この補助金が最終的に支えるのは、研修ではなく電子カルテなどの導入です。東京都は事業目的に「人材の育成を図り、もって電子カルテシステムを始めとするデジタル技術の導入を支援する」と書いています。
だから対象は、病院や医科診療所が職員に受けさせるIT・DX研修、資格取得、試験の費用です。ここで外せないのが順番で、研修やテストの申込みを交付申請より前に済ませると、その分は対象外になります。
医療DX人材育成支援事業の要点まとめ
正式名:令和8年度医療DX人材育成支援事業補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(東京都内の病院・医科診療所の開設者)
- 対象業種
- 医療業(病院・医科診療所)
- 利用目的
- IT・DX関連の研修受講、資格取得、技能認定試験の受験、代替職員の費用
- 対象地域
- 東京都
- 従業員数
- 公式ページに記載なし
いくら
- 補助上限額
- 1医療機関あたり50万円
- 補助率
- 10/10(上限は50万円)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月15日〜2026年11月30日(第3回)
- 事業の完了
- 2027年3月31日まで(支払いも含む)
提出期限は年3回で、第1回が6月30日、第2回が9月30日、第3回が11月30日(月曜・必着)です。9月30日の回は過ぎているため、今から申請するなら第3回が対象になります。
うちの医療機関は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
開設者とは、医療法の許可を受けた病院の開設者、または許可か届出をした医科診療所の開設者です。実施要綱がこう定めています。
次のどれかに当たると対象外です。特に過去にこの補助金を受けた医療機関は対象外なので、先に確かめてください。
- ✕ 国・自治体・独法・国立大学法人
- ✕ 過去にこの補助金を受けた
- ✕ 申請前に研修を申し込んだ
「受けたことがある医療機関」は交付要綱の文言です。要綱は令和7年4月1日に施行されていて、手引の目次にも令和7年度の記述が残っています。前年度に受けた医療機関が含まれるかどうかは、公式に説明がありません。該当しそうなら、申請前に事務局へ確かめてください。
最後の「進める」の条件は、実施要綱が定めています。電子カルテの導入、国の電子カルテ情報共有サービスなどへの接続、電子処方箋の導入が例に挙がります。導入済みであることまでは求めていません。ただし、どこまでで足りるかの基準は公式に書かれていません。事業計画書には今後の取組予定を書く欄があります。
いくら補助される?
かかった費用が50万円以下なら全額、超えれば50万円で頭打ちです。上限は職員1人ではなく、1医療機関あたりです。
- 研修と資格の費用が30万円:30万円 × 10/10 = 30万円
- 研修費40万円と、代替職員の賃金20万円で計60万円:上限の50万円(自己負担10万円)
- 公式の記載例(受講料20万円×2名、講座10万円、受験料5万円で計55万円):50万円(自己負担5万円)
金額は消費税を含めて書きます。経費所要額調の記載例にそう注記があります。千円未満は切り捨てです。
何に使える?
対象にならないものを先に見ます。
- 受講のための交通費
- 申込みの郵送料、申込書に貼る写真代
- 受講料・受験料の振込手数料
- 代替職員の紹介手数料
- 国や他の自治体の補助金を充てた経費
対象になるものは次の4つです。
- IT・DX関連の研修の受講料、外部講師への謝金(出張研修を含む)
- IT・DX関連の資格取得の教材費、受講料、受験料(付随する通信講座を含む)
- IT・DX関連の技能認定試験の受験料
- 上の3つで職員が不在になる間の、代替職員の給料・賃金・派遣料金
「IT・DX関連」に当たる研修や資格の一覧は、公式ページにありません。判断は東京都が行うため、迷う研修は申請前に問い合わせてください。
申請の流れ
- 研修や資格を選ぶ(医療機関→提供元。案内資料を手元に置く)
- jGrantsで交付申請する(医療機関→東京都。期限は11月30日必着)
- 申請後に、研修の申込み・受講を始める(職員。申請前の分は対象外)
- 変更があれば、先に連絡する(医療機関→東京都。経費や内容の変更、中止は承認が必要)
- 3月31日までに終えて支払う(医療機関。実績報告の期限は別途通知)
- 額の確定後に請求する(医療機関→東京都。支払いは2027年5月の予定)
交付決定の見込みは、第3回で2027年1月以降です。研修などの開始は「交付申請後」と、公式ページと手引が定めています。事業計画書に書く開始日も、申請日以後にします。交付決定まで待つ必要があるかどうかは、公式に書かれていません。決定前に払い込む場合は、事務局に確かめてください。
必要な書類
準備できた 0 / 6
代替職員の契約書は、その費用を申請するときだけ要ります。jGrantsで申請する場合、交付申請書と印鑑証明書は提出不要です。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 申請前に始めた:交付申請より前に実施した取組は、補助対象外です。申込みの日も実績報告で確かめられます。
- 年度内に終わらない:支払いまで含めて2027年3月末に完了したものが対象です。難しいときは都担当者に相談します。
- 他の補助金を充てた:国や地方公共団体の補助金を充当した経費は、対象外です。
- 不正や目的外の使用:交付決定が取り消され、返還を求められます。年10.95%の違約加算金もかかります。
併用と税金
国や地方公共団体の他の補助金を充てた経費は、対象外です。別の経費で他の制度を使えるかどうかは、公式に書かれていません。
消費税は、補助事業の完了後に申告で仕入控除税額が確定したら、報告が必要です。交付要綱によると、都はその額の全部または一部を返還させることができます。
編集部の見立てを書きます。研修は申請のあとにしか始められず、3月31日までに受講と支払いを終える必要があります。第3回の交付決定は1月以降の見込みなので、研修の日程から逆算して、早めに申請するほうが余裕が出ます。
よくある質問
歯科診療所や薬局も申請できますか?
