社員に職務に関連する訓練を受けさせたいが、訓練費用と、その間の賃金がネックになっている。人材開発支援助成金〈人材育成支援コース〉は、こうした訓練にかかる経費と、訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
訓練を始める前に「計画届」の提出が必要という、隠れ期限がある助成金です。研修の予定を立てたら、真っ先に確認すべき点です。
人材育成支援コースの要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 人材開発支援助成金(人材育成支援コース) |
| 対象業種 | 業種指定なし |
| 利用目的 | 職務に関連した知識・技能を習得させる訓練、認定OJT付き訓練、非正規雇用労働者の正社員化訓練の実施 |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 規定なし(中小企業事業主で助成率・助成額が優遇される) |
| 補助上限額 | 経費助成1,000万円/1事業所1年度あたり。賃金助成は1人1時間800円〜1,000円(1コースあたり最大1,200時間) |
| 補助率 | 経費助成率45%〜85%(訓練の種類・雇用形態・企業規模により変動) |
| 申請受付 | 通年(訓練開始日の6か月前〜1か月前までに計画届を提出) |
| 公式サイト | 厚生労働省「人材開発支援助成金」 |

いくらもらえる?訓練の種類で変わる経費助成率
対象訓練は4つのメニューに分かれ、原則10時間以上のOFF-JT(職場を離れて行う研修)を含むことが基本です。
| 訓練メニュー | 経費助成率(中小企業) |
|---|---|
| 人材育成訓練(正規雇用労働者) | 45%(賃上げ等の要件を満たすと60%) |
| 人材育成訓練(非正規雇用労働者) | 70%(要件を満たすと85%) |
| 有期実習型訓練 | 75% |
| 中高年齢者実習型訓練 | 60%(要件を満たすと75%) |
賃金助成は、OFF-JT実施中の時間に対して1人1時間あたり800円が基本額です。賃金の底上げなど処遇改善の要件を満たすと、1時間あたり1,000円に引き上げられます。上限は1人1コースあたり1,200時間です。
年間の上限額は、1事業所1年度あたり経費助成1,000万円です。訓練を複数回実施する場合も、この年間上限の範囲内で申請することになります。
承認までの重要なタイミングと必要書類。「計画届」が最初の関門
この助成金でもっとも重要なのは、訓練開始日より前に提出する「職業訓練実施計画届」です。
- 訓練開始日の6か月前から1か月前までの間:職業訓練実施計画届を管轄の労働局・ハローワークに提出する
- 計画届にもとづいて訓練を実施する(OFF-JTを中心に、必要に応じてOJTを組み合わせる)
- 訓練終了後、原則2か月以内:支給申請書と訓練の実施を証明する書類(出勤簿・カリキュラム・受講者名簿等)を提出する
- 労働局による審査を経て支給決定
計画届の提出が訓練開始日の前日までに間に合わなかった場合、その訓練は助成の対象になりません。「研修の予定が決まってから慌てて計画届を出す」という順番では間に合わないため、研修計画を立てた時点で、逆算して計画届の提出期限を確認しておく必要があります。
対象になる取組・ならない取組
- 対象になる例:入社2年目の社員に、業務に直結するCAD操作研修(OFF-JT15時間)を外部機関で受講させ、訓練開始1か月半前に計画届を提出した
- 対象になる例:非正規雇用の社員を対象に、正社員転換を見据えた実習型訓練を実施し、経費助成70%の適用を受けた
- 対象にならない例:訓練を開始してから計画届を提出した(開始前の提出が必須)
- 対象にならない例:業務と直接関連しない趣味・教養的な研修(職務に関連した知識・技能の習得という要件を満たさない)
よくある質問
大企業でも申請できますか?
対象になります。ただし経費助成率・賃金助成額は中小企業事業主のほうが優遇されており、中小企業以外は助成率が下がります。自社が中小企業に該当するかどうかは、業種ごとに資本金または常時雇用労働者数のいずれかの基準で判定されます。
OJTだけの訓練でも対象になりますか?
原則として、10時間以上のOFF-JTを含むことが基本要件です。ただし認定実習併用職業訓練など、OJTを組み合わせた訓練メニューも用意されています。自社が計画している訓練がどのメニューに該当するかは、事前に労働局へ相談することをおすすめします。
計画届の提出が遅れそうな場合はどうすればよいですか?
計画届は訓練開始日の前日までに提出が完了している必要があります。研修の日程調整に時間がかかりそうな場合は、訓練開始日そのものを後ろ倒しにして、計画届の提出期限(6か月前〜1か月前)に間に合わせることを優先してください。
