業績が伸びている会社向けの助成金ではありません。直近の決算で営業利益が前の期より減ったか、営業損失が出た都内の中小企業だけが申請できます。
東京都中小企業振興公社の「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(業務改善コース)」は、今ある事業を深めたり広げたりする費用の2/3、上限600万円を助成します。令和8年度第2回(8月3日〜8月14日16時)の受付は終了しました。募集は年4回で、公式ページの予定では第3回が11月2日〜11月13日16時、第4回が令和9年2月1日〜2月12日16時です。予算の都合で予告なく変わることがあります。
創意工夫チャレンジ促進事業(業務改善コース)の要点まとめ
正式名:経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(業務改善コース)
だれが
- 申請者
- 事業者(都内の中小企業者。個人事業主を含む)
- 対象業種
- 業種の指定なし(風俗・ギャンブル業などは除く)
- 利用目的
- 既存事業の深化・発展(設備・新商品・販路開拓など)
- 対象地域
- 東京都内(本店が都内なら実施場所は7県も可)
- 従業員数
- 業種ごとに資本金か従業員数の上限あり(本文の表)
いくら
- 補助上限額
- 600万円(千円未満切捨て)
- 補助率
- 助成対象経費の2/3以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年8月3日〜2026年8月14日(第2回・終了)
- 事業の完了
- 交付決定日から最大1年間
うちの会社は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 営業利益が前期以上で黒字
- ✕ 本業と関係の薄い取組
- ✕ 法令対応や老朽設備の更新だけ
- ✕ 他コースと同時に申請している
営業利益は、本業のもうけを示す決算書の項目です。比べるのは直近の決算期と、その前の期です。直近が2025年の決算なら、2024年の決算と比べます。
資本金と従業員数の上限は業種で変わり、どちらか一方を満たせば中小企業者に当たります。中小企業者は会社と個人事業者を指すため、医療法人、社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人などは、公社のFAQで該当しないと答えています。
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業・情報通信業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業・飲食業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
募集要項では、情報通信業の一部はサービス業として扱われます。大企業が経営に参画している会社は、中小企業でも対象外です。大企業が1社で株式の1/2以上、複数で2/3以上を持つ場合や、役員の1/2以上を大企業の役員・職員が兼ねている場合が当たります。
実施場所が都内なら、本店でも支店でも登記が都内にあれば足ります。本店が都外で、都内に支店の登記がある会社も含みます。実施場所が神奈川県・埼玉県・千葉県・群馬県・栃木県・茨城県・山梨県なら、本店が都内にあることが条件です。
令和8年度の中小企業収益力強化サポート事業でハンズオン支援の決定通知を受けた方も、申請を受け付けてもらえません。
いくら戻ってくる?
対象経費の2/3が助成されます。上限は600万円で、計算は経費の区分ごとに2/3をかけ、千円未満を切り捨てます。上限の600万円に届くのは、対象経費が900万円以上のときです。
- 見積書が必要になる30万円の機械を入れる:30万円 × 2/3 = 20万円
- 対象経費がちょうど900万円になる:900万円 × 2/3 = 600万円(上限)
助成金は後払いです。交付決定を受けた時点でお金が入るわけではなく、自己資金で事業を終え、公社が実施を確かめた範囲に対して払われます。交付決定額から減ることもあります。計算例に使える具体的な設備の金額は、募集要項には載っていません。見積書の金額を2/3にかけて、自己負担を先に出しておきます。
何に使える?
先に対象にならないものを挙げます。
- 直接人件費
- パソコンなど、ほかの用途にも使える汎用品
- 中古品の購入やリース(要項が認めるものを除く)
- 単価が税抜10万円未満の機械装置・設備・システム関連の購入
- 敷金・礼金・仲介手数料・共益費・駐車場代
- 既存事業の販売促進費(新しい商品・サービスの販促だけが対象)
- 申請手続きの助言や書類作成の代行費用
次のものは対象になります。専門家指導費、販売促進費、その他経費は、これだけでの申請はできません。委託・外注費のうち市場調査費も同じです。
- 原材料・副資材費(製品改良に使い切る部材)
- 機械装置・工具器具費(製造機械、検査機器、金型、治具など)
- 委託・外注費(開発・試験・加工・分析、市場調査)
- 産業財産権出願・導入費(特許・商標などの出願、他社の権利のライセンス料)
- 規格等認証・登録費
- 設備等導入費(設備の購入と設置工事)
- システム等導入費(システム構築、ソフト、クラウド利用)
- 専門家指導費
- 不動産賃借料(取組のために新しく借りる事務所・施設)
- 販売促進費(自社Webサイト、印刷物、PR動画、広告、展示会出展)
- その他経費
販売促進費は上限150万円、その他経費は上限100万円です。
申請の流れ:何から順に動く?
