東京都内の中小企業が女性活躍で受け取れる奨励金は2種類あります。20万円の情報公開促進奨励金と、最大180万円の職場環境改善奨励金です。どちらを使えるかは、従業員数と、国のデータベースで公表したことがあるかで決まります。
運営は公益財団法人東京しごと財団です。自社がどちらに当たるかを先に決めてから、要件と順番を確かめてください。
女性の活躍推進に向けた職場環境改善プロジェクトの要点まとめ
正式名:令和8年度 女性の活躍推進に向けた職場環境改善プロジェクト
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 公式ページに記載なし(風俗営業などは対象外)
- 利用目的
- 女性の登用・行動計画の策定・賃金差異の公表
- 対象地域
- 東京都
- 従業員数
- 常時雇用300人以下(20万円側は100人以下)
いくら
- 補助上限額
- 180万円
- 補助率
- 定額(取組ごとに金額が決まっています)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年6月15日〜2027年3月31日(月ごと全10回)
- 事業の完了
- 支給決定後の実施期間内(回ごとに異なります)
どちらの奨励金を使うのか
先にまとめます。2つは中身も金額も別物です。
| 女性活躍情報公開促進奨励金 | 職場環境改善奨励金 | |
|---|---|---|
| 金額 | 20万円 | 最大180万円 |
| 従業員数 | 申請から実績報告まで常時雇用100人以下 | 申請日時点で常時雇用300人以下 |
| 前提 | 国のデータベースで賃金差異などを公表したことがない | 公表済みでも申請可(行動計画の変更が要る) |
| やること | 現状分析、行動計画、届出、公表、専門家支援1回、幹部研修 | 女性の登用などの取組、行動計画、全従業員向け研修、専門家派遣2回 |
| 実施期間 | 支給決定後3か月 | 支給決定後6か月 |
「公表したことがない」の公表先は、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」です。女性活躍推進法にもとづく行動計画や、男女の賃金差異などを載せる国のサイトを指します。
100人以下で、まだ公表していない会社は両方を使えます。順番は決まっていて、20万円側を先に申請し、奨励金額が確定してから180万円側を申請します。同時には出せません。
101人から300人の会社と、すでに公表している会社は、180万円側だけです。公表済みの会社は、実施期間のなかで行動計画に取組を書き足し、労働局に変更届を出します。
180万円側だけを細かく知りたいときは、女性の職場環境改善奨励金の申請のコツもご覧ください。
うちの会社は対象になる?
どちらの奨励金にも共通する条件です。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 女性割合が全区分で4割以上
- ✕ 従業員が301人以上
- ✕ 同じ取組で国や都の奨励金を受給
20万円側だけは、申請から実績報告まで100人以下が条件です。女性割合の見方にも注意してください。労働者全体、係長職、管理職、役員のうち、どれか1つでも4割未満なら要件を満たします。全部が4割未満である必要はありません。就業規則の届出は、常時雇用が10人未満なら不要です。
管理職や係長職は、役職名ではなく仕事の中身で判断されます。「マネージャー」でも課長級の権限があれば管理職です。
いくら受け取れる?
20万円側は、決められた取組をすべて実施すると20万円です。取組の数による増減はありません。
180万円側は、取組ごとの積み上げです。
| 取組 | 金額 |
|---|---|
| A 女性役員を増やす | 30万円 |
| B 女性管理職を増やす | 30万円 |
| C 女性係長職を増やす | 30万円 |
| D 非正規でも就ける役職を新設 | 30万円 |
| E 非正規従業員の退職金制度を導入(加算) | 10万円 |
| F 女性の育成計画と研修(加算) | 1人10万円(5人まで) |
AからDのうち1つ以上が必須です。EとFだけを選ぶことはできません。FはB・C・Dの対象になる女性が対象です。AからDは、取組ごとに対象の人が別の人でなければなりません。
- 女性の管理職を1人登用する(B):30万円
- 管理職1人と係長職1人を登用する(B+C):30万円 × 2 = 60万円
- 管理職1人・係長職1人を登用し、2人に育成計画と研修をつける(B+C+F):60万円 + 10万円 × 2人 = 80万円
- AからDをすべて実施し、Eを導入し、Fを5人に行う:30万円 × 4 + 10万円 + 10万円 × 5人 = 180万円
審査で、支給決定額より低い額で確定することがあります。支給決定額が最終額とは限りません。
どの取組なら受け取れる?
