特許や商標を海外で取得しても、それだけでは終わりません。実際に模倣品が出回っていないか、権利が侵害されていないかを取ったあとも確認し続ける必要があります。東京都の「外国侵害調査費用助成事業」は、この事後対応にかかる費用を助成する制度です。出願費用の助成とは目的が違う点に注意してください。
外国侵害調査費用助成事業の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主・中小企業団体等) |
| 制度名 | 外国侵害調査費用助成事業 |
| 対象業種 | 指定なし(海外での模倣品・権利侵害への対策を行う都内中小企業者) |
| 利用目的 | 知的財産(海外での模倣品調査・侵害対策費用) |
| 対象地域 | 東京都内(都内で事業を営んでいること) |
| 従業員数 | 中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者に該当する規模(業種ごとに資本金・従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば該当。詳細は公社へお問い合わせください) |
| 補助上限額 | 200万円(1年度1社1案件) |
| 補助率 | 2分の1以内 |
| 申請受付 | 随時受付、最終締切は令和8年10月1日(木)17時 |
| 公式サイト | 東京都中小企業振興公社「外国侵害調査費用助成事業」 |

対象は「調査」「鑑定」「警告」「税関差止め」の4費用
助成対象になる経費は次の4つです。
- 侵害調査費用(模倣品が実際に出回っているかを調べる費用)
- 侵害品の鑑定費用(見つかった商品が本当に権利を侵害しているかを専門家が判定する費用)
- 侵害先への警告費用(相手方に権利侵害をやめるよう通知する費用)
- 税関での輸入差止費用(模倣品が日本国内に入ってくるのを税関で止めてもらう手続きの費用)
出願・登録の助成とは違い、権利を取得したあとに実際に発生したトラブルへの対応費用が対象です。海外で自社製品の模倣品を見つけたら、まず調査から着手し、証拠を固めたうえで警告や税関対応に進む、という一連の流れをカバーしています。
上限200万円は知財系助成の中でも高め。訴訟前段階の費用が対象
助成率は2分の1以内、上限額は200万円です。同じ公社が実施する海外出願系の助成(意匠・商標が上限60万円)と比べると、上限額は高めに設定されています。侵害調査や鑑定には専門家の費用がかかりやすく、訴訟に発展する前の段階でまとまった支出が必要になることを踏まえた金額と考えられます。ただし訴訟そのものの費用(弁護士費用等)が助成対象に含まれるかは案内文からは読み取れないため、想定している対応の範囲を公社に事前確認しておくとよいでしょう。
「1年度1社1案件」。複数の模倣品を同時に見つけた場合は優先順位が必要
出願系の助成と同様に、この制度も「1年度1社1案件」が原則です。海外で複数の模倣品を同時に見つけた場合でも、今年度分として申請できるのは1件になります。被害の大きさや証拠の集めやすさなどを踏まえて、どの案件を優先するか判断する必要があります。
よくある質問
模倣品を見つけたら、まず何をすればよいですか?
制度の対象経費の並びに沿うなら、まず調査で事実確認し、必要に応じて鑑定で侵害の有無を判定してから警告に進む、という流れが想定されています。実際の対応順序は代理人(弁理士等)に相談してください。
国内での模倣品対策も対象になりますか?
この制度名のとおり、対象は海外での侵害調査・警告・輸入差止めです。国内の模倣品対策については、別の相談窓口・制度の有無を公社に確認してください。
訴訟費用(弁護士費用)も助成対象になりますか?
公開されている案内文には、調査・鑑定・警告・税関差止めの4費用が明記されていますが、訴訟そのものの費用が含まれるかは案内文だけでは判断できません。想定している対応内容を公社に事前確認することをおすすめします。
