売上が1億円を超え、次の一段として10億円が見えてきた会社ほど、建物や機械への投資は一度に大きな額になります。自己資金だけでは足りず、融資だけでも重い。そこに入るのが、長野県の中小企業成長支援補助金です。
補助率は対象経費の1/2(小規模事業者は2/3)で、上限は2,000万円。第2回公募の締切は2026年11月20日(金)の必着です。ただし応募できるのは、県の「成長志向企業宣言」の認定を受けた会社だけです。宣言の作成には支援機関(金融機関や商工会議所など)の支援方針が要るので、補助金の書類を書く前に、そちらを済ませる順番になります。
長野県 中小企業成長支援補助金の要点まとめ
正式名:中小企業成長支援補助金(売上高10億円突破支援プロジェクト)
だれが
- 申請者
- 事業者(県内中小企業)
- 対象業種
- 業種の指定なし(農業・林業・漁業が事業の中心なら対象外)
- 利用目的
- 売上拡大のための建物・機械装置・ソフトウェアへの設備投資
- 対象地域
- 長野県(県内に本社・主要拠点がある企業)
- 従業員数
- 中小企業者の範囲内(業種ごとに50〜300人以下か、資本金で判定)
いくら
- 補助上限額
- 2,000万円
- 補助率
- 1/2(小規模事業者は2/3)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月19日〜2026年11月20日
- 事業の完了
- 2027年3月31日まで
うちの会社は応募できる?
次のすべてに当てはまれば、応募できる見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 国の「100億宣言」を行った会社
- ✕ 大企業の子会社などのみなし大企業
- ✕ 事業の中心が農業・林業・漁業
売上の条件は、たとえば直近3期が1.5億円・2.1億円・2.7億円なら平均2.1億円で、対象です。0.8億円・0.9億円・1.0億円だと平均0.9億円で、対象になりません。直近期が12億円の会社は、平均が10億円未満でも除かれます。
中小企業者の範囲は、業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっています。製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下です。どちらか一方を満たせば該当します。
みなし大企業は、大企業が株式の2分の1以上を持つなど、中小企業でも対象から外れる会社のことです。企業グループで宣言するときは、グループ全社の売上を合計して判定します。
「県内」の判定では、本社の登記が県外でも、従業員の過半数が県内拠点にいる、総売上の過半数を県内拠点が出している、県内拠点が履歴事項全部証明書(会社の登記事項を証明する書類)に登記されている、のいずれかに当たれば主要拠点と見られます。ただし補助金の応募には、主要拠点が登記されていることが必須です。
いくら戻ってくる?
対象経費に補助率をかけた額が補助されます。上限は2,000万円です。
- 製造業が加工機械を入れる(機械装置費):2,400万円 × 1/2 = 1,200万円
- 食品製造が工場を増築して設備も入れる(建物費1,000万円+機械装置3,000万円):4,000万円 × 1/2 = 2,000万円(上限に到達)
- 小規模事業者が受注管理システムを入れる(ソフトウェア費):1,500万円 × 2/3 = 1,000万円
- 小規模事業者が大型の設備を入れる:3,300万円 × 2/3 = 2,200万円 → 上限の2,000万円
上限に届くのは、通常は対象経費が4,000万円以上のとき、小規模事業者は3,000万円以上のときです。小規模事業者は、交付要綱で中小企業基本法第2条第5項の小規模企業者と定められています。同法は、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者としています。区分で迷うときは、応募前に県の経営・創業支援課に確かめると確実です。
消費税は、仕入れで控除できる分(消費税等仕入控除税額)を、交付申請のときに減らす決まりです。
補助金は後払いで、支払いは事業完了後の2027年4月上旬の予定です。それまでの費用は、自己資金か融資でまかないます。
何に使える?
