神戸市「中小企業投資促進等助成制度」は、市内の工場・事業所での設備投資や新増設に対し、投資額の10〜50%・最大3,000万円を助成する制度です。ただし一般区分は対象事業費1,000万円以上が条件で、交付決定日より前に発注・契約した投資は対象外という順序の注意点があります。
この助成金で何ができるか
市内で製造加工機械やクレーン、産業用ロボット、生産設備向けの建物附属設備(空調・電気・給排水設備等)を取得する投資が対象です。工場の生産ラインを更新したい、新しい拠点を市内に構えたいという中小製造業・中小企業者の設備投資を後押しする制度で、同一の投資でも区分によって助成率が10%〜1/2まで変わるのが特徴です。
対象になる事業者・投資の範囲
助成対象者は、神戸市内の事業所(本社・支店・営業所・店舗・工場・研究開発拠点)で、交付申請書の提出日の1年以上前から継続して事業を営む中小企業者(またはその団体)です。神戸市税の滞納・未申告がないことも条件になります。新増設(工場の新築・購入・延床面積の増加)を申請する場合は、対象が中小製造業のみに絞られる点に注意が必要です。
対象になる投資は大きく2種類です。
- 設備投資: 製造加工機械(旋盤・溶接機・マシニングセンター等)、クレーン、産業用ロボット等の各種産業用機械・装置、生産工程上必要な工具・器具・備品(情報通信機器・ソフトウェア等)、建物附属設備(動力用電気設備・給排水設備・ガス設備・空調設備・ボイラー設備等)
- 新増設(中小製造業のみ): 工場・研究開発拠点の新築・購入による新設、それに伴う構築物(門・塀・舗装等)・建物附帯設備(内装・内部造作等)
対象地域も決まっており、工業専用地域・工業地域・準工業地域に該当する神戸市内の地域(ポートアイランド第2期の一部地域、神戸ハイテクイースト工業団地等を含む)が基本です。振動・騒音等で周辺環境が悪化しないと認められる場合は、それ以外の市内地域での設備投資も対象になり得ます。
ここが重要なのは、対象になる投資額に下限があることです。
- 一般区分・戦略産業分野・海外生産拠点移転: 1,000万円以上の事業費
- 小規模企業者(従業員20人以下)が行う設備投資: 100万円以上
- IoT・AI・ロボット導入: 100万円以上
- 女性雇用促進施設・外国人雇用にかかる施設の新増設: 50万円以上
つまり、数十万円程度の小さな設備更新では使えない制度です。一般区分での申請を考えている中小企業(小規模企業者に該当しない場合)は、対象事業費が1,000万円に届くかどうかをまず確認する必要があります。
助成率・上限額は区分でここまで変わる
助成金額は、区分ごとの助成率を対象経費に掛けた金額です(1社・団体あたりの限度額あり)。
| 区分 | 対象事業費 | 助成率(通常/CO2排出量15%以上削減) | 助成限度額 |
|---|---|---|---|
| 一般 | 1,000万円以上(小規模企業者は100万円以上) | 10%以内/15%以内 | 500万円 |
| 海外生産拠点の神戸市内移転 | 1,000万円以上 | 1/2以内(上乗せなし) | 3,000万円 |
| 戦略産業分野(航空・宇宙、医療・健康・福祉、農業・食糧、環境・エネルギー) | 1,000万円以上(小規模企業者は100万円以上) | 1/3以内/1/2以内 | 3,000万円 |
| IoT・AI・ロボット | 100万円以上 | 1/3以内/1/2以内 | 1,000万円 |
| 女性雇用促進施設・外国人雇用にかかる施設 | 50万円以上 | 1/3以内(上乗せなし) | 1,000万円 |
たとえば対象事業費2,000万円の設備投資で試算すると、次のように助成額が変わります。
- 一般区分(通常): 2,000万円×10% = 200万円
- 一般区分(CO2排出量15%以上削減): 2,000万円×15% = 300万円
- 戦略産業分野(通常): 2,000万円×1/3 = 約667万円(上限3,000万円の範囲内)
- 海外生産拠点の神戸市内移転: 2,000万円×1/2 = 1,000万円
同じ投資額でも、区分によって助成額が数百万円単位で変わることが分かります。戦略産業分野や海外生産拠点移転は「海外生産拠点の神戸市内への移転に関する計画書」等の計画書提出・審査が必要で、件数を限定して交付決定されるため、一般区分よりハードルが上がります。審査で対象区分の交付を受けられなかった場合に一般区分での審査を希望できる仕組みもあります。
