人手不足は、秋田県内の事業者にとって長年の課題です。国内人材だけでの採用に限界を感じ、外国人材の受け入れを検討する事業者も増えてきました。秋田市の「外国人材受入奨励金」は、こうした事業者の初期負担を軽くする制度です。
対象になるのは、「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」のいずれかの在留資格で外国人材を新規雇用した市内事業者です。対象者1人あたり10万円、1事業者につき最大3人・上限30万円が交付されます。対象労働者は令和8年4月1日以降に新規雇用された人に限られます。
人材紹介や監理団体への手続き費用、生活立ち上げの初期コストは小さくありません。奨励金は、雇用から一定期間が経過した後に交付される設計です。初期負担を軽くするねらいがあるとみられます。
なぜ秋田市はこの奨励金を用意しているのか
秋田県は全国でも人口減少・高齢化のスピードが速い地域のひとつで、製造業・宿泊業・建設業・農業など幅広い業種で人手不足が深刻化しています。市内の事業所が採用の選択肢を国内人材だけに限らず、外国人材の受け入れも含めて検討できるよう、秋田市は相談窓口の設置とあわせて、雇用時の初期負担を軽くするこの奨励金を用意しています。
対象となる労働者は令和8年4月1日以降に市内事業所へ新規雇用された人材で、市内に住所を持っていることが条件です。人材紹介・監理団体経由の手続き費用や、来日・生活立ち上げにかかる初期コストは決して小さくないため、雇用後一定期間が経過した時点で交付される設計になっています。
対象になる事業者・労働者の要件を具体例で見る
事業者側の要件は次のとおりです。
- 市内事業所で外国人材を雇用する法人または個人事業主であること
- 出入国管理法・労働基準法等の関係法令を遵守していること
- 対象となる外国人材を6か月以上雇用していること
- 市税の滞納がないこと
労働者側の要件は次のとおりです。
- 令和8年4月1日以降に市内事業所へ新規雇用されたこと
- 市内に住所を有していること
- 在留資格が「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」のいずれかであること
- 「技能実習」「特定技能」の場合は、市内の監理団体または受入支援機関を通じて雇用していること
業種別に当てはめると、たとえば次のようなケースが対象になり得ます。
- 温泉旅館・宿泊業: 客室清掃・接客スタッフとして特定技能人材を2名採用し、市内の登録支援機関を通じて受け入れ
- 食品製造業: 加工ラインの担当として技能実習生を1名受け入れ、監理団体経由で6か月以上継続雇用
- ITサービス業・貿易関連業務: 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でシステムエンジニアや通訳・翻訳担当を直接雇用
なお在留資格の取得・変更にかかる申請取次は行政書士の専門業務にあたるため、この記事では対象要件の紹介にとどめます。具体的な手続きの進め方に迷う場合は、行政書士など専門家への相談が確実です。
奨励金額のシミュレーション:何人採用すればいくらになるか
奨励金は雇用人数に応じたシンプルな仕組みです。
| 対象労働者の雇用人数 | 奨励金額 |
|---|---|
| 1人 | 10万円 |
| 2人 | 20万円 |
| 3人(上限) | 30万円 |
対象経費を特定の使途に限定する記載はなく、交付された奨励金は事業者が自由に使える性質のものです。実務上は、次のような初期費用の一部に充てているケースが考えられます。
- 特定技能人材を2名受け入れた宿泊業者: 奨励金20万円を、登録支援機関への支援委託料の一部や、住居初期費用(敷金・生活家電)の補助に充当
- 技能実習生1名を受け入れた製造業者: 奨励金10万円を、監理団体への監理費や来日時の交通費の一部に充当
- 技術・人文知識・国際業務でエンジニア3名を採用したIT企業: 上限の30万円を、日本語学習支援や社内マニュアルの多言語化費用に充当
1事業者につき対象労働者3人までという上限があるため、4人目以降を採用しても奨励金は増えません。複数名を同時期に受け入れる計画がある場合は、誰を対象労働者として申請するかを事前に整理しておくと手続きがスムーズです。
申請のタイミングと必要書類
この奨励金で最も注意すべきなのは、申請できる期間が「雇用から6か月経過後60日以内」に限定されていることです。時系列で整理すると次のようになります。
- 雇用開始: 令和8年4月1日以降に対象労働者を新規雇用
- 6か月経過を待つ: 継続して6か月以上雇用していることが交付要件
- 申請期間(60日間): 雇用から6か月を経過した日から60日以内に、様式第1号「奨励金交付申請書」・様式第4号「奨励金交付請求書」を提出
申請方法はメール・郵送・窓口持参の3通りから選べます。
- メール: ro-inbl@city.akita.lg.jp
- 郵送: 秋田市産業振興部企業立地雇用課宛
- 窓口: 秋田市役所本庁舎3階(平日8時30分〜17時15分)
60日の申請期間を過ぎると受け付けてもらえない可能性があるため、雇用開始日をカレンダーに控えておき、6か月経過のタイミングで速やかに申請する段取りを組んでおくのが安全です。
他の支援制度とあわせて検討する
秋田市には外国人材受入に関する相談窓口(秋田商工会議所「外国人材受入相談窓口」)もあり、受入支援機関の選び方や在留資格ごとの手続きの相談ができます。奨励金の申請とあわせて、雇用開始前の早い段階で相談しておくと安心です。
人材の確保・定着には国の助成金もあります。あわせてこちらの記事で解説しています。
外国人材の受け入れ以外にも、自社の状況に合う補助金・助成金がないか気になる場合は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。
在留資格の要件確認や申請書類の準備で迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。
よくある質問
秋田市外国人材受入奨励金はいくらもらえますか?
対象労働者1人あたり10万円で、1事業者につき対象労働者3人まで(上限30万円)交付されます。
どの在留資格の外国人材が対象になりますか?
「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」のいずれかの在留資格で雇用されている人材が対象です。技能実習・特定技能の場合は、市内の監理団体または受入支援機関を通じて雇用していることが条件になります。
いつまでに申請すればよいですか?
対象労働者を6か月以上雇用したうえで、雇用開始日から6か月を経過した日から60日以内に申請する必要があります。申請が遅れると受け付けてもらえない可能性があるため、雇用開始日を基準に申請時期を管理しておくことをおすすめします。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。奨励金の内容・対象要件・申請期間・予算枠は変更される場合があるため、申請前に必ず秋田市の公式ページおよび最新の交付要綱でご確認ください。採択・交付は変更されうるものであり、本記事は交付を保証するものではありません。
出典:
