不動産や未上場株といった、これまで小口投資が難しかった資産を、ブロックチェーン技術で細かく分けて個人投資家に届ける——そんなデジタル証券(セキュリティトークン)の発行費用を都が補助する制度があります。令和6年度分の受付は2025年1月30日で終了していますが、令和8年度も同様の枠組みで継続実施されています。
運営は東京都産業労働局(スタートアップ・国際金融都市戦略室)。補助上限750万円(重点分野は1,000万円)、補助率は通常1/2、スタートアップは2/3という規模です。「貯蓄から投資へ」の流れを加速させる先進的な取り組みを後押しする狙いがあります。
デジタル証券(セキュリティトークン)市場拡大促進事業補助金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人。都内でデジタル証券を発行する事業者。金融商品取引法等にもとづく発行が必須) |
| 制度名 | デジタル証券(セキュリティトークン)市場拡大促進事業補助金 |
| 対象業種 | 金融業、保険業 |
| 利用目的 | デジタル証券(セキュリティトークン)発行にかかるプラットフォーム利用料・専門家相談費・システム開発費の補助(DX・IT導入) |
| 対象地域 | 東京都内 |
| 従業員数 | 規定なし(スタートアップは補助率が優遇される) |
| 補助上限額 | 750万円(重点分野該当時は1,000万円。過年度採択者は300万円) |
| 補助率 | 通常事業者1/2、スタートアップ2/3 |
| 申請受付 | 令和6年度分は終了(2024年4月30日~2025年1月30日)。令和8年度も継続実施 |
| 公式サイト | 東京都産業労働局「デジタル証券(セキュリティトークン)市場拡大促進事業補助金」 |

デジタル証券とは何か
デジタル証券(セキュリティトークン)は、ブロックチェーン技術を使って発行する有価証券です。従来の証券と比べて、より小口の単位で発行でき、発行体と投資家が直接つながりやすいという特徴があります。不動産のような大きな資産を小口に分割して、個人投資家が少額から投資できるようにする、といった活用が想定されています。
東京都はこの仕組みを通じて「貯蓄から投資へ」の流れを後押しし、東京をアジアの金融イノベーション拠点として発展させることを狙いとしていました。
補助率・上限額は3段階
この補助金の金額は、事業者の属性と取り組み内容によって細かく分かれていました。
| 区分 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 通常事業者 | 1/2 | 750万円 |
| スタートアップ | 2/3 | 750万円 |
| 重点分野該当(通常・スタートアップとも) | — | 1,000万円 |
| 過年度採択者 | — | 300万円 |
スタートアップは補助率が優遇される一方、過去にこの補助金の採択を受けたことがある事業者は、上限額が300万円まで下がる仕組みでした。一度採択された事業者が繰り返し満額の支援を受けられるわけではない点は、複数年にわたって申請を検討する場合に押さえておくべきポイントです。
「重点分野」に該当すると上限が上がる
上限額を750万円から1,000万円に引き上げるには、次の2つの重点分野のいずれかに該当する必要がありました。
- これまでセキュリティトークン化が進んでいなかった資産を対象にする取り組み、または先進的なスキームを構築し個人に新しい投資機会を提供する取り組み
- デジタル技術を活用して個人に新しい投資体験を提供する取り組み
単に「デジタル証券を発行する」だけでなく、「これまでにない資産クラス」や「新しい投資体験」を打ち出せるかどうかが、上限額を引き上げる鍵になっていました。既に他社が実施しているスキームの後追いよりも、先進性のある提案の方が有利だったと考えられます。
対象になる経費
助成対象経費は次の3種類です。
- プラットフォーム利用料(デジタル証券の発行・管理システムの利用料)
- 専門家等への相談経費
- システム開発費用
発行にかかるプラットフォーム利用料が明示的に対象に含まれている点は、この分野特有の経費構造を反映しています。デジタル証券の発行には専門的なプラットフォームの利用が前提になるため、その利用料自体を支援対象にすることで、新規参入のハードルを下げる狙いがあったと考えられます。
随時受付・予算上限に達し次第終了
この補助金も、募集期間中を通じて随時申請を受け付け、予算限度額に達した時点で受付を終了する方式でした。締切日ぎりぎりまで余裕があるとは限らないため、早めの準備が重要になります。
次に似た制度が出たときの備え方
令和6年度分は終了していますが、この制度は令和8年度も継続実施されています。次回の公募に備えて準備しておけることを整理します。
- 自社の取り組みが重点分野(未開拓資産の対象化、新しい投資体験の提供)に該当するかを整理しておく。 該当すれば上限額が750万円から1,000万円に上がります
- 自社がスタートアップに該当するかを確認しておく。 該当すれば補助率が1/2から2/3に優遇されます
- 過去にこの補助金の採択を受けたことがあるか確認しておく。 過年度採択者は上限額が300万円に下がる点を踏まえた資金計画が必要です
- プラットフォーム利用料の見積もりを早めに取得しておく。 対象経費の中心となる費用です
よくある質問
令和6年度分にはもう申請できませんか?
できません。受付は2025年1月30日で終了しています(予算限度額に達した場合はそれより早く終了)。 令和8年度も同様の枠組みで継続実施されています。
スタートアップの定義はありますか?
補助率の優遇(2/3)を受けるには「スタートアップ」に該当する必要がありますが、具体的な要件(設立年数等)は年度の募集要領で確認する必要があります。
過去に採択を受けた場合、もう申請できませんか?
申請自体はできますが、上限額が300万円に下がる扱いになります。初めて採択を受ける事業者よりも支援規模が小さくなる点に注意が必要です。