なお、公租公課(不動産取得税・火災保険料等)、賃借料(リース取引を含む)、消費税は対象経費から除かれます。リース契約・延払売買契約など取得時に所有権を持たない契約で取得した設備も対象外です。
申請の流れ:投資"前"の交付決定が絶対条件
この制度で最も重要なのは、交付決定日以降に発注・契約締結した事業・経費のみが対象という点です。公募要領には「それ以前に発注・契約締結した事業・経費は対象となりません」と明記されています。つまり、見積もりを取るところまでは進めてよくても、発注書へのサインや契約締結は交付決定の通知が届くまで待つ必要があります。
2026年度のスケジュールは次のとおりでした。
- 助成金交付申請: 2026年4月13日〜5月15日17:00必着(オンライン「e-KOBE」で申請)
- 交付決定通知: 2026年7月下旬予定
- 交付決定後に契約締結・着工(設備投資・新増設の実施)
- 事業完了報告: 設備等取得後速やかに(2028年3月3日まで)
- 助成金確定通知・交付
2026年度は5月15日で申請受付を終了しています。次回(2027年度)の公募も同様に4月中旬〜5月中旬ごろの受付になる可能性がありますが、公募要領は年度ごとに更新されるため、最新の受付期間は神戸市公式ページで必ず確認してください。
また、事業完了報告までに「事業継続力強化計画」の認定取得が要件になっている点も見落としやすいポイントです。この計画は事業所を管轄する経済産業局への提出・認定が必要で、投資の実行と並行して準備を進めておく必要があります。
併用・優先順位に関する注意点
助成金は予算の範囲内で交付されるため、申請額の合計が予算を上回った場合は減額や不採択になることがあります。また、次のような優先・加点の仕組みもあります。
- 原則として市内事業者への発注を助成金交付の優先度が高いものとして扱う(市外事業者に10万円以上発注する場合は理由の記載が必要)
- 過去3年度以内に交付決定を受けていない事業者を優先
- 令和8年度に前年度比平均1.5%以上の固定給の賃上げを行う事業者は加点対象
- 「専門分野における国際的品質マネジメントシステム規格の認証取得」「生産現場へのロボット導入に向けたシミュレーション」「ロボットシステムインテグレータ育成のための設備取得」を併せて申請する場合、これらの助成額(海外生産拠点移転・戦略産業分野を除く)の合計は1社あたり1,000万円が上限
国・県等の補助制度との併給はできません(申請自体=併願は可能)。設備投資の規模が大きい場合、国のものづくり補助金など全国型の制度と比較したうえで、どちらで申請するかを検討する事業者も少なくありません。
神戸市には省エネ設備の更新を支援する制度もあります。あわせてこちらの記事で解説しています。
自社の投資が神戸市の制度と国の制度のどちらに向いているか、他にも使える補助金がないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。
投資規模・区分の選び方や事業継続力強化計画の準備など、申請実務の進め方に迷う場合は専門家に相談するのも一つの手です。
よくある質問
投資額100万円程度の小さな設備更新でも申請できますか?
一般区分は対象事業費1,000万円以上が条件です。ただし小規模企業者(従業員20人以下)が行う設備投資、またはIoT・AI・ロボット導入に該当する投資は100万円以上から対象になります。自社の従業員数と投資の内容によって、当てはまる区分が変わります。
設備の発注を先に済ませてしまっても大丈夫ですか?
対象になりません。公募要領には交付決定日以降に発注・契約締結した事業・経費のみが助成対象と明記されており、それ以前に発注・契約した分は対象外になります。見積もり取得までは進めてよいですが、発注・契約は交付決定の通知後に行う必要があります。
個人事業主でも申請できますか?
対象は「中小企業者」であり、公募要領には個人事業者の場合の必要書類(住民票・確定申告書・開業届の写し)も明記されているため、個人事業主も申請対象に含まれます。ただし市内事業所での1年以上の継続事業・市税の滞納がないこと等の条件は法人と同様に適用されます。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。助成率・上限額・対象経費・申請要件・受付期間は年度により変更される場合があるため、申請前に必ず神戸市の公式ページおよび最新の公募要領で内容をご確認ください。
出典:
