものから並べています。手続きは制度ごとに窓口が違うため、1つずつ別々に進めます。
補助金と税の減免は併用できるか
消費税の非課税、自動車税の減免、市区町村の助成は制度の根拠と窓口が別なので、条件が合えば重ねて使えます。
重ねるときの落とし穴は3つあります。
- JKAは、同じ事業で国や他の団体の補助を受けている団体を対象から外しています。日本財団、宝くじ、他の民間助成と同時に受けられません
- 自治体の助成は、他の助成と重なったときの扱いが要綱で決まります。足し算どおりになるとは限らないので、窓口に聞きます
- 業務改善助成金は、事業場の賃上げが条件です。送迎車を買う費用だけでは申請できません
併用できるかどうかは先に申請する窓口と後から申請する窓口の両方に、同じ質問で聞いてください。「他の補助金をもらったら、この助成は減りますか」と聞けば足ります。
外れる・返還になる点と、契約の前に業者へ確かめること
制度ごとの細かい条件は窓口で確かめるとして、複数の制度に共通して出てきた注意点をまとめます。
- 購入の前に申請が要る制度があります。港区は福祉車両の購入前に申請する決まりです。横浜市は購入や改造の完了後1年以内に申請できます。順番が制度で違うため、契約の前に確認します
- 営業用の車は、港区と横浜市の助成の対象外です。JKAは緑ナンバー、黒ナンバーの車を対象から外し、日本財団は助成後に緑ナンバー、黒ナンバーへ変えることを認めていません
- 転売、下取り、処分に制限があります。日本財団は転売、下取りを禁じ、目的外の使用をすると助成金の返還を求めることがあります
- 同じ人への助成に間隔があります。港区は過去7年、横浜市は前回から5年、大阪市は10年、神戸市は5年の間は再申請できません
- 自動車税の減免は、新しく登録した車の申請期限が短い県があります。兵庫県は登録のときが期限です。神奈川県は登録の日から1か月を経過する日までです
見積もりと契約の前に、販売店や改造業者へ次の点を聞いておくと、後で外れにくくなります。
- 見積書に、標準仕様の車両価格、福祉装置の価格、改造の工賃が分けて書かれているか
- 車が消費税の非課税の構造(運転補助装置、または昇降装置と固定装置)に当たるか
- 車検証の車体の形状と用途が、申請する減免や助成の条件に合うか
- 納車の日程が、助成の申請や交付決定の前に来ていないか
- 登録の時期が、減免の申請の期限に間に合うか
申請の代行を業者に頼む話はこの記事では扱いません。申請書の様式と必要書類はそれぞれの窓口で入手して確かめてください。
自分の住む地域の制度を探す方法
都道府県や市区町村ごとに制度が違うため、全国の一覧はこの記事では作りません。調べる順番は次のとおりです。
- 市区町村の障害福祉の担当課に「自動車の改造費」「福祉車両の購入費」の助成があるかを聞く。横浜市の制度名は「自動車改造費用の助成」、大阪市は「重度身体障がい者自動車改造補助」、神戸市は「自動車改造費の助成」で、同じ内容でも名前が違う
- 都道府県の税務担当(東京都、神奈川県、愛知県、埼玉県、三重県、大阪府、北海道など、お住まいの都道府県)に、自動車税の減免の条件を聞く。軽自動車は市区町村の税の窓口
- 販売店に、見積もりの車が消費税の非課税に当たるかを聞く
- 事業所は、JKAの補助事業の申請ページと、日本財団の公式サイトで募集を確かめる
窓口で聞くときは手帳の障害部位と等級、運転する人(本人か家族か)、買う車の種類(車いすのまま乗る完成車か、一般車の改造か)、申請したい時期を最初に伝えると、制度にたどり着きやすくなります。
よくある質問
福祉車両の購入に、国から補助金は出ますか?
国が全国一律で福祉車両の購入費を出す制度は今回調べた範囲では見つかりませんでした。国の仕組みで費用が軽くなるのは消費税の非課税と、事業所が使える業務改善助成金です。購入費や改造費の助成は港区や横浜市のように市区町村が出しています。お住まいの自治体の福祉の担当課に確かめるのが最初の一歩です。
個人が福祉車両の補助金をもらうと、いくらになりますか?
自治体で違います。公式ページで確かめた例では港区が購入費に30万円まで、横浜市が改造や福祉車両の購入に20万円まで、大阪市と神戸市が改造費の1/2で上限10万円です。ほかに消費税の非課税で、仮に税抜300万円の車なら30万円が軽くなります。自動車税は兵庫県の手帳型で自家用の通常の車の限度が3万6000円です。
法人や事業所は、いくらまで補助を受けられますか?
JKAは補助率3/4で、2027年度分の上限は車の種類で決まります。訪問入浴車は軽で345万円、661〜2,000ccで480万円です。車いす仕様のスロープ式とリフトアップ式は軽で180万円、661〜2,000ccで255万円です。訪問入浴車以外の区分ではハイブリッド車に45万円を上限に足せます。1団体につき1台で、対象はNPO法人や社会福祉法人などの法人です。
中古の福祉車両でも補助金や減免を使えますか?
制度によります。港区は中古の福祉車両も対象で、助成は総費用の1/5、上限30万円です。横浜市も中古の福祉車両の購入に必要な書類を定めています。JKAは新車に限られます。消費税の非課税は中古かどうかより、車が非課税になる構造を備えているかで確かめます。中古の福祉装置の価格が車両価格に含まれていると書類の作成に手間がかかるので、価格資料を販売店に頼んでおきます。
リースやローンで導入するとき、補助金は使えますか?
制度で異なります。業務改善助成金は自動車のリース、ローン契約、保守契約を助成の対象外としています。神奈川県の構造型の自動車税減免はリース車とレンタカーも対象です。横浜市は割賦購入でも車検証の使用者の欄に本人か同一世帯の方の名前があれば対象にします。契約の形を決める前に、使う制度の窓口へ聞いてください。
軽自動車の福祉車両も補助の対象になりますか?
対象になる制度があります。JKAの補助には軽自動車(660cc以下)の区分があり、訪問入浴車は上限345万円、リフトアップとスロープ式は上限180万円です。軽自動車税は市区町村の税で、減免の窓口は県税事務所ではなく市区町村の税の窓口になります。消費税の非課税は軽自動車でも構造の要件を満たせば同じです。
要介護の家族を乗せる車でも、手帳がなければ使えませんか?
使える制度と使えない制度があります。消費税の非課税は車の構造で決まります。神奈川県の車いす移動車の自動車税減免は必要書類が申請書と車検証です。一方で、兵庫県の手帳型の減免や、港区、横浜市、大阪市、神戸市の助成は手帳を条件にしています。要介護の認定だけを理由にした減免は確かめた資料に書かれていませんでした。
福祉車両の補助金は、どこで申請しますか?
制度ごとに違います。市区町村の購入や改造の助成は福祉の担当課か区役所の福祉保健センターです。自動車税の減免は都道府県の県税事務所で、軽自動車税は市区町村です。消費税の非課税は申請書を出す制度としては確認できませんでした。見積書の課税区分を販売店に確かめ、迷うときは税務署に聞きます。JKAはインターネットで申請します。業務改善助成金は労働局です。
購入してしまった後でも、助成を申請できますか?
自治体で分かれます。港区は購入前の申請が必要です。横浜市は改造や購入が終わってから1年以内に申請できます。神戸市は改造の前か、改造後6か月以内です。自動車税の減免は新しく登録した車で登録のときが期限の県があります(兵庫県)。購入後に出せる制度でも、領収書や納品書が要るものがあるので、書類は残しておきます。契約の前に窓口へ相談しておくのが安全です。
環境性能割の減免は、今も使えますか?
2026年4月1日以降に取得する車には環境性能割そのものがかかりません。環境性能割は令和8年度の税制改正で2026年3月31日をもって廃止されました。同日までの取得分は従前の例によるとされています。上位の記事に環境性能割の障害者減免が載っていても、新しい購入計画では考える必要がありません。毎年の自動車税の減免は残っています。
業務改善助成金で、送迎用の車は買えますか?
ナンバーの車種を表す数字が8で始まる特種用途自動車は対象です。厚生労働省のQ&Aがそう定めていて、愛媛労働局のページには「福祉車両等の特殊用途自動車」が助成対象と書かれています。車の使用の本拠は申請する事業場の住所である必要があり、自動車のリースとローンは対象外です。令和8年度は特例事業者の拡充分で定員7人以上や車両本体価格200万円以下の自動車が外れました。助成は賃上げが条件です。
補助金と減免は、両方もらえますか?
条件が合えば重ねて使えます。消費税の非課税、自動車税の減免、自治体の助成は根拠と窓口が別です。ただしJKAは同じ事業で他の団体の補助を受けている団体を対象から外します。自治体の助成には他の助成を差し引いて計算するものがあります。申請する窓口ごとに、他の補助を受けた場合の扱いを聞いておきます。
トヨタやホンダなど、メーカーで補助金は変わりますか?
変わりません。制度が見るのは車の構造と装備、使う人、使い方です。国税庁の要件は運転補助装置か、昇降装置と固定装置を備えているかで決まります。JKAの上限額も、特別装備の種類と排気量で決まっていて、メーカーは条件に出てきません。ただし車の構造は見積書と車検証で確かめられるので、車名と型式は正確に伝えてください。
申請を販売店や業者に任せられますか?
申請書の様式と必要書類は制度の窓口で入手するものです。販売店に頼むのは標準仕様の価格と福祉装置の価格を分けた見積書や納品書を出してもらうところまでにして、申請の中身は窓口に確かめるのが安全です。この記事では特定の業者の紹介はしていません。
