小水力などの発電設備の工事に、長野県が最大1億8,000万円(補助率4/10以内)を出します。ただし受けた補助金と同じ額を、売電収入からあとで県に納める条件が付きます。返すことを前提に、資金計画を立てられるかが最初の分かれ目です。
県への提出は補助金の交付申請ではありません。まず「事業計画の承認申請」を出し、認定を受けてから交付申請に進みます。
長野県 再生可能エネルギー普及総合支援事業補助金の要点まとめ
正式名:再生可能エネルギー普及総合支援事業補助金(令和8年度・2次募集)
だれが
- 申請者
- 県内に主たる事務所を置く法人・市町村など
- 対象業種
- 業種の指定なし(法人は中小企業者・NPO・社団・財団など)
- 利用目的
- 再エネの発電・熱利用の調査、発電設備の工事、協議会の運営
- 対象地域
- 長野県
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(ゼロカーボン推進課へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- 18,000万円(小水力の工事。事業ごとに100万円〜)
- 補助率
- 小水力の工事は4/10以内(事業ごとに3/10〜2/3以内)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月6日〜2026年11月6日(必着)
- 事業の完了
- 原則、令和8年度内
上限額と補助率は第1号から第4号までの四つの事業ごとに違います。
| 事業 | 内容 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 第1号 | 熱利用設備を入れるための可能性調査 | 1/2以内 | 500万円 |
| 第2号(1) | 発電設備の導入可能性調査・基本計画づくり | 2/3以内 | 700万円 |
| 第2号(2) | 発電設備の詳細設計 | 2/3以内 | 700万円 |
| 第2号(3) | 発電設備の設置工事(小水力) | 4/10以内 | 1億8,000万円 |
| 第2号(3) | 発電設備の設置工事(小水力以外) | 3/10以内 | 1億円 |
| 第3号 | 促進区域内の太陽光発電設備 | 4/10以内 | 1,200万円 |
| 第4号 | 地域協議会の運営 | 2/3以内 | 100万円 |
第2号は太陽光を除く発電が対象です。太陽光は第3号の条件に合うものだけが補助の対象になります。
うちの会社や団体は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 県外に主たる事務所がある法人
- ✕ 自家消費が目的の発電
- ✕ 促進区域の外で行う太陽光
補助の対象者は事業ごとに決まっています。市町村が対象なのは第1号、第2号(1)、第4号です。第2号の詳細設計と工事、第3号は民間事業者だけが対象になります。第4号は市町村のほか、市町村の職員が責任者になっているなど、市町村が実質的に加わる協議会などの団体も対象です。
中小企業者は中小企業基本法の定義に当たる会社のことです。資本金と従業員数の上限は業種ごとに違うため、自社が当たるかは県の担当課に確かめてください。さらに大企業が株式の2分の1以上を持つ会社などは、中小企業者から外れます。
個人事業主は、第2号と第3号では対象外です。「法人のみ」と書かれているためです。第1号にはこの限定がありません。ただし公式に明記があるのはここまでで、個人事業主が申請できるかは担当課の判断になります。
第3号の「促進区域」は市町村が再エネを進める区域として定めた場所です。その区域内で、市町村の認定を受けた事業に限ります。
発電事業が「全量売電」を求められる理由は?
第2号と第3号は設置した設備で発電した電気を、原則として全量売電する事業が対象です。発電設備で使う電気に充てる分を除き、平時に自家消費しません。
県はこの補助金を「初期費用の負担に対する支援」と位置づけています。そのうえで売電開始後に補助金の全額を県に納めてもらいます。売電収入が返済の原資になるため、自家消費中心の計画は合わないのです。
条件はほかにもあります。
- 収益納付を行う期間以上の長期売電契約を結ぶ(結ぶ見込みがある)こと
- 第2号では、FIT等の認定を受ける(受ける見込みがある)こと
- 第2号の工事と第3号では、地域金融機関等の融資を受けて行うこと
- 第2号では、事業収益の一部を設置地域に還元する計画にすること
FIT等の認定とは、再生可能エネルギーで作った電気を国の制度で買い取ってもらうための認定です。経済産業大臣が出します。
FITの認定がない段階の調査や基本計画づくりは、認定を受ける前提で計画されていれば申請できます。工事は、申請時にすでに認定を受けていることが基本です。ただし後から認定を受けずに事業を行うと決めた場合は、補助金の返還を求められることがあります。
いくらもらえる?
補助額は対象経費に補助率を掛けた額です。上限を超えた分は自己負担になります。
- 小水力の設置工事:3億円 × 4/10 = 1億2,000万円
- 小水力の設置工事(高額):5億円 × 4/10 = 2億円 → 上限の1億8,000万円
- 小水力以外の設置工事:2億円 × 3/10 = 6,000万円
- 促進区域内の太陽光:2,000万円 × 4/10 = 800万円
- 熱利用の可能性調査:600万円 × 1/2 = 300万円
小水力は4億5,000万円を超えると上限の1億8,000万円に届きます。小水力以外の工事は3億3,400万円以上で、上限の1億円に届きます。促進区域内の太陽光は3,000万円、熱利用の調査は1,000万円です。補助額の千円未満は切り捨てになります。
エネルギー自立地域づくり計画の対象事業なら、補助額が上乗せされます。対象になるのは、第2号の工事と第3号です。この計画は市町村が定める計画で、同じ県の別事業(エネルギー自立地域創出支援事業)の対象になるものです。上乗せ分は収益納付の対象から外れます。
上乗せの書き方は、募集要領と交付要綱で違います。募集要領は「補助率及び上限額を10%上乗せ」です。交付要綱は、基本の補助額に、小水力と第3号は1/4以内、小水力以外の工事は1/3以内を足すと書いています。どちらも対象経費に対しておよそ10%分にあたる計算です。上限額をどう扱うかは募集要領に数字がないため、上乗せを狙う場合は担当課に確かめてください。
上乗せ額と、市町村がエネルギー自立地域創出支援事業で受ける補助金の額を足した合計は、1億円を超えられません。
返す金額と時期
第2号と第3号の補助金は受けた額と同じ額を県に納めます。納付は初めて売電収入を得た年度の翌々年度から始まります。
調査と設計の補助金は10年に分けて毎年10%ずつ納めます。工事の補助金は融資の返済方式に応じて、最長15年に分けて納めます。最初の2年度の納付率はどの方式も0%です。納付額は前年度の売電収入が上限です。
何に使える?
対象にならないもの
- 自社職員の人件費
- 用地の取得や賃借、補償の費用
- 食糧費
- 損失補填に係る経費
- 国など他の機関から補助を受ける事業の経費
対象になるもの
- 補助事業の実施に要する経費で、知事が認めるもの
- 事業のために臨時で雇う人の賃金(調査などの業務を行う人)
人件費のうち、新たに本事業のために臨時で雇う人の賃金は支出が可能です。また、親会社や子会社、関連会社から調達する場合は、事業費の一部が対象にならないことがあります。
申請の流れ
2次募集ではまず事業計画の承認を受け、そのあとに交付申請へ進みます。
- 申請書類をそろえる(事業者。事業計画承認申請書と、募集要領の添付書類の一覧にある書類)
- 県に出す(事業者→環境部ゼロカーボン推進課 再生可能エネルギー係。11月6日(金)必着。書面か電子データ。押印は不要)
- 認定の結果を受け取る(県→事業者。11月下旬〜12月上旬に通知。応募件数で変わる)
- 交付申請書を出す(認定を受けた事業者→県。12月上旬〜12月中旬)
- 交付決定を受けて、事業に着手する(12月下旬ごろ。原則、令和8年度内に完了)
- 完了後に実績報告を出す(完了から30日後か、3月15日のどちらか早い日まで)
募集期間が終わると、書類は受け付けてもらえません。第2号は、調査・設計・工事の業務ごとに別々に承認を申請します。
必要な書類
準備できた 0 / 11
融資の協議資料は、金融機関から借り入れて資金を調達する場合に出します。事業ごとに、必要な書類が違います。図面は第1号から第3号まで、FIT等の認定書類と土地の書類は第2号と第3号で必要です。定款、決算書類、納税証明書、登記簿謄本は民間事業者に必要で、市町村は添付が不要です。第4号は地域協議会の規約と名簿を出します。このほか募集要領には、県の温暖化対策条例で出した事業活動温暖化対策計画(民間事業者)と、地方公共団体実行計画の策定状況の資料(市町村)も載っています。
FIT認定の申請前、または売電契約の前であれば、その理由と見込みを任意の書式で説明します。FITの認定を受けない場合は、売電先・単価・期間・毎年度の売電量を示す計画書も要ります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に着手した:原則として補助金は受けられません。やむを得ない事由があるときだけ、あらかじめ「交付決定前事業着手届出書」を出します。
- 認定を受けずに事業を行うと決めた:FIT等の認定を前提にした計画が変わると、補助金を返す場合があります。
- 承認を受けずに内容を変えた:経費の配分や事業内容を変えるときは変更の承認が要ります。ただし軽微な変更は除きます。
- 補助金の目的に反して財産を使った:設備を目的外に使ったり、譲渡したりするときは事前の承認が必要です。承認の際に、補助金相当額を上限とする納付金が条件になることがあります。
- 納付額の報告を怠った:第2号と第3号では売電状況を毎年度4月15日までに報告します。
併用・成果の公表・消費税
国や他の機関から補助金を受ける事業は対象外です。受けようとする事業も含まれます。併用はできません。
事業の成果は実績報告のときに「事業総括書」にまとめます。県はこの総括書を公表するため、公表への承諾が条件です。
消費税の扱いも確認が必要です。原則として、消費税額は補助対象経費から除いて申請します。消費税額を含めて補助を受けた場合は、事業が終わったあとに仕入控除税額が確定したら報告します。そのうえで全部または一部を返すことがあります。
よくある質問
2次募集の受付期間はいつからいつまでですか?
