営業所に女性専用の更衣室を作る費用や採用向けのPR動画を撮る費用は、売上に直結しにくく後回しになりやすい出費です。
新潟県には、こうした運輸業の人材確保の取組に、費用の2分の1(上限50万円)を出す補助金があります。トラック・バス・タクシー・運転代行の事業者と、その関係団体が対象です。申請できるのは法人と関係団体で、個人事業主・個人は対象外です。同じ要綱には上限300万円の業務効率化のメニューもありますが、この記事は人材確保のほうを扱います。
運輸人材確保補助金の要点まとめ
正式名:新潟県運輸人材確保・業務効率化推進事業費補助金(人材確保)
だれが
- 申請者
- 法人または関係団体(個人事業主・個人は不可)
- 対象業種
- トラック・バス・タクシー・運転代行の事業者、関係団体
- 利用目的
- 女性・若年層の確保に向けた環境整備、運輸業のPR
- 対象地域
- 新潟県内(本社または営業所が県内)
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 50万円
- 補助率
- 対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月7日〜2026年12月28日(随時。早期終了あり)
- 事業の完了
- 2027年2月26日まで
うちは対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
運送事業者は、トラック・バス・タクシー・運転代行の4つです。トラック事業者は、一般貨物・特定貨物・貨物軽自動車の運送事業を行う者を指し、霊きゅう事業だけの事業者は除かれます。関係団体は、これらの事業者を構成員に含む団体のほか、知事が認める団体です。
自主行動宣言は、国土交通省のホワイト物流推進運動に参加する宣言のことです。県のQ&Aでは、運動の賛同企業リストに載っていれば「行っている」、参加登録だけ済んでいれば「行う見込み」として扱われます。後者は、登録時に使った様式を申請で出します。バス・タクシー・運転代行の事業者には、この要件はありません。
次のどちらかに当たると対象外です。
- ✕ 個人事業主・個人で申請する
- ✕ 暴力団やその関係者に当たる
いくら戻ってくる?
かかった費用(消費税を除く)の2分の1です。千円未満は切り捨てになります。上限の50万円に届くのは、対象経費が100万円のときです。
- 営業所に女性専用の更衣室を新設する:80万円 × 1/2 = 40万円
- 採用向けのPR動画とリーフレットを作る:30万円 × 1/2 = 15万円
- 女性専用の休憩室と託児スペースを整える:140万円 × 1/2 = 70万円 → 上限の50万円
費用はいずれも計算のための仮の数字です。国や市町村の補助金・委託費を受けた分は、対象経費から引いて計算します。
何に使える?
対象にならないものを先に挙げます。
- 老朽化などによる単なる設備の更新
- 同じ機能の設備への置き換え
- 消費税・地方消費税
- 国や自治体の補助金・委託費でまかなった分
- 採用ホームページの運用管理費
老朽化したトイレを新しくするだけの工事は対象外です。県のQ&Aでは、女性専用トイレの新設のように、従業員の就労環境がよくなると認められる場合に限って対象にする、と説明しています。
対象になるものは次のとおりです。
- 設備導入費(女性専用の休憩室・トイレ・更衣室、託児スペースの設置など)
- 広告宣伝費(運輸業の魅力を伝えるPR動画など)
- 印刷製本費(啓発用リーフレットなど)
- 会場使用料(関係者の理解を深めるセミナーなど)
- 委託費(PR動画やリーフレットの制作、セミナーの開催など)
補助の対象になる事業は、県内で行う次のいずれかです。
- 若年層・女性など多様な人材の確保と活躍に役立つ、環境整備の取組
- 運輸業の魅力を高め、関係者の理解を深める取組(ドライバーの時間外労働に上限が設けられたことで生じる、いわゆる2024年問題への対応)
- そのほか、知事が必要と認める取組
県のチラシは、事業の例として、女性専用の休憩室・更衣室・トイレの整備、託児スペースの設置、啓発用リーフレットの作成、車両外観の整備(ラッピング等)、セミナーの開催を挙げています。
冷蔵庫・電子レンジ・エアコンの購入や設置も、就労環境の改善に役立つと認められれば対象です。採用向けホームページは、作成費が対象で、運用管理費は対象外です。
発注したあとでも間に合う?
募集要領には、交付決定前に既に実施されている事業でも、知事は補助対象にできると書かれています。県のQ&Aは、対象になる期間を「注文書の日付が令和8年4月1日以降で、事業完了日(支払いか納品の遅いほう)が令和9年2月26日まで」と説明しています。
注文書の日付が令和8年4月1日以降なら、交付決定の前に動いた取組も対象にできることになります。すでに業者へ発注した分がある場合は、諦める前に事前相談で扱いを聞くという手があります。対象にするかどうかは知事が決めます。
申請の流れ
- 事前相談をする(事業者→県 交通政策課 地域交通班。申請の前に)
- 交付申請書と添付書類を出す(事業者→県。令和8年12月28日まで。原則データで提出)
- 交付決定を待つ(県→事業者。申請から2〜3週間程度)
- 事業を実施する(事業者。令和9年2月26日までに完了)
- 実績報告を出す(事業者→県。令和9年2月26日まで)
- 確定通知を受けて、補助金を請求する(事業者→県)
支払いは、事業が終わって金額が確定したあとに払う精算払いが原則です。必要と認められた場合は、概算払いもあります。
必要な書類
準備できた 0 / 11
決算書は、直近1期分です。履歴事項全部証明書は、発行から3か月以内のものを出します。共同事業者がいる場合は、このほかに共同事業の概要が要ります。自主行動宣言の写しは、トラック事業者に求められる要件に対応する書類です。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 個人事業主として申請した:募集要領に「個人事業主及び個人を除く」とあります。
- 老朽化した設備を置き換えただけ:単なる更新や、同じ機能の設備への置き換えは対象経費から除かれます。
- 4月1日より前に注文した:対象期間は、注文書の日付が令和8年4月1日以降のものです。
- 期限までに終わらなかった:事業完了は令和9年2月26日までです。遅れそうなときは、要綱が速やかな報告と県の指示を求めています。
- 予算がなくなった:採択状況と予算の執行状況によっては、告知なく募集を終えることがあります。
よくある質問
個人事業主のトラック運転手でも申請できますか?
