令和8年度の交付申請は、2026年10月1日時点で予算額を超えています。新しく出した申請は仮受付の扱いになり、仮受付の間は予算が確保されません。
それでも内容を知っておく価値があるのは、代表事業者等の登録が2026年12月31日まで続き、財源が空いたときに仮受付から本受付へ移る道があるからです。補助されるのは、設計・施工の事業者が建築BIMを導入する費用の1/2(BIM活用型。設計費と建設工事費で最大9,000万円)と、LCCO2評価の費用(LCCO2評価実施型。上限650万円)です。
建築GX・DX推進事業の要点まとめ
正式名:令和8年度 建築GX・DX推進事業
だれが
- 申請者
- 事業者(設計・施工を行う法人・個人事業主)
- 対象業種
- 設計・施工を行う事業者(LCCO2評価実施型は発注者も可)
- 利用目的
- 建築BIMの導入、建築物LCCO2評価の実施
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 公式ページに記載なし
いくら
- 補助上限額
- BIM活用型は最大9,000万円、LCCO2評価実施型は650万円
- 補助率
- BIM活用型は1/2、LCCO2評価実施型は定額
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年12月31日まで(登録)。交付申請は仮受付のみ
- 事業の完了
- 2027年2月末まで
- 公式サイト
- 建築GX・DX推進事業実施支援室
今から申請できる?
結論から書くと、申請の提出はできますが、予算の確保は別の話です。
予算額は73億円(7,300百万円)で、2026年9月29日の時点で交付申請額が96.1%に達していました。10月1日には予算額を超過し、実施支援室が受付日時を確認しています。
交付申請の本受付は、期限の9月30日か予算上限の到達のどちらか早い方で締め切られます。それ以降に出した申請は、申請順に仮受付となります。
- 予算の到達前に出した申請:基本的に予算が確保されます(審査で要件を満たさないと分かれば対象外)。ただし10月1日の案内では、提出済みの申請でも受付日時の確認の結果、仮受付になることがあるとされています
- 到達後・9月30日以降の申請:仮受付です。予算の確保はなく、jGrantsの表示は「申請済み」のままです
- 仮受付から本受付へ:審査や減額で財源が空いたときに、申請順に移ります。移らない場合もあります
前年度の令和7年度は、2025年9月30日に予算上限(65億円)へ到達しました。その後に出された申請のうち、仮受付から本受付に移った件数は126件と、公式ページに載っています。同じように動く保証はありません。
仮受付をいつまで受けるかは、令和8年度については公式に書かれていません。前年度は、予算上限に達したあとも2026年2月13日まで受け付けました(2025年12月26日のお知らせ)。
代表事業者等の登録は12月31日までです。登録を申請した日以降に発生した費用が補助対象になるので、登録だけ先に済ませておく手があります。ただし、登録は補助金の交付を保証するものではありません。
うちは対象になる?
BIM活用型は、次の条件を満たす必要があります。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 7
次のどれかに当たると、対象外です。
- ✕ 解体事業でBIMを使う
- ✕ 公共工事でBIM費用が積算済み
- ✕ 発注者のBIMソフト費用だけ
- ✕ 過去3年度に国交省補助の返還歴
代表事業者は、建築士事務所として登録された者か、建設業の許可を受けた者です。建築BIMの利用経験は問われません。要件に合うことを確かめる建築士は、設計した人でなくても構いませんが、外注を含めて必ず置きます。いないと申請できません。
過去3年度のうちに、国土交通省住宅局の補助金で交付決定の取り消しに当たる理由で返還を求められた事業者は、申請が原則制限されます。登録のときに申告を求められます。
「許可業者」は、建設業法にもとづく建設業の許可を受けた事業者のことです。
新築で、敷地に接する道路の中心線以内の地区面積1,000㎡以上、延べ面積1,000㎡以上、地階を除く階数3以上のすべてに当たる場合は、国土交通省が定めるBIMの利用方法(モデルの共有、干渉チェック、施工計画での活用など)を使う必要があります。
住宅は、土砂災害特別警戒区域などに立地すると原則対象外です。
LCCO2評価実施型は、建物の用途を問いません。発注者も申請でき、発注者の場合は建築士事務所の登録や建設業の許可は要りません。LCCO2評価とは、建物の資材製造から施工、使用、解体までのCO2排出量をまとめて算定することです。評価結果は国土交通省に報告します。
既に設計や施工が始まっているプロジェクトも対象です。ただし、対象になる費用は代表事業者の登録申請日以降に発生したものだけです。
いくら補助される?
BIM活用型は、対象費用の1/2です。上限は、延べ面積に応じて次のとおりです。
| 延べ面積 | 設計費の上限 | 建設工事費の上限 |
|---|---|---|
| 10,000㎡未満 | 2,500万円 | 4,000万円 |
| 10,000㎡以上30,000㎡未満 | 3,000万円 | 5,000万円 |
| 30,000㎡以上 | 3,500万円 | 5,500万円 |
最低面積の定めはありません。最大の9,000万円は、30,000㎡以上で設計費と建設工事費の上限を足した額です。足せるのは、対象費用を設計と施工に明確に分けて申請できるときです。分けられない設計・施工一括のプロジェクトは、どちらか一方の上限を選びます。
令和7年度までにこの事業の補助を受けた既存プロジェクトは、受けた補助額を差し引いた残りが令和8年度の上限です。
以下は、仕組みをつかむための仮の数字です。
- 設計事務所がBIMソフト・人件費など1,200万円を使う:1,200万円 × 1/2 = 600万円(設計費の上限2,500万円以内)
- 施工会社が延べ9,000㎡の工事で対象費用9,000万円:9,000万円 × 1/2 = 4,500万円 → 上限の4,000万円
- 延べ面積8,000㎡の設計で対象費用6,000万円:6,000万円 × 1/2 = 3,000万円 → 上限の2,500万円
LCCO2評価実施型は定額補助で、上限は1プロジェクトあたり次のとおりです。
- BIMモデルを作らずにLCCO2評価を行う場合:650万円
- BIMモデルを作ったうえでLCCO2評価を行う場合:500万円
LCCO2評価に必要なCO2原単位(建材1単位あたりのCO2排出量)も自分で策定する場合は、策定した原単位1件につき400万円が加算されます。たとえば2件なら、400万円 × 2 = 800万円です。1事業者あたりの加算は、1プロジェクトで1,000万円までです。
BIM活用型でLCCO2評価も行う場合、その評価費用の上限は1プロジェクトあたり500万円です。
何に使える?
対象にならないもの
- 消費税、送料、振込手数料、収入印紙、通勤交通費
- 測量機器(3Dスキャナ、ドローン)とサーバー機器の購入費
- 市場価格や定価より高く設定された利用料・購入価格・人件費
- 2万円以上の備品について、プロジェクト終了時点の残存価値分
- 設計が完了済みのプロジェクトの、設計事務所によるソフトウェア購入費
対象になるもの(BIM活用型)
- BIMソフトウェア利用費、PCリース料などの関連費
- CDE(関係者でBIMデータを共有するクラウド環境)の構築費・利用費
- BIMコーディネーター、BIMマネジャーの人件費
- BIM講習の実施費用
- BIMモデラー(モデルの作成者)の人件費。ただし制限あり
対象になるもの(LCCO2評価実施型)
- LCCO2評価の人件費(委託費を含む)
- 算定補助ツール(積算補助、仕分け補助など)の利用料
- CO2原単位等を策定する場合の人件費、データベース利用費、算定ツール利用料、第三者検証費用、公開費用
協力事業者のBIMコーディネーターとBIMマネジャーの人件費は、それぞれ1事業者500万円までです。BIMモデラーの人件費は、種類ごとに1事業者1,000万円までです。設計でBIM図面審査を行う場合は、これらの上限がありません。
LCCO2評価の結果そのものを第三者に検証してもらう費用や、評価ツールの購入費は対象になりません。
BIMソフトは、公式ページに載る補助対象ソフトウェアのリストから選びます。2026年10月8日にも、リストが更新されました。
BIMモデラーの人件費は、従業員が1,000人を超える元請事業者や、事業を最初に使った年度から4年度目以降の事業者などでは、導入初期のモデル作成分が対象外になります。
BIM講習は、補助対象のプロジェクトで使わないBIMソフトの講習だと対象になりません。
申請の流れ
- GビズIDを取る(事業者→GビズID。プライムかメンバー。取得に時間がかかります)
- 代表事業者等の登録を出す(代表事業者→実施支援室。Jグランツで。2026年12月31日まで。登録申請日以降の費用が対象です)
- BIM活用事業者登録をする(BIM活用型の全事業者→登録ポータル。原則、交付申請の前に。12月31日まで)
- 交付申請を出す(代表事業者→実施支援室。Jグランツで。協力事業者の分もまとめて。本受付は終了済みで、仮受付です)
- 交付決定を受けて事業を進める(実施支援室→事業者。交付決定を受けない経費は補助対象外です)
- 完了実績報告を出す(代表事業者→実施支援室。2026年10月頃から2027年2月頃まで)
- 額の確定を受けて補助金を受け取る(実施支援室→事業者。支払いは2027年4月頃の予定です)
必要な書類
準備できた 0 / 8
様式2、3、5は、代表事業者と協力事業者がそれぞれ作り、代表事業者がまとめて出します。様式4の委任状は協力事業者だけが作ります。様式3はBIM活用型の書類で、登録の完了を確認する書式です。ポータルで登録を済ませたうえで、自社で書いて出します。見積書は、関係会社などから調達する場合に3者以上が要ります。
作成支援様式は、金額を計算するための書式です。マニュアルは交付申請時に提出を求めるものではないと書く一方、公式ページは提出書類に並べています。出すかどうかは実施支援室に確認します。共同事業実施規約は、代表事業者が協力事業者の分を負担するときに要ります。
Jグランツの申請画面では、代表事業者等の登録完了通知書にある登録番号を入力します。
実績報告のときは、耐火・省エネ基準への適合を建築士が証明する書類、体制図、BIMモデルの画面などを出します。LCCO2評価実施型では、評価を行った建築物の概要、算定結果、アンケートも必要です。様式は実施支援室のHPにあります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 仮受付のまま財源が確保されない:仮受付は予算の確保を意味しません。本受付へ移れないこともあります。
- 交付決定を受けていない経費:登録は交付を保証しません。交付決定を受けない経費は対象外です。
- 要件を満たすと確認できない:実績報告の段階で、要件への適合や経費の支出が確認できないと、補助金は交付されません。
- 登録日より前に発生した費用:対象になるのは、代表事業者の登録申請日以降の費用です。
- BIM活用事業者登録をしていない:BIM活用型は、全事業者が登録し、事業の完了後3年間、活用状況を報告します。
- 取得した財産を勝手に処分した:補助で買った財産は、完了後10年間(耐用年数が10年未満ならその年数)、国土交通大臣の承認なく目的外に使ったり、譲渡や貸し付けをしたりできません。
今年度の変更点・併用
国の別の補助制度とは、補助対象が重なる場合、原則として併用できません。施主が受ける国庫補助金でも、設計費や工事費に充てるものは重複になります。重なっていないと代表事業者が確かめられれば、申請のときの宣言で併用が認められる場合があります。
令和8年度は、LCCO2評価実施型の補助対象に、算定補助ツールの利用料が加わりました(2026年8月7日の更新)。
過去にLCCO2評価の補助を受けたプロジェクトでも、本年度に別の時点(基本設計完了時、実施設計完了時、竣工時)の評価を新たに行うなら、その算定費用を申請できます。
令和8年度は予算の成立が4月7日でした。4月1日から6日に契約した外注費やソフトの利用料は、代表事業者の登録申請日以降に提供された分に相当する費用だけが計上できます。
完了実績報告の監査報告書は、定型の様式がありません。作成例が公式ページに載っています。
よくある質問
今から申請しても間に合いますか?
申請は提出できますが、予算の確保は別です。交付申請の本受付は、期限の2026年9月30日か予算上限の到達で締め切られました。10月1日時点で予算額を超えており、新しい申請は仮受付として申請順に受け付けられています。審査や減額で財源が確保されれば、順次、本受付に移ります。移らない場合もあるので、資金計画には組み込まないほうが安全です。
仮受付と本受付は何が違いますか?
本受付は予算が確保された状態で、仮受付は確保されていない状態です。仮受付のとき、jGrantsの表示は「申請済み」になりますが、実施支援室から仮受付だと別途メールで連絡が来ます。財源が空くと、申請順に本受付へ移り、その連絡も来ます。予算の到達前に出した申請は、審査で要件を満たさないと分かった場合を除き、基本的に予算が確保されます。
個人事業主や小さな設計事務所でも使えますか?
使えます。BIMの利用経験や事業者の規模は問われません。ただし、代表事業者は建築士事務所として登録された者か、建設業の許可を受けた者である必要があります。BIM活用型では、代表事業者のほかに、設計または施工を行う者が少なくとも1者必要です。個人事業主が自分をBIMコーディネーターとして配置する場合の人件費の出し方は、公式ページの「よくあるご質問」に載っています。
発注者(建築主)は申請できますか?
BIM活用型の補助対象事業者は、設計または施工を行う者です。建築主がBIMソフトを使う費用やCDE環境を作る費用は、補助の対象になりません。ただし、建築主が自分で設計や施工を行う場合は、他の要件を満たせば補助対象事業者になれます。LCCO2評価実施型は、発注者も申請できます。
すでに設計や施工が始まっていても対象ですか?
対象です。ただし、補助対象になるのは、代表事業者の登録申請日以降に発生した経費だけです。たとえば設計業務が完了していれば、設計事務所のソフトウェア購入費は対象になりません。躯体工事が完了している場合も、躯体工事だけを請け負った施工会社のソフト購入費は対象外です。登録申請日以降に新しく契約するBIM用ソフトや講習は、進行中のプロジェクトでも対象になります。
改修工事や増築も対象ですか?
どちらも対象です。改修の場合、従前の建物が耐火・省エネ基準などの要件を満たしているか、改修工事でその要件を満たす必要があります。省エネ基準は、改修では規制対象の建築物に限られます。省エネ基準の適用がそもそもない建築物も対象で、その場合は省エネ基準適合の要件がありません。解体事業そのもののBIM活用は対象外です。ただし、改修工事と切り離せない既存部分の解体で、BIM活用が設計・施工に役立つと認められれば、対象に含められます。
公共工事は対象になりますか?
国や自治体が、入札公告の時点でBIMにかかる費用を積算できるとしている場合は、補助対象になりません。LCCO2評価実施型でも、評価の費用を積算できる場合は同じです。民間工事は対象で、公共工事でもBIMの費用が積算されていないものは検討の余地があります。迷うときは、実施支援室に個別に聞くのが確実です。
消費税は補助されますか?
補助対象外です。補助の対象額は税抜きで計算します。購入するソフトウェアなどの備品は、課税事業者なら消費税の仕入控除の対象になるので、事業者としての負担は相殺されるものと説明されています。送料も補助対象外です。遠距離の出張費は、BIM講師やコーディネーターの分が対象になりますが、消費税額分は含まれません。
BIM活用とLCCO2評価を同時にやれますか?
できます。BIMモデルを作ったうえでLCCO2評価を行う場合は、BIM活用型とLCCO2評価実施型の両方の要件を満たす必要があります。補助対象事業者は、設計または施工を行う事業者です。LCCO2評価の費用は上限が500万円で、BIMなしの650万円より低くなります。評価の結果は国土交通省に報告し、統計処理のうえ公表や制度検討に使われます。
補助金はいつ受け取れますか?
予定では、完了実績報告が2026年10月頃から2027年2月頃まで、補助金の交付は2027年4月頃です。事業は2027年2月末に終わり、その時点で一度報告し、完了後1年を経た年度末から3年間、BIM活用状況を報告します。ソフトのリースの分割払いは、2027年2月28日までに払った額が補助対象経費の上限です。
登録だけして申請しないとどうなりますか?
登録を申請した日以降の費用が、補助対象の候補になります。ただし、登録は補助金の交付を保証するものではなく、交付決定を受けなかった経費は補助対象になりません。登録時に記載したプロジェクトや見込額を超えての交付申請は可能です。ただし、交付申請の総額が予算額に達したときは、打ち切りになります。
問い合わせ先はどこですか?
建築GX・DX推進事業実施支援室です。電話は03-6803-6766で、受付は平日(祝日・年末年始を除く)の10時から17時まで、12時から13時を除きます。質問は、記録を残すため原則メール(info@gx-dx.jp)で出すよう求められています。公式ページの問い合わせフォームからも送れます。その際は、jGrantsの申請番号かプロジェクト名を添えます。交付申請の手続きは、公式ページの事業説明動画でも説明されています。