最初に、国の補助金との関係を確かめます。国の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の対象になりうる事業は、この補助金の対象外です。国の補助金を積極的に使ってほしい、という県の整理です。
| 取り組み | 応募できるか |
|---|---|
| 既存の技術・商品の生産を増やす(既存市場) | 基本的に応募できる |
| 既存の技術・商品を新しい市場へ出す | 革新的な開発を伴わないなど、国の補助金の要件に当たらないときだけ応募できる |
| 新しい技術・商品を既存の市場へ出す | 基本的に不可。国の補助金の対象外の人は応募できる |
| 新しい技術・商品を新しい市場へ出す | 基本的に不可。国の補助金の対象外の人は応募できる |
国の補助金の対象外になる人の例は、申請日から過去3年に、事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金の交付決定を2回受けた人です。判断に迷う場合は、県の経営・創業支援課に聞けます。
対象にならない経費から先に確かめます。
- 土地代、建物の単なる購入・賃貸
- 門・塀・広告塔・アスファルト舗装
- 減価償却資産にできない撤去・解体費用
- 船舶・航空機・車両(運送事業の売上拡大に不可欠な車両を除く)
- すでに持っている機械装置の改良・修繕・据付け・運搬
- パソコン・タブレット・スマートフォン本体
- 応募・交付申請のための計画作成費
- 自社の他事業と共有するソフトウェア(事業計画に書けば対象)
- 外注先で買う機械やシステム、販売用の量産品の加工外注
対象になるのは、次の4区分です。
- 建物費(事務所・生産施設・販売施設・倉庫などの新築・増築・改修)
- 機械装置費(専ら補助事業に使う機械装置・工具・器具の購入や製作、据付け・運搬)
- ソフトウェア費(専用ソフト・情報システムの購入・構築、クラウドの利用料)
- 外注費(加工・設計・検査などの一部を請負・委託する経費)
建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計が、対象経費全体の半分以上を占める必要があります。中古設備は、古物商許可のある2者以上から型式と年式が書かれた相見積を取ります。
県が挙げる挑戦の例は、精密加工の独自技術の開発、冷凍食品の新商品開発と販路開拓、日本酒製造から飲食・宿泊事業への展開です。
応募から受け取りまでの流れ
つまずきやすいのは、補助金の前に宣言の認定が要ることです。認定までにかかる日数は、公式ページに記載がありませんでした。
- 成長志向企業宣言書を作って届け出る(事業者→県。電子申請、直近3期の決算書を添付。支援機関の支援方針の記載を受ける)
- 県の認定を受ける(県→事業者)
- 事業計画書を作る(事業者。支援機関の助言を受ける。建物の工期の都合で先に着工するなら事前着手届を出す)
- 電子申請で応募する(事業者→県。2026年11月20日(金)必着)
- 審査会で説明する(事業者と支援機関。2026年12月9日・10日、Teamsでオンライン)
- 採択後に交付申請をして、事業を始める(事業者→県。12月上旬)
- 2027年3月31日までに発注から支払いまで終えて、実績報告を出す(事業者→県)
- 補助金額の確定を受けて、受け取る(2027年4月上旬の予定)
完了の期限には、資料の食い違いがあります。公募要領は2027年3月31日ですが、交付要綱は、実績報告を「完了から20日を経過した日か、交付決定年度の2月末日のいずれか早い日」までとし、申請書の様式も実施期間を2027年2月28日までとしています。この記事は公募要領の日付で書いていますが、余裕を持って2月末までに終える計画にして、県の経営・創業支援課に確かめてください。
審査会は、経営者(代表権のある方)が説明するのが基本です。支援機関の同席が必須です。外部のコンサルティング会社は、経営顧問の形でも同席できません。応募が多い場合は、先に書面審査で出席者を絞ることがあります。
必要な書類
準備できた 0 / 10
事業計画書は任意様式で、記載例が県のページにあります。収益計画は、補助事業が終わる決算期の翌期から3〜5年分を作ります。履歴事項全部証明書は、3か月以内に発行されたものです。見積書は、50万円以上の経費で原則2者以上から取ります。誓約書は、宣言を届け出るときに添えます。事前着手届は、先に着工が必要な事業者だけです。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 国の補助金の対象になりうる事業だった:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金で対象になりうる事業は、この補助金の対象外です。
- 第1回で採択されている:令和8年6月1日までの第1回公募で採択された事業者は、第2回に応募できません。
- 外注費が半分を超える:建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計が、経費全体の半分以上という条件を満たせません。
- 賃上げの計画が未達:基準の決算期から3決算期後に、給与支給総額か1人当たり給与支給額が年2.0%以上伸びる計画を立てます。未達で、事業者に責任がある場合は、補助金の全部または一部の返還を求められます。
- 期限までに支払いが終わらない:2027年3月31日までに、発注、納品、検収、支払いまで終える必要があります。
- 他の補助金と同じ経費にした:国や県の他の補助金を受ける経費は対象外です。
賃上げの目安と採択後の手続き
1人当たり給与が年400万円の会社が、年2.0%ずつ伸ばす計画だと、3年後は約424万円です。400万円 × 1.02 × 1.02 × 1.02 の計算です。給与の総額で見る方法もあります。従業員の解雇で伸び率を作る方法は、補助対象外の事業として明記されています。
採択された事業者は、補助事業の完了までに「長野県SDGs推進企業」の登録をします。
取得価格が1件50万円(税抜)以上の建物・機械装置・ソフトウェアは、決められた期間内に売ったり転用したりするとき、県の承認が要ります。収入が出た場合は、その一部を県に納めることもあります。補助事業が終わったあとも、5年間は成果の報告と、帳簿・書類の保管が求められます。
よくある質問
成長志向企業宣言とは何ですか?