実施要綱が実施主体とするのは、都内の病院と医科診療所の開設者です。歯科診療所や薬局を対象に含めるかどうかは、公式ページにも要綱にも書かれていません。該当しない可能性が高いと考えるのが自然ですが、断定はできません。申請を考えるなら、東京都医療DX推進事業補助金事務局(電話050-3816-2607)に先に確かめてください。
第3回より後の募集はありますか?
公式ページには、第1回から第3回までの期限が載っています。第4回の記載はありません。第3回が今年度の最後の受付と読めますが、公式にそう明記されているわけではありません。事業の進み具合で日程が変わる場合があると、手引にも書かれています。使うつもりなら、11月30日までに出すのが確実です。
研修をすでに申し込みました。対象になりますか?
交付申請より前に実施した取組は対象外です。実績報告では、申請日以降に申込みや受講を始めたことを確認できる書類を出します。手引の流れ図は、交付申請前に実施した取組を「申し込み、受講等」と並べて対象外にしています。申込み済みの研修は、受講前でも対象にならないと読めます。同じ研修を申請後にあらためて申し込めるかは、公式に書かれていません。事務局に確かめてください。
上限の50万円は、職員1人あたりですか?
1人あたりではなく、1医療機関あたりです。基準額は500千円で、対象経費の支出予定額とこの基準額を比べて、小さいほうが選定額になります。複数の職員が複数の研修を受けても、補助は合計で50万円までです。複数の施設を持つ法人は、どの単位で数えるか公式に記載がありません。
交通費や振込手数料も補助されますか?
補助されません。交付要綱は、受講のための交通費、申込みの郵送料、申込時の写真代、受講料の振込手数料を対象から外しています。資格取得と試験の受験でも同じです。代替職員の紹介手数料も対象外です。見積書を取るときは、対象外の費用が混ざっていないかを確かめておくと、あとで減額されにくくなります。
一度補助金を受けたことがあると、もう申請できませんか?
交付要綱は、この補助金の交付を受けたことがある医療機関を対象から除いています。同じ医療機関が2回受けることはできないと読めます。ただし、令和7年度に受けた場合も含むのか、別の施設を開設する法人はどうなるのかは、公式に説明がありません。思い当たるなら、申請前に事務局へ確かめてください。
補助金はいつ振り込まれますか?
事業が終わり、実績報告が審査され、額が確定してから請求する流れです。手引は、支払いを2027年5月の予定としています。つまり、研修費は先に自院で払います。補助金の入金は事業の完了と実績報告の審査のあとになるため、立て替える期間は数か月あきます。職員が個人で払った場合は、医療機関から本人への立替払いが済んだことを示す書類も要ります。
電子カルテをまだ導入していなくても申請できますか?
事業実施の条件は、デジタル化に向けた取組を進めることです。電子カルテ、国の電子カルテ情報共有サービスへの接続、電子処方箋の導入が例に挙がっています。導入済みであることは、条件に書かれていません。事業計画書には、今後の取組予定を具体的に書く欄があります。導入の予定を、時期とあわせて書いておくとよいでしょう。
公立病院や国立大学病院は対象になりますか?
対象外です。交付要綱は、国、地方公共団体、地方独立行政法人、独立行政法人、国立大学法人を補助対象者から除いています。公式ページも「民間医療機関向け補助金概要」の中に置かれています。開設者がどれに当たるか迷う場合は、事務局に確認してください。
jGrantsが使えないときはどうすればよいですか?
申請は原則としてjGrantsでのオンラインです。どうしても難しいときは、申請受付とお問い合わせを担当する事務局に相談します。この場合は、交付申請書と印鑑証明書も紙で出すことになります。令和8年度の受付と審査、問い合わせ対応は、東京都が外部事業者へ委託しています。窓口の電話は050-3816-2607です。
国や他の自治体の補助金と同じ経費に使えますか?
同じ経費には使えません。国や地方公共団体の他の補助金等を充当する経費は対象外です。たとえば、国の補助金で受講料を払った研修に、この補助金を重ねることはできません。別々の経費で他の制度を使えるか、どこまで重なると対象外になるかは、公式に書かれていません。併用を考えるなら、事務局に確かめてください。
問い合わせ先はどこですか?
手続きの質問は、東京都医療DX推進事業補助金事務局(電話050-3816-2607、tokyo-dx@saison-psp.co.jp)です。事業そのものは、東京都保健医療局 医療政策部 医療政策課 医療改革推進担当(電話03-5320-4448)が所管しています。研修が「IT・DX関連」に当たるかなど、判断が要る点は、申請前に聞いておくと出し直しを防げます。
