養成講座に出れば、東京都の奨励金がもらえるのか。もらえません。奨励金が出るのは登録した「サポーター」が障害のある社員を6か月支援し、フォローアップ研修まで終えたあとです。
金額は常時雇用する労働者が300人以下の会社で24万円です。それより大きい会社と、特例子会社(障害者雇用促進法にもとづき厚生労働大臣の認定を受けた子会社)は12万円になります。奨励金は1事業所につき1年度に1回だけで、サポーターを何人置いても増えません。
職場内障害者サポーター事業の要点まとめ
正式名:職場内障害者サポーター事業(設置奨励金)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし(雇用保険の適用事業主)
- 利用目的
- 障害のある社員の職場定着を社内で支える体制づくり
- 対象地域
- 東京都(都内に本社か事業所がある事業主)
- 従業員数
- 規模の指定なし(300人以下かどうかで金額が変わる)
いくら
- 補助上限額
- 24万円
- 補助率
- 定額(事業所1か所につき1年度に1回)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月1日〜2027年3月31日(登録と奨励金は個別の期限あり)
- 事業の完了
- 6か月の支援活動が終わった日
うちの会社は対象になる?
次の7つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 7
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 支援したい人が派遣社員
- ✕ 別会社の社員を支援したい
- ✕ 国や自治体、都の政策連携団体
雇用保険の適用事業主とは雇用保険に入って労働者を雇っている事業主のことです。過去5年間に重大な法令違反がないことも条件に入っています。本社が都内でも、サポーターを置く事業所が都外だと登録できません。逆に本社が都外でも、都内の事業所に置くなら登録できます。事業所はオフィスに限りません。飲食や販売、理美容の店舗、介護施設、医療機関、工場も含まれます。
障害のある社員がまだいない会社も養成講座には申し込めます。修了後6か月以内に障害者の雇用を予定していれば足ります。ただしサポーターの登録には被支援者が確定していることが必要です。
誰がサポーターになれて、誰を支援できる?
この事業でいちばん取り違えやすいのが、人の線引きです。
| 論点 | 対象になる | 対象外 |
|---|---|---|
| サポーターになる人 | 同じ会社に雇用されている社員(正社員、契約社員、パート、同じ会社に出向している人)。障害のある社員本人も可。個人事業主や代表者、役員も、常に被支援者を支援できれば可 | 別会社の社員。所在地が同じ子会社でも同様 |
| 支援される社員の雇用形態 | 直接雇用の正社員、契約社員、パート | 派遣社員 |
| 週の所定労働時間 | 週20時間以上。重度の身体障害、重度の知的障害、精神障害のある人は週10時間以上 | それ以外で週20時間未満の人 |
| ほかの支援との重なり | 複数のサポーターが連名で登録して共同で支援 | すでに別のサポーターが支援している人。支援期間中に東京ジョブコーチの支援を受ける人 |
| 就労継続支援A型 | なし | A型事業所の利用者として雇用される人 |
障害の種類は身体、知的、精神、発達、難治性疾患、高次脳機能障害のいずれかです。手帳がなくても診断書などで確認できれば対象になる障害の種類があります。勤続年数の条件はありません。
サポーターと被支援者は同じ企業に雇用されていることが条件です。勤務地が同じ住所でも子会社と親会社のように会社が違えば申し込めません。出向や転籍で同じ企業の社員と位置づけられる場合は対象です。
いくらもらえる?
金額を決めるのは奨励金を申請する日の「常時雇用する労働者」の数です。週20時間以上働き、期間の定めがないか、1年を超えて雇用される見込みのある労働者を指します。週20時間未満のパートは数えません。
- 常時雇用する労働者が120人の運送会社が、物流センター1か所にサポーターを置く:24万円
- 常時雇用する労働者が500人の小売チェーンが、店舗1つにサポーターを置く:12万円
- 特例子会社が、従業員の人数に関わらず事業所にサポーターを置く:12万円
- 常時雇用120人の会社が、都内の2事業所でそれぞれ支援を終える:24万円 × 2事業所 = 48万円
- 同じ事業所で2人のサポーターが支援を終える:24万円(1事業所1回のまま)
2つの事業所分を受け取れるのはサポーターと被支援者がそれぞれの事業所にいて、どちらも支援を満了した場合です。社内カンパニー制や事業部制で、雇用保険の適用事業所番号が違うなど別の事業所と明らかに言える場合も、別々に数えます。
1年度は財団の事業年度の4月1日から翌年3月31日までです。申請書類が財団に受理された日が属する年度で数えます。
奨励金が出るまでの流れ
養成講座の修了から入金までには、6か月の支援に加えて、登録の手続き(2週間ほど)と、奨励金を申請したあとの審査と入金の期間がかかります。期限は短いので、日程から逆算して動くことを勧めます。養成講座は各回25名ほどの定員で、公式の新着情報には満員でキャンセル待ちになった回がたびたび載っています。
- 養成講座を受ける(事業者→運営事務局。参加費は無料。2日間または3日間で計12時間ほど)
- サポーター登録を申請する(事業者→東京しごと財団。講座の修了から原則6か月以内。Jグランツ)
- 登録通知を受け、支援を始める(財団→事業者。申請日から2週間以上あけて、遅くとも2か月以内に開始日を置く)
- 6か月間支援する(サポーター→被支援者。支援員が月1回ほど訪問。フォローアップ研修を必ず受講。4時間以上)
- 奨励金を申請する(事業者→東京しごと財団。支援が終わった日から原則1か月以内。Jグランツ)
- 入金を受ける(財団→事業者。書類を受理した月の翌月末日までのどこか1日)
Jグランツは国の電子申請システムです。使うにはGビズIDプライム(国の電子申請に共通で使うID)が要り、取得に約2〜3週間かかります。IDが取れない場合は郵送か持参でも申請できます。
登録の申請で出す書類は4つです。登録申請書、誓約書、支援計画書、設置事業所が分かる書類を用意します。支援計画書は被支援者1人につき1枚で、サポーターになる人が自分で作ります。作る前に、支援される社員本人に事業への参加を了承してもらいます。
必要な書類
奨励金を申請するときの書類です。Jグランツで申請する場合は申請書・誓約書・口座振替依頼書の内容を画面に入力します。
準備できた 0 / 8
登記事項証明書は発行から3か月以内のものです。個人事業主は開業届出書の写しと住民票の写しを出します。納税証明書は申請時点で直近の納期が来ているものです。都税の納付義務がない会社はそれが分かる書類を出します。印鑑登録証明書はJグランツ申請では不要です。障害者手帳等の写しには被支援者本人の同意欄の押印か署名が要ります。奨励金を受けた事業主は、企業名、所在地、業種、支給年度、奨励金額を公表される場合があります。関係書類は支給決定のあった年度の終了後、5年間保存します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 支援の途中で退職・異動があった:サポーターか被支援者が支援期間中に退職や異動になると、奨励金は支給されません。途中で支援を中止した場合も申請できません。
- フォローアップ研修を受けていない:支援期間中に、サポーターが研修を修了している必要があります。連名登録なら全員が修了していなければなりません。
- 勤務実績が予定の8割に届かない月がある:支援報告書では、毎月の勤務が予定の8割以上かを見ます。6か月すべてが8割以上であることが支給要件です。
- 過去に同じ人が対象になっていた:同じ企業内の支援で、サポーターか被支援者がすでに奨励金の対象になっていると申請できません。
- 申請が遅れた:支援が終わった日から原則1か月以内に出します。遅れそうなときは先に財団へ連絡します。
- 経営が行き詰まっている:申請日か支給決定日の時点で、更生手続きや再生手続きの申立てをした会社、破産の申立てをした会社、特別清算に入った会社には支給されません。更生や再生の申立てをしていても、事業を続ける見込みがあれば除かれます。
- 予算を超えた:予算の範囲を超えると、申請期間内でも受付が終わることがあります。予算の総額は公式ページに記載がありませんでした。
よく誤解されるポイント
養成講座を受ければ奨励金が出るわけではない
講座は入口です。登録、6か月の支援、研修の修了、被支援者の定着まで終えて、はじめて申請できます。
24万円はサポーターの人数では増えない
出るのは事業所ごとに1年度1回です。2人のサポーターを置いても同じ事業所なら24万円のままです。
休職や欠勤が多い月があっても、すぐ失格にはならない
被支援者が月の所定労働時間の2割を超えて休んだ場合は、支援期間を3か月を超えない範囲で延ばせます。延長するときは財団に登録変更の申請をします。
6か月支援すれば足りるわけではない
被支援者が、支援開始日から6か月以上、設置事業所に定着していることも要件です。支援を終えた時点で離職していると、申請できません。
よくある質問
障害のある社員が今はいなくても養成講座に申し込めますか?
申し込めます。養成講座の修了後6か月以内に障害者の雇用を予定していれば対象です。ただしサポーターとして登録するときは、支援計画書に被支援者を書くので、被支援者が確定していなければ登録できません。修了から6か月を過ぎて登録したい場合は、財団(03-5211-2303)に相談します。採用の見込みがあるなら、時期を見て講座の日程を選ぶのが現実的です。
養成講座だけを受けることはできますか?
養成講座は修了後にサポーター登録をして、6か月の支援活動を行える人を対象にしています。講座だけの受講は想定されていません。受講の条件は勤務地が都内であること、障害のある社員と原則として同じ事業所で働いていること、支援を十分に行えることです。参加費は無料です。受講前に、登録まで進める見通しがあるかを社内で確かめておくと安心です。
パートや契約社員でもサポーターになれますか?
なれます。直接雇用されている人なら、契約社員やパートタイム社員でもサポーターになれます。同じ会社の社員と位置づけられていれば、出向社員も可能です。障害のある社員がサポーターになって、別の障害のある社員を支援することもできます。特別な資格やスキルは要らず、講座と支援期間中の助言で必要な知識を身につけます。
派遣社員の障害のある方を支援する場合は対象ですか?
対象になりません。被支援者はサポーターを置く企業に直接雇用されている人に限ります。派遣社員は雇用主が派遣元の会社になるため、派遣先の会社が支援しても対象外です。派遣社員を直接雇用に切り替える予定があり、その後に支援を始める場合は、雇用形態の変更時期と登録の流れを財団に事前に確かめてください。
子会社の障害のある社員を、親会社の社員が支援できますか?
できません。サポーターと被支援者は同じ企業に雇用されていることが条件です。勤務地が同じ住所でも子会社と親会社のように会社が違えば申し込めません。出向や転籍でサポーターと被支援者が同一企業の社員と位置づけられる場合は対象になります。同じ会社でも事業所が別になる場合は、運営事務局(03-6734-1096)へ事前に相談してください。
週の労働時間が短い社員は被支援者にできますか?
週の所定労働時間が20時間以上で、継続して雇用される見込みがあれば対象です。重度の身体障害、重度の知的障害、精神障害のある人は、週10時間以上20時間未満でも対象になります。重度かどうかは身体障害者手帳の等級や療育手帳の区分などで判定します。手帳の等級を確認できる書類を、先に手元へそろえておくと登録の準備が進めやすくなります。
24万円と12万円は何で分かれますか?
奨励金を申請する日に、常時雇用する労働者が300人以下で、特例子会社でない会社が24万円です。300人を超える会社と特例子会社は12万円になります。常時雇用する労働者は週20時間以上の労働者を数えるので、短時間のパートは含めません。申請の直前に人数が変わる会社は申請日の人数で判定される点に注意してください。
手帳を持っていない社員も被支援者になれますか?
障害の種類によって、手帳がなくても診断書や医師の意見書などで確認できれば対象になります。精神障害は統合失調症、そううつ病、てんかんのいずれかで、症状が安定して就労できる状態であることが診断書などで分かる場合に対象です。発達障害と高次脳機能障害も診断書で確認します。奨励金の申請では手帳か診断書などの写しを出します。
登録は何人でもできますか? 1人が何人まで支援できますか?
1人のサポーターが支援する人数に制限はありませんが、公式の案内は2人程度を想定しています。複数を支援するときは被支援者ごとに支援計画書を作ります。1人の被支援者を複数のサポーターが同時に別々に支援することはできません。共同で支援したい場合は連名で登録します。いずれの場合も奨励金は事業所ごとに年度1回です。
奨励金はいつ入金されますか?
財団が奨励金の申請書類を受理した日が属する月の、翌月末日までの1日が支給日です。審査を通ると支給決定通知書がJグランツで届き、指定した口座に振り込まれます。支援が終わってから1か月以内に申請する必要があるので、入金までの資金計画は、支援終了の時期から逆算して立てます。
途中でサポーターが辞めたらどうなりますか?
すぐに運営事務局へ連絡してください。必要な書類を案内してもらえます。ただし途中で支援活動を中止した場合は、奨励金を申請できません。被支援者が退職した場合も同じです。連名登録で一部のサポーターや被支援者だけが減る場合の手続きは、財団に確認します。減員はできますが、増員や登録の分割はできません。
申請はJグランツだけですか?
Jグランツのほかに、郵送か持参でも申請できます。Jグランツを使うにはGビズIDプライムが必要で、取得に約2〜3週間かかります。IDが取れない場合は紙で申請します。サポーター登録を紙で申請した人も奨励金の申請は電子でできます。電子申請では代表者の押印や署名、印鑑登録証明書は要りません。
問い合わせ先はどこですか?
養成講座や支援活動については職場内障害者サポーター事業運営事務局(03-6734-1096、平日9時〜17時)です。サポーター登録と奨励金の申請は東京しごと財団の障害者就業支援課(03-5211-2303、平日9時〜17時で、12時〜13時は除く)に問い合わせます。申請書類を出す前に、不安な点を電話で確かめておくと差し戻しを減らせます。