売上10億円超をめざす計画を、県へ届け出る宣言です。事業者名、本社所在地、経営理念、10年以内の売上目標、強み・弱み・機会・脅威、今後のアクションプランなどを書き、支援機関の支援方針の記載を受けます。直近3期の決算書を添えて電子申請し、県が要件を審査して認定します。認定されると、補助金などの支援策を使えます。
支援機関とは何ですか?
宣言書の作成を支援し、補助金の事業計画書づくりにも助言する機関です。県内の金融機関、商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、長野県産業振興機構などが届出をしています。補助金の審査会にも同席が必須です。どこに頼めばよいか分からない場合は、県の経営・創業支援課に相談できます。
宣言の認定は、いつまでに受ければよいですか?
宣言の受付締切は、公式ページに記載がありませんでした。ただし補助金の応募締切は11月20日で、応募には認定が先に要ります。宣言書の作成と支援機関の記載、県の審査にかかる時間を考えると、早めに県へ届け出るほど余裕が出ます。日程は県の経営・創業支援課(026-235-7195)に確かめられます。
小規模事業者は、どう判定されますか?
交付要綱は、小規模事業者を中小企業基本法第2条第5項の小規模企業者と定めています。同法は、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者としています。補助率が2/3になるかどうかを左右するので、境目にいる会社は、応募前に県へ確かめるのが確実です。
第1回で不採択でした。第2回に応募できますか?
応募できます。応募できないのは、第1回の公募(応募期限は令和8年6月1日)で採択された事業者です。不採択だった場合は、審査基準に照らして計画を見直せます。基準には、将来の売上10億円への道筋、収益計画の売上成長率、付加価値額の増加率、競合に対する自社の強み、資金の見通しなどがあります。
対象の設備には、どんなものがありますか?
公募要領に具体的な機器名の一覧はなく、建物費・機械装置費・ソフトウェア費・外注費の4区分で示されています。機械装置と切り離せない付帯工事は機械装置費に入ります。クラウドサービスの利用料や、その付帯経費(ルーター、プロバイダ料など)も、契約書で確認できて事業期間中に使うものなら対象です。パソコン本体は対象外です。
中古の設備でも補助されますか?
補助されます。ただし、古物商の許可を持つ中古品流通事業者2者以上から、型式と年式が書かれた相見積を取る必要があります。また、すでに持っている機械装置の改良・修繕・据付けは対象になりません。どの設備が対象になるか迷うときは、応募前に支援機関や県へ確かめてください。
建物の工事を先に始めたい場合はどうしますか?
建物の施工期間などの都合で事前着手が必要な事業者は、事前着手届を出します。交付決定より前に実施した事業は、原則として補助対象外です。ただし、性質から早く着手する必要がある経費は、事前着手届(交付要綱の様式第2号)を県へ出し、県がやむを得ないと認めれば対象になります。審査会は12月9日・10日で、交付決定は12月上旬以降のため、認められない場合は、そのあとに始めるのが通常の順番です。届出の期限は資料に記載がありません。県の経営・創業支援課に早めに確かめてください。また、届出の様式には、交付決定とならなくても異議を申し立てない旨が入っています。
審査では何を見られますか?
経営力、競争優位性、実現可能性、加点の4分野です。加点は、県が策定した「地域産業クラスター計画」か「地場産業成長プラン」に当たる事業のときに付きます。将来の売上10億円へのビジョン、宣言のアクションプランとの紐づけ、収益計画の売上高成長率と付加価値額の増加率、競合分析にもとづく優位性、実施体制、資金の確保、支援機関の関与が見られます。経営者自身の言葉での説明も採点されます。
付加価値額は、どう計算しますか?
営業利益、人件費、減価償却費を足した額です。この補助金の審査では、収益計画で付加価値額の増加率を出します。補助事業が終わる決算期を基準年度として、翌期から3〜5年分の計画を作ります。増加率が高い計画ほど、全応募案件の平均値との差で高く採点されます。
補助金はいつ振り込まれますか?
事業が終わって実績報告を出し、補助金額が確定したあとの後払いです。スケジュールでは、2027年3月31日までに事業を完了し、4月上旬に補助金が支払われる予定です。発注から支払いまでを自己資金か融資でまかなう必要があるため、資金計画を先に組んでおきます。
問い合わせ先はどこですか?
長野県産業労働部の経営・創業支援課 中小企業支援係です。電話は026-235-7195です。宣言の届出、支援機関の探し方、国の補助金との線引き、小規模事業者の区分などで迷ったときは、応募の前に確かめておくと、書類の出し直しを防げます。