対象にならないものを先に挙げます。
- 実施期間より前に終えている取組
- 実績報告の時点で、女性の人数が増えていない登用
- EとFだけの申請
- 支給決定後でなく、申請前や決定前に始めた取組
対象になるものは、支給決定後の実施期間に新たに行う次の取組です。
- 女性役員・管理職・係長職を1人以上増やす(180万円側のA〜C。女性役員は、その会社を主な勤務先にして週3日以上、業務に専念している人に限ります)
- 非正規従業員でも就ける役職を新設し、女性の非正規従業員を就任させる(D)
- 行動計画を労働局に届け出て、女性割合や男女の賃金差異を国のデータベースで公表する
- 全従業員向けの研修を行う
- 社会保険労務士などの専門家の指導を受ける(20万円側は1回、180万円側は2回)
女性が「増える」ことが条件なので、新規採用で増えた場合も対象です。ただし、増やす対象にする区分で、申請日時点の女性割合が4割未満でなければなりません。
非正規従業員の退職金制度(E)だけは、区分ごとの女性割合を問いません。非正規全体の処遇改善が目的だからです。
申請の流れ
- GビズIDプライムを取る(事業者→国。審査があるので早めに)
- 申請回を選ぶ(事業者。月ごとに受付があり、1回の定員は100社)
- Jグランツで支給申請する(事業者→財団。申請月の末日まで)
- 支給決定を待つ(財団→事業者。決定の前に取組を始めない)
- 実施期間に取組を行い、専門家の支援を受ける(事業者)
- 実績報告を出す(事業者→財団。回ごとの期限まで)
- 額が確定したら、Jグランツで請求する(事業者→財団。確定の通知から概ね1か月以内)
申請も報告もJグランツだけです。持参や郵送は受け付けられていません。社労士や行政書士による代理申請もできません。
回ごとの日程は次のとおりです。申請した回の実施期間を外れると受け取れません。
| 回 | 申請期間 | 20万円側の実施期間 | 180万円側の実施期間 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 2026年6月15日〜30日 | 2026年8月1日〜10月31日 | 2026年8月1日〜2027年1月31日 |
| 第2回 | 2026年7月1日〜31日 | 2026年9月1日〜11月30日 | 2026年9月1日〜2027年2月28日 |
| 第3回 | 2026年8月1日〜31日 | 2026年10月1日〜12月31日 | 2026年10月1日〜2027年3月31日 |
| 第4回 | 2026年9月1日〜30日 | 2026年11月1日〜2027年1月31日 | 2026年11月1日〜2027年4月30日 |
| 第5回 | 2026年10月1日〜31日 | 2026年12月1日〜2027年2月28日 | 2026年12月1日〜2027年5月31日 |
| 第6回 | 2026年11月1日〜30日 | 2027年1月1日〜3月31日 | 2027年1月1日〜6月30日 |
| 第7回 | 2026年12月1日〜31日 | 2027年2月1日〜4月30日 | 2027年2月1日〜7月31日 |
| 第8回 | 2027年1月1日〜31日 | 2027年3月1日〜5月31日 | 2027年3月1日〜8月31日 |
| 第9回 | 2027年2月1日〜28日 | 2027年4月1日〜6月30日 | 2027年4月1日〜9月30日 |
| 第10回 | 2027年3月1日〜31日 | 2027年5月1日〜7月31日 | 2027年5月1日〜10月31日 |
専門家の支援・派遣は、土日祝日と2026年12月29日〜2027年1月3日を除く平日です。
20万円側と180万円側を両方使うなら、先に20万円側の額が確定していなければ180万円側は申請できません。回の組み合わせは、事務局に確かめるのが確実です。募集要項に、どの回同士を組み合わせられるかの記載は見つかりませんでした。
必要な書類
支給申請で出す書類です。表は両方に共通するものです。
準備できた 0 / 9
事業所一覧の様式は、180万円側が様式第1号別紙3、20万円側が別紙1です。180万円側の支給申請書には別紙1と別紙2も付きます。納税証明書は、法人都民税と法人事業税のもので、支給申請日時点で納期が確定した直近のものです。個人事業主は、個人都民税(区市町村で発行)と個人事業税のものを出します。
20万円側だけ、労働者・係長職・管理職・役員のどれかで女性が4割未満と分かる男女別一覧が要ります。
180万円側だけ、選んだ取組に応じた書類が要ります。女性役員(A)は役員名簿、女性管理職(B)と女性係長職(C)はその職の名簿です。D・Eは、就業規則で役職や退職金制度の有無が分からないときだけ、非正規従業員全員分の労働条件通知書を出します。行動計画は、常時雇用100人未満で、申請日時点でまだ策定していない会社だけは不要です。国のデータベースの企業ページの写しは、101人以上の会社は必須です。100人以下の会社は、申請日時点で1項目以上を公表済みの場合だけ出します。
誓約書は代表者の自署が要ります。就業規則は、労基署の受付印が押された部分も一緒に出します。履歴事項全部証明書は発行から3か月以内のものです。個人事業主は、開業届と住民票記載事項証明書を出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 期限を1つでも逃した:実施期間内に取組をしなかった、専門家を所定の回数受けなかった、実績報告を出さなかった。どれか1つでも該当すれば、その年度は支給されません。
- 別の申請回で取り組んだ:申請した回と違う回の期間に取組をしても、受け取れません。
- 取組を途中でやめた:中止届を出すと、申請の1回に数えられます。再申請はできません。
- 国や都の奨励金と重なった:同じ取組で国や都の奨励金を受給した(受給予定を含む)場合は対象外です。180万円側では、令和6年度・7年度に財団が行った旧事業の奨励金も、同じ取組なら重複になります。
勘違いしやすい点
「申請は1社1回」は、奨励金ごとの数え方です。20万円側を1回、180万円側を1回、申請できます。同じ奨励金を複数回に分けては申請できません。
取組の内容は、申請後に変えられません。変えるなら、撤回届を出してから申請し直します。撤回は支給決定の通知から14日以内なら、申請回数に数えられません。
20万円側を飛ばしても、180万円側は申請できます。順番の決まりは、両方使うときだけの話です。
国の「えるぼし」認定とは別の仕組みですが、行動計画を変えると、えるぼしの認定基準を満たさなくなる場合があります。変更の前に労働局へ相談することが募集要項に書かれています。
よくある質問
女性活躍の奨励金は、2つともまとめて申請できますか?
まとめては申請できません。両方を考えるときは、20万円の情報公開促進奨励金を先に申請して取組を終え、額が確定してから、180万円の職場環境改善奨励金を申請します。同時に2つ出すことはできません。従業員が100人を超える会社は、そもそも20万円側の対象外なので、180万円側だけになります。
従業員数は、どの時点で数えるのですか?
180万円側は、支給申請日時点で常時雇用300人以下です。20万円側は、支給申請日から実績報告日まで100人以下が条件で、途中で101人に増えると外れます。どちらも、都内で働く雇用保険の加入者が1人以上いることが前提です。常時雇用とは、期間の定めなく雇われている人と、1年以上続けて雇われている人(雇い入れ時から1年以上の見込みを含む)です。
女性が4割以上の区分がある会社は申請できませんか?
できます。労働者全体、係長職、管理職、役員のうち、1つでも女性が4割未満であれば要件を満たします。たとえば管理職が10人で女性が3人なら30%で、4割未満です。ただし、すべての区分で4割以上だと要件を満たさない可能性があります。増やす取組の対象にする区分は、4割未満でなければなりません。
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。公式の質問ページに、募集要項の支給対象事業者の要件を満たしていれば個人事業主でも問題ないと書かれています。法人の登記簿の代わりに、開業届と住民票記載事項証明書を出します。都内勤務の雇用保険の加入者が1人以上いることなど、個人でも同じ要件を見られます。
社労士に申請を頼めますか?
申請の代行はできません。Jグランツは、申請する会社の在籍者以外による手続きを受け付けておらず、社労士や行政書士も代理にはなれません。会社の担当者が自分でJグランツに入力します。専門家は、奨励金の事業のなかで受ける指導・助言の担当として派遣される仕組みで、書類の代筆とは別です。
申請に必要なGビズIDは、どれを取ればいいですか?
GビズIDのプライムアカウントです。国の審査があり、発行まで時間がかかるため、申請月の直前に慌てないよう早めに取ってください。公式サイトに取得方法の動画があります。申請日の時点でアカウントが最新の状態であることも確認が必要です。ここが古いと、申請そのものが進みません。
専門家の支援は、会社に来てもらう必要がありますか?
1回目は原則として、都内の対象事業所に専門家が訪問します。180万円側の2回目は、訪問でもオンラインでも構いません。専門家の支援・派遣は都内の事業所が対象です。2回目は、1回目をした月から3か月以上たってから受けるのが原則です。このため、180万円側は6か月の実施期間のなかで、早めに1回目を済ませておく必要があります。専門家に頼める内容は女性活躍の取組に限られ、目的外の相談は受けてもらえません。
取組は、支給決定の前に始めてもいいですか?
始めないでください。奨励金の対象は、支給決定のあとに始める取組です。決定の前に始めた取組は、実施期間内の取組とは見なされません。申請の結果は、審査のあとにJグランツから通知されます。決定の通知が届いたあと、回ごとの実施期間の初日から動くのが安全です。
研修は、誰が受ければいいのですか?
180万円側では、正規従業員と非正規従業員のすべてが対象です。行動計画にもとづく自社の取組を知らせる内容で、原則として実施期間中に全員が受け終えている必要があります。勤務時間外や休日に行うときは、時間外手当を払うか、代休・振替休日をとります。20万円側は、管理職と、総務・人事の係長職などの幹部が対象です。
申請したあと、取組を変えられますか?
原則として変えられません。変えるなら、支給申請撤回届出書を出して、財団の承認を得てから、書類をそろえて申請し直します。撤回は、支給決定の通知から14日以内に出せば、申請回数に数えられません。決定から14日を過ぎてから取組をやめる場合は、中止届になり、申請1回に数えられます。
奨励金はいつ振り込まれますか?
財団が申請を正式に受け取ってから、1か月程度で口座に振り込まれます。不備があると時間がかかります。振込の連絡はなく、振込日の問い合わせにも応じてもらえません。通帳の記帳で確認します。実績報告から額が確定するまでの日数は、確認した資料に記載がありませんでした。
受け取った奨励金は、課税されますか?
募集要項には、課税の扱いの記載がありませんでした。所得に当たるかどうかの判断は、顧問の税理士か税務署に確かめてください。帳簿類は、支給決定のあった日の属する会計年度の終了後、5年間保存する決まりです。事務局の電話番号は03-6744-6539(平日9時〜17時)です。