できません。募集要領と交付要綱の注に「個人事業主及び個人を除く」と書かれています。対象は法人の事業者と、その事業者を構成員に含む関係団体などです。個人事業主のまま自分の経費で申請する形は認められていないため、ほかに使える形があるかどうかは、申請の前に県の交通政策課へ確かめてください。
ホワイト物流の自主行動宣言をしていないと申請できませんか?
宣言が求められるのはトラック事業者と荷主事業者で、バス・タクシー・運転代行の事業者には適用されません。トラック事業者は、運動の賛同企業リストに載っている「行っている」状態か、参加登録だけ済ませた「行う見込み」の状態であれば足ります。後者の場合は、参加登録時に使った自主行動宣言の様式を申請書類に添えます。
すでに注文した設備や委託した動画制作も対象になりますか?
注文書の日付が令和8年4月1日以降で、事業の完了が令和9年2月26日までなら、対象期間に入ります。募集要領には、交付決定前に既に実施されている事業でも知事は補助対象にできると書かれています。対象にするかどうかは知事が判断するので、申請の前に事前相談で、発注済みの内容と日付を伝えて確かめてください。
トイレや更衣室の改修は対象になりますか?
女性専用トイレの新設など、従業員の就労環境がよくなると認められる場合に限り、対象になります。老朽化などによる単なる設備の更新は対象外です。更衣室や休憩室も同じ考え方で、女性や若い人が働きやすくなる環境整備として説明できるかが分かれ目になります。迷う工事は、見積書を取る前に県へ相談しておくと安心です。
エアコンや冷蔵庫、電子レンジの購入は対象になりますか?
家電の購入やエアコンの設置は、従業員の就労環境の改善に役立つと認められる場合に限り、補助の対象になります。たとえば、女性専用の休憩室に置く冷蔵庫や電子レンジのように、人材確保の取組と結びつけて説明できるものが目安です。営業所全体の設備を新しくするだけでは、老朽化による更新と見られるおそれがあります。
採用向けのホームページを作る費用は対象になりますか?
人材募集のためのホームページの作成費用は、対象になります。ただし、公開後の運用管理費は対象外です。サーバー代や更新の作業代のように、毎月かかる費用は含まれません。見積書を取るときは、制作費と運用管理費を分けて書いてもらうと、対象になる金額を示しやすくなります。
国や市町村の別の補助金と併用できますか?
併用できます。ただし、国や地方公共団体の補助金・委託費などを除いた額が補助対象経費になります。同じ費用に別の補助金が出る場合、その分は引いて計算するということです。併用を考えているときは、他の補助金の申請書にも同じ費用を載せることになるため、申請の前に双方の窓口へ伝えておくと手戻りを防げます。
消費税は補助されますか?
消費税と地方消費税は、補助対象経費から除かれます。また、消費税の申告で仕入れにかかる消費税を控除できる事業者は、その控除分を減らして申請する決まりです。申請の時点でその額が分からない場合は、金額が確定するときに減らされます。事業の完了後に確定したときは、県へ報告し、返還を求められることがあります。
業務効率化のメニューと一緒に申請できますか?
同じ要綱の中に、上限300万円の業務効率化と、上限50万円の人材確保の2つの事業区分があり、補助対象者や経費は別に定められています。両方を同時に申請できるかどうかは、公式ページと募集要領には書かれていません。両方の取組を考えている場合は、事前相談のときに、あわせて計画していることを県へ伝えてください。
申請はいつまでで、事業はいつまでに終えればいいですか?
申請は令和8年4月7日から12月28日まで随時受け付けています。ただし、採択状況や予算の執行状況によっては、告知なく募集を終えることがあります。事業は、令和9年2月26日までに完了して、実績報告も同じ日までに出します。交付決定まで2〜3週間かかるので、年末ぎりぎりの申請は、事業の期間が短くなる点に気をつけてください。
補助金はいつ払われますか?
事業が終わって実績報告を出し、県から金額の確定通知が届いたあとに、請求して支払いを受けます。つまり、工事や制作の費用は、いったん自社で立て替えて支払う形です。支払いは精算払いが原則で、必要と県が認めた場合に限り、概算払いもあります。資金繰りが厳しいときは、事前相談で払い方についても聞いておけます。
令和7年度から変わった点はありますか?
県の令和8年度のQ&Aには、令和7年度の制度との違いについて「特段ございません」と書かれています。補助率2分の1以内、人材確保の上限50万円という枠組みは、要綱の別表に定められています。令和6年度と令和7年度の採択事業の一覧(一部抜粋)は、県のページに公開されているので、申請の内容を考える材料になります。
相談や提出の窓口はどこですか?
新潟県交通政策局 交通政策課 地域交通班(電話 025-280-5109)です。申請の前に事前相談をすることが、手順に入っています。申請書類は、原則データで、同じ担当あてのメールで提出します。対象になるかどうか、発注済みの扱い、書類の書き方で迷ったときは、申請書を出す前に問い合わせておくと、出し直しを防げます。