令和8年10月6日(火)から11月6日(金)までです。11月6日は必着で、募集期間が終わった後は書類を受け付けてもらえません。県への提出は書面か電子データで、環境部ゼロカーボン推進課の再生可能エネルギー係に出します。押印は不要です。提出するのは交付申請書ではなく、事業計画承認申請書と添付書類です。
個人事業主は申請できますか?
第2号と第3号の民間事業者は、県内に主たる事務所を置く中小企業者のうち、法人のものが対象です。個人事業主はこの二つの事業では申請できません。第1号の熱利用の調査は募集要領に「法人のみ」という限定がありません。ただし個人事業主が当たるとも書かれていないため、申請する前に、ゼロカーボン推進課に確かめてください。
太陽光発電は補助の対象ですか?
第2号は太陽光発電によるものを除く発電事業が対象です。太陽光は第3号の条件に合うものだけが対象になります。市町村が定めた促進区域の中で、市町村の認定を受けた事業に限ります。区域の外に設置する太陽光はこの補助金の対象外です。促進区域かどうかは設置場所の市町村に確かめてください。
自家消費型の発電は対象になりますか?
原則として対象になりません。第2号の工事と第3号は発電した電気を全量売電する事業が条件です。発電設備で使う電気に充てる分は例外ですが、平時に自家消費する計画は認められません。工場の電気を賄うための太陽光や小水力はこの補助金の対象になりません。計画の考え方に迷うときは申請の前に県へ相談してください。
収益納付とは何ですか?いくら納めるのですか?
第2号と第3号の補助金を受けた事業者が、売電収入の一部を県に納める仕組みです。納める総額は受けた補助金と同じ額です。初めて売電収入を得た年度の翌々年度から始まり、毎年度5月31日までに納めます。調査と設計は10年間、毎年10%です。工事は最長15年で、融資の返済方式で率が変わります。毎年度の納付額は前年度の売電収入が上限です。
融資は必ず受けないといけませんか?
発電設備の設置工事(第2号(3))と、促進区域内の太陽光(第3号)は地域金融機関等の融資を受けて行う事業であることが要件です。地域金融機関等とは県内に本店がある地方銀行、信用組合、信用金庫、農業協同組合などを指します。調査や設計、熱利用の調査にはこの要件がありません。融資の協議状況を示す資料を、申請書類に添えます。
FIT認定は、申請の時点で取っている必要がありますか?
工事は申請時に認定を受けていることが基本です。認定の申請前の段階、つまり流量調査や基本計画づくりであれば、認定を受ける前提で計画されているかを審査で確かめます。どちらの場合も事業の完了後から発電開始までの間、毎年度、進捗状況を県に報告します。後から認定を受けずに事業を行うと決めた場合は、補助金の返還を求められることがあります。
人件費は補助の対象になりますか?
自社で雇っている職員の人件費は対象になりません。ただし本事業のために新たに臨時で人を雇う場合や、有給で雇われていない非営利団体のスタッフが調査などを行う場合はその経費を賃金として支出できます。ほかに用地の取得や賃借の費用、補償の費用、食糧費、損失補填の経費も対象外です。
国の補助金と一緒に使えますか?
使えません。国やその他の機関から補助金や負担金の交付を受ける事業、受けようとする事業は補助の対象外です。同じ県の別の補助金である「エネルギー自立地域創出支援事業」は、市町村がエネルギー自立地域づくり計画の対象として受けるものです。この補助の上乗せ額とその補助金の額を足して、1億円が上限になります。併用を考えるときは担当課に確かめてください。
交付決定の前に工事を始めてもよいですか?
原則として始めてはいけません。交付決定の前に事業に着手すると、補助金を受けられないためです。例外は事業計画の認定を受けたあとで、やむを得ない事由により着手する必要があるときだけです。そのときもあらかじめ交付決定前事業着手届出書を県に出します。2次募集では交付決定は12月下旬ごろが予定です。
年度をまたぐ事業も申請できますか?
原則として令和8年度内に完了する事業が対象です。年度をまたぐ計画で認定を受けたいときはあらかじめ相談してください。交付決定を受けた後に年度内の完了が難しくなったときは交付決定日が属する年度の12月27日までに繰越承認申請書を出し、知事の承認を受けます。完了の遅れが見えた時点で、早めに県へ連絡しましょう。
市町村も申請できますか?
できます。市町村が対象になるのは第1号の熱利用の調査、第2号(1)の発電設備の導入可能性調査・基本計画づくり、第4号の地域協議会の運営です。第4号の協議会は市町村が主体となり、地域の再エネの普及促進を目的に活動するものが条件です。市町村が申請者のときは、定款や決算書類など民間事業者向けの添付書類が不要になります。
補助金はいつ振り込まれますか?
交付決定のあと、事業を進めて、完了後に実績報告を出します。県が書類審査や現地調査で額を確定し、補助事業者が精算払いを請求します。事業の途中でも必要と認められれば、交付決定額の範囲内で概算払いを受けられます。ただし概算払いの時期や割合は募集要領や交付要綱には書かれていません。担当課に確かめてください。
