停電のとき、人工呼吸器を使う患者の命をつなぐ電源を、患者のかわりに医療機関が整えられます。東京都は、自家発電装置・無停電電源装置・蓄電池の購入費を、患者1人につき基準額まで全額補助します。
申請者は患者本人ではなく、購入した物品を患者に無償で貸し出す医療機関です。
在宅人工呼吸器使用難病患者非常用電源設備整備事業の要点まとめ
正式名:在宅人工呼吸器使用難病患者非常用電源設備整備事業補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(都内の在宅難病患者に人工呼吸療法をする医療機関)
- 対象業種
- 医療機関
- 利用目的
- 非常用電源(自家発電装置・無停電電源装置・蓄電池)の購入
- 対象地域
- 東京都(都内に住む患者が対象)
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 自家発電装置は21万2,000円(患者1人あたり)
- 補助率
- 10/10(購入費の全額。基準額まで)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 毎年4月1日から12月末まで(2026年度は12月28日必着)
うちの医療機関は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 睡眠時無呼吸症候群の指導管理だけ
- ✕ CPAP装置を使う患者
- ✕ 在宅酸素・ハイフローの管理料だけ算定
- ✕ 区市町村の日常生活用具給付で手に入る物品
診療報酬で在宅人工呼吸指導管理料を算定していることも、申請時のチェックリストで確かめる項目です。在宅酸素療法、在宅ハイフローセラピー、睡眠時無呼吸症候群の患者への在宅持続陽圧呼吸療法などの管理料を算定している患者は対象外とされています。
患者の条件は「原則」です。今年度より前に在宅療養を始めた患者でも、この事業をまだ使っていなければ申請できます。難病の範囲は、指定難病と東京都の医療費助成の対象疾病です。要綱の別表に載る疾病(正常圧水頭症、メニエール病など)も加わります。
緊急時の連携は、人工呼吸器の保守管理事業者、訪問看護ステーション、居宅介護事業者などと、安全確保の指導をすることです。
いくら補助される?
基準額と実際にかかった購入費を比べて、少ないほうが補助額になります。補助率は10/10です。基準額は患者1人につきの額です。
- 自家発電装置:21万2,000円
- 蓄電池:10万4,000円
- 無停電電源装置:4万1,100円
計算例です。購入費の金額は、見積書の例として置いたものです。
- 蓄電池を9万円で買う:9万円 × 10/10 = 9万円(基準額の10万4,000円より少ない)
- 蓄電池を12万円で買う:10万4,000円 × 10/10 = 10万4,000円(超えた1万6,000円は医療機関の負担)
- 自家発電装置を25万円で買う:21万2,000円 × 10/10 = 21万2,000円(超えた3万8,000円は医療機関の負担)
- 蓄電池を8万6,500円で買う:8万6,500円 × 10/10 = 8万6,500円。千円未満は切り捨てるので、補助は8万6,000円
自家発電装置と蓄電池は、患者1人につきどちらか一方です。無停電電源装置は、この二者択一とは別に基準額が決まっています。要綱は品目ごとに基準額と購入費を比べるので、自家発電装置と無停電電源装置を組み合わせると、患者1人で最大25万3,100円(21万2,000円+4万1,100円)になります。
何に使える?
対象にならないもの
- 修理や点検の費用
- ソーラーパネル
- 1つの物品を基準額の範囲で複数台買うこと
- 診療報酬に含まれる、療養上必要なバッテリー
対象になるもの
- 自家発電装置(人工呼吸器の駆動用。原則、外付バッテリーの充電が目的のもの)
- 無停電電源装置(バッテリー内蔵でない人工呼吸器に、外付バッテリーをつけて使う場合)
- 蓄電池(定格出力300W以上の正弦波交流出力の電源装置、または人工呼吸器専用の外付バッテリー)
購入するのは本体だけです。送料や付属品の購入費は自己負担です。見積書は、商品紹介ページの印刷やスクリーンショットでは足りません。
品名やメーカーの指定はありません。ただし、買う装置が人工呼吸器の正常な作動を妨げないか、保守点検事業者か医療機器メーカーに必ず確認する決まりです。蓄電池はホームセンターや家電量販店でも買えます。
申請の流れ
- 交付申請を出す(医療機関→東京都保健医療局 疾病対策課。4月1日から。2026年度は12月28日(月)必着)
- 交付決定の通知を待つ(東京都→医療機関。申請から1か月程度)
- 物品を買う(医療機関。決定のあとに買う)
- 実績報告を出す(医療機関→東京都。納品書か領収書の写しなどを添える。2026年度は2027年3月5日(金)必着)
- 確定通知を受けて、支払いを受ける(東京都→医療機関)
交付決定の前に買った物品は対象外です。見積書は決定の前に取りますが、発注と購入は決定のあとにします。
Jグランツ(国の補助金申請サイト)でも申請できます。この場合、押印と印鑑証明書の提出を省けます。
必要な書類
準備できた 0 / 8
印鑑証明書は医療機関のものです。Jグランツで出すなら省けます。申請書には、法人は代表者印、個人開設は開設者の印鑑登録の印を押します。個人開設の診療所などは、開設届(医療機関名・住所・開設者名が分かるページ)の写しも出します。
難病医療受給者証の写しのかわりに、臨床調査個人票(発行から6か月以内のもの)、指定難病登録者証、診断書の写しでも構いません。個別申請調書は患者ごとに作り、患者か介護する家族の自筆署名が要ります。診断書を使うときは、患者の氏名・生年月日・住所、疾病名、人工呼吸器の使用状況(装着時間。常時使用していること)、作成した医師の所属と氏名を書いてもらいます。
実績報告のときは、実績報告書、精算額調書、交付基本額内訳書(精算)、個別報告調書、納品書か領収書の写し、支払金口座振替依頼書を出します。納品書などには、支払金額(税込)、品名、数量が載っている必要があります。口座振替依頼書の様式は、交付決定の書類と一緒に都から届きます。様式は2026年7月に一部改正されています。最新の様式を使ってください。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に買った:決定前に買った物品は補助の対象になりません。
- 患者に貸さない:購入した物品は、患者に無償で貸し出すことが条件です。
- 目的外に使った・処分した:自家発電装置と無停電電源装置は6年、蓄電池は5年、知事の承認なしに目的外使用や譲渡をできません。
- 不正があった:偽りの手段で受け取ると、交付決定が取り消され、返還と違約加算金(年10.95%)の対象です。
買い替えと、ほかの制度との関係
導入した自家発電装置・無停電電源装置は6年、蓄電池は5年たつと耐用年数を過ぎます。買い替えが必要なときは、担当に相談してください。
ほかの補助金と同じ経費を重ねて受けることはできません。区市町村の日常生活用具給付事業などで物品を手に入れられる患者への貸与品は、この補助金の対象外です。
補助を受けたら、帳簿と証拠書類は事業完了後5年間とっておきます。
よくある質問
申請するのは患者ですか、医療機関ですか?
医療機関です。患者本人は申請しません。医療機関が自家発電装置や蓄電池を買い、人工呼吸器を使う患者に無償で貸し出します。患者は購入費を負担せず、申請の手続きも医療機関が行います。患者の同意を得ていることも申請の条件です。同意は、患者か介護する家族から、申請内容について得ておきます。
今年度より前から在宅療養している患者も対象ですか?
対象になる場合があります。原則は今年度4月1日以降に在宅療養を始めた患者ですが、これまでにこの事業を使ったことがない患者なら、前年度以前に療養を始めていても申請できます。使ったことがあるかどうかが分かれ目です。迷うときは、東京都保健医療局 疾病対策課の担当(電話03-5320-4477)に聞いてください。
自家発電装置と蓄電池は、両方申請できますか?
できません。患者1人につき、どちらか一方を選びます。無停電電源装置は別の物品で、基準額も別に決まっています。1つの物品につき申請できるのは1台です。基準額の範囲だからといって、同じ物品を複数台買うことはできません。
蓄電池は、どんなものでも対象ですか?
条件があります。1つめは、持ち運びができ、定格出力が300W以上で、正弦波の交流を出す電源装置です。2つめは、人工呼吸器専用の外付バッテリーです。品名やメーカーの指定はありません。ただし、人工呼吸器の動作に支障が出ないか、保守点検事業者か医療機器メーカーに必ず確認してください。ソーラーパネルは対象外です。
補助額は購入費の全額ですか?
基準額までの全額です。補助率は10/10で、基準額と実際の購入費を比べて少ないほうが補助額になります。基準額を超えた分は医療機関の負担です。算出した額に千円未満の端数があれば切り捨てます。たとえば蓄電池を12万円で買った場合、補助は10万4,000円で、1万6,000円が自己負担になります。
買ったあとの修理や点検の費用は補助されますか?
されません。補助の対象は物品の購入費だけです。修理や点検にかかる費用は、補助の対象にならないと東京都が案内しています。買い替えは、耐用年数(自家発電装置と無停電電源装置は6年、蓄電池は5年)を過ぎたときに、担当に相談できます。購入後の保守は、医療機関と保守事業者の間で決めておいてください。
交付決定の前に買ってしまったら、どうなりますか?
その物品は補助の対象になりません。流れは、交付申請、交付決定通知、物品の購入、実績報告の順です。通知は申請から1か月程度で届きます。急いで買いたい場合も、先に申請を出してください。見積書は申請に添えるため、決定の前に取ります。契約や発注は決定のあとにします。
申請はいつまでにすればいいですか?
毎年4月1日から12月末までで、2026年度の交付申請は12月28日(月)必着です。交付決定の通知は申請から1か月程度で届き、物品を買うのはそのあとです。年末ぎりぎりに出すと、買う時期が年明けにずれ込みます。患者の在宅療養の開始が決まったら、早めに見積書を取って申請を進めてください。
CPAP装置を使う患者は対象ですか?
対象外です。この事業の対象は、人工呼吸療法をしている患者です。CPAP装置の使用者は人工呼吸療法の対象に当たらないと、東京都のQ&Aに書かれています。睡眠時無呼吸症候群の患者への指導管理も、対象に含まれません。対象の患者は原則として常時人工呼吸器を使う方で、指定難病か東京都の医療費助成の対象疾病にかかっている必要があります。
電子申請はできますか?
できます。Jグランツでも受け付けています。Jグランツで申請すると、押印と印鑑証明書の提出を省けます。紙で出す場合は、東京都庁第一本庁舎29階南側の疾病対策課 在宅難病事業担当あてに送ります。2026年度から一部の様式が変わっているため、最新の様式を使ってください。
区市町村の給付制度と重ねて使えますか?
重ねられません。患者が区市町村の日常生活用具給付事業などを使って物品を手に入れられる場合、その物品の購入費はこの補助金の対象外です。同じ経費に、ほかの補助金を重ねて受けることもできません。患者の区市町村に同じ趣旨の制度があっても、希望する品目(蓄電池、自家発電装置など)の取り扱いがないときは、申請理由書(任意様式)をつけて申請する形です。理由書には、区市町村の制度を未申請であること、その制度に希望品目がないこと、その品目を希望する理由を書きます。制度の有無や対象かどうかが分からないときは、事前に疾病対策課へ電話してください。患者の住む区市町村の制度を先に確かめてから、申請する物品を決めると、手戻りを避けられます。
問い合わせ先はどこですか?
東京都保健医療局 保健政策部 疾病対策課 在宅難病事業担当です。電話は03-5320-4477で、所在地は新宿区西新宿2-8-1の東京都庁第一本庁舎29階南側です。対象の患者に当たるか、前年度以前から療養している患者を申請できるかなどは、先に担当に聞いてください。
