展示会に出たい。会計ソフトを入れたい。事業計画書に沿って、地震に備えた転倒防止の器具をそろえたい。こうした小さな投資に、最大50万円が出る福島県の補助金があります。
福島県のいきいき支援事業(小規模企業枠)は、県内の小規模企業者が対象です。個人事業主も含まれます。上限は事業承継と創業後の経営安定化が50万円、デジタル化・人材育成・販路開拓・防災減災が30万円。令和8年度の受付は2026年6月1日から30日までで、終わっています。
この補助金は、お金の話より先に手順の話があります。申請書類のうち「事業支援計画書(様式4)」は商工会・商工会議所などの支援団体しか出せず、発行に日数がかかります。 公募要領は、締切の10日前までに支援団体を訪ねるよう求めています。
いきいき支援事業(小規模企業枠)の要点まとめ
正式名:ふくしま小規模企業者等いきいき支援事業補助金(小規模企業枠)
だれが
- 申請者
- 県内の小規模企業者(法人・個人事業主)と中小企業団体
- 対象業種
- 業種の指定なし(農林漁業・医師等は対象外)
- 利用目的
- 事業承継、創業後の経営安定化、デジタル化、人材育成、販路開拓、防災・減災
- 対象地域
- 福島県内(本社も事業所も県内にあること)
- 従業員数
- 製造業等は20人以下、商業・サービス業は5人以下
いくら
- 補助上限額
- 事業承継・創業後は50万円、他4タイプは30万円
- 補助率
- 承継・創業後・デジタル化・人材育成は3/4以内、販路開拓・防災は2/3以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年6月30日まで(6月1日開始。受付終了)
- 事業の完了
- 2026年12月31日まで
うちは対象になる?
次の5つがそろえば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
従業員数の基準は、製造業などが20人以下、卸売業・小売業・サービス業が5人以下です(宿泊業・娯楽業は20人以下)。業種は日本標準産業分類ではなく、実際にやっている事業の中身で決まります。事業主本人と役員(従業員を兼ねる人は除く)、通常の従業員の所定労働時間の4分の3以下で働くパートは、人数に入れません。
6タイプは、事業承継、創業から3年以内の経営安定化、社内事務のデジタル化、人材育成、販路開拓と生産性向上、防災・減災です。選べるのは1つだけです。防災・減災タイプは、策定済みのBCP(事業継続計画)を申請時に出すことが前提です。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 事業をまだ始めていない創業予定者
- ✕ NPO法人・医療法人・農林漁業など
- ✕ 大企業の子会社などの「みなし大企業」
「みなし大企業」は、発行済み株式の2分の1以上を同じ大企業が持つ会社などを指します。商工会や商工会議所の会員でなくても申請できます。
いくら戻ってくる?
かかった費用に補助率をかけた額が戻ります。タイプごとの上限を超えた分は自己負担です。公募要領には、次の計算例が載っています。
- 事業承継・創業後の経営安定化・デジタル化・人材育成で40万円使う:40万円 × 3/4 = 30万円
- 事業承継・創業後の経営安定化で120万円使う:120万円 × 3/4 = 90万円 → 上限の50万円
- 販路開拓・防災減災で30万円使う:30万円 × 2/3 = 20万円
- 販路開拓・防災減災で90万円使う:90万円 × 2/3 = 60万円 → 上限の30万円
上限に届くのは、3/4のタイプなら対象経費が約67万円(50万円タイプ)か40万円(30万円タイプ)以上のとき、2/3のタイプなら45万円以上のときです。消費税と地方消費税は対象経費に入りません(免税事業者・簡易課税事業者が単独で申請し、税込で認められた場合を除く)。採択されても、予算の都合で希望額から減ることがあります。
何に使える?
先に、対象にならないものです。
- パソコン、タブレット、事務用プリンター(汎用性が高いため)
- 自動車・自転車などの車両、不動産の購入
- 名刺、文房具、用紙、インクなどの消耗品
- 振込手数料、家賃、光熱水費、通信費
- 税理士への決算・申告の費用、申請書の作成代行費
- 役員報酬と直接人件費
- すでに入れているソフトの更新料
次が対象になるものです。
- 機械装置等費:ショーケース、調理機器、販促に使う業務用ソフト、会計ソフト(デジタル化タイプ)
- 広報費:チラシ、ウェブサイトの作成、看板、新聞・雑誌広告
- 展示会等出展費:国内外の展示会や商談会の出展料、運搬費
- 外注費:店舗改装や車の内装工事
- 専門家謝金・旅費:自社に専門家を招いた指導の費用
- 借料、委託費、旅費:事業に直接必要なものに限る
タイプによって使える費目が違います。
- 資料購入費と受講料:事業承継、創業後の経営安定化、人材育成のタイプだけ
- 取替・処分費:事業承継と販路開拓のタイプだけ
- 司法書士への代表者変更の手数料:事業承継タイプだけ
単価50万円(税抜き)以上の機械装置や、50万円以上の外注工事は「処分制限財産」になります。補助金を受け取ったあとも、通常は取得から5年間、勝手に売ったり捨てたりできません。
申請の流れ(支援団体が先)
- 経営計画書と補助事業計画書を作る(事業者。申請書、応募者の概要、経営計画書、補助事業計画書の4点)
- 支援団体に計画書の写しを持っていく(事業者→地域の商工会・商工会議所。組合は中央会。締切の10日前まで)
- 事業支援計画書(様式4)を受け取る(支援団体→事業者。代表者が満60歳以上なら事業承継診断票(様式6)も)
- 書類一式を事務局へ郵送する(事業者→補助金事務局。2026年6月30日必着。持参は不可)
- 審査と交付決定を待つ(有識者の審査委員会。書類だけの審査で、ヒアリングはない)
- 交付決定のあとに発注し、2026年12月31日までに支払いまで終える(事業者)
- 実績報告を出す(事業者→事務局。完了から30日後か2027年1月15日(事務局必着)の早いほう)
支援団体への相談は、代理人だけでは受け付けてもらえません。計画づくりから実績報告まで、事業者本人が支援団体の支援を受けながら進める決まりです。
提出先は営む場所で決まります。商工会の地区なら福島県商工会連合会、商工会議所の地区なら福島県商工会議所連合会、事業協同組合などは福島県中小企業団体中央会です。連合会の窓口を取り違える例が毎年あると、公募要領が注意しています。
必要な書類
準備できた 0 / 18
決算書と履歴事項全部証明書は法人だけ、確定申告書か開業届は個人事業主だけが出します。決算書は貸借対照表と損益計算書の直近1期分で、決算期を一度も迎えていなければ不要です。履歴事項全部証明書は、申請書の提出日から3か月以内の日付のものです。個人事業主は直近の確定申告書を出し、決算期を迎える前なら開業届を出します。BCPは防災・減災タイプだけ、組合は組合員名簿も出します。
事業承継診断票は、代表者が2026年4月1日時点で満60歳以上の事業者だけが出します(組合は不要)。見積書は、1件100万円(税込)以上なら2者以上のものが必要です。中古品は金額にかかわらず2者以上で、50万円(税抜き)未満の物に限ります。電子媒体には主な様式のデータを入れ、ないと採択審査ができません。パートナーシップ構築宣言をしている事業者は加点があるため、宣言書の写しも出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定日より前の発注・契約・支出は、補助対象外になります。 見積書の取得は決定前でも構いません。展示会の申し込みと研修の受講申し込みは決定前でもよく、請求書の日付が決定日以降であれば対象です。
- 複数応募した:同じ小規模企業者の応募は1件です。屋号が複数あっても代表者が同じなら1件で、複数応募が分かると全部が不採択になります。採択後に分かっても取り消されます。
- 取組が期間内に終わらなかった:ホームページを作っても期間内に公開しなければ対象外です。チラシは期間内に配った分だけが対象になります。
- 実績報告が期限に間に合わなかった:交付決定を受けていても、期日までに実績報告が確認できないと補助金は受け取れません。
- 払い方が決まりに合わない:支払いは銀行振込が原則です。1取引10万円超(税抜き)は現金払い不可で、手形・小切手・相殺・ポイント払いも認められません。
よくある質問
令和8年度の受付はもう終わっていますか?
終わっています。受付は2026年6月1日から30日(必着)で、福島県の案内ページにそう書かれています。実施期限は2026年12月31日です。令和9年度以降の公募については、令和8年度の案内ページに記載がありません。要綱は令和2年7月に施行され、令和8年5月まで改正されてきました。次の募集を知りたいときは、経営金融課の案内ページと管轄の商工団体のページを確かめてください。
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。補助対象者に個人事業主が入っています。条件は、本社と補助事業を行う事業所が福島県内にあること、従業員数が基準以下であること、事業を実際にやっていることです。まだ事業を始めていない創業予定者は対象外で、申請の時点で事業をしている必要があります。事業主本人は従業員数に数えませんが、専従者(家族従業員)は数えます。
商工会・商工会議所の会員でないと申請できませんか?
会員でなくても申請できます。公募要領に、会員か非会員かを問わず応募できると書かれています。ただし、事業支援計画書(様式4)は支援団体が発行するので、商工会・商工会議所のどちらかへの相談は避けられません。事業所がある地区を担当する団体が窓口です。会員かどうかより、書類の発行に日数がかかるほうが日程に響きます。
支援団体は何をしてくれるのですか?
計画づくりの助言や指導、融資のあっせんなどをします。申請時には、経営計画書と補助事業計画書の写しを見て、事業支援計画書(様式4)を発行します。発行には一定の日数がかかるため、公募要領は締切の10日前までの来訪を求めています。社外の代理人だけで相談や交付依頼をすることはできません。事業者本人が窓口に行く必要があります。
従業員数はどう数えますか?
事業主本人と役員は数えません。ただし、従業員を兼ねる役員は数えます。パートは、同じ事業所の通常の従業員と比べて1日の労働時間と月の所定労働日数が4分の3以下なら数えません。日々雇い入れる人や2か月以内の契約の人も数えませんが、その期間を超えて続けて雇っていれば数えます。数え方で基準を超えるか迷うときは、申請前に支援団体で確かめてください。
6つのタイプを同時に申請できますか?
できません。策定する計画の区分は、事業者の希望と状態に応じて1つだけ選びます。同じ小規模企業者の応募は1件で、複数応募が分かると全部が不採択になります。申請内容によっては、選んだ区分と別のタイプで採択されることもあります。たとえば販路開拓で出しても、計画の中身次第で上限や補助率の違う区分になる可能性があります。
パソコンやタブレットは補助対象になりますか?
なりません。パソコン、タブレット、事務用プリンター、複合機、電話機は汎用性が高く、ほかの用途にも使えるため対象外です。デジタル化タイプでも同じです。対象になるのは、会計ソフトや労務管理システムなど、事務管理の効率化に使うソフトの導入です。すでに入れているソフトの更新料も対象外で、補助事業の期間内に発生する利用料は経費にできます。
交付決定の前に注文してもよいですか?
避けてください。補助対象になるのは、交付決定日以降に発注・契約し、実施期限までに支払いを終えた経費です。決定前に発注した分は対象外です。例外は展示会の出展と研修の受講で、申し込みだけなら決定前でもできます。それでも請求書の発行日や支払日が決定日より前だと対象外です。見積書の取得は決定前でも差し支えありません。
持続化補助金など、ほかの補助金を受けていても申請できますか?
これまでの補助事業と異なる事業なら申請できます。令和6年から令和8年に採択された本補助金や小規模事業者持続化補助金などの補助事業者は、応募者の概要(様式2)の所定の欄に、異なる事業であることを書きます。同じ事業と分かると不採択になり、採択後でも取り消されます。同じ内容の事業で国や県のほかの補助金を受けることはできません。
補助金はいつ受け取れますか?
実績報告のあとです。県が報告書を審査して補助金の額を確定し、その通知を受けてから、事業者が精算払請求書を出して支払われます。先に事業者が全額を支払う必要があるので、資金繰りの準備が要ります。実績報告は、事業の完了から30日後か2027年1月15日(事務局必着)のどちらか早い日までです。実際に受け取る額は、対象外の経費が見つかると交付決定の額より少なくなります。
50万円以上の機械を買った場合の注意はありますか?
単価50万円(税抜き)以上の機械装置は「処分制限財産」になります。補助金を受け取ったあとも、通常は取得日から5年間、目的外の使用、譲渡、担保提供、廃棄ができません。処分するときは先に県へ承認を申請します。承認なしに処分すると、交付の取消しや返還命令の対象になります。50万円以上の外注工事や、50万円以上で作ったウェブサイトも同じ扱いです。
商店街の取り組みで申請できますか?
この記事の小規模企業枠ではなく、別枠の商店街枠になります。商店街枠は商店街組織などが対象で、商店街機能維持・高度化タイプと買い物困難者支援タイプがあり、どちらも補助率1/2以内、上限100万円です。窓口は福島県商業まちづくり課で、案内ページが別にあります。小規模企業枠の公募要領は、商店街枠を対象にしていません。
