介護を理由に従業員が離職してしまうと、採用と教育にかけた投資がそのまま失われます。東京都の「介護休業取得応援奨励金」は、従業員が介護休業を取ったあとに元の職場へ戻り、そこで一定期間働き続けたことを条件に支給される奨励金です。「休業を認めるだけ」ではなく「復帰後も続けて働ける環境」まで評価する設計になっています。
介護休業取得応援奨励金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 介護休業取得応援奨励金 |
| 対象業種 | 指定なし(都内勤務の常時雇用従業員を2人以上・6か月以上継続雇用する中小企業等) |
| 利用目的 | 雇用・職場環境(介護休業取得者の原職復帰支援) |
| 対象地域 | 東京都内(都内に勤務する従業員を雇用していること) |
| 従業員数 | 300人以下 |
| 補助上限額 | 基本額27.5万円~55万円、加算を含め最大145万円 |
| 補助率 | 定額支給(休業日数・取組内容に応じた段階制) |
| 申請受付 | 事業実施期間は令和8年4月1日~令和9年3月31日。申請は原職復帰から3か月経過した翌日から2か月以内 |
| 公式サイト | 東京しごと財団「介護休業取得応援奨励金」 |

基本額は「休業日数」で決まる。15日と31日が分かれ目
基本額は、従業員が合計15日以上の介護休業を取得した場合に27.5万円、31日以上取得した場合に55万円です。休業日数がちょうど15日を少し超えるか、31日を超えるかで支給額が変わるため、従業員の介護状況に応じて、休業をどの程度の期間で計画するかが支給額に直結します。ただし休業の長さは従業員本人の事情によるものなので、企業側が意図的にコントロールする性質のものではありません。
加算は「制度」と「手当」と「周知」の3方向。最大90万円
基本額に加えて、次の取組を行うと加算されます。
- 同僚への応援評価・表彰制度の導入(30万円)
- 応援手当の支給(30万円。応援制度とあわせて実施すると50万円)
- 介護離職防止のための雇用環境整備を2つ以上実施(20万円)
- 管理職への介護休業体験の周知(20万円)
合計すると加算額は最大90万円になり、基本額55万円とあわせて最大145万円が上限です。加算の対象は「休業を取った従業員への支援」だけでなく、「休業した人を支えた同僚」や「管理職の理解」にも及んでいる点が特徴です。介護休業は本人だけでなく職場全体の協力が要る取組なので、その協力体制を評価する設計だと読み取れます。
支給要件に「令和8年4月以降の制度整備」が条件になっている点に注意
支給要件のひとつに、令和8年4月1日以降、育児・介護休業法を上回る職場環境整備制度を就業規則に整備していることがあります。休業期間の延長・回数の上乗せ・日数の上乗せ・時間単位休暇の導入などが該当します。すでに休業を取得させただけでは要件を満たさず、就業規則の整備が別途必要になる点に注意してください。
申請期限は「原職復帰から3か月後の翌日から2か月以内」。企業ごとに日付が変わる
申請期間は全社一律ではなく、対象従業員が原職復帰し、そこから3か月経過した翌日から2か月以内という個別の計算式です。復帰日を基準に自社で期限を逆算しておく必要があります。期限を過ぎると受給できなくなる可能性があるため、休業取得の時点でカレンダーに申請期限の目安を記録しておくとよいでしょう。
よくある質問
従業員が2人未満の企業は対象になりませんか?
対象外です。都内勤務の常時雇用従業員を2人以上、かつ6か月以上継続雇用している中小企業等が要件です。
介護休業ではなく介護休暇(短期の休み)を使った場合も対象ですか?
案内文では「介護休業」の取得を前提としており、短期の介護休暇とは別の制度として扱われています(正確な取扱いは東京しごと財団へお問い合わせください)。
就業規則の整備が間に合わない場合、加算だけでも受けられますか?
支給要件そのものに就業規則の整備が含まれているため、整備ができていないと基本額の受給自体が難しい可能性があります。早い段階で就業規則の見直しに着手することをおすすめします。
