熊本市の「DX環境整備事業補助金」は、熊本市内の小規模・中小企業者がデジタル人材の育成やツール導入、セキュリティ対策、ホームページ・PR動画の製作にかかった経費の1/2(上限40万円)を補助する制度です。令和8年度(2026年度)は2026年7月1日から2027年1月29日まで募集され、予算額に達し次第、先着順で締め切られます

熊本市DX環境整備事業補助金の概要(対象・補助率・上限)

まず全体像を押さえておきます。

  • 実施機関: 熊本市(経済観光局 産業部 経済政策課)
  • 対象者: 熊本市内に本社または主たる事業所を持つ小規模企業者・中小企業者、またはこれらを主体とする組合・任意団体(個人事業主も対象)
  • 補助率: 1/2以内
  • 補助上限額: 40万円
  • 募集期間: 2026年7月1日(水)~2027年1月29日(金)※予算に達し次第、募集終了
  • 事業実施期限: 2027年2月28日(日)まで
  • 申込方法: メールまたは郵送で熊本市経済政策課へ一括提出(申込順に審査)

対象になる事業者を具体例で見る

補助対象者になるには、次の3つをすべて満たす必要があります。

  1. 熊本市内に本社または主たる事業所を有すること(組合・任意団体は構成員の1/2以上が市内に事業所を持つこと)
  2. 小規模企業者・中小企業者、またはこれらを主体とする組合・任意団体であること
  3. 市税の滞納がないこと・暴力団関係者でないこと

従業員数の基準は業種によって異なります。

区分従業員数の基準
小規模企業者(商業・サービス業以外)20人以下
小規模企業者(商業・サービス業)5人以下
中小企業者(一般業種)300人以下
中小企業者(卸売業・サービス業)100人以下
中小企業者(小売業)50人以下
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株式会社などの営利法人だけでなく、個人事業主も対象です。一方で、医師・歯科医師・助産師、系統出荷のみの個人農業者、一般社団・財団法人、医療法人、宗教法人、学校法人、農事組合法人、社会福祉法人などは対象外とされています。また、発行済株式の1/2以上を大企業が保有する「みなし大企業」に該当する場合も対象になりません。

具体的にどんな事業者が当てはまるか、3パターンで見てみます。

  • 飲食料品小売業を営む個人事業主: 従業員が本人ひとりの個人商店。商業・サービス業に該当するため小規模企業者の基準は5人以下だが、従業員1人なら十分に対象範囲内
  • 従業員15名の卸売業の会社: 卸売業の中小企業者の基準(100人以下)を大きく下回るため対象。仕入・在庫管理システムの導入やセキュリティ対策の経費が申請候補になる
  • 従業員80名のサービス業の会社: サービス業の中小企業者基準は100人以下のため対象内。ただし小規模企業者(5人以下)には該当しないため、中小企業者としての申請になる

対象になる取組・経費と補助額のシミュレーション

補助対象になる事業は、大きく分けて「デジタル人材の確保・育成」と「デジタルツールの導入またはサイバーセキュリティへの対応」の2本柱です。対象経費は次の5区分に整理されています。

  1. デジタル人材関連費: 研修受講料(eラーニング含む)、IPA(情報処理推進機構)実施試験の受験料、講師謝金、外部人材登用手数料
  2. デジタルツール導入費(新規導入に限る): 初期費用、月額費用、システム利用料、ソフトウェア購入費、機器購入費(PC・タブレット等はソフトウェアと併せて導入する場合のみ対象)
  3. セキュリティ対策費(新規購入に限る): セキュリティソフト購入費、利用料、専門家派遣費用
  4. ツール等導入に伴う役務サービス料: ツール導入・セキュリティ対策に伴うコンサルティング料等
  5. デジタルコンテンツ製作費: ホームページ製作・改修費、自社ブランドの商品紹介・PR動画の製作費(月々のサーバー使用料は対象外)

補助率は1/2以内、上限は①〜⑤の対象経費を合算した金額に対して40万円です。実際の使い道で試算すると、次のようになります。

想定する取組対象経費(税抜)補助率補助額(概算)
勤怠・在庫管理システムの新規導入+従業員のITスキル研修60万円(システム導入50万円+研修10万円)1/230万円
セキュリティソフト導入+外部専門家によるコンサル+自社サイトのリニューアル90万円(セキュリティ20万円+コンサル20万円+HP改修50万円)1/240万円(上限)
自社ブランドのPR動画製作のみ30万円1/215万円
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対象経費の合計が80万円を超えるあたりから上限の40万円に到達します。40万円ちょうどを狙う場合は、複数区分(人材育成+ツール導入+コンテンツ製作など)を組み合わせて対象経費の合計を80万円前後に積み上げる計画の立て方が現実的です。

なお、消費税・地方消費税は対象経費から除外して積算する必要があります(募集要項の様式は税抜金額での記入が指定されています)。

申請の流れとスケジュール:交付決定前の発注はNG

申請実務でもっとも注意すべきポイントは、ソフトウェアの購入・契約や研修の申込みは、交付決定を受けたあとに行う必要があることです。募集要項には「交付決定前に契約等を行い、導入を交付決定後に行うなどの場合は対象となりません」と明記されています。つまり、良いツールを見つけて「先に契約して後で申請すればいい」という進め方は通用しません。

申請から補助金受け取りまでの流れは次のとおりです。

  1. 申込書類の作成: 交付申込書(様式第1号)、補助事業計画書、補助要件適合の補足資料、市税滞納有無調査承諾書、経費の見積書等を準備
  2. 申込: 熊本市経済政策課へメールまたは郵送で一括提出(原則、事業への着手予定日の2週間前までに申込むこと)
  3. 交付決定: 提出書類にもとづき審査(申込書類に不備がない状態で受領後、交付決定まで約2週間の処理期間)
  4. 事業実施: 交付決定後にツールの契約・購入、研修受講などを実施
  5. 実績報告: 事業完了日から30日以内、または2027年3月12日(金)のいずれか早い日までに、実績報告書と領収書等の挙証資料を提出
  6. 精算払い: 実績報告の内容確認後、補助金額を確定し、精算払いで交付(概算払いは不可)

募集期間は2027年1月29日までですが、これはあくまで上限の締切日です。申込順に審査が行われ、予算額に達した時点でそれより前に募集が終了する可能性があります。導入したいツールが決まっている事業者ほど、早めに申込む方が安全です。

同一事業者・同一代表者からの申込は年度内1件までで、複数の屋号を使う個人事業主も1件のみとなる点にも注意してください。

他制度との組み合わせ(併用の考え方)

募集要項には「同一内容の経費について、国・県・市町村が補助する他の制度と重複する事業は補助対象となりません」と明記されています。同じ経費に対して複数の補助金を重ねて受け取ることはできませんが、同一の補助対象経費について複数の補助金の公募に応募すること自体は差し支えないとされています(採択後にどちらか一方を選ぶ形になります)。

そのため、たとえば「ホームページ製作は熊本市DX補助金」「バックオフィスの会計・受発注ソフトの本格導入は国のIT関連補助金」というように、経費の区分ごとに使う制度を分けて計画するのが現実的なアプローチです。

国のIT関連の補助金もあわせて検討したい方は、こちらの記事で解説しています。

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対象経費の区分や、複数制度の使い分け・申請書類の書き方に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。

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よくある質問

熊本市DX環境整備事業補助金は個人事業主でも申請できますか?

はい、対象になります。募集要項では株式会社などの営利法人だけでなく個人事業主も補助対象に含まれると明記されています。ただし医師・歯科医師・助産師や、系統出荷のみの個人農業者などは対象外です。

すでに使っているソフトウェアの更新費用やリース料は対象になりますか?

対象外です。デジタルツール導入費は新規導入に限るとされており、機器の買い替えやリース料・レンタル料は補助対象外と明記されています。新しくツールを導入する場合の初期費用・月額費用・購入費が対象です。

補助金の交付決定前にソフトを購入してしまったら、あとから申請できますか?

できません。募集要項には「交付決定前に契約等を行い、導入を交付決定後に行うなどの場合は対象となりません」と明記されています。ツールの契約・購入や研修の申込みは、必ず熊本市の交付決定を受けたあとに行う必要があります。


免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた熊本市公式の募集要項にもとづきます。補助率・上限額・対象経費・申請要件・募集期間は変更される場合があり、また予算額に達し次第、募集期間中でも早期に締め切られる可能性があります。申請前に必ず熊本市の公式ページおよび最新の募集要項でご確認ください。

出典: