3次公募で最初にぶつかる関門は、書類ではありません。申請の時点で、自社の「100億宣言」が100億企業成長ポータルに公表されている必要があります。 公表の手続きは通常2〜3週間かかり、不備があればさらに延びます。締切は2026年11月12日15時です。
もう1つ、返還の条件があります。賃上げが目標に届かないと、未達の度合いに応じて補助金を返すことになります。応募の前に、この2点を確かめてください。
事務局のFAQによると、今回の3次公募で令和7年度補正予算の分は終わる見込みです。4次公募の予定は決まっていません。
中小企業成長加速化補助金の要点まとめ
正式名:中小企業成長加速化補助金(3次公募)
だれが
- 申請者
- 中小企業者(会社または個人)。単独のほか共同申請も可
- 対象業種
- 業種の指定なし(農業・林業・漁業そのものを行う事業は対象外)
- 利用目的
- 将来の売上高100億円を目指す、建物・機械装置・ソフトウェアなどへの大規模な投資
- 対象地域
- 全国(日本国内に本社と事業の実施場所があること)
- 従業員数
- 業種ごとの中小企業者の範囲に収まること(売上高10億円以上100億円未満も条件)
いくら
- 補助上限額
- 5億円
- 補助率
- 1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年9月29日(火)〜2026年11月12日(木)15:00
- 事業の完了
- 交付決定日から24か月以内
- 公式サイト
- 中小機構「100億企業成長ポータル」
うちの会社は対象になる?
次の8つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 8
売上高は、直近の決算期か直近3期の平均で判断します。100億宣言は将来の売上高100億円を目指すという経営者の宣言で、申請までにポータルで公表されている必要があります。投資額は建物費・機械装置費・ソフトウェア費のうち資産計上するものを数え、賃上げは計画を立てて目標にし、課税所得は直近3年分の年平均額で見ます。
次のどれかに当たると、対象外です。
- ✕ 生産能力が上がらない更新投資
- ✕ 農業・林業・漁業そのものを行う事業
- ✕ 大半を外注し企画だけを行う事業
- ✕ 組合や社団法人・医療法人など
- ✕ 今回の公募で複数の申請を出している
- ✕ 1次・2次公募で交付決定を受けている
更新投資は、古い設備の入れ替えなどのことです。対象外の法人は、組合・連合会、一般・公益の社団法人・財団法人、医療法人、社会福祉法人、法人格のない任意団体です。1次・2次公募で採択され交付決定を受けた事業者は、共同申請の相手やみなし同一法人も含めて対象外です。
中小企業者の範囲は、業種で変わります。資本金か従業員数のどちらかが上限以内なら該当します。製造業・建設業・運輸業などは資本金3億円以下か従業員300人以下、卸売業は1億円以下か100人以下、サービス業は5,000万円以下か100人以下、小売業は5,000万円以下か50人以下です。ゴム製品製造業は従業員900人以下、旅館業は資本金5,000万円以下か従業員200人以下です。ソフトウェア業と情報処理サービス業は、製造業と同じ上限です。複数の事業をしている会社は、直近の決算で売上が最も大きい事業の業種で判断します。
みなし大企業とは、大企業が株式の2分の1以上を持つなど、中小企業でも対象外になる会社のことです。みなし同一法人は、親会社が議決権の50%超を持つ子会社などをまとめて1社とみなす考え方で、グループのうち1社しか申請できません。
いくら補助される?
補助対象経費の1/2です。上限は5億円です。上限に届くのは、補助対象経費が10億円以上のときです。
- 機械装置の導入に2億円かかる:2億円 × 1/2 = 1億円
- 工場の増築と設備で10億円かかる:10億円 × 1/2 = 5億円(上限ちょうど)
- 新拠点の建物と設備で14億円かかる:14億円 × 1/2 = 7億円 → 上限の5億円
投資額1億円の判定は、補助対象経費の合計とは別に数えます。
- 機械装置9,000万円とソフトウェア500万円を資産計上する:合計9,500万円で、1億円に届かず申請できません
- 建物6,000万円と機械装置5,000万円を資産計上する:合計1億1,000万円で、条件を満たします
外注費と専門家経費は、この投資額に入りません。2つの合計は、投資額より小さくする必要があります。課税事業者は、消費税を除いた額で補助金額を計算します。
何に使える?
対象にならないもの
- 再生可能エネルギーの売電をするための発電設備(太陽光パネルなど)
- 事務所の家賃、保証金、光熱水費
- 事務用パソコン、タブレット、スマートフォン、複合機、家具、3Dプリンタなどの汎用品
- 車両の購入・修理・車検(公道を走らない構内用などを除く)
- 自社の人件費、土地代、建物の単なる購入や賃借
- 同一代表者の会社や親会社・子会社など、関係先への支払い
- 応募書類や報告書の作成にかかる費用
対象になるもの
- 建物費(専ら補助事業のための建設・増築・改修、中古建物の取得)
- 機械装置費(機械装置、工具・器具の購入・製作・借用、据付け、運搬)
- ソフトウェア費(専用ソフトウェアや情報システムの購入・構築、クラウド利用)
- 外注費(設計・加工・検査などの一部を請負・委託する経費)
- 専門家経費(取得のために頼んだ専門家への経費)
建物・機械装置・ソフトウェアは、単価が税抜きで100万円以上のものが対象です。専門家経費は1日5万円が上限で、専門家の種類ごとに謝金の単価も決まっています。
申請の流れ
- 100億宣言を公表する(事業者→事務局。通常2〜3週間。申請の前に済ませる)
- GビズIDプライムを取る(事業者。約2週間かかることがあります)
- 見積書をそろえ、投資計画書を作る(事業者。投資計画書は40ページ以内。100万円以上の発注は原則2者以上の相見積が要るので、申請の前に複数社から取っておくと、採択後の交付申請が早く進みます)
- Jグランツで申請する(事業者→事務局。11月12日15時まで)
- 審査を受ける(1次の書面審査の結果は2027年1月中旬、プレゼン審査は2月15日〜3月5日)
- 採択後2か月以内に交付申請をする(事業者→事務局。採択公表は3月下旬以降の予定)
- 交付決定を受けてから発注し、24か月以内に完了する(事業者。確定検査のあとに精算払い)
必要な書類
準備できた 0 / 7
ポータルは100億企業成長ポータルのことです。様式1と決算書等はPDF、様式2と様式3はExcelで出します。金融機関の確認書は該当者だけが、リースの2つ(様式5・6)はリース会社と共同申請する場合だけ出します。
審査はどう進む?
審査は2段階です。1次は事務局による書面審査で、2次は外部有識者によるプレゼンテーション審査です。2次は地域ブロックごとに開かれます。
プレゼンは、代表権を持つ経営者が自分で行います。経営者が出席しないと、審査で不利になることがあります。外部のコンサルティング会社は同席できません。顧問の形で同席しても認められず、発覚すれば不採択か交付決定の取消です。金融機関の確認書を出した場合に限り、その金融機関の担当者は同席できます。
審査の観点は、経営力、波及効果、実現可能性の3つです。売上高成長率や付加価値増加率、投資の規模、賃上げの計画、地域への波及、金融機関のコミットメントなどが見られます。
賃上げは、補助事業の完了後だけでなく、完了前の「足下の賃上げ」も見られます。直近の決算期から基準年度までの1人当たり給与の年平均上昇率が物価上昇率を上回らない計画は、審査上大幅に不利になると公募要領に書かれています。事務局のFAQは、物価上昇率の参考値に2025年の消費者物価指数(総合)の前年比3.2%を挙げています。2次公募の採択者では、この上昇率の平均が3.3%、中央値が3.0%でした。
申請数は、1次公募が1,270件、2次公募が872件でした。採択件数は、今回確認した資料からは読み取れませんでした。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:理由を問わず、補助の対象になりません。社内の見積依頼や内示も、発注とみなされることがあります。
- 賃上げが目標に届かなかった:未達の度合いに応じて、補助金の返還を求められます。天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は除かれます。
- 基準年度の給与が直近の決算年度を下回った:補助金の全額返還になります。1人当たり給与支給総額で見る場合も、総額で見る場合も同じです。
- 賃上げの目標を従業員に表明しなかった:交付決定までに表明がないと、交付決定の取消と全額返還になります。
- 取引先への価格転嫁の指針を守らなかった:公正取引委員会の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を守っていないことが分かると、交付決定の取消や返還になることがあります。
- 書類に不備があった:必要書類の欠落や記入漏れがあると、内容にかかわらず審査の対象になりません。
今年度の変更点・併用・税金
公募要領は、2026年9月29日にVer1.4へ改訂されました。表紙の受付期間と、補助事業期間が変わっています。受付期間は当初2026年10月29日までの予定でしたが、11月12日15時に延びました。以前の版を読んだ方は、最新版で締切と事業期間を確かめてください。
併用は、国の補助金や委託費、固定価格買取制度などとの二重受給になる事業が対象外です。過去に交付決定を受けた補助金や、申請中の補助金は、申請書に必ず書きます。書かないと不採択になることがあります。
「中堅・中小・スタートアップ企業大規模成長投資補助金」には、100億宣言企業向けの類型があります。同時に応募することはできますが、採択(交付決定)されるのはどちらか1つです。詳しい条件は、その専用サイトで確認してください。
税金は、補助金で取得した資産の圧縮記帳などの扱いを、ポータルが資料にまとめています。会計処理は税理士か税務署に確認してください。
よくある質問
100億宣言は、いつまでに済ませればよいですか?
申請の時点で、宣言がポータルに公表されている必要があります。公表の手続きは通常2〜3週間かかり、不備があるとさらに長引きます。ポータルは、検討中なら早めに進めるよう案内しています。3次公募の締切は11月12日15時です。宣言から公表までの日数を逆算し、申請書類の作成と並行して手続きを進めると、締切に間に合わせやすくなります。
投資額が1億円に届かない場合は申請できますか?
申請できません。補助対象経費のうち、建物費・機械装置費・ソフトウェア費(資産計上するものに限る)の合計が、税抜きで1億円以上必要です。外注費と専門家経費は、この合計に入りません。共同申請の場合は、参加企業のうち少なくとも1者が、同じ範囲で5,000万円以上の投資をすることが条件になります。投資額が小さい場合は、ほかの補助金を検討してください。
古い設備を新しい設備に入れ替える投資は対象ですか?
対象になりません。老朽化した設備の入れ替えなど、生産能力が向上しない投資(更新投資)は認められないと、公募要領に書かれています。対象になるのは、事業拡大につながる投資です。たとえば、新しい建物や機械を加えて生産能力を高める計画が当てはまります。計画が更新か増強か判断しにくいときは、申請の前に事務局へ問い合わせてください。
賃上げ要件とは、具体的にどういう内容ですか?
補助事業が完了した事業年度を基準年度とし、そこから3事業年度目を最終年度とします。その間に、従業員1人当たりの給与支給総額が年平均で4.5%以上上がる目標が必要です。4.5%は、直近5年間の全国の最低賃金の年平均上昇率です。目標には「1人当たり給与支給総額」か「給与支給総額」のどちらかを選べます。総額を選んでも、1人当たりの上昇率が4.5%を下回れば返還の対象です。選択は申請時で、あとから変更できません。対象は全従業員で、役員報酬は含めません。賃金台帳で確認されます。
賃上げが達成できないと、補助金は返すのですか?
返します。目標の年平均上昇率に届かなかった場合は、未達の度合いに応じて返還を求められます。基準年度の給与が、申請時点の直近の決算年度より低いときは、全額返還です。天災など、事業者の責めに帰さない理由があるときは返還を求められません。賃上げは補助事業の終了後3年間が実施期間で、報告は基準年度の終了後から5年間、合計6回あります。
外部のコンサルタントに申請書の作成を頼めますか?
プレゼン審査への外部コンサルティング会社の同席は認められません。関係者が経営顧問などの形で同席することも認められず、発覚すると不採択か交付決定の取消になります。申請者の会社法上の役員は同席できます。経営者本人が、自社の計画を説明して質問に答える審査です。また、応募書類の作成にかかる費用や、投資計画の作成費は補助の対象外です。
支払いは、いつ受け取れますか?
原則として、補助事業が完了し、実績報告を出して補助金の額が確定したあとの精算払いです。確定額が交付決定額に届かないこともあります。特に必要と認められる場合に限り、進捗に応じた概算払いがありますが、概算払いを前提にした投資計画は認められません。支払いは銀行振込の実績で確認され、現金払いや手形払いは対象外です。資金繰りは、補助金を後払いで受け取る前提で組んでください。
複数の会社で一緒に申請できますか?
共同申請ができます。参加する会社はすべて中小企業者の範囲を満たす必要があり、100億宣言と賃上げ要件も、原則として各社で対応します。参加企業のうち少なくとも1者は、投資額5,000万円以上であることが条件です。リース会社を使う場合は、設置する事業者とリース会社の共同申請で、リース会社は1申請につき原則1社です。このとき、リース会社は100億宣言をしなくて構いません。
申請はどこから出しますか?
補助金申請システム「Jグランツ」だけで受け付けています。郵送、持参、FAX、メールでの提出はできません。Jグランツを使うには、GビズIDプライムが必要で、取得に2週間程度かかることがあります。受付期間を過ぎると、修正、差替え、追加もできません。ファイルは1つ30MBを超えられないので、データの容量に気をつけてください。
問い合わせ先はどこですか?
中小企業成長加速化補助金事務局です。電話は0570-07-4153(IP電話などからは03-4446-4307)で、受付は平日10:00〜17:00です。土日、祝日、年末年始は休みです。公募期間中は、電話と問い合わせフォームのみ受け付けます。公募要領のほか、よくあるご質問や電子申請マニュアルも、100億企業成長ポータルに載っています。