- GビズIDプライムを取る(事業者→デジタル庁のGビズID。申請より前に)
- 見積書を集める(事業者→業者。税抜30万円以上は見積書、100万円以上は2社以上の相見積)
- Jグランツで電子申請する(事業者→受付期間中に。先着順ではない。出したあとの追加提出と差し替えはできない)
- 書類審査と面接審査を受ける(事業者→公社の専門家。面接は対面で最大2名)
- 交付決定を受けてから発注する(事業者→業者。助成対象期間は交付決定日から1年)
- 完了後、原則1か月以内に実績報告を出す(事業者→公社。完了検査を受けて額が確定)
GビズIDプライムの発行について、公社のページには「審査に1週間程度」と「2〜3週間」の2つの記載があります。長いほうで見て、受付開始より前に動き出すと安全です。
第2回の募集要項では、書類審査が9月から、面接審査が10月26日〜11月12日、交付決定が11月下旬の予定でした。申請から交付決定まで3か月半ほどかかる計算になるため、発注を急ぎたい設備は、この期間の資金繰りも織り込んで考えます。
必要な書類
準備できた 0 / 11
履歴事項全部証明書、法人事業税・法人都民税の納税証明書は法人向けです。個人事業主は、開業届、代表者の個人事業税・住民税の納税証明書、確定申告書(第一表と収支内訳書か青色申告決算書)を出します。履歴事項全部証明書は発行後3か月以内のものに限ります。
決算書と確定申告書は、直近決算期と前期の最大2期分が要ります。非課税の方は、所得税納税証明書(その1)や住民税非課税証明書に替わります。設備の購入があるときは、設置場所のわかる図面も出します。展示会に出るなら、主催者が出した出展要項も要ります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定を受ける前の発注・契約は、助成の対象になりません。
- 助成対象期間の外で支払った:クレジットカードの引落日が期間を過ぎる、分割払いが終わらない、といった場合は対象外です。
- 帳票や写真がそろわない:見積書、契約書、納品書、請求書、振込控、領収書のどれかが欠けると、その経費は対象外です。
- 関連会社と取引した:親会社・子会社・顧問契約をしている会社との取引や、他の取引との相殺は対象になりません。
- 要件が後から外れた:交付決定のあとでも、申請要件に当たらない事実が見つかれば決定が取り消され、違約加算金と延滞金つきで返還になります。
- 審査で通らなかった:対象の取組でも、書類審査と面接審査で一定の水準に届かなければ不採択です。
交付決定の前に発注・契約した経費は対象外です。見積書を取るのは決定前でも構いませんが、契約は決定通知のあとにします。
次の募集と、ほかのコースとの関係
募集は年4回です。第3回は令和8年11月2日〜11月13日16時、第4回は令和9年2月1日〜2月12日16時の予定です。不採択になった場合は、次回以降の募集で申請し直せます。一方で、交付決定を受けられるのは1事業者につき1度だけです。
同じ事業の「賃上げ重点コース」「新市場・新分野進出コース」と重複して申請すると、受け付けてもらえません。3つのコースの併願はできません。賃上げ重点コースは、賃金引上げ計画を作る会社向けで、助成率は3/4(小規模企業は4/5)、上限は600万円です。新市場・新分野進出コースは、新製品や新サービスで新しい市場へ入る取組が対象で、上限は1,000万円です。業務改善コースの助成率は2/3です。
同じテーマ・内容で、公社・国・都道府県・区市町村などから助成を受けている場合も、対象外です。
よくある質問
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。対象者は都内で事業を行う中小企業者で、募集要項は個人事業主を含むと書いています。納税地が都内にあることが条件です。法人と違って、履歴事項全部証明書は要りません。代わりに開業届、代表者の個人事業税と住民税の納税証明書、確定申告書(第一表と収支内訳書か青色申告決算書)を出します。営業利益の減少は、申請様式に書く利益と対応する期の書類で示します。
本社が東京都外にあっても申請できますか?
本店が都外でも、都内に支店の登記があり、取組の実施場所も都内なら申請できます。公社のFAQも、都外に法人登記して都内に事業所がある場合は、支店の登記が都内にあれば申込できると答えています。実施場所が神奈川県・埼玉県・千葉県・群馬県・栃木県・茨城県・山梨県にある場合は、本店が都内にあることが必要です。この7県以外の場所での取組は、要項に載っていません。個人事業者は、納税地が都内にあることが条件です。
営業利益が前期より増えていたら申請できませんか?
営業利益が前期と比べて減っているか、直近の決算期に営業損失が出ていることが要件です。増益で黒字の会社は対象になりません。比べるのは申請受付開始日の時点で直近の決算期と、その前の期です。決算期の取り違えで要件を外れる会社も出るため、申請様式に書く営業利益と、添付する決算書の期がそろっているかを確かめます。
助成金はいつ振り込まれますか?
後払いです。交付決定のあとに自己資金で事業を行い、終わってから原則1か月以内に実績報告を出します。公社の完了検査を経て額が確定し、その確定は検査から1か月程度。請求を出すと、支払いはさらに1か月程度とされています。完了検査では、アドバイザーの派遣も必須です。助成の事業期間中は、経費を立て替える資金が必要です。
交付決定の前に契約してしまったら、対象になりませんか?
交付決定を受ける前に発注・契約した経費は、対象になりません。見積書の取得は決定前でも問題ありません。発注が遅れて納品が助成対象期間を過ぎた場合も、対象外です。設備の納期が長いときは、交付決定から1年の期間に収まるかどうかも、見積の段階で業者と詰めておきます。
賃上げ重点コースとは同時に申請できますか?
同時に申請すると、受け付けてもらえません。賃上げ重点コースと新市場・新分野進出コースでは、交付決定を1度でも受けているか、申請中であることも、この業務改善コースの申請要件を外れる理由になります。コースを選ぶときは、自社の取組が「既存事業の深化・発展」で、賃上げの計画を伴わないかを基準に考えると整理しやすくなります。
一度採択されたら、もう一度申請できますか?
交付決定を受けられるのは、1事業者につき1度だけです。ただし、申請が不採択だった場合は、次回以降の募集で再び申請できます。1度の交付決定の中で、複数の設備や取組をまとめて計画に入れておく考え方が必要です。後から別の設備を足すには、公社の承認を得た変更が要ります。
パソコンやタブレットは対象になりますか?
テレビやパソコン、文書作成・表計算ソフトのように、ほかの用途にも使える汎用品は対象外です。システム導入にともなって買うパソコンも対象になりません。対象になるのは、取組のために使う機械装置・工具器具や、システム・ソフト・クラウドなどです。単価が税抜10万円未満の機械装置や設備も対象外なので、見積書の単価を確かめます。
クレジットカードで支払ってもいいですか?
支払いは、事業者名義の口座からの振込が原則です。振込が難しい場合に限り、法人は法人カード、個人は代表者個人のカードでの決済を認めています。助成対象期間のうちに口座から引き落とされることが条件で、分割払いで引落しが終わらないものは対象外です。現金は税抜10万円以下の契約に限られ、手形や小切手は自社発行のものだけです。
面接審査には誰が出られますか?
事業者の代表者、役員、従業員のうち最大2名まで出席できます。顧問や経営コンサルタントの同席、代理の出席は認められません。面接は原則対面で、日本語で行います。面接の日程は変えられず、指定の日時に来なければ申請を辞退したものとみなされます。録音機器や撮影機器、PCの持ち込みもできないため、説明は申請書の内容を頭に入れて臨みます。
申請書類の作成を専門家に頼めますか?
Jグランツ上の代理申請機能を使えば、行政書士などが申請を作成できます。申請の確認と提出は、申請者自身が行います。同意書(代理申請用)を公社のページからダウンロードして、申請フォームにアップロードします。外注先の事業者と、その従業員は代理申請を引き受けられません。専門家指導費に、申請手続きの助言や書類作成の代行は含まれません。
見積書は何社分そろえますか?
税抜30万円以上の経費には、1契約ごとに見積書かカタログを出します。税抜100万円以上の経費は、2社以上の見積書が要ります。特別な理由で相見積が取れないときは、申請様式に内蔵された見積限定理由書に理由を書きます。見積書は「一式」とせず、規格・メーカー・型番・単価・数量がわかる内訳つきのものを出します。
問い合わせ先はどこですか?
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業事務局(電話 03-4405-0707)です。受付は平日の9時〜16時30分で、年末年始は休みです。募集要項を読む前の問い合わせは遠慮するよう、公式ページに書かれています。問い合わせは、申請する事業者本人からにする決まりです。審査の内容や結果に関する個別の問い合わせには答えてもらえません。
